はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

暑中お見舞い申し上げます

2007-07-31 17:30:42 | アカショウビンのつぶやき
その名も涼しげなミニバラ「グリーンアイス」


暑中お見舞い申し上げます

 室内の温度が33.9度、今日も猛暑日だったのだろう。
最近私のPCもようやく「もうしょび」を間違えずに変換するようになった。
首にはタオル、噴き出す汗を拭いつつ今日もエアコンなしで頑張った。

 夏の間だけ建具を取り払い、風がよく通り抜ける我が家は、日中は殆どエアコンを使わない。建具を外し、ホットカーペットを籐のカーペットに取り換える「夏の模様替え」は、ヘルパーさんと2人で一日がかりの大仕事だけれど、快適な夏を過ごすために汗を流す。

 たしか私の小学校時代には、日本の夏の最高気温は31度と習った覚えがある。60年前の事だが、半世紀で5度も上昇した訳か…。
庭のたらいに張った水が日向水になるころ、楽しい行水が始まり、窓辺では風鈴が涼しげな音色を奏で、パチパチ弾ける松葉線香の音までが夏の風物詩として耳に残っている。貧しい時代だったが、今思えば贅沢な時間が流れていたなあ。

 「エコライフ」
私にできるのは「節電」「節水」「ゴミ減量」だろうか。京都議定書にそっぽを向いていた消費大国アメリカも少し風向きが変わってきた。先進国も途上国も等しく、エコライフを目指し生活スタイルを見直さなければならない時だ。

かと言って、朝昼晩の3回のシャワーを1回に減らすのは厳しいなあ…。便利な生活に慣れてしまった私には「わかっちゃいるけどやめられない」が余りにも多すぎる。
そろそろ陽も陰ってきた、庭の撒水を始めようか。節水のジレンマを抱えながら…。

ブログの背景を替えました。夏の太陽に輝く「ひまわり」です。如何でしょう。

安全運転

2007-07-31 15:51:11 | はがき随筆
 法廷速度を守って運転していると、私の車をすごいスピードで追い越していく車が時々ある。若い男性が多いが、時には女性もいる。事故が起きねばよいがと心配である。物損事故ならまだいいが、他人まで死亡させたり身体障害者にしたりする。本人も当然、同じことになる。
 警察も、法令講習を開いたり現場での指導などに懸命に努力しているのにと思うと、なおさら憤慨にたえない。
 世の中には、社会の一員として守るべき決まりが多々あるが、交通規則については人命にかかわるだけに最重点課題として守ってほしい。
   南さつま市 川久保隼人(72) 2007/7/31 毎日新聞鹿児島版掲載

大名になる

2007-07-30 08:48:01 | はがき随筆
 領国経営をどうするか。これが大事だ。
 私は並々ならぬ自信があるが、それでも一人では荷が重すぎる。
 参謀が要る。誰がいいか。
確固たる信念を持ち、冷徹な判断力がある。将来を見通す的確な現状分析もできる。そして何よりも私欲、保身欲がなく、領民を大切に思う真心がある。参謀……そうだ、彼しかいない。
 だが、彼と私の意見が違った時はどうするか。ウーム、悔しいが彼の判断に従おう。
 時代小説を読んでいるうちに、ふと自分の世界に入ってしまった。
   姶良町 東郷義弘(66) 2007/7/30 毎日新聞鹿児島版掲載

先生ありがとう

2007-07-29 07:18:09 | はがき随筆
 「浜崎先生、お元気ですか」
 突然の訪問に先生はびっくり。久しぶりの再会に私はワクワク。今までに描いた日本画の写真39枚をA4サイズに拡大して持参。「5人の息子を育てながらよく描き続けたね」と先生は眼を細め、絵を見つめながら言われた。
 昭和35年、隼人中2年の時。美術室で部員4人が先生に日本画の指導を受けた。それも先生個人の絵の具で。夏休み40日間、描き続けた。暑かったなあ。南日本美術展に最年少入選した。
 こうして今、日本画が描けるのも先生のおかげ。
 「ありがとうございました」
   山口県光市 中田テル子(61) 2007/7/29 毎日新聞鹿児島版掲載

星合いの日に

2007-07-28 07:57:42 | はがき随筆
 七夕祭りはたいてい雨となる。連日の雨はやまず今年の七夕も雨という。
 延岡から1泊で来るという友へ、それとなく中止した方がいいかもと電話を入れてみる。「母をショートステイに預けたこの間にいかないと、いつまた行けるか」。お互いに会える時に会いましょうという友の強い意志が伝わってくる。
 雨の中を加治木駅からタクシーで来てくれた。彦星と織り姫星のように1年ぶりの再会。もらうようになった年金が思いの外多く、パソコン教室にも通い始めたという友は、生き生きと輝いている。いい刺激をくれる友である。
   霧島市 秋峯いくよ(67) 2007/7/28 毎日新聞鹿児島版掲載

遠い日

2007-07-27 07:11:01 | はがき随筆
 13歳の純に誘われてウナギ釣りに行くことにした。純の言葉に従い、先ずボールペン大のミミズを集めた。次に糸を通した縫い針でミミズを縦につなぎ、大きな輪をつくる。1㍍ほどの竹の先に数個の数珠をくくりつけた形に束ねて縛る。そして目指す小川へ。水中の石組みのすき間の穴が狙いだという。指示通りミミズの束をそっと押し込む。何度かやっていると、ぐぐっと強い引き。「純、どうする」「先生、後ろの土手に引き出して!」「よしっ」。そしてウナギを追い回した2人。昨日のことのようだが、もう38年が過ぎている。「純、元気でいるか」。
   出水市 中島征士(62) 2007/7/27 毎日新聞鹿児島版掲載

笑顔の母

2007-07-26 21:55:03 | はがき随筆
 97歳になる母は、足は弱っているが庭の草むしりや買い物、家事もする。暇を見ては読書もする。高校野球や相撲は大のファンで、テレビに向かって応援している。この年になるまで大病をしたこともなく、食欲旺盛である。
 その元気の秘けつを尋ねると「感謝の気持ちを忘れない。クヨクヨしない。人生、なるようにしかならない」ことにあるようだ。
 誰にでも情けをかける優しい母は、私の心の支えである。
 背中が曲がって、小さくなった母の後ろ姿を見ると「いつまでも元気で長生きして」と祈らずにはいられない。
   出水市 橋口礼子(73) 2007/7/26 毎日新聞鹿児島版掲載

暑い!

2007-07-25 23:19:48 | アカショウビンのつぶやき
 暑い! と言えば益々暑くなるのはわかってるが、35度の暑さには参った。
 今日は聖書研究会。朝からクーラーの程良く効いた快適な教会堂で「ストレスを宝にしよう」と言う「エッ」と思われそうなテーマで聖書を学び、午後は教会の付属施設「ベテルホーム」に移って、敬老の日のプレゼント「ミニ腕カバー」作り。エアコンの効いた部屋から一歩外に出ると、地表からの照り返しの熱がムーッと立ち上ってくる。
 戸外で作業する方々のご苦労がよくわかる。昨日はご近所の方が熱中症のため、救急車で入院された。幸い早い手当で事なきをえたが、2、3日は入院となるらしい。戸外だけでなく室内でも熱中症を発症する猛暑は本当に怖い。
 風通しの良い我が家は35度になっても、風さえあればエアコンを使わずにすむ。「マイニチイッショウ」と、汗をかく度に麦茶を飲み、シャワーして少しでも二酸化炭素を出さぬようささやかな節電に励む。
 天気予報は明日も35度(>_<)、せめて涼しい風を送ってください。

アメコンコン

2007-07-25 22:39:51 | はがき随筆
 ある日、1歳の孫がテレビに映った飛行機に「アメコンコン」を連発した。周囲の大人はアレッと首をかしげる。「ひこうき」と教えても、1カ月過ぎた今でも「アメコンコン」。誰が教えたの?
 我が家の上空は飛行機の通り道で、日に何度も飛び交う。そう言えば思い当たることが。庭に出ると、私の背で空を見上げる孫によく「アメコンコン降ってないね」と言った気がする。視点の違いで「ひこうき」が「アメコンコン」とインプットされたらしい。
 彼は大人の訂正を尻目に笑いながら「アメコンコン」と言い続けている。
  霧島市 口町円子(67) 2007/7/25 毎日新聞鹿児島版掲載

はがき随筆6月度入選作品

2007-07-25 22:32:49 | 受賞作品
はがき随筆6月度の入選作品が決まりました。
▽鹿児島市紫原、高野幸祐さん(74)の「ブルーカナリア」(1日)

▽同市小原町、吉利万里子さん(60)の「半ドン」(3日)
▽鹿屋市札元、神田橋弘子さん(69)の「輝いて老いる」(9日)
の3点です。

 梅雨も明け夏本番ですね。6月は、さらりとした、さわやかな文章が出そろいました。
 高野さんは「ブルーカナリア」で若いころあこがれた女性の思い出を書きました。悶々とした自分を70歳を過ぎた今も変わらない性格と面白く表現しました。タイトルが面白いですね。
 吉利さんの「半ドン」は、子供のころの暦の土曜日のブルー表示を前日から楽しみに待つ弾んだ気分を、軽快に述べました。神田橋さんは「輝いて老いる」で、グラウンドゴルフにはまって15年、気心の通い合う仲間と快打で楽しむ毎日を愉快に表しました。
 多くの思い出の文章もいいですね。伊地知咲子さんの「忘れ得ぬ人」は、絵画、映像が浮かんできます。音も聞こえてきますよ。上村泉さんの「『海』の替え歌」(13日)を読んでわたしは、パロディ風の替え歌に親しんだ昭和を、懐かしく思いだしています。「鮎」(23日)は春田和美さんの友人で今は故人となったアユ釣り名人Kさんの思い出を描いた作品です。小村忍さんの「飛行場跡の思い出」(29日)は、幼時に爆弾の穴が残る飛行場近くに住んでいました。当時は食糧難の時代で、カライモのくず拾いをしたことが、父母の年忌のたびに悲しく思いだされます。川久保隼人さんは十島村の宝島での教職経験をもっとも懐かしい「思い出の宝島」(8日)としてまとめました。これら5編は、それぞれ生きた証として、いつまでも暮らしの栄養になっていくでしょう。
 「父の日」は「母の日」ほど話題になりません。小村豊一郎さんは人生のベテランらしく、さらりと作品「父の日」(26日)にまとめました。最後の<父の日も終わって元の粗大ゴミ>がいかにも面白いですね。
 いい文章は読む人に完全に伝わることです。
(日本文学協会会員、鹿児島女子短大名誉教授・吉井和子)
係から
入選作品のうち1編は28日午前8じ20分からMBC南日本ラジオで朗読されます。「二見いすずの土曜の朝は」のコーナー「朝のとっておき」です。

姪の姿

2007-07-24 08:13:48 | はがき随筆
 先月、突然甥の政雄君より電話。姪の玉美の訃報に驚き、残念がると「妹は50歳でした」と涙声だった。ふと姪の小学時代の満面の笑顔が脳裏に浮かぶ。短大卒業と同時に保育士の免状をもらい、保育園に勤めていた。結婚して1男2女に恵まれ、子供はみな社会人に成長して至福だった。私たちがお通夜に参列すると、2人の娘は母親の遺体から離れず、大声でお母さん、お母さんと泣き叫んでいる姿が参列者の涙を誘っていた。大勢の可愛い園児の焼香に、遺族はすすり泣き。私は体力に自信がなく、最後の見送りに参列できなかったことが心残り。
   姶良町 谷山潔(80) 2007/7/24 毎日新聞鹿児島版掲載

女の気持ち/男の気持ち

2007-07-23 17:55:42 | アカショウビンのつぶやき
 毎日新聞各紙に、毎日掲載されるエッセイ「女の気持ち/男の気持ち」の中から、特にアカショウビンの心に響いたエッセイをブログに掲載することにしました。
 アカショウビンの気まぐれと独断と偏見で選んだものですから、文学的などうこうと言う難しいところはご容赦下さいね。
 今までにも秀逸作品がいっぱいあったのですが、今日からのスタートですから、この点もお許しを。

 第1回は、阿久根市・別枝由井さんの「母娘のジョイ・タイム」をご紹介しました。

母娘のジョイ・タイム

2007-07-23 17:48:46 | 女の気持ち/男の気持ち
 布ぞうり作りが楽しくて仕方がない。1作目は3歳半の孫娘に、キティちゃんの模様入りでこしらえた。ご機嫌をとって履かせたが、「バアバ、ナーちゃん、いや、履きたくない」とあっさりと断られた。
 次の作品は左右不ぞろいで、思わずふきだしてしまったが、母へのプレゼントにした。
 「あら、いいねえ。私も作れないかなあ」と首をかしげて見入っている。
 記憶を捨て始めている89歳の母が久しぶりに興味を示し、教えて欲しいと言い出した。
 そこで編みひもをミシンで縫ってもらった。調子よく縫い上げていく。
 「お母さん、すごいね。上手上手」
 「8歳の時からミシンを使っているのよ。まだまだ大丈夫ね」
 母はがぜん生き生きとしてきて若返った感じだ。
 ぞうり作りをエンジョイするひとときを、母と私のジョイ・タイムと名付けよう。次はどんな配色にしようか。誰にあげようか。私の心もときめく。
 縫う速度も自在に調節して、母はすこぶる会長だ。しばらくしてミシンの音が止まった。
 「由井ちゃん、全部塗ったよ。ところでこれは何になるの?」
 母の顔に童女の笑いがはじける。
  鹿児島県阿久根市 別枝由井(65)
  2007/7/23 毎日新聞鹿児島県版「女の気持ち」掲載

おかしな脳

2007-07-23 09:06:12 | はがき随筆

 薄紫色が湯船の中に広がっていき、ブルーベリーの甘い香りが湯殿に立ちこめる。雨の音を聞きながら、ゆっくりと手足をのばす。香りに酔ったのか脳はいろいろなことを想像している。文章を書き出しては添削してるからおかしい。最近では物忘れもするし、「あれよ、あれ」と思い出した時はほっとする日常なのに、なぜかすんなりと浮かんでくるから不思議だ。洗髪を終えて、タオルを巻きながら先ほどの文章を思い出そうとするが、記憶にございません。やっぱり香りのいたずらと分かり苦笑する。激しくなった雨音を聞きながらまた湯船に入る。 
   鹿児島市 竹之内美知子(73) 2007/7/23 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はhiro2さんにお借りしました。

生まれた

2007-07-22 07:46:58 | はがき随筆

 「パンジーの葉っぱに毛虫がいっぱいいたよ」と子どもたち。
 見ればツマグロヒョウモンの幼虫だ。赤茶色の毛におおわれた体をもぞもぞと動かしている。何日かすると、さなぎになつて虫かごの天井にぶらさがっている。とげとげした形で、丸いつぶつぶが金色に光っている。
 「あれ、ぶるんぶるんと揺れているよ」「どこどこ。わあ、ぶらんこみたい」。そうこうしているうちに1匹また1匹とツマグロヒョウモンが誕生した。その名の通り、羽の模様がヒョウを見るようだ。「やったあ、生まれたね」「こんにちは」「おめでとう」
   出水市 山岡淳子(49) 2007/7/22 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はこうすけさんよりお借りしました。