映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

マイネーム・イズ・ハーン(2010年)

2014-03-11 | 【ま】

★★★★★★★★☆☆

 昨年、『きっと、うまくいく』でインド映画にハマり(結局、劇場には6回)、Bluーrayも買ったのだけれど、その時、amazonさんがオススメしてくれたのが本作。内容はほとんど知らぬまま、とりあえず借りてみるか・・・と。

 冒頭、少し不思議な様子の、小西博之に似た男性が、空港の手荷物検査所で別室に連れて行かれるところから始まり、この男性が自閉症(アスペルガー症候群)と分かる。そして、このインドからの移民男性、リズワンはアメリカ合衆国大統領に会うことにひたすらこだわっているのだけれど、これが何故なのか、だんだん明らかにされていく。この、掴みから中盤までがものすごく上手いと思う。

 基本的に私は「障害者モノ」が苦手。でも、本作は、リズワンがアスペルガーであることはあまり本筋に関係ない。いや、あるんだけれど、それが前面に出てこないように、実に達者な語り口なのである。アスペルガーの特性をうまく生かしながら、また実際にあった事件(911やハリケーン襲来等)を織り交ぜながら、人種差別、宗教差別というもの凄く難しい材料を説教臭くなく取り込み、人間ドラマを描いていく。これは、脚本の勝利だと思う。

 なにより、リズワンを演じたシャー・ルク・カーンと、その妻マンディラ役のカージョルが素晴らしい。中盤でこの2人にはこの上なく幸せな日々が訪れるので、この先に何があるのかと、見る者を否が応にも不安にさせる。そして、見事にその不安は目の前にこれでもか描かれていく、、、。辛い。

 幼いリズワンに母親が「世の中には良い人と悪い人しかいない」と教えるシーンがあるのだけれど、この教え自体には私はちょっと異議があるけれど、母親がわが子に言いたかったことは分かる。「出自や属性と人間性は別次元のものだ」ということ。これは頭では分かっていても感情が着いていけない真理なのだけれど、リズワンはこれを真に実践できるところが凄い。その信念のもとに行動するから、周囲の心も動かされるのだと思う。

 これは映画だから、もちろん、上手く行きすぎなところも多々あるけれども、いいじゃないの、それでも。見終わった後の幸福感は格別。160分なんていう時間はゼンゼン感じない、これぞ映画にする意味のある作品。
コメント
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