映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

相続人(1997年)

2014-09-11 | 【そ】



 きっかけも嵐の夜。見知らぬ女の車が盗まれたところに遭遇した女タラシ弁護士が、ずぶ濡れになっているその女を送ることから、どんどんおかしなことに巻き込まれていく。

 カルトっぽい女の実父やその仲間たち、女や弁護士の子どもたちの目に穴を開けた写真入り脅迫レター、子どもの誘拐騒動、、、、さらに自分のこれまでの弁護士としての在り方に足元をすくわれ、果ては・・・。

 何なんだ、この女、と気付くのが遅過ぎる弁護士。そして、気付いた後もまた嵐。彼の人生も大嵐。

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 さて、ケネス・ブラナーです、、、。うー、私はこの人がどーしても好きになれないのです。なぜか。多分・・・理由その1:彼の監督作品があんまし好きじゃない。理由その2:仕事仲間と次々ステディになり、私の大好きなヘレナ・ボナム=カーターと同棲までしていた。理由その3:ルックス。てなところだと思われます。でもって、本作では、理由その3のルックスが、やっぱりダメな最大の理由かも、と感じた次第。ファンの方、すみません。

 小柄な割に、頭がデカいんだけど、肩幅は狭くて、うーん、なんというか押し出しが弱いというか、、、。顔も、その半分くらいが額で、顔のパーツが下方に集中しているので、どうも訴訟に強い弁護士、っていうイメージじゃない。

 とはいえ、それを補って余りある演技でございました。つーか、彼一人が空回りしてドタバタしているばかりで、自分で自分の首をどんどん絞めてしまうのですね。でもって、自分の過去が自分をさらに追い詰めるという皮肉。自分のやったことは、良くも悪くも自分に還ってくるものなのです。

 大体、見知らぬ男の前でいきなり素っ裸になる女なんて、それだけで警戒するだろう、頭のイイ男は。だから、一晩の情事で終わるんですよね、賢い男は、きっと。だが、彼は自信&自意識過剰の鼻持ちならないヤツで、まんまと女にその虚像を見抜かれ利用されちゃうわけです。ハッキリ言って、まあ、自業自得でしょう。

 アルトマン作品にしては分かりやすい展開で、アルトマン節を期待して見ると確かに裏切られるかも。でも、私は、これは結構良いと思いました。ストーリーのネタバレ的な部分に、恐らくアルトマンはあまりこだわっていない気がします。サスペンスとして観客を裏切ることに重きを置いていないのでは。

 それより、人物描写の巧みさ、さばき具合の良さが相変わらず素晴らしいです。冒頭、マロリーと情事を交わすまでの無駄のなさ(とっととベッドインせちゃう)とか、クライドの登場のさせ方(女にだらしないってのがすぐ分かる)とか、マロリーの実父が仲間の助けで精神病院を抜け出すシーンをマロリーとリックの情事のシーンと交互に描くことで実父がマロリーに襲い掛かってくるのではないかと見ている者に恐怖心を抱かせるとか。しかも、この精神病院が墓場の隣にあって、ここだけ見ているとホラー映画みたい。

 そして、あのジンジャー・ブレッドマンの挿話の効果と、一旦去ったと思った嵐(ハリケーン)が戻ってくるというリックの置かれた状況の象徴する巧みさ。いや~、アルトマン、さすが! ってのは、私が彼を愛しているからという偏向評価ではないと思うんだけど、、、。世間の評価はイマイチですね。

 ダリル・ハンナは最後まで分からなかった! ファムケ・ヤンセンは美しいし、エンベス・デイヴィッツもナイス。女優陣は素敵なのに、主役の男優はなぜアイツなんだろう。

サスペンスより、アルトマンの人物描写の巧みさ、さばき具合の良さを堪能する作品



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