第10話 高校の先輩の話 ②
高校の先輩に私立医科大学の教授がいました。チョット偉ぶるところがありました。特に男尊女卑で女性を軽視する言動がありました。だからと言って女性が嫌いかというとそうではなく、女性好きなのです。女性にあまり好かれるタイプでないので腹いせの言動ではないかと思います。
彼は臨床医ではなく、脳の疾患をある方法(詳しくは書けない)で解明する研究をしていました。彼の研究室に遊びに行った時に、研究室にバケツが数個ありました。彼は一般人に見せてはいけないのだが」と言いながらバケツの蓋をパカッとあけました。そこにはホルマリン漬けの人の脳みそが数段入っていました。これは「どこの人のもの?」と聞くと「輸入品で病名がわかっている、多くは犯罪人かな」と言いました。彼は「いろいろ調べてみたが精神分裂症(今は統合失調症という)だけは、病変がわからない」と言っていました。
彼は家を継ぐために医大をやめ、郷里に帰り、近くの大病院に研究者と教授として籍を置いていました。数年間は賀状や電話での付き合いはありましたが、いつの間にか賀状も来なくなりました。
ある時、別の先輩に鈴木(仮名)先輩はどうされています」と聞いたところ、先輩は「あいつは死んだよ、ボケてな」ということでした。死因がボケ(痴呆症)ということは無いと思いましたが、自分が脳の病理を研究して、他人に比べ優秀と自負していた人も、最後は痴呆症になるということがわかりました。他人の脳障害のことは分かっても自分の脳を見ることはできなかったでしょうから。
今週の一花 チョコレートコスモス‘赤とんぼ あられ’
チョコレートコスモス ❛赤とんぼ あられ❜ 新品種。