作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv64919/
以下、公式サイトよりあらすじのコピペです。以下、よりあらすじのコピペです。
=====ここから。
“敵”の名簿を愉しげにチェックするスターリン。名前の載った者は、問答無用で“粛清”される恐怖のリストだ。時は1953年、モスクワ。スターリンと彼の秘密警察がこの国を20年にわたって支配していた。
下品なジョークを飛ばし合いながら、スターリンは側近たちと夕食のテーブルを囲む。道化役の中央委員会第一書記のフルシチョフ(スティーヴ・ブシェミ)の小話に大笑いする秘密警察警備隊長のベリヤ(サイモン・ラッセル・ビール)。スターリンの腹心のマレンコフ(ジェフリー・タンバー)は空気が読めないタイプで、すぐに場をシラケさせてしまう。 明け方近くまで続いた宴をお開きにし、自室でクラシックをかけるスターリン。無理を言って録音させたレコードに、ピアニストのマリヤ(オルガ・キュリレンコ)からの「その死を祈り、神の赦しを願う、暴君よ」と書かれた手紙が入っていた。それを読んでも余裕で笑っていたスターリンは次の瞬間、顔をゆがめて倒れ込む。
お茶を運んできたメイドが、意識不明のスターリンを発見し、すぐに側近たちが呼ばれる。驚きながらも「代理は私が務める」と、すかさず宣言するマレンコフ。
側近たちで医者を呼ぼうと協議するが、有能な者はすべてスターリンの毒殺を企てた罪で獄中か、死刑に処されていた。仕方なく集めたヤブ医者たちが、駆け付けたスターリンの娘スヴェトラーナ(アンドレア・ライズブロー)に、スターリンは脳出血で回復は難しいと診断を下す。
その後、スターリンはほんの数分間だけ意識を取り戻すが、後継者を指名することなく、間もなく息を引き取る。
この混乱に乗じて、側近たちは最高権力の座を狙い、互いを出し抜く卑劣な駆け引きを始める。表向きは厳粛な国葬の準備を進めながら、マレンコフ、フルシチョフ、ベリヤに加え、各大臣、ソビエト軍の最高司令官ジューコフまでもが参戦。進行する陰謀と罠――果たして、絶対権力のイスに座るのは誰?!
=====ここまで。
共産主義まっただ中のソ連で、スターリンの死の直後に起きたことをほぼ史実に沿いながらデフォルメして描いたイギリス映画。
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実は、本作は公開時に劇場に見に行っているのだけど、前日の夜更かしが祟ったのか、不覚にも途中から間欠的に睡魔に襲われ、終盤覚醒したけど、感想を書くには見逃したと思われるシーンが多すぎたので、感想を書けなかったのであります。
ただ、中盤まで面白かったし、覚醒以後~ラストもアイロニカルで好みだったので、非常に悔しくて、今回DVDで再見した次第。嗚呼、やっぱし面白いところを一杯見逃していたんだわ~。
◆バカ製造社会=独裁
普段だと、ロシアものを英語で演じているっていうことに違和感バリバリなんだろうけど、本作は、そんなことはまったく気にならない、、、いやむしろ、英語で演じてくれているからこそ、見る方もちょっと引きで見ていられる感じがして良かったくらい。これ、ロシア語でロシア人が同様に演じていたら、正直言ってシャレにならなかったと思うのだ。当然、バカっぽい“ロシア語調英語”なんて愚策にも手を出さず、非常に真っ当に独裁体制を皮肉った劇映画に仕上げていて、とても面白い。
スターリンが脳梗塞で自身のオシッコ沼の中でぶっ倒れているのに、側近たちは右往左往するだけ。笑っちゃうのが「(先の粛正のせいで)今街に残っているのはヤブ医者ばっかり」なんて言っているところ。これは実際そうだったらしく、優秀な医者たちはほとんどが収容所送りになっていたんだとか。医者を呼ぶにも、「誰が責任をとるか」で揉めて、誰も行動を起こさない。これも、スターリンにとってみれば、回り回って自業自得ってことなんだろうね。
そもそもスターリンが倒れていることの発見が遅れたのだって、「呼ばれない限り扉を開けるな」と普段から警備の者たちに言っていたから。部屋の中で倒れる大きな音がしたところで、2人の警備員のうち1人が「中の様子を見ようか」と気に掛けても、もう1人が「殺されるぞ!」と一喝して終わり。
それでも、スターリンは、スターリン自身が、まだそれなりの能力があったから独裁者として機能していたが、肝心の独裁者が死んだ途端、一気に全てが機能不全に陥るという、、、まぁ、当然と言えば当然の成り行きが展開される。
機能不全になっても、どうにか体制を維持しようと、側近たちどうしで醜い争いが勃発するんだが、ついさっきまで過剰なまでに顔色を窺っていた主が死んだら、その死に顔に向かって「あばよ、クソじじい!」とか言っちゃう。……というか、死んでいる者にしかホンネすら吐けない。側近たちは皆、脳ミソを“いかに主に殺されずに生きながらえ、あわよくば出世できるか”にばかり使っているから、一人残らず脳が退化したような人間ばかり。
ホント、独裁ってまるでイイとこナシなんだと改めて思い知る。
◆ベリヤ VS フルチショフ
しかし、スターリンの葬儀に参列した一般人の中には、スターリンの遺体を見て、本当に哀しげに涙を流す者もいて、側近たちの中にも、自身の妻が逮捕されカザフスタンに追放されながらスターリンに心酔していた人(モロトフ)もいて、なんだかなぁ、、、という感じだった。
まあ、本作は、側近たちのドタバタを描いているので、政治的にアンチ共産主義は出て来ないけど、この時代のソ連に生きていた人々のことを思うと、本作を見て無邪気に笑ってしまうことに罪悪感を覚えるのも事実。
スターリンの後釜狙いの欲望剥き出しのベリヤが、他の側近たちに謀られて真っ先に殺されるのも皮肉であり、自業自得でもあり、、、。スターリンが死んだ途端に、真っ先に政策転換を図ろうとするのも、結局の所、自分が独裁者になるため。
ただ、このベリヤが粛正される一連の顛末は非常に恐ろしくてゾッとする。ひとたび、コイツを消そう、、、と狙いを定められたら、もう逃げられないのがこの独裁体制なのである。狙いを定めるのに真っ当な理由などないのは当然。「アイツ、気に入らねぇ」これだけで十分なのだ。こんな所じゃ、そりゃ、誰もが生き残りのために全身全霊を傾けるようになるわ。
本作は、ベリヤとフルチショフを軸に、セコい権力闘争が描かれるのだが、一般に言われている“フルチショフ=割とイイ人”的なイメージは全否定されているのがミソ。結局の所、彼もベリヤと同じ“変節漢”に過ぎないことが容赦なく描かれている。この辺りは、さすがに英国らしい猛毒たっぷりなんだが、おかげで、ロシアでは上映禁止になったのだとか。今の日本についても映画にしてもらえたら面白いと思うんだけど。日本では絶対作れないから。
ちなみに、ベリヤが真っ先に消されたのには、本作でもチラッと描かれているけど、ベリヤがとんでもない強姦魔だったこともかなり影響しているらしい。ベリヤのケダモノぶりがお知りになりたい方は、ネットで検索してください。いくらでもそれにまつわる記事が出て来ます。
あと、ちょっと笑えたのが、スターリンの死んだ現場となった別荘を引き払う際に、使用人たちも別荘から追い出されるんだが、その中に、「彼らは影武者です」と言って、スターリンぽいオッサン3人が連れ出されてきたシーン。スターリンを演じたアドリアン・マクローリンに、激似ではない、やや似の顔立ちで、背は凸凹なオッサン3人が出て来たのが何とも言えず滑稽で可笑しかった。実際、あんなふうに影武者を密かに養っていたんだろうなぁ。
ラストは、フルチショフが権力を掌握したところで終わるが、そんなフルチショフも失脚することが暗示されて終わるのがイイ。
また、何年かしたら見直してみたい作品。
名前はロシアになったけれど、実態はどれくらい変わったのだろうか……。
「“ロシア語調英語”なんて愚策にも手を出さず」がいいですね。
「チャイルド44」を見た時、トム・ハーディのロシア訛りの英語に「アホか」と思ったもんで。
ホント、あのロシア語訛りの英語は、アホでした
中国語訛りの日本語とか、想像しただけで笑えます!(^^)!
この先、まだロシアもの、つづきます~!