絶望を生きる男 ~テリィとニューランド~ ①
関連映画:『エイジ・オブ・イノセンス』(1993)
この記事では、マンガ『キャンディ・キャンディ』についての勝手な思いを書いています。『小説キャンディ・キャンディFINAL STORY』の“あのひと”が誰かを考察する趣旨では全くありません。
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**映画『エイジ・オブ・イノセンス』のあらすじ**
1870年代のニューヨーク。上流階級の弁護士ニューランド(ダニエル・デイ=ルイス)は幼なじみのエレン(ミシェル・ファイファー)と再会し、次第に心惹かれていく。しかしニューランドには婚約者メイ(ウィノナ・ライダー)が、エレンには離婚を承知してくれない夫がいた…。
映画『エイジ・オブ・イノセンス』を何度か見るうちに、DDL演ずるニューランドが、テリィと私の中で被るようになりました。キャラは違うんですけどね。
余談ですが、このブログにも時々書いているように、私はDDLの(ファンではなく)信者なんですが、信者になったきっかけが、この映画でのニューランドなんです。私の中ではDDL=ニューランド、と言ってもよいくらい。ニューランド自身は正直それほど好きじゃないんですけれど。ニューランドを演じるDDLが美し過ぎました、、、嘆息。
ま、DDLのことはおいといて……。テリィとニューランドについてです。
この2人の男性は、どちらも同じ境遇に置かれております。つまり、愛する女性がいながら、その人とはどうしようもなく一緒になることはかなわなかった。そして、別の女性と生きざるを得ない、、、ということ。
ニューランドは、映画の中で妻メイとの生活で「もう自分(の心)はとっくに死んでいる」とまで言っています。テリィはキャンディとの別離後、深い絶望感に襲われて、あれほど情熱を注いでいた役者業から逃避しズタボロになってしまいます。
テリィもニューランドも、本当にどうしようもなかったのだろうか、、、ということについて、ちょっと考えてみました。
◆あなたを誰にも渡さない!
ニューランドが愛するエレンとの人生を諦めたのは、周りの無言の圧力と陰湿な根回しに屈したからだが、以前は、“ニューランドが全てを捨てる覚悟があれば、エレンが離婚できなくても、事実婚状態でヨーロッパで一緒に暮らすこともあり得たのではないか”と思っていた。つまり、ニューランドは、リスクを取る勇気がなかったのではないか……と。
けれど、何度か見るうちに、メイから逃れるのは、まずムリだったろうと思うに至った。
なぜなら、メイにとってはニューランドが自分のそばにいることが何よりも重要なのであり、ニューランドが自分を愛しているかどうかは二の次三の次だからである。だから、ニューランドが物理的に自分から離れないためなら何でもするわけだ。
彼女は、ニューランドの本心などとっくにお見通しだった。エレンと相思相愛なのも分かっていた。メイとしては「エレンと幸せになどさせてなるものか、、、」というよりは、「ニューランドは絶対に誰にも渡さない!」だったのだろう。
で、このメイの気持ちと同じことをテリィに言った人が、スザナなのよ。メイは言葉に出しては言わなかったけど、スザナは、ハッキリ言う。
ある日、稽古場でキャンディからテリィ宛の手紙を拾ったスザナは、テリィにそれを渡す際に、自分の思いを告白する。そして「ききたいの! あなたの気持ちを!」と言って、テリィの本心を聞くんだが、テリィが「……おれは昔からあいつ(キャンディ)のことを……」と言い掛けたところで、スザナは「いわないで! いやよ テリィ あたし あなたのこと愛してる! ぜったいわたさないわ! キャンディにだってだれにだって!」と泣き叫ぶ。
自分以外に愛する人がいる、しかも相思相愛の人がいる相手に向かって「あなたを誰にも渡さない!」って、私だったらそんなこと、とても言えまへん、、、。
しかも、その直前には、キャンディをシカゴのホテルで追い返したときの言い訳を「ごめんなさい…… あたし とてもわるいと思ってた でも……あなたをだれにもとられたくなかったの」と言っている。
「誰にもとられたくない」って、別にスザナとテリィは付き合っていたわけでも何でもないのに、これも私だったら絶対言えないセリフだな、、、。こういうところも、テリィ派の方々に毛嫌いされる一因かもね(ちなみに、私はテリィ派ですが、スザナのことは嫌いではないです)。
しかも、このシーンが、スザナがテリィをかばって片足を切断することになる大怪我をする直前にあるのがミソ。テリィはスザナの思いを知らされてしまうからね。そこまで自分を好きでいる女性が、捨て身で自分をかばって、女優生命を絶たれるような大怪我を負うわけだから、テリィは人情として「そんなん知ったことか!」と言えない状況に追い込まれる。
◆スザナがテリィに執着するのは仕方がない。
ネットでは、スザナは異常なまでに悪者にされている。相思相愛のテリィとキャンディを引き裂いた極悪人扱い。悪人というより、イヤらしい女、というところか。
あれがテリィでなければあんなふうに身を挺してテリィを助けなかったはず、、、だから、スザナは身の危険を承知でテリィに貸しを作った、、、と。おまけに、テリィの舞台初日に当てこすりのような自殺未遂騒動まで起こし、どこまでテリィを苦しめるのか、と。
しかし、それは違うと声を大にして言いたいのです……。
>>>>[6]に続く
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