はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

孫の手作り新聞

2021-10-14 09:39:58 | はがき随筆
 今春、孫娘は学業を終え、親元を遠く離れた地で就業した。新型コロナウイルスの感染拡大により、輪をかけて会いにくくなっているので「じいちゃん、ばあちゃん。元気ですか」と時に電話してきてくれる。
 大概、LINE(ライン)を使い、顔を見ながらのビデオ通話。おかげで私ら老夫婦は、従前にない長電話をしている。
 話してくれる内容は、半年になる自炊での工夫やリモートワーク中心の仕事など。「同期の人と交流できない」「帰省は難しい」とも言う。こちらは「必要なものはないか」。そして、互いに「コロナに感染しないように」と注意を促して終わる。
 そうした中、大きな封書を郵便受けに見つけた。孫娘からだった。「きぼう新聞」と記された紙類が入っていた。
 「新聞発行」の動機が短くつづられていた。「いつも気にかけてもらってありがとうございます。何かお礼がしたいと考えていたところ、新聞のことを思い出しました。やっぱり、おじいちゃん、おばあちゃんと私をつなぐのはこれかなと……」
 他人には分るまいが、私たち夫婦にはよく分かる文章だ。私は、孫娘が3歳になる少し前から20歳の誕生日まで17年3カ月、月間「孫新聞」を出した。だが、3年前に211号で休刊。最後は「コロナが終息したらお会いしましょう」と結んだ。
 初めての「新聞」にしては、休日の過ごし方など短い文によくまとめている。妻は「おじいちゃんのDNAを継いでいる」と繰り返し読んでいる。
 岩国市 片山清勝(80) 中国新聞ひといき欄掲載
 岩国エッセイサロンより

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
コロナの終息を願って (tatu_no_ko)
2021-10-15 08:42:45
いつも転載有難うございます。
地域外の方のお読みいただき光栄です。
留学、就活、コロナと長く孫に会っていません。
成長した孫にコロナが終息したら早く会いたい、、そんな気持ちで投稿しました。
返信する
Unknown (アカショウビン)
2021-11-30 18:59:18
いつもコメント感謝です。
お孫さんの成長、バアバも楽しみです。
返信する

コメントを投稿