はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ドラマ

2008-03-31 07:34:08 | はがき随筆
 とびきり見事な男の子が生まれると、創造の女神は女どもに与えるのが惜しくなり、聖なるオーラをまとわせてしまう。
 こんな男にめぐり会った女は幸せであろうか、不幸せであろうか。
 恋して、あがいて、狂って、エロスの波に打たれて、ぬれて、それでもなお地獄の果てまでついて行くと覚悟するなら、女は幸せなのかもしれない。
 切ないような、ほほえましいようなドラマを、ここかしこに秘めて、人の世はきょうも流れて行く。
   鹿屋市 伊地知咲子(71) 2008/3/31 毎日新聞鹿児島版掲載

桜響く春の宵

2008-03-30 15:10:50 | アカショウビンのつぶやき








 先日とっても楽しいコンサートに行きました。
ヴァイオリニスト・早稲田桜子さんの、美しい弦の響きと楽しいトークで、心豊かなひとときでした。
プログラムに
「桜響く春の宵」と書かれていましたが、固い蕾のさくらたちが、この美しい調べに目覚めるのでは…と思うことでした。
 「グリとグラ」のステージでは、絵本の朗読に会わせて演奏し、スクリーンに映し出される画面を見ながら大人も子どもも共に楽しみました。
 今回、桜子さんは、地元、かのやオーケストラの指導、ハンセン病療養所・星塚敬愛園でのコンサート、感動の地域作りで全国的に注目されている、鹿児島県鹿屋市の柳谷集落、愛称「やねだん」の方々との交流など、さまざまな活動をなさり、優しい春風のように去って行かれました。
 

正直な足

2008-03-30 13:49:50 | はがき随筆
 寒風の中を3㌔走に出ました。2月のツルマラソンです。
 10年も参加しているのに思いは相変わらずです。ああ苦しいなあ、歩き出そうかなあ、と。
 今年は、走る前に今までの記録を並べてみました。お見事です。加齢とタイムが正比例の線を描いてしまうのです。へえ、我ながら正直者よ。笑ってしまうよ。たまには神様、まちがわせてください。今年は練習も頑張ったからと思いました。
 そして走りました。結果は、比例線の延長、でした。
 さて来年はどうしましょう。頑張れ、はもらっているし、Qちゃんも走り続けるようだし。  
   出水市 松尾 繁(72) 2008/3/30 毎日新聞鹿児島版掲載

たまごかけごはん

2008-03-29 12:31:37 | アカショウビンのつぶやき
 産み立て卵をいただいた。殻がざらざらしていて、産み落とされたときの温もりが伝わってきそう。さあ、今日は大好きな「たまごかけごはん」にしよう。お店で買う新鮮卵には、ちょっとためらいがあり、なかなかチャンスのない「たまごかけごはん」。

美味しい!
食べながら、ふうーっと遠い昔の一頁が甦ってきた。
 5歳ぐらいだった私は、姉に連れられて親戚の家を訪ねた。田舎で、たいしたご馳走もない当時のこと、出されたのは「たまごかけごはん」。
 その頃は、当時のファッションだったのか、よそ行きの洋服を汚すといけないとの母の配慮だったのか、よくエプロンを掛けてお出かけしていた。真新しい真っ白いエプロンをかけて、お行儀よく食べ始めたのはいいが、頬張りすぎたのか、ボタッとご飯をこぼしエプロンを真っ黄色に染めてしまった。帰ったら母に叱られると思ったのか、泣き虫だった私は大泣きに泣いて姉を困らせてしまった。遠い昔のほろ苦い思い出…。
 我が儘な妹に散々苦労されられた姉も今年85歳を迎えた。少しずつ幼くなっていく姉に今度は私がお返しをしなくては、暖かくなったら会いに行こう。


すき

2008-03-29 11:50:25 | アカショウビンのつぶやき

 素敵なバースデーカードを頂いた。いや
「バースデーブック」と言った方がいいのかな…。
本のタイトルは「すき」

あなたがいつも元気でいられますように。
あなたが笑顔でいられますように。
あなたにステキなことがたくさんありますように。
あなたの夢がかないますように。

いっぱいありすぎ?

でも、一番はね、
これからもずーとなかよしでいられますように!

おたんじょうびおめでとう


語らない体験

2008-03-29 07:05:31 | はがき随筆
 永長貞夫氏の私家版「沖縄戦生還記」をご遺族から頂いて読んだ。満州で徴兵され門司から南方へ向かう。途中、左舷に故郷米ノ津の矢筈岳を見、ひそから現在地と進路を知る。沖縄では塹壕堀りの毎日。米軍上陸後は遭遇戦となり、前進した隊が全滅するかと思えば、とどまった隊が全滅する。生は執着の対象ですらなく、わずかのすき間に結果としてだけ残る。
 絶叫もなければ告発もない、抑制の利いた言葉が、孫に語り継ぐためにつづられている。
 氏は50年前、私の担任だった。今思い起こせば、このことを語ることは一度もなかった。
   出水市 花園勝政(65) 2008/3/29 毎日新聞鹿児島版掲載
   写真は桜香(さくらこ)さんからお借りしました。

断ち切られた絆

2008-03-28 07:44:49 | はがき随筆
 03年に起きた県議志布志事件で、嫌疑をかけられ執ような取り調べを受けた人たち12人が逮捕・起訴された。
 Nさんは任意の取調中に発病し、ただ1人在宅起訴になった。マスコミが実名で報道したため息子さんは「家族の恥だ。親子の縁を切る」と、親の言い分は受け入れず絶縁を宣言した。絆(きずな)が断ち切られて間もなく5年近くになるが、今もなお音信不通だという。
 健康であったNさんは事件以来、体調を崩し、最近病状が悪化して入院を余儀なくされた。
 無罪が確定して1年、志布志事件の後遺症は根深い。
   志布志市 一木法明(72) 2008/3/28 毎日新聞鹿児島版掲載

嬉しい贈り物

2008-03-27 19:17:29 | アカショウビンのつぶやき
 更年期障害から体調を崩し、会うことすらかなわず、ただ遠くから祈りつつ見守ることしかできなかった友人○○さん。今年に入って時々「編み物を教えて…」と遊びに来てくれるようになった。
 指もスムースに動かない手で、一生懸命ソックスを編む彼女に「無理しちゃ駄目よ…」としか言えない私だった。

 彼女が昨日、可愛い花束と私のために焼いてくれたパウンドケーキを持って御祝いに来てくれたのだ。彼女は私の誕生日を覚えていてくれた。
 
嬉しかった!! 誰の贈り物よりも嬉しかった。
料理上手な彼女が焼いたケーキはしっとりとしてほんとうに美味しい。
ぼつぼつ始めた花作りも楽しそうで、庭の写真を見せてくれる彼女の表情は以前と変わらない。
「もう大丈夫、焦らず、ゆっくりゆっくり歩いていこうね…」と心の中でつぶやきながら別れた。

はがき随筆2月度入選

2008-03-27 18:38:00 | 受賞作品
 はがき随筆2月度の入選作品が決まりました。
△出水市武本、井尻清子さん(58)の「平凡な幸」(25日)
△出水市武本、中島征士さん(62)の「白い道」(8日)
△霧島市霧島大窪、久野茂樹さん(58)の「親友をしのぶ」(9日)
──の3点です。

 寒くて厳しい冬が終わり、3月を迎えました。2月度は、日常の健康を大切にしながら幸せに感謝する作品が数点寄せられました。
 井尻清子さんの「平凡な幸」は<平凡な幸>という言葉をくり返し書きながら冷静に文が展開するところが平凡でないと思われます。情景スケッチのほかに思索する姿勢が見られていいですねえ。中島さんの「白い道」は、雪深い林の中を韓国岳めざしてゆっくり歩いて行く様子が巧みに描かれました。夫婦が楽しい会話を元気よく交わしながら。
 久野さんの「親友をしのぶ」は、中学時代からの無二の親友が、突然に難病を患い逝ってしまわれたのです。久野さんが現役を退き、日々の生活に活力を欠いている時でもありました。親友の闘病末期の生きざまにひかれるところもあり、友人の好きな歌をCDにして送りました。精神的な友情の交流が文中ににじみ出ており、描写も具体的でわかりやすいのです。
 東郷久子さんの「すきなもの」(4日)は、書く中心を光らせる表現技術が効果的に使われました。口町円子さんの「バドミントン」(7日)は、場の様子と雰囲気をよく表現し、構成もよくできました。中田テル子さんの「卒業」(26日)は、誤診による病気で卒業が延びた辛さを感じながら、高校を卒業した喜びを率直に書いています。
 一木法明さんは、教え子M君の成長ぶりに感動したことを「48年目の来訪者」(14日)に詳しく述べました。上村泉さんの「小正月」(3日)は、<ナレナレ棒>の風習をわかりやすく説明し、後段に書き手の姿勢を述べてよくまとめています。伊地知咲子さんの「厄払い」(5日)は、内容がユニークで明確な表現が効果的ですね。末尾の結びの文を書かれるともっと有効だったでしょう。
 文章は、書き手の感情を率直に述べ、状況もわかりやすく表現することで読み手によく伝わるのです。
 (日本文学協会会員、鹿児島女子短大名誉教授・吉井和子)
 係から
 入選作品のうち1編は29日午前8時20分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。「二見いすずの土曜の朝は」のコーナー「朝のとっておき」です。
 

その御手に

2008-03-27 16:08:57 | はがき随筆
 「よかったら行ってみない。千手観音様がいらっしゃるの。紅葉でも有名なお寺で、景色もいい所よ」
 うつうつとした気分から抜け出せない私を見かねた友人が雷山の千如寺(せんにょじ)へと誘ってくれた。
 厨司の扉があけられ、1丈6尺の堂々たる観音様に、私は息をのんだ。光背には実際に千の手が彫ってあるという。彩色ははく離しているが、憂愁のまなざしには深い慈愛とすべてを見透かしてしまう力を感じる。
 千数百年もの間、人々の悩み苦しみをその御手(みて)に受け止めてこられたのだろうか。そう思うと胸が熱くなってきた。
   出水市 清水昌子(55) 2008/3/27 毎日新聞鹿児島版掲載

いつも18歳

2008-03-27 07:11:31 | はがき随筆
 祖父54歳、祖母58歳。今でいうと早死にである。祖父は私が生まれる前に亡くなっている。
 養子続きの家系に男の子が生まれて祖母は大喜び。目に入れても痛くない可愛がりようで、母に「私が死んでもこの子をいじめるな」と口癖のように。散歩の途中、少しでも肥料の足しにと道路に落ちている牛馬のふんを拾って、自分の畑に投げ込んでいたのが印象的だ。
 母に「私はいつも18歳の気持ちだよ」と。今そのことがよく分かる。気持ちを若く持てとのことだと思う。祖父母の年をはるかに越した。先祖の供養をしなければと思うこのごろ。
   薩摩川内市 新開 譲(82) 2008/3/26 毎日新聞鹿児島版掲載

イースター

2008-03-25 12:46:02 | アカショウビンのつぶやき







 Easterイースターは日本語で『復活祭』と呼ばれます。十字架にかけられて亡くなられた、イエスキリストが復活された日を記念し、毎年、春分後の満月直後の日曜日に行われる、キリスト教で最も重要な祝日です。今年は3月23日でした。
 死より甦り「いつもあなたと共に居るよ」とおっしゃる神様を信じ、すべてを委ねて生きようと、希望のメッセージを頂きました。そして、美しい讃美歌496番「うるわしの白百合」を賛美し、復活節を御祝いしました。
 イースターの時、卵にいろいろと絵を描く風習がありますが、卵は新しい生命が生まれるものとして、復活したキリストにぴったりの意味合いを持つことから、イースターを祝うために使われます。
 私の教会でも、色鮮やかに彩色されたゆで卵を、日曜学校の子供たちが、皆さんにプレゼントして、復活節をお祝いしました。
 


誕生日

2008-03-25 11:18:15 | アカショウビンのつぶやき


朝一番に宅急便が届き、聞いたこともない会社の名前を告げられる…。
アヤシイ(>_<)
よく聞いてみると「○○さんからです」と娘の名前。
まぁ! 誕生日のプレゼントだ。

毎年大きなお花が届くので、てっきり今年もお花やさんが来るんだろうと勝手に思いこんでいたので、その小さな包みに…ん??。

でも開けてびっくり。大好きなスヌーピーの可愛いフラッシュメモリーだった。
殺風景なパソコンの回りに、可愛いフラッシュメモリーを飾ってみる。
いやいや飾り物じゃなくてデータ保存用に使う物だった(^O^)。

こんな気の利いた贈り物があるんだ! 
朝からわくわくしてる70プラス?回目の誕生日。

四方八方に感謝

2008-03-25 07:35:28 | はがき随筆
 昭和20年4月、14歳で実社会にはじき出され、海軍航空廠(こうくうしょう)に就職するも同年8月に終戦ではじき出された。やっとの思い出地元の会社に2年間、旋盤工見習いとして働くが会社が左前になり、またはじき出された。
 そして現職理容業に就く。以来60年、天職として励んでいる。過ぎ行く歳月は早いもの。一時大病を患ったが克服し、昨今は元気で喜寿と相成った。
 四方八方に感謝しながら今日の日も暮れた。あと数年で父の年になる。父の教訓「仕事はまじめにやれ、まじめで気張れよ」を肝に銘じて頑張っている。やがて彼岸に到達する日まで。
   大口市 宮園続(77) 2008/3/25 毎日新聞鹿児島版掲載

卒園おめでとう

2008-03-24 16:41:29 | アカショウビンのつぶやき










 信愛幼稚園の卒園式に来賓として招かれ参加した。
可愛いガウン姿の子供たち。孫の居ない私にとっては、どの子もわが孫のように可愛い。

寂しさをこらえ、愛する子どもたちと別れの席にのぞむ先生方。
その思いが伝わってくるようだった。

たくさんの楽しい思い出を胸に刻み大きく成長して巣立っていく子供たち。
「1年生になったら♪♪」と、胸をわくわくさせている子供たち。
この子たちを取り巻く環境が、暖かいものでありますようにと切に祈る。