映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ランジェ公爵夫人(2006年)

2016-05-09 | 【ら】



 以下、amazonよりコピペです。=====

 ヌーヴェル・ヴァーグの巨匠、ジャック・リヴェット監督が文豪・バルザックの名作を映画化。19世紀初頭、パリの貴族社会を舞台に繰り広げられる残酷な愛の駆け引きを描く。ジャンヌ・バリバール、ギョーム・ドパルデューら豪華キャストが共演。(「キネマ旬報社」データベースより)

 文豪バルザックの名作を巨匠ジャック・リヴェットが完全映画化! 19世紀初頭、パリの貴族社会を舞台に繰り広げられる命懸けのラブストーリー。時は1823年。ナポレオン軍の英雄モンリヴォー将軍は、スペインの修道院で一人の修道女との再会を果たす。それはかつて愛したランジェ公爵夫人だった…。(「Oricon」データベースより)

 =====コピペ終わり。

 もっと古い映画かと思ったら、10年前のだったのですね。 ジャック・リヴェットといえば『美しき諍い女』が有名ですが、これも、男と女の心理的葛藤物語という点では共通している、、、のか。

 
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 またしても、記憶にないDVDが到着。リストに入れた時は、間違いなく“見たい”と思ったから入れたはずなのに。何を見て、“見たい”と思ったのかが、まるで思い出せません、、、ごーん。

 ちなみに原作は未読です。『美しき諍い女』がダメだった私には、本作もイマイチでした。


◆親父より100倍イケメンなギョーム

 モンリヴォー将軍を演じているのは、ギョーム・ドパルデュー。そう、あのジェラール・ドパルデューはお父上。

 それにしても、瓢箪から駒と言っては失礼かもしれないけれど、あのお父上からは想像もできない美男子なギョーム。美人薄命じゃないけど、やはり美男子も早く神に召されてしまうのですかね……。亡くなったニュースを聞いたときは、かなり衝撃を受けました。だって、37歳ですよ? 若すぎます。子の葬式に出なければいけない親の気持ちはいかばかりか。お父上のことは俳優としては正直、好きじゃないけれど、ギョームを失った時の気持ちは想像を絶します。

 ギョームは若い頃にバイク事故が原因で足を片方切断していたそうですが、本作でのモンリヴォー将軍は、戦闘で負傷し義足という設定のようで、わずかに足を引き摺るその様が、なんとも言えない色気を醸し出してもいます。原作ではどうなのか知りませんが……。

 とにかく、お父上のようなあか抜けない醜男ではなく、多少のゴツさに遺伝を感じるものの、品があって知性を感じるイイ男です。ネットで見たら、お母様がやはり美女でした。、、、すごく納得。


◆これがコケットリーなんだ?

 で、本作は、いわゆる19世紀の貴族社会における恋愛を描いたものだそうなんですけれども、現代の超速スピード文化に慣れ切った者としては、このモンリヴォー将軍とランジェ公爵夫人のやりとりは、ハッキリ言って“何やっとるん、この人たち、、、??”という素朴な疑問を抱いてしまうのです。

 ランジェ公爵夫人は、“コケットリー”を知り抜いている貴婦人だそうです。コケットリーとは、広辞苑(第5版)によると、「嬌態、媚態、あだっぽさ」。では、嬌態とは何かというと、「なまめきこびる色っぽい態度・様子」とあります。

 ですが、、、。本作でランジェ公爵夫人が、モンリヴォー将軍にしていることは、ただの「意地悪」じゃん? 自分に気があると知っていて、自分も憎からず思っているけれども、すんなり相手のモノになっては下品(?)だから焦らす、、、とにかく焦らしまくる、という作戦で、その焦らし方がこの当時の上流社会における“コケットリー”なんだとか。

 その焦らしの場面での2人の会話が面白いかというと、別にそうでもなく、、、。これがバルザックの描くコケットリーなんですかねぇ。

 確かに、公爵夫人は、胸が大きく開いたドレスを着てソファにしなだれかかったり、胸を突き出すようにして将軍に接近したりするので、色っぽい態度といえばまあ、それはそうでしょう。

 どちらかというと、コケットリーというよりは、単に“恋の駆け引き”を楽しむ、スリルを味わう、みたいな感じでしょうか。ただ、何度も何度も公爵夫人の下へ通ってはいなされてばかりの将軍で、2人のダラダラとしたスリルのスの字も感じられない会話ややりとりを見ていると、大変下品で恐縮ですが、「さっさとやることやっちゃえば?」と思っちゃうんですよねー。

 実際、そんなダラダラを繰り返したばかりに、2人は大後悔をするハメになるのですよ? それのどこがコケットリーじゃ。男と女なんて、寝て何ぼじゃないでしょーかねぇ。寝ないで何が分かるか、っての。寝てもいないのに、「心底愛した」とか言ってるのは、ハッキリ言ってすご~く陳腐に聞こえます。


◆ジャンヌ・バリバールが痩せ過ぎで色気ゼロなのがイタい

 コケットリーとか言うわりに、肝心のランジェ公爵夫人を演じたジャンヌ・バリバールがとてもじゃないけれど、嬌態・媚態には程遠いルックスってのも、本作に入り込めない大きな要因の一つですかね。これを、イザベル・アジャーニが演じていたら、ゼンゼン違っていたと思うし、アジャーニの方が合っていたと思います。彼女の場合、そこにいるだけでコケットリーでしょ。コケットリーを具現化した役者が、イザベル・アジャーニその人です。

 ジャンヌ・バリバールは、美しいとは思うけれど、剣のある顔で、ちょっと、、、。体も細過ぎて、胸を強調しているけど、あまり豊かなバストには見えず、、、。どっちかというと、美しい割に男運が悪い、だからイライラしていて神経質な女、みたいな役の方が合っている気がします。

 でもこのジャンヌ・バリバールさんは、あのマチュー・アマルリックとの間にお子さんがいるのだとか! へぇ~!!


◆修道院の陰惨さ

 冒頭のシーンが強烈です。いきなり、修道女となった公爵夫人と将軍が再会するのですが、それが鉄格子越しです。鉄格子の向こうに薄暗い空間があり、おっきな黒い十字架が壁に掛けられ、その前に公爵夫人と付添いのシスターが立っています。何とも言えない陰惨な雰囲気で、いわゆる性の悦びを厳禁するカトリックの過剰な抑圧空間という感じ。

 そしてラストもまた修道院。公爵夫人は、青ざめた顔をして横たわっています。、、、自死してしまったのです。なぜか?、、、分かりません。何の説明もありません。


◆原作は連作モノの一篇

 さて、原作を書いたのはあのバルザックなんですが、私はバルザックの小説で読んだものといえば「従妹ベット」だけでして、それも同タイトルの映画を見て読んでみようと思ったワケですが、あまりの小さな字と古めかしい訳文と分厚い1冊ずつの全2巻に、内心ひぃひぃ言いながらどうにか読破したものの、読み終えたときに、一体どんなストーリーだったっけ、、、? てなザマでした。今読んだら、もう少しマシなんでしょうかね、、、。

 ただ、そのようにストーリーがすんなり頭に入ってこなかった理由は、小説にも原因があり、というか、ハッキリ言ってものすごいヘンなんですよ。もう詳細は忘れましたけれども、バルザックという人について私はほとんど無知ですが、「従妹ベット」を読んでいるときに感じたのは、こんな小説を書く人は変人に違いない、ということでした。

 本作の原作は、「十三人組」という連作モノで、そのうちの一つが、この「ランジェ公爵夫人」だそうです。「十三人組」は、いわゆる13人からなる秘密組織のお話で、本作中でも、何の説明もなく、その秘密組織の一味と思われる男たちが現れて、公爵夫人を拉致したり、修道院から公爵夫人の遺体を盗み出したりという描写があります。ハッキリ言って見ているときは???なんですが、原作の成り立ちを知れば、なるほど、というところでしょうか。







『美しき諍い女』が好きな方は合うかも、、、。




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