kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

バリュー株物色の落とし穴

2023-03-16 05:53:18 | 日記
米国株の反発も日本株の追い風とはならなかったようです。15日の日経平均は米株式
相場の上昇を受けてひとまず安心感から買われたものの上値の重さが意識されました。
午後にはマイナス圏に突入し4日続落となりそうでしたが7円高と何とかプラス圏に浮
上して引けました。

2万7500円の揉み合いを放れメジャーSQ前日まで上値追いの動きでしたが、懸念して
いた通りSQを境に相場は急変しました。短期筋による先物主導の上昇相場の脆さを今
回も示した形です。

日本株にとってシリコンバレー(SVB)銀行の突然の破綻は冷や水を掛けられたような
マイナス材料でした。まず保有国債やMBSの含み損はSVBに特有な問題ではなく日本の
銀行や生保も同様な問題を抱えているということです。

現時点では直ちに日本の銀行の経営問題に支障をきたすことはないようですが、金利の
上昇は銀行経営にプラスというメリットだけを材料に人気化していた金融株に今度は保
有有価証券の含み損という材料で売られるという結果になりました。

金融株に多いバリュー株物色という流れも裏を返せばビジネスモデルに成長期待が持て
ず現状ではじり貧状態になり最悪の場合資本を毀損するという問題がある訳です。東証
が問題提起をしたとしても多くの企業が成長ストリーを描けず余程の覚悟で経営改革を
断行しなければ解消は難しそうです。

物言う株主から注目を付けられていた大日本印刷が政策保有株の圧縮大規模な自社株買
い、成長投資へ分野への投資を発表したのも材料出尽くしに繋がる恐れはありました。
そして何よりも重要なのはPBR1倍割れの企業が大日本印刷のような政策を打ち出せな
いという現実です。

同じPBR1倍割れの中でも0.5倍とかまで沈んでしまっている企業には大規模な自社株買
いや成長投資に振り向けるだけの余剰資金がありません。水準訂正はあってもなかなか
1倍を回復するような動きにはならないでしょう。

SBGが10日から連日安値を更新しているのはSVBの破綻がビジョンファンドの投資先で
あるスタートアップ企業への影響が心配されていることもあるのかもしれませんが、米
銀が2行破綻したことで債券投資はより信用力のたかい債券に投資マネーは向かうという
ことで格付けの低いSB債の発行はかなりの上乗せ金利が必要になるとか今後の資金調達
に支障が出るとの見方があるのでょうか。借り入れの多い企業は引き締め局面では敬遠
されます。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

軋み

2023-03-15 06:56:59 | 日記
14日の東京市場は13日の米国市場で銀行株が下落したことを受けメガバンク中心に銀行
セクターが大きく値を下げました。特にメガバンク3行はいずれも7%を越える大幅安で
相場全体の足を引っ張りました。

3行とも年明けからの上昇分を僅か3営業日で帳消しにしました。緩和政策の変更から金
利が上昇して銀行を取り巻く収益環境が好転するということに加えて時価総額が大きく
PBR1倍を大きく割り込んでいたいたメガバンクはバリュー株物色の筆頭として1月以降
の相場上昇の牽引役でした。

それだけに海外の銀行株安が諸に影響して下落幅が大きくなったようです。またシリコ
ンバレーバンク(SVB)など米銀の相次ぐ破綻が、米欧の中央銀行による利上げの逆風
となってきたという指摘もあり2年債や10年債の利回りは低下しました。背景には今回の
混乱でFRBは今月の政策金利の据え置きを決定するのではないかということもあったよう
です。
為替市場では円高・ドル安傾向が強まったことで機械、電気、自動車など緩和感応度の
高いセクターの下落も目立ちました。このグループは中国景気の回復期待やバリュー株
の側面を持つ銘柄も多くこのところ一本調子で上昇していた銘柄には高値警戒感も出て
いただけに下げ幅も指数に比べて大きくなりました。

結果論ですが、やはり3月相場は大波乱になりました。市場はインフレの行方やFRBの利
上げスタンスには注意を払っていましたが、銀行の破綻ということは全く予想していませ
でした。

FRBの超金融緩和とその後の急激な引き締めが今回の銀行破綻の一因かもしれません。破
綻した銀行はスタートアップ企業から大量に集まった預金を債券運用していました。緩和
局面でスタートアップ企業には必要以上のマネーが流入しました。結果的にはその余剰資
金が債券運用に回りましたが、昨年からの急激な利上げで債券価格は下落し含み損も大き
くなりました。

結果的にFRBの金融政策の負の部分が顕在化した格好です。貸し出しを大きく上回る預金
が集まらなかったなら。インフレ退治で急激な引き締めがなかったなら結果はまた違った
かもしれません。2021年にパウエル議長はインフレは一過性だという見方をしていたこと
で引き締めが遅れ急激な利上げに走らせました。

今日の市場は米国株の反発もあり上昇しそうです。相場の落ち着きで配当取りも支援材料に
なるかもしれません。もっとも3月という期末要因のあり調整終了には時間がかかるかもし
れません。いずれにしても銀行や機械、自動車などのバリュー株相場が変わる可能性もある
かもしれません。JR3社が逆行高したようにインバウンド関連にも資金が向かうかも注目さ
れます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

資本政策と成長戦略

2023-03-14 06:00:56 | 日記
13日の東京市場は米市場で金融システムへの影響を懸念して金融株を中心に売りが広が
った流れで、東京市場でも三菱UFJをはじめメガバンク株が揃って下落しました。また
米長期金利の低下に伴う日米金利差の縮小観測から外国為替市場で円相場が134円台まで
円高が進み自動車各社の株も大きく下落していました。

銀行株と自動車セクターは年明け以降、日経平均の上昇を支えてきたグループでした。高
値圏で推移していたこともあり比較的大きな下落率になった銘柄が多かったようです。日
本株の独歩高を演出してきた海外短期筋という足の速い資金も影響したようです。

FRBの利上げで金利が上昇して銀行の収益拡大が見込めるというのが、買い方の根拠です。
日本でも昨年12月に日銀が長期金利の誘導幅を0.25%から0.5%に引き上げたことで更なる
引き上げを予想する向きもありました。メガバンクや地銀の上昇はバリュー株物色と業績
改善期待との合わせ技でした。

一方金利の急上昇は債券価格の下落に繋がり金融機関の保有する債券の含み損の拡大に繋が
ります。これまで余り市場で意識されなかった負の部分である債券価格の下落という問題が
SVBグループ傘下のシリコンバレー銀行の突然の破綻で露になりました。

米国では(SVB)預金の全額保護が週末に決まったことで次第に落ち着きを取り戻すのでし
ょうか。それともSVBは特殊例なのでしょうか。保有債券の評価損問題は米国市場だけでな
く国内でも国債の金利上昇で米国ほどではなくとも多少なりとも銀行経営の懸念材料です。

SVB問題を経て日本株の物色の流れが変わるかも注目されます。FRBの利上げは少なくとも
6月まで続きそうです。年末時点では春には利上げ停止というのがコンセサスでした。ターミ
ナルレートも当初の水準から上振れしそうです。

グロース株を取り巻く環境が急に好転するとは難しいかもしれません。バリュー株物色が続
くのであれば東京市場には追い風が吹き続けることになります。もっともPBR1倍を割れてい
れば何でも物色の対象になるというこれまでの流れから次第に選別色が強くなるかもしれま
せん。自社株買いや増配だけで見かけの数字が上昇しても長期的な問題は残ります。

やはり収益力の改善無しでは長期上昇は見込めません。低収益部門を放置したままでは成長
期待は高まりません。より付加価値の高い分野を開拓したり磨きをかけたりして欧米企業に
比べて見劣りがする利益率を引き上げることが重要です。資本政策と成長戦略が揃わなけれ
ば一時の株高で終わってしまいます。

今日の東京市場はダウの小幅安と一時132円台まで進んだ円高という環境から前日と同じよ
うに銀行セクターや輸出関連の電気や自動車セクター中心に売りが出る可能性が高そうです。
売り一巡後に株価が落ち着くのか注目されます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米国発の逆風

2023-03-12 09:34:31 | 日記
2万8000円定着は今回も短命に終わってしまうのでしょうか。米国市場の株安にも抜群の
耐性を保持してきた東京市場でしたが、メジャーSQを境に流れは変わってしまうのでし
ょうか。

注目の米雇用統計は前の月より31万人余り増加し、市場の予想を上回りました。失業率は
上昇(3.6%前月比0.2%増加)したものの低い水準が続いています。また、労働者の平均
時給は前の年の同じ月と比べて4.6%、前の月と比べて0.2%上昇し、こちらは市場の予想
を下回る伸びとなりました。平均賃金の低いサービス業の就業者の比率が上昇したようです。

依然、雇用市場はタイトな状況のようです。パウエル議長は利上げ幅に関してはあくまでも
経済指標次第という方針のようですから、今週発表されるCPI結果が注目されます。もっと
も米シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻が世界の銀行株安に波及しマネーは安全資産
である米国債を買う動きが広がり米10年債利回りが一時3.6%台と約1カ月ぶりの水準まで低
下しました。

市場予想を上回った雇用統計の結果にも拘わらず、3月の会合での利上げ幅が0.5%の予想が
6割を越えていたものが0.25%の利上げ確率と拮抗してきました。SVB以外でも債券の含み
損を抱えている金融機関は中小銀を中心に多いとの指摘もあります。FRBの急激な引き締め
がその背景になるとしたら利上げ再加速は不確実性を高めます。

SVBに資金を預けている預金者はスタートアップ企業がほとんどです。預金保険でカバーさ
れるのは25万ドルまでです。SVBの預金量の89%は保険対象外との報道もなされています。
破綻の影響は間接的に仮想通貨市場の混乱も引き起こしています。

ビジョンファンドを通じてスタートアップ企業に投資しているSBGが357円安(6.26%)と
10日の取引で急落したのも今回の騒動が影響しているようです。急激な利上げがスタート
アップ企業を取り巻く環境に負の影響を与えるという副産物が出てきました。米国発の混乱
が過熱気味だった日本株に高値波乱をもたらすのでしょうか。

それとも元々ユニコーン企業が少なく成長株市場とは一線を画していた日本市場が相対的に
影響は少なくて済むのでしょうか。どちらに転ぶにせよ当面はボラティリティの高い状態が
続くかもしれません。このところ円安・株高の連動性が高まっていただけに円相場の行方も
気になるところです。海外市場では米長期金利の低下で2円程円高が進みましたが、この流
れが一過性なのかも注目されます。

次回の更新は14日を予定しています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

5連騰後の株価は?

2023-03-10 05:47:27 | 日記
米国株は調整局面真っ只中なのに日本株は春爛漫ごとくの活況を呈しています。今日は
メジャーSQですが、度々相場の転換点にもなったケースもありました。さて今回はどう
なるのでしょうか。日経平均は3月3日に2万7500円程度の上値の壁を抜けてから相場付
きが一変しました。

市場の一部にはここにきて売り方の買戻しが急騰に繋がっているとの指摘も出ています。
経済指標の数字からインフレの高止まりから米国株の軟調が日本株の上値を抑えるとの
見方もありましたが、この1週間の動きは真逆の展開でした。日本企業の四半期決算発表
では市場予想以上に下方修正ラッシュでした。

しかし悪材料でも株価の下押しは限定的でした。一部には底堅い株価がかえって悪材料を
十分織り込む動きではなかったことで不安視する見方も出ていました。売り方としては
日本株の一方的な上昇は長続きしないという判断だったのでしょう。私も懐疑的な見方
でした。

日経平均は12月中旬に日銀会合後に金融政策の変更を嫌気して下落トレンドが鮮明でした。
2023年の大発会も2万6000円割れでした。その後も戻りも2万7500円を超えると壁の厚さ
が目立ちました。四半期決算も全体として冴えなかったことから2万8000円を抜けての上
昇は難しそうでした。

弱気筋の買戻しが弾みをつけた相場にもそろそろ転機が迫っているのか、あるいは日本株
の独歩高は続くのでしょうか。日経平均は9日まで5連騰でした。日足チャートを見ると
三つ窓を開けています。しかも9日は上髭が長い陰線でした。一旦は調整が入ることにな
るのでしょうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする