はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

幸せはこ々かしこ

2015-01-28 17:32:46 | 岩国エッセイサロンより
2015年1月28日 (水)

   岩国市  会 員   安西 詩代

春になると桜一色になる錦帯橋。そばの公園には宇野千代の碑がある。その一つに「幸福のかけらは幾つでもある。ただそれを見つけ出すことが上手な人と下手な人がある」と書いてある。
 そういえば明治生まれの母が、人から物を頂いたり手伝ってもらったりすると「まあ!幸せます」と言っていたのを思い出した。「ありがとう、助かります」の代わりに「幸せます」をつかっていた。
 94歳まで生きた母は、どれほどの幸せを見つけたのだろう。
 こんな平和な時代に生きている私たちは、母より多くの幸せを見つけないと恥ずかしい。
  (2015.01.28 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載




羽ばたけ大舞台へ

2015-01-27 12:30:12 | ペン&ぺん

 「春はセンバツから」――。第87回選抜高校野球大会に、県内からは神村学園(いちき串木野市、神村勲学園長)が選ばれた。2年連続5回目。2005年の選抜で準優勝し、昨年秋の九州地区大会で4強入り。準決勝で糸満(沖縄)に延長11回サヨナラ負け(3ー4)したが、粘り強い攻めの姿勢を評価された。納得いく選考だ。他にサッカーや女子駅団も強豪として知られ、その名はもはや“全国区”だ。
 選抜発表の23日夕、神村学園を訪ねた。高野連から連絡が入るであろう時間まで少し校内を散歩。すると、多くの生徒が「こんにちは」と笑顔で声をかけてくれた。私が選抜を主催する毎日新聞の支局長なんて誰も知らない。やはり、あいさつは人の気持ちをさわやかにさせる。私も元柔道の選手で「礼に始まり、礼に終わる」生活が長かったので、話が娘2人(高3、高2)はきちんとあいさつできているかなと、心配になった。
 柔道95㌔超級のロサンゼルス五輪で2連覇した斉藤仁さんが死去した。54歳。ロス五輪無差別級王者、山下泰裕さん(57)の最高のライバルだった。私の高校時代、身長180㌢以上、体重も100㌔超のある県警機動隊員が胸を貸してくれたが、私は子供同然だった。全日本選手権級の選手だ。でも相手が山下さんだと畳の上に10秒も立っていられない。「一流とか、世界とはこういうレベルのことか」と痛感し、柔道は世の中には「上には上がいる」ことを教えてくれた。その山下さんと互角に戦えたのが、斉藤さんだった。
 その斉藤さんでさえ「山下さんに勝つのが夢」と猛練習した。スポーツも勉強も仕事する大人も「やる人」は、目標を高く掲げ努力する。神村学園ナインも更に精進し、甲子園の大舞台で輝け。受験生もあと少し頑張ってこの春、希望校の合格切符をつかんでわしい。
  鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2015/1/26 毎日新聞鹿児島版掲載

20年前のその朝

2015-01-27 12:23:22 | はがき随筆
 その日は学校の振替休日で妻と2人の娘は寝坊を決め込んでいた。テレビも付けず静かに朝食を済ませ、出張のためバスで飛行場に。空港のテレビで初めて阪神地方の地震を知った。しかし、搭乗した大阪行きの飛行機は定刻に離陸。テレビ映像の火災は局所的なのかと思った。
 大阪空港は至る所で水があふれていた。当時は携帯電話もなく、とにかく会合場所に向かおうとしたが、電車や高速バスは運休。路面バスだけが走っていた。車窓から民家の屋根や壁の亀裂を見て、地震の激しさを実感したが、都市が崩壊していたとはまだ知らなかった。
  鹿児島市 高橋誠 2015/1/26 毎日新聞鹿児島版掲載

お別れ随筆

2015-01-27 12:11:19 | はがき随筆
 鹿児島ではがき随筆を出すのが最後になった。2000年6月からこれまで150編載ったが、うれしかったのは01年から始まった年度賞(後に年間賞)に私の「エベレスト」が選ばれ、大賞表彰式では光栄にも優秀賞になった。選者の故・松下竜一先生から「おでとう!」と握手されて大感激。その式が縁で山口ペンクラブや宮崎との交流が始まり、多くのことを学び、随友も得た。随筆はライフワークになり、自分史、家族史になった。随筆は宝物だ。随筆の関係者や随友の皆さん、お世話になりました。福岡でも書き続けます。ではお元気で!
  出水市 清田文雄 2015/1/27 毎日新聞鹿児島版掲載

慎、はな、遼

2015-01-26 07:41:09 | はがき随筆
 4人の子供もとっくに巣立ち、2人になってから久しい。
 近ごろ、部屋を広く感じるようになった。家の事より外で汗を流す方が好きな私は、掃除が苦手。そこへやってきたのが自動掃除機。タイマーをセットしておくと掃除を始め、時間になると元に戻って充電を始める。なんと可愛いことか。
 名前を付けずにはいられない。遠く離れた孫の名、慎太郎君、はなちゃんと。そうそう、年末に1人増えた。遼ちゃんの名前も加えて掃除の回数も増やそう。ついでに床の拭き掃除までといきたいところだが、それはあんまりか。体力維持のため。
  阿久根市 的場豊子 2015/1/25 毎日新聞鹿児島版掲載

梅一輪

2015-01-26 07:21:24 | はがき随筆

 寒さに耐えて咲いているヤブツバキをめでていると、妻が紅梅が数日前から一輪咲いていますよ、と教えてくれた。数あるつぼみの中にひっそりと咲いている。思わず「梅一輪一輪ほどの暖かさ」の句が頭に浮かぶ。
 それから1週間。一輪また一輪と咲いてくれるのを待つが、いっこうに次が開花しない。
 この句を作った嵐雪は、次々に咲く梅の花に春の暖かさを表現したのではなくて、寒さの中で一輪咲き、それを見るとかすかではあるが、一輪ほどの暖かさを感じて歌ったのではないかと、ふと思った。間もなく2月。梅の季節がやって来る。
  志布志市 一木法明 2015/1/25 毎日新聞鹿児島版掲載 写真は一木さんのブログより

学習発表会

2015-01-26 07:12:10 | はがき随筆
 長女(小2)が通う学校のクラスが昨年11月末の学習発表会で、劇「傘地蔵」を上演した。楽しみにして見に行った。
 ところが、劇中では物語に関係なく、児童が縄跳びや英語、楽器など得意なことに次々と挑戦するざんしんな展開で驚いた。
 県内の学習発表会はどこもユニークなのだろうか。他の学年も舞台でいきなり跳び箱を披露し始めるなど、独自性が強くて楽しめた。
 大正時代、鹿児島の学芸会で「茶わん蒸しの歌」がうまれ、今では全国に広がった。これも納得だ。
  鹿児島市 津島友子 2015/1/23 毎日新聞鹿児島版掲載

読めない年賀状

2015-01-23 16:13:56 | 岩国エッセイサロンより
2015年1月23日 (金)

岩国市  会 員   山本 一

今年も娘2人を筆頭に「年賀状が読めない」という問い合わせが数件あった。きっと、他の人も言わないだけだろう。
 悪筆を少なくしようと近況はパソコンだが、必ず一言は自筆を添える。200枚強を積み上げ、1枚ずつ宛先の顔を思い浮かべながら書く。書き始めると自分の宇が嫌になり、すぐに手が重くなる。さっと書いて悪筆から逃げたくなる。悪筆に乱筆が加わる。殴り書きの様相。「悪筆でも良い、丁寧に書け」とよく言われるが、悪筆が丁寧に書くと、ますます悪筆が際立つ。これはもっと耐えられない。

新年早々、自責の念が渦巻く。

   (2015.01.23  毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載

エクセル講座

2015-01-22 23:17:49 | はがき随筆
 パソコン歴は長いのに、
パソコン講座なるものを1度も受講せず、
独学の自己流でやってきた私。
と言うよりも、私がパソコンに興味を持った頃、
学ぶ機会はほとんど無かった。
パソコンに詳しい先輩に教えて貰うだけ。
そして息子と娘にも迷惑かけたなあ。

姪っ子がエクセル講座を受講する姿を見て、
「この歳だけど、挑戦してみっかー」
となった次第。







目からうろこ、だった。
今まで、面倒な手法でやっていたことを、
パパッといとも簡単に処理してしまう。

「先生、その機能は、2007にもありますか?」
「はい、2003からありますよー」絶句…

同級生は、孫ぐらいの年齢。
白髪の老婆が何のために…と、
ささやきが聞こえそうだったが…。
何とか3日間の講座を終えることができた。





先生、皆さんどうも有り難うございました。

来週は、関数講座。どうなることやら…。


ニンジン大好き

2015-01-22 23:05:06 | アカショウビンのつぶやき


姪が飼っている ウサギのモモ

ニンジン大好きなモモのために
ママは、ニンジンの種を蒔きました
やっと葉っぱが伸びました

今日は、桜島の降灰も少なく日本晴れ
久しぶりに庭に出たモモは
真っ先にニンジンのプランターへ

葉っぱの中に
顔を突っ込んで食べました


玄関先のクロガネモチは、
数時間で野鳥が食べ尽くしました

モモも数日でニンジンの葉っぱを
食べ尽くすのででしょう

お年玉

2015-01-22 23:02:50 | はがき随筆
 2日の朝、茶封筒が届いた。4月には1年生になる女の子、孫のKちゃんからだ。名前もはっきり書けている。手に触る硬いものはじいじ、ばあばへとお年玉が20円ずつ。ハートをたくさん書いて「おもちみかんありがとうかぜひかないでね」と添え書きもある。僅かなお小遣いからの思いやり。暮れから独りで準備していたと聞く。お年玉が虹の架け橋となったうれしいお正月。玉のように丸く手をつなぎ、平和な世の中で育ってほしいと願う。力尽きないよう20円玉をお守りにして、成人したKちゃんと思いで話ができる日を夢見ている。
  薩摩川内市 田中由利子 2015/1/22 毎日新聞鹿児島版掲載

メジロ

2015-01-22 22:50:47 | はがき随筆

 庭の梅の木に「チロッ、チロ」と可愛い鳴きのメジロが飛び交う。見ていると、ふと昔のことを思い出した。山迫る海辺の中学校に勤めていた頃、昼休みに秋日を浴びて男子生徒は山から持って来た丈を細かく割り、竹ヒゴで鳥かごを作っていた。互いに遅れる友を手伝い、11月には見事な鳥かごが教室の後棚に並んだ。生徒はトリモチ作りやメジロ取り談義。誘い合って日曜日はメジロ捕り、持ち帰ったかごに飼われた。休み時間はメジロの世話や自慢話。1962年ごろ、木造校舎でにぎやかに語る生徒たちの笑顔が脳裏にある。時期になると放された。
  出水市 年神貞子 2015/1/21 毎日新聞鹿児島版掲載

身の振る舞い

2015-01-22 22:38:56 | はがき随筆
 三宮のターミナルから夜行の高速バスに乗り、翌朝、鹿児島中央駅前で下りた。
 路線バスに乗るべくキャリーカーを引いてバス停へ急いでいた。後ろから声がして、娘と同年配くらいの女姓に話しかけられた。「お元気ですね。私、奥さんを見習います」と。元気が取り柄の私だが、人に誇れるものはなく、一瞬戸惑った。「高速バスもいいですね。慣れておられるのですね」とも。 
 1歩外に出ると、人の目に触れ、人物も評価される。歩きながらの2.3分間の会話から、我が身の振る舞いに心せねばと改めて思うことだった。
  鹿児島市 内山陽子 015/1/20 毎日新聞鹿児島版掲載

新年を機に

2015-01-22 22:12:28 | ペン&ぺん


 須賀龍郎前知事が死去、90歳だった。1996年、土屋佳照元知事の病気辞任に伴う知事選で初当選し、初の県職員生え抜きの知事だった。当時私は鹿屋通信部記者。直接県庁で取材することはあまりなかったが、それでも日ごろ見かけない私に対しても気軽に取材に応じてくれた。
 当時の二階堂進・自民党元副総裁(故人)、山中貞則・元通産相(同)も取材のアポを取る際、質問項目など細かなことは聞いてこなかった。時間があれば「どうぞ」だった。今、報道機関が政治家に取材を申し込むと「事前に質問事項を文章で提出を」「回答は文書で」というケースが増えている。須賀、二階堂、山中3氏にしてみれば私は息子みたいなもの。「もっと突っ込んで聞かないのか」「ポイントはそこじゃないだろう」なんていいたかったのかも。須賀さんは私の父より1歳上。行政マンたたき上げで、私の父と境遇が似て親近感があった。おおらかな人柄が印象深い。
 有料サイトの料金未納で、支払いを求めるメールが届いた。応じないと裁判手続きを進めるそうだ。仕事柄、この類の記事を何度も書いてきが、お年寄りや慣れない人は「訴訟を起こす」とあれば、驚いて相手に連絡してしまうだろう。私には有料サイトに接続する暇も、記憶もない。早速、鹿児島市消費生活センターに報告した。私の友人にも最近、身に覚えのない料金の支払いを催促するメールが送られてきている。
 阪神大震災から20年。17.18日の本紙を再読してほしい。鹿児島は「8.6水害」の経験があり、桜島も注視したい。災害被害を最小限に抑えるためにも東日本大震災の教訓を踏まえ、新年を機に災害への心構えを再確認したい。インフルエンザや火の元、交通事故、巧妙な詐欺にも十分気をつけてください。今年もよろしくお願いします。
  鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2015/1/19 毎日新聞鹿児島版掲載

母のカーディガン

2015-01-22 22:04:30 | はがき随筆
 元日の夕食後、夫の母の隣に座り雑談していると、母がデイサービスで撮っていただいた写真を見せて「ほら、これが私の最期の写真」と言った。夫は「母ちゃんは、毎年そう言っちょっがー」と言う。ハハハと笑う母。母は昨年11月28日で96歳になった。1人暮らしをしている。私の目にとまったのは、母がその時来ていた黒いバラの模様のカーディガン。「ほら、あんたかが昔買ってくれたカーディガン。毎年このカーディガンじゃ」。気に入らずにしまい込んでいるばかりと思っていた26年前にプレゼントしたカーディガンだった。心が温かくなった。
  鹿児島市 内田英子 2015/1/19 毎日新聞鹿児島版掲載