吉永小百合の結婚当時

　吉永小百合の夫の岡田太郎氏が亡くなりました。94歳だったそうです。ふたりは1973年に結婚しました。当時吉永は28歳。その時代としては決して早い結婚ではありませんが、なにせ天下の吉永小百合です。多くのサユリストがどん底に落ちただろうと思います。しかも相手の岡田氏は離婚歴もある15歳年上のテレビプロデューサー。日本で一番羨ましがられて、また恨まれ妬まれた人物でした。

　さらに話題になったのは吉永の両親がこの結婚に猛反対したことで、結婚披露宴に両親とも姿を見せなかったことがまた大きく報道されたりもしました。当時は人気女優が結婚しても数年で離婚することも多く、吉永もまたスピード離婚するのではないかと憶測するサユリストも多かったのですが、その後50年余を経た今日まで仲睦まじく添い遂げたわけで、このあたりも吉永小百合は完璧だなと感心します。

　吉永が結婚した当時僕は中学１年生で、さすがにサユリストではありませんでしたが、「日本一の美人」という認識はもちろん持ち合わせていました。中１の小僧にはなぜ日本一の美人が、40代のオッサンと結婚するのか、全く理解できませんでした。話によれば吉永の方がぞっこんだったということで、ますます訳がわからないと思っていましたが、自分が40代になった頃には「そういうことか」と何となく理解はできました。

　ただ我々の世代の40代と、親世代にあたる岡田氏の世代の40代は全然違います。今なら40代であっても見た目も感覚も若い人は称賛されますが、昔の人は今よりずっと老成しています。40代で若ぶっていると社会的に信用されないし周りから浮きまくってしまいます。吉永の両親が猛反対するのも当然という時代でした。しかし岡田氏はその後も順調に出世して共同テレビの社長、会長を歴任してテレビ界の大物になりました。それだけの人物だったことを若い吉永がきちんと見抜き、また長年に渡って支えてきたのでしょう。もちろん偉くなれば良いということではありませんが、天下の大女優を妻にしながら、しっかりと自分の人生を生き抜かれたことが素晴らしいと思います。ご冥福をお祈りいたします。