はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

家族はつらいよ

2022-05-02 13:05:29 | はがき随筆
 父が老人ホームに入居して2年余り、ホームからの苦情も減り私は人心地がついた。今更父の品行が向上したわけはなく、スタッフの方々がうまく折り合ってくださっているのだろう。父の親族は仲が良く、コロナ禍で面会禁止なのにホームにやって来て皆を困らせる。その父が持病の悪化で入院。前回の危篤を教訓に葬儀一連の手はずをさらい、斎場はどこにするか、新聞のおくやみ欄掲載の有無に至るまで段取りしたのに、持ち直した本人は「スケッチブックを持ってきて」と病院から伝言してきた。山田洋次の映画さながらの一週間。青葉がとても美しい。
 熊本県八代市 廣野香代子(56) 2022.5.2 毎日新聞鹿児島版掲載


エイトマン

2022-05-01 16:16:43 | はがき随筆
 毎日妻とウオーキングをする。最近、妻の背中が気になりだした。背中が曲がり首が前に傾いている。「もっと胸を張って歩かないとみすぼらしく見えるよ」と注意したら、私も同じような姿勢と言われた。
 そこで思い出したのが、子どもの頃見ていたテレビアニメ「エイトマン」の主題歌。この中に「叫べ胸を張れ、鋼鉄の胸を」というくだりがある。これだ! と思い、歩きながらその歌詞を口ずさむことにした。すると2人とも意識して胸を張るようになったから面白い。これからも「エイトマン」目指し胸を張ってウオーキングを続けよう。
 鹿児島県志布志市 藤森利一(72) 202.5.1 毎日新聞鹿児島版掲載


ミニ同窓会

2022-05-01 16:04:52 | はがき随筆
 私にはふたりの幼なじみの友人がいる。小学6年生のときの同級生で家も近く、もう60年以上の付き合いになる。長い人生を歩き、紆余曲折を経て今3人とも独身のままだ。
 ひとりは何十年ものぜんそく持ちで、もうひとりは緑内障の不安を抱え、自分は難病を患っている。どの病も大変なのだが「くよくよしても、しょうがない」を合言葉にしている。
 月1回のランチで集まり、たわいないおしゃべりをする。人生はおいしいものを食べて、たくさん笑うのがいちばんだ。
 たった3人の同窓会だが、これからも続けよう。
 宮崎市 藤田綾子(77) 2022.4.30 毎日新聞鹿児島版掲載