はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ほんとだね

2008-06-12 16:28:15 | はがき随筆
 6月初旬、雨が来てアジサイが咲いて、青嵐が吹いて山々のおだやかだった緑が揺れ、初夏への象が日々濃くなる自然。
 ある朝、娘のところで新聞を2、3日分読ませてもらっていると「魂は刀で切れず、火で焼けず、水でぬれず、風に乾かず」ということばに出会った。
 朝食している孫に「ほんとだね、まさしく……」と言うと、彼はうなずいた。
 魂を育てるため、ものをおぼえたり、続行するんだね。そうよ、そうよ、ほんとだ!
 私のつぶやくのを、彼は聞いて、心に届けたかどうか。
   鹿児島市 東郷久子(73) 2008/6/12 毎日新聞鹿児島版掲載

亡き母へ

2008-06-12 16:18:45 | はがき随筆
 「おかあさん、どうか10人目の孫、陽葵(ひまり)の命を救ってください。お願いします」
 2月9日、心臓に障害を持って生まれた陽葵ちゃん。両親の落ち込みはひどかった。私は、神様から選ばれて生まれてきた宝物だと息子に言い聞かせた。
 私も心配のあまり不眠。体調を崩した。すぐにふる里隼人の実家に行き、お墓参り。亡き母に孫の命をこう。
 5月2日、孫は心臓の手術。5月20日、無事退院。ほっとした。
 天国のおかあさん、ありがとう。陽葵にゆっくりゆっくり春が来た。
   山口県光市 中田テル子(62) 2008/6/11 毎日新聞鹿児島版掲載