新国立劇場、2014年7月4日ソワレ。
現代のイタリア、ベネツィアにあるホテル・アマンテス。国際映画祭の華やぎの中、高齢の夫を看取ったばかりの元大女優ロザーウラ・デ・ビゾニョージ(大竹しのぶ)がこの地を訪れていた。彼女のハートと女優復帰作の双方を射止めるべく、イギリス人のルネビーフ(中川晃教)、フランス人のルブロー(岡本健一)、スペイン人のドン・アルバロ・デ・カスッチャ(高橋克実)、イタリア人のボスコ・ネーロ(段田安則)という4人の映画監督が互いを牽制し合いながらしのぎを削っている…
原作/カルロ・ゴルドーニ、上演台本・演出/三谷幸喜、美術/松井るみ。全1幕。
お金持ちの明るい未亡人、という意味では『メリー・ウィドウ』、別人のふりをして相手の真意を探るという意味では『めぐり会いは再び』を思い起こさせました。舞台を原作の18世紀から現代に変えて、人物造形や人間関係は原作そのままに、95パーセントの台詞は三谷氏が書き起こしたものだそうですが、祝祭感は変わっていないだろうとのことです。テレビでもよく見る、けれど芸達者なプロフェッショナル揃いの俳優たちが、ホテルの庭園だけれどそのまま半円形の屋外劇場のステージにも見えるセットの中で、生身で演じるからこそファンタジックな、楽しくはかないラブコメディ。堪能しました。
一番存在感の薄かったボスコ・ネーロの純愛が通じてハッピーエンド、なんかじゃなくて、監督と恋をすることもセットだけれどそれよりやっぱり映画、演技という仕事がしたいヒロインがプランしかない夢みたいな企画を怒ってうっちゃるラストが、ほんのりせつなく物悲しくてなかなかよかったです。まさに一夜の夢なのでした。もうちょっとその情感が漂えばよかったと思うけれど…
大竹しのぶは舞台女優としてけっして声も良くないしいろいろアレだと思うのだけれど、それでもこの上手さはすごいなと思いました。この小柄なおばちゃん女優に対する大柄な美人のエージェント・マリオネット役の峯村リエも素晴らしかった。
そしてロザーウラの妹で美人だけれど大根女優のエレオノーラを演じた木村佳乃のまたキュートなこと! こんなに可愛い木村佳乃、見たことない! テレビドラマだと賢かったり幸薄そうだったりする役が多い気がするんですよねー。いいコメディエンヌっぷりでした。
ホテルの従業員アルレッキーノ役の八嶋智人がもちろん素晴らしく、私が大ファンの浅野和之のパンタローネがまたくだらなすぎて素晴らしかった。イヤ全力で褒めてます。
「深刻なものだけが演劇じゃない。そう、演劇は、お祭りなのですから」というプログラムの言葉にふさわしい、ちょっとミュージカルでもある、楽しい舞台でした。
現代のイタリア、ベネツィアにあるホテル・アマンテス。国際映画祭の華やぎの中、高齢の夫を看取ったばかりの元大女優ロザーウラ・デ・ビゾニョージ(大竹しのぶ)がこの地を訪れていた。彼女のハートと女優復帰作の双方を射止めるべく、イギリス人のルネビーフ(中川晃教)、フランス人のルブロー(岡本健一)、スペイン人のドン・アルバロ・デ・カスッチャ(高橋克実)、イタリア人のボスコ・ネーロ(段田安則)という4人の映画監督が互いを牽制し合いながらしのぎを削っている…
原作/カルロ・ゴルドーニ、上演台本・演出/三谷幸喜、美術/松井るみ。全1幕。
お金持ちの明るい未亡人、という意味では『メリー・ウィドウ』、別人のふりをして相手の真意を探るという意味では『めぐり会いは再び』を思い起こさせました。舞台を原作の18世紀から現代に変えて、人物造形や人間関係は原作そのままに、95パーセントの台詞は三谷氏が書き起こしたものだそうですが、祝祭感は変わっていないだろうとのことです。テレビでもよく見る、けれど芸達者なプロフェッショナル揃いの俳優たちが、ホテルの庭園だけれどそのまま半円形の屋外劇場のステージにも見えるセットの中で、生身で演じるからこそファンタジックな、楽しくはかないラブコメディ。堪能しました。
一番存在感の薄かったボスコ・ネーロの純愛が通じてハッピーエンド、なんかじゃなくて、監督と恋をすることもセットだけれどそれよりやっぱり映画、演技という仕事がしたいヒロインがプランしかない夢みたいな企画を怒ってうっちゃるラストが、ほんのりせつなく物悲しくてなかなかよかったです。まさに一夜の夢なのでした。もうちょっとその情感が漂えばよかったと思うけれど…
大竹しのぶは舞台女優としてけっして声も良くないしいろいろアレだと思うのだけれど、それでもこの上手さはすごいなと思いました。この小柄なおばちゃん女優に対する大柄な美人のエージェント・マリオネット役の峯村リエも素晴らしかった。
そしてロザーウラの妹で美人だけれど大根女優のエレオノーラを演じた木村佳乃のまたキュートなこと! こんなに可愛い木村佳乃、見たことない! テレビドラマだと賢かったり幸薄そうだったりする役が多い気がするんですよねー。いいコメディエンヌっぷりでした。
ホテルの従業員アルレッキーノ役の八嶋智人がもちろん素晴らしく、私が大ファンの浅野和之のパンタローネがまたくだらなすぎて素晴らしかった。イヤ全力で褒めてます。
「深刻なものだけが演劇じゃない。そう、演劇は、お祭りなのですから」というプログラムの言葉にふさわしい、ちょっとミュージカルでもある、楽しい舞台でした。