はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

高千穂スケッチ

2014-09-28 05:55:42 | はがき随筆
 「高千穂スケッチ第3巻」(2013~14年・毎日新聞掲載作品集)がめでたく完成しました。内容は1.2巻同様、俳(歌)壇、中畑流万能川柳・脳トレ川柳・みんなの広場・男の気持ち、はがき随筆です。
 文庫本サイズで160ページ前後のちっぽけなものに、老いを生きる裸の私の日々が詰まっています。非売品ですが、お手に取られる機会がありましたら、ぜひご一読ください。そして、この先も、私の不器用な生きざまをおもしろおかしくつづっていくつもりです。
 応援どうぞよろしくお願いいたします。
   霧島市 久野茂樹 2014/9/28 毎日新聞鹿児島版掲載

秘密のぬかるみ

2014-09-28 05:25:49 | はがき随筆
 その日を待っていた少年は冬がれの小川へ行った。川底に残る黒いぬかるみが目的の場所だ。くわを片手にぬかるみに入る。足首まですっぽり入る幅1㍍、奥行き10㍍のぬかるみを川上へ向かって右に左にくわで切りながらゆっくりと進む。足を取られ、川底の臭気を浴びながら気長に切り進む。不思議にきめの細かいぬかるみだ。と、にょろっ、ぐにゃっ、ぐにゃっ!
 少年が狙っていたウナギだ! 
 「今は畳屋の裏あたりだ」
 50余年後、少年の秘密の場所は3面側溝になっていた。が、黒いぬかるみの記憶は、今でも鮮明である。
  出水市 中島征士 2014/9/27 毎日新聞鹿児島版掲載

子どもの貧困

2014-09-25 22:44:44 | はがき随筆
 8月21日付の本紙に「給食が命綱になっている子供が多数いる」とあった。この飽食の時代に、何とも信じがたい事実だ。食生活を見直し、成人病予防、ダイエットにと悪戦苦闘する日々。成長期の子が1日1食で元気なはずもなく、ましてや頭脳や体力を使うなど、とうてい及ばない。遠い異国の話題かと思いきや、身近に空腹にさいなまれている子らの存在を知る。手を差し伸べ、救済できないものか、胸が痛む。親とくらせなくなった子供だけでなく、その危機にある子や家庭にまで広げているそうだ。今後もこの連載から目が離せない。
  鹿屋市 中鶴裕子 2014/9/25 毎日新聞鹿児島版掲載

ラジオ番組取材

2014-09-24 22:03:48 | アカショウビンのつぶやき


 今日も、FMかのやの番組取材です。
圭子さんが、ペットのモモちゃんと一緒に来てくれました。

犬や猫、ハムスターなどの小動物はよく目にしますが、
今日のペットは「うさぎさん」。
ホーランド・ロップイヤーの、
垂れ耳うさぎですが、これがまあ、かわいいんですよ。
甘えん坊の男の子。
圭子ママの膝から下りようとしません。

マイクに向かわせてみましたが、当然無言…。
ご機嫌なときに出す声「グッグッグッ…」と
低く鳴いていました。

今日取材した番組は、
FMかのやで9月26日金曜、
20時20分から放送する「心のメモ帖」です。
周波数は77.2MHz

インターネットでも聴けますよー。
http://www.0033fm.net/
です。

はがき随筆 8月度

2014-09-24 15:32:42 | 受賞作品
 はがき随筆8月度の入賞者は次の皆さんです。(敬称略)

【月間賞】9日「愛妻」森園愛吉(93)=鹿屋市寿
【佳 作】1日「白映え」伊地知咲子(77)=鹿屋市打馬
     14日「またもぶざま」馬渡浩子(66)=鹿児島市慈眼寺町


 愛妻 哀切さを極めた文章です。生きていること自体が業苦だと言ったのは、確か釈迦だったと思いますが、その言葉の真意を実感させられます。半身不随のまま26年の闘病生活をなさっている奥様も大変でしょうし、その間看病され、今や薄れ行く意識の奥さまを見守るご主人の心情も推察するに余りあります。
 白映え お母様が、実家の「生まれた、生きた、死んだ」と刻まれた墓石のある墓地を知人に譲られた。その処置の仕方と墓碑銘の潔さ。一方、お母様は名前と没年と年齢だけで、何も主張しない墓石の下に永眠されている。それもまた潔い。白映えの題名が季節感を表すとともに、美しい内容を引き立てています。
 またもぶざま 日ごろ省エネを心がけているのに、なにもかもつけっぱなしで眠ってしまっていた。改めて家中の電気を消して、暗闇の中でも大丈夫と、2階の寝室へ行くつもりが、玄関の土間に転がり落ちていた。文章には自己戯画化という方法があり、おかしみなどの一定の効果を上げるものです。うまくいきました。
この他に3編を紹介します。
 松尾繁さんの「ある記憶より」は、背戦中戦後の台湾での記憶です。子どもたちが台湾の子どもをいじめていたが、戦後は仕返しをされることもなかった。かつての国家の行った植民地政策が、今私たち個人の問題になっているという、吹く座作で微妙な問題を考えさせる文章です。
 田中健一郎さんの「子ほい話」は、昔は小泉八雲の怪談、大人が話してくれる怖い話、集落での肝試しなどが、子どもにとっての夏の夜の風物誌でした。科学技術の進歩とともに、夜が明るくなってしまい、幽霊の出る幕がなくなってしまいましたが、されがいいことかどうか。
 武田静瞭さんの「もう一人の私?」は、よく人違いされる話です。もしかして、もう一人の自分が出没しているのではないだろうか? ドッペルゲンガーを熱かったぽーの小説「ウィリアム・ウィルソン」は、お読みになりましたか。
  鹿児島大学名誉教授 石田 忠彦 2014/9/24 毎日新聞鹿児島版掲載

小指さんここよ

2014-09-24 07:20:38 | 岩国エッセイサロンより
2014年9月23日 (火)

   岩国市  会 員   林 治子

朝の散歩から帰り靴を脱いで、あれーまたかいなと思う。五本指靴下の小指がぶらんとなっていて中身なし。ある日、外反母趾になっているのに気がついた時から、この靴下を履くことにした。以前、友からあんた絶対にならんよといわれていたので、油断していた。歩き方に問題があるのかな? 左側が特に重症。指が重なっておしくらまんじゅうしている。親指さんこちらと言って歌いながら履いていたら、帰省していた姪に笑われた。本当は水虫予防の靴下らしいけれど、歩くのは楽になってきた。1万歩目指して自分自身を励ましながら頑張っている。
  (2014.09.23 毎日新聞「はがき随筆」掲載) 岩国エッセイサロン より転載

ハエ取りグモ

2014-09-24 07:04:30 | はがき随筆
 洗面所の窓の網戸に小さなハエ取りグモがくっついている。朝、歯磨きをする時「あー、今日もいるな」と横目に見ながらブクブク、ガラガラ。何時現れるか、分からない獲物をじっと待ち伏せしている。このクモに食べられてしまうような虫がいるのだろうか。2.3日見かけない日が続くと少し気になる。他の虫にやられたのでは? どこか場所を変えたのに違いないと、勝手に想像する。あっ、今朝は姿を見せてくれた。良かった! 
 諦めることなく頑張っているこのクモが最近いじらしくみえてくる今日このごろである。
  指宿市 外薗恒子 2014/9/24 毎日新聞鹿児島版掲載

マリモの唄の礼

2014-09-24 06:46:16 | はがき随筆
 今も、鶴の縁で釧路市と出水市は姉妹都市として、人や産物と文化の交流が続いている。
 音楽と食品で知り合った友人M氏夫妻は9月初旬に釧路に行った。帰りの土産に私はサンマとうどんをもらった。土産のお返しが出来なかった私は、工場の仕事が済むのを待ち、歌好きの彼女Mさんにお礼の電話をした。五郎部俊朗が歌う、阿寒湖の「マリモの唄」をCDで聴いてもらったのである。
 うれしかったのか、彼女は「次回に釧路で『マリモの唄』を歌おうかな」と言ってくれた。
 私は、釧路の方は喜ぶだろうね、と話して電話を終えた。 
  出水市 小村忍 2014/9/23 毎日新聞鹿児島版掲載

プロの子育て

2014-09-24 06:40:07 | はがき随筆
 けんかして暴れる子供を抱きすくめ、冷静に話を聞き、「それはあなたが悪い。こういう気持ちで言った言葉じゃないの」と言い聞かせている。別々の部屋に引き離し、気持ちの静まるのを待つ。そして謝らせる。それを受け入れさせる。小学生とはいえ、職員も体を張って必死だ。振り返って私。けんかが始まると頭ごなしに「うるさい、兄ちゃんのくせに弟をいじめて」と、話も聞かず一方的に叱り飛ばしていた。児童養護施設でボランティアを始めたら、自分の子育てについて反省ばかり。息子たちにわびるつもりで子供たちをいとおしんでいる。
  出水市 清水昌子 2014/9/22 毎日新聞鹿児島版掲載 

アルバイト

2014-09-24 06:34:34 | はがき随筆
 高校生の孫が「アルバイトをさせてください」と電話。その1週間後、佐賀県で開催のヨットの九州大会に出場するのだという。やがて自転車でやってきた孫の顔は真っ赤。冷たいジュースを飲み干し、早速降灰取りをしてもらう。雨どいから流れ出る杯は溝にたまり、流れを悪くしている。スコップと克灰袋を手に上半身裸の背は玉の汗。タオルを渡しても部活で慣れているからと全然気にもしない。満杯の灰を置き場に片付け、終了する。
 勤労の喜びを両手で受け、仏壇に手を合わせて帰る孫の姿が何よりうれしかった。
  鹿児島市 竹之内美知子 2014/9/21 毎日新聞鹿児島版掲載

祖母との家路

2014-09-24 06:27:44 | はがき随筆
 「おばあちゃん、上を見たら歩けるよ」と、私は祖母の手を引いた。二人で親戚の家を訪ねて遅くなった。駅からの夜道は木々が生い茂り、真っ暗闇で上空が少し明るかった。
 私は父を早く亡くした。子供の頃は病気がちで祖母は一睡もせず看病してくれた。戦時中、祖母は婦人会で講演をしており、その会場や陸軍病院の慰問に就学前の私を連れて行った。
 祖母は家に友人たちを招待し、興に乗ると皿踊りを披露した。よく手紙を書いたが、晩年、目が見えなくなり、私が代筆した。あれから70年、祖母と歩いた家路を思い起こしている。
  鹿児島市 田中健一郎 2014/9/20 毎日新聞鹿児島版掲載

1円玉

2014-09-20 23:29:15 | はがき随筆
 私はスーパーのレジの3番目に並んでいた。
 1番目の高齢の女性がお札と硬貨を出した後、「1円がない」と財布の中をのぞきながらつぶやいた。すると、すぐ後ろに並んでいた高齢の女性が「どうぞ」と、自分の財布から1円玉を取り出し、台の上に載せた。
 しかし、1番目の女性は「他人にお金をもらうわけにはいかない」と口に出しながら1円玉を返し、「親切にありがとう」と丁寧に頭を下げられた。
 1円玉で自分の思いや考えを口にした方も、善意を示した方も率直で、不思議と待たされた気分はしなかった。
  姶良市 中馬和美 毎日新聞鹿児島版掲載

国語元年

2014-09-20 23:22:12 | はがき随筆
 朝食時。定番のヨーグルト。「さじ!」「スプーンでしょ」
 外出時。「俺のバンド、見ないか」「ベルトなら、いつもの所よ。スニーカーでいいの」「いや運動靴がいいな」。妻絶句。
 夕方。シャワーで汗を流し、「おい! 湯上げ!」「バスタオルとどうして言えないのかしら」と不機嫌になる妻。次は冷たいビールだ。「おい、コップ!」「グラスでしょ」とご機嫌斜め。さてと、寝るとするか。「洗った敷布と寝間着は」「シャツとパジャマでしょ」と、つっけんどんになる。
 我が家の国語元年なのかな。
  肝付町 吉井三男 2014/9/18 毎日新聞鹿児島版掲載

移り行く季節

2014-09-20 23:11:49 | はがき随筆
 6月、隣の大木と我が庭木のセミが夜明けと共に激しい鳴き合戦を繰り広げた。アブラゼミかな、クマゼミ、ニイニイかな。耳を覆いたくなる程だ。7月にはヒグラシが混じり、セミの鳴きが少し穏やかになった。庭木の枝先に背の割れたセミの抜け殻が付いている。奥の草むらには腹を見せたセミの亡きがらが落ちていた。セミの鳴きもさまざま。雄は発音板を1秒間に何万回も振動させ、共鳴室に伝えて音になるそうだ。間もなくツクツクボウシの鳴きも聞こえてくるだろう。あの美しい鳴きを私は好き。ようやく暑さも過ぎ、草原のススキが伸びてきた。
  出水市 年神貞子 2014/9/17 毎日新聞鹿児島版掲載

お健やかに(*^_^*)

2014-09-16 21:46:52 | アカショウビンのつぶやき

 鹿屋キリスト教会では、今年も80歳以上のお元気な高齢者をお招きして、敬老の日のお祝いをしました。


ついに、アカショウビンも、招待席に座らせられ…お祝いしていただきました。

お祝いのプレゼントは、教会のご婦人方の手作り、今年も素晴らしいプレゼントができました。

お花が咲いたような不思議な物は一体なんでしょう。



Yさんの創作による、オリジナルハンディマップなんです。


こちらは、ハンカチを利用した「あずま袋」。


教会のご婦人方が集まり、みんなでわいわいと楽しく作り、全国の信友にお送りしました。