任期はまだ2年もあるのに、衆院解散で世間は総選挙モード。安倍晋三首相は記者会見で「アベノミクス解散」と述べた。皆さんもさまざまな意見をお持ちだろうが、私は首相が言う解散の大義に納得できなかった。
2年前、私たちの清き貴重な1票を投じての国の行方を託したのだから、4年間は腰を据え、みっちりやってほしかった。首相の胸一つで、いとも簡単に解散だなんて、私たちの1票がいかに軽いか、思い知らされた。
原発を所管する経済産業相は小渕優子氏から宮沢洋一氏に交代したが、国家最上級レベルの問題なはずなのに選挙後、経産相の人事はどうなる。東日本大震災の被災地復興よりも、なぜ衆院選が先なのか。総選挙にかかる国の経費は約7兆円という。東北の冬はとても厳しい。震災復興に700億円を充てる考えはなかったのか。
北朝鮮による拉致事件の解決もしばらく空白期間が続くのか。私にも娘2人がいて、横田めぐみさんの母早紀江さんらをテレビで見ると、いたたまれない。「安倍政権は本当に解決する気があるのか」と疑ってしまう。鹿屋市には、拉致された市川修一さんの兄健一さんがおられる。拉致被害者の家族はいずれも高齢者。多くの方が「北朝鮮との交渉はどうなった。選挙をやっている場合か」と思っているはずだ。
師走の総選挙でかき入れ時の飲食業界の皆さんから、ため息が聞こえる。選挙絡みで「飲ませ、食わせしているのでは」とあらぬ疑いをかけられないようにと忘年会や宴席を自粛する業界、団体があるという。予約の入りもいま一つらしい。
アベノミクスの地方への効果の検証や原発、拉致、憲法改正、経済再生など鹿児島の私たちにも選挙の争点と直結する課題が山積する。候補予定者の声に耳を傾けたい。
鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2014/11/27 鹿児島版掲載