はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

春の風

2008-06-03 17:16:35 | はがき随筆
 春好天、近くの公園へ。桜満色のグラウンドは児童のサッカー練習、家族の散歩、桜を眺める人、走る人、明るい声がとどく。ベンチで深呼吸していると女の子「ミカンを食べてください」。突然のプレゼントに驚き「ありがとう」。尋ねると3年生。近くの芝生で3人で遊んでいる。しばらくして「さっきはおいしいミカンありがとう。お礼に、咲いている桜の名前はソメイヨシノだよ。植樹して8年、同じ3年生の年だよ。覚えていてネ」。帰る途中に後ろで足音がして「教えてくれてありがとう」の明るい声。一瞬、心にうれしい春の風が吹き通る。
   鹿屋市 小幡晋一郎(75) 2008/6/3 毎日新聞鹿児島版掲載