映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

痴人の愛(1934年)

2022-09-24 | 【ち】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv5884/


以下、TSUTAYAよりあらすじのコピペです(青字は筆者加筆)。

=====ここから。
 
 医学生フィリップ(レスリー・ハワード)は男遍歴も華やかなウェイトレス、ミルドレッド(ベティ・デイヴィス)と愛欲に溺れて翻弄され、人生の目的を失う。やがて未婚の母になった彼女が転がり込み、悪女の本性をあらわす。

 さまざまな人生経験を重ねた彼は人間の絆やハンディから解放されてゆく。

=====ここまで。

 サマセット・モームの小説『人間の絆』の映画化。ベティ・デイヴィスの出世作。

 
☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 モームがマイブームな映画友が、「映画は面白い」と激推ししてくるので、ベティ・デイヴィスも出ていることだし、と思って期待せずに見てみました。


◆また出た、“振り回されたい人”

 モームの原作は、岩波文庫だと上中下巻の長編なのだが、本作は90分足らずの尺で、ストーリーだけ見れば、この話を上中下巻でどうやって書いているのだろう??と不思議に思うくらいに、面白みはない。映画友は原作については何も言っていなかったと思うけど、、、、。

 ミルドレッドは、“悪女”と言われているけど、私の目には、ただの性悪にしか映らなかった。公開当時はこういう女性を映像で見せるってのは、やはり先鋭的なことだったのかしらね、、、? そもそも、ミルドレッド役を演じる女優が見つからなかったとか。オファーする人に端から断られ、ベティ・デイヴィスが名乗りを上げてようやく制作に漕ぎつけたらしい。

 お勉強ばかりして来た秀才が訳知りのねーちゃんに振り回された挙句、身の丈に合った女性と無事出会い、幸せになりましたとさ、、、ってな感じですかね。

 そう、振り回される男の話。もう、古今東西、掃いて捨てるほどあるオハナシ。だから、別に話自体は面白くもなんともない。バカだなぁ、としか、、、。ま、これってある意味、多くの人の持つ願望みたいだからね。惚れた男(女)に振り回されたいっ!!ってやつ。

 それに、私の好みの問題だが、レスリー・ハワードがあんまし好きじゃないのだ。アシュレーのイメージが強いのかも知れないけど、優男過ぎて、見ていてイライラするというか、、、。ファンの方、すみません。線の細すぎる男は、ちょっとね。

 驚いたのは、フィリップが、一旦ミルドレッドに小切手を燃やされて大学を止めざるを得なくなって医者の道を諦めるのだけど、その後、叔父さんが亡くなって遺産が入ると、難なく復学したのか、医師の試験に合格して、あっさり医者になっていたところ。どういうシステムなのかしらん?? 医学部を卒業していなくても試験受けられるの?とか。……ま、どうでもいいことですが。

 ただ、こういうオハナシにしては珍しく、振り回された方がちゃんと良い人と一緒になって幸せになる、というラストなのが唯一面白いと思った。こういう展開の場合、大抵は振り回された方も悲劇的な末路を辿るパターンだもんね。


◆ベティ・デイヴィスに尽きる。

 で、なり手のいなかったミルドレッド役を自ら志願して引き受けたベティ・デイヴィスだが、さすがベティ様、役者根性を見せてくれております。

 本作は、クレジットを見ると主演はレスリー・ハワードになっているのだけど、どう見ても、ベティ主演でしょ、これ。

 まず、フィリップがミルドレッドに初めて出会うシーンで、ベティ様、めっちゃ太々しい。しかも彼女はすごい美人とか可愛いとかいうタイプではない。これで一体ミルドレッドの何に惹かれて一目ぼれしちゃったのか、フィリップ君の感性は謎。

 まあでも、人を好きになるのは理屈じゃないのでそれは良いとして、、、。

 何度ミルドレッドに虚仮にされても、彼女が弱った姿て再び目の前に現れると、やっぱしミルドレッドに優しくしてしまい、惚れ直してしまうフィリップ君。アホや~~~。

 が、さすがのフィリップ君も、三度目の正直、親友と駆け落ちして棄てられた後に再び頼って来たミルドレッドには「お前の顔を見ると反吐が出る!」と言い放った!! 偉い! よく言った!!

 で、ここからがベティ様の本領発揮でございますよ。

 ミルドレッド、しばらくはしおらしく下手に出ていたが、フィリップにウザがられ「反吐が出る」とまで言われると、豹変する。その前と後の豹変ぶりがもう、マンガみたいに凄い。弱々しそうな顔が、文楽の人形みたいにパカッと夜叉の様な顔になり、「アンタとキスするのなんか吐きそうだった、キスした後、口を拭った」とまで言って激しくフィリップを罵るのだ。

 しかもその後、フィリップの部屋を荒らしまくり、フィリップが叔父さんから送られた学費の小切手に火をつけて燃やしちゃうんだもんね、、、。これは、悪女とかなんかじゃなくて、ただの性悪、もっと言えば犯罪者です。悪女はもう少し頭が良い。

 ラストは、病魔に侵されて死んでしまうミルドレッド。けれど、「反吐が出る」とまで言ったものの、フィリップは、ミルドレッドが死んでようやく、別の女性に結婚を申し込んだんだよね。何だかんだと、ミルドレッドに精神的に囚われていたってことかもね。ここまでくると、もはや、好きだの愛だのとかではなく、ただの執着でしょうねぇ。不謹慎だけど、フィリップ君にとっては、ミルドレッドが死んでくれて良かったと思うわ。

 本作が、ベティ様の出世作になったというのも納得の怪演でございました。

 

 


 

 

 

 

一体どんな小説なのか、原作を読んでみようかな。

 

 

 

★★ランキング参加中★★

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする