昭和生まれの老翁の面白話。第49話 「寮生」②」
その頃の三業地は治安が悪く、金もない学生が足しげく遊びに行くところではありませんでした。彼は三業地にたむろする不良どもに言いがかりをつけ、相手が歯向かってくるのを足腰が立たないほどコテンパにやっつけるのが趣味だそうです。彼が言うのには「腕試し」と言っていました。小生は不良どもは警察に被害を訴えるわけにもいかず、泣き寝入りだったろうと思うと、痛快なことだ、もっとやれと思いました。小生が「ところで君は何段なのだ」と聞いたところ彼は「無段」と言いました。「なんで段を取らないのか?」と聞くと彼は「空手は段を取ると凶器とみなされる。そうすると池袋でグレた野郎どもを懲らしめることができなくなる」とのことでした。細身で神経質だったO君は悪を憎む熱血漢でした。いや、ただの趣味だったのかな?
今週の一花 グロリオサ ‘ファイヤーバード’
グロリオサ ‘ファイヤーバード’
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