kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

追加緩和狂想曲

2016-07-29 15:53:32 | 日記
29日の東京市場は日銀の追加緩和発表とともにプラス圏とマイナス圏で
激しく変動しました。しかし2時過ぎにはその動きも沈静化して大引けに
にかけてじり高で結局前日比92円高の1万6569円で終わりました。市場
関係者の予想通り発表後乱高下しましたが、午後の安値と高値は400円
ほどで市場予想ほど激しい動きではありませんでした。

追加緩和がETFの購入額を3兆円から6兆円に拡大するという単品で市場
が予想したマイナス金利の深堀りや国債の増額や社債まで買い入れ範囲
を広げるとのセットではありませんでした。為替市場は1円弱高い103円台
に突入したことを考えれば内容に失望したという判断でしょうか。

もっとも円高株安が進まなかったのはマイナス金利の拡大が見送られたこ
とでメガバンクや生・損保が大幅高したことが影響しているのでしょう。また
月末でドレッシング買いが引けにかけてあったのかもしれません。市場予想
を下回った内容だったなら失望売りで大幅安も警戒されていました。緩和内
容も株価の反応も逆にサプライズでした。

やはり日銀には今回ゼロ回答は有り得なかったのかもしれません。手持ち
の緩和カードも残り少なくなり出来るだけ温存したかったところでしょうけど
安倍首相が28兆円という張りぼてを先に出したことから外堀は埋められて
しまったようです。単品緩和に落ち着いたのは政府との共同歩調を取ると
のニュアンスが強かったのかもしれません。

バズーカとも呼ばれた黒田日銀の意表を突く緩和政策は既に効果がなくな
り今回市場の予想通りのセット緩和に踏み切ったとしても円安株高が持続
する可能性は低かったと思います。バズーカ2までが抜群の効果を発揮した
のはサプライズ演出と米国が緩和政策から引き締めに向かうという日米の
金融政策の違いが大きかったようです。

しかしFRBが昨年12月に利上げを開始してからなかなか2回目の利上げが
出来る環境にならず昨年からのシナリオに大きな誤算が出ました。日本に
とって都合のよい円安は当面期待できないと考えるべきです。Brexit問題も
市場が織り込んだのではなく年内は新たな展開がなく問題を先送りしている
状況だという指摘もあります。

今回の大統領選挙は大混戦になりそうな雲行きです。大幅な円安はトランプ
陣営の格好の攻撃材料となります。最終的にはクリントン候補が勝利するか
もしれませんが投資家心理はBrexitの残像で下駄を履くまで分からないという
思いは消えないでしょう。政治が経済を揺さぶる展開はしばらく続きそうです。

結局日本株が円高などの外部環境の変化に脆いのは突き詰めれば米国市
場のように新旧交代が起きないからです。アマゾン、グーグル、フェイスブック
などは20年前は影も形もありませんでした。それが今や米国企業を代表する
存在になっています。片や日本ではトヨタやキャノンなどを越えるような新興
企業は出て来ていません。

米国企業だって自動車や石油などオールドエコノミー企業は苦戦しています。
しかしそれ以上に新興勢力が台頭してトータルでプラスになっています。決算
発表のコメントで円高がなければ増益基調だったという会社側のコメントが出
ていましたが、120円台の円安が通常の状態という認識自体が間違っている
のではないでしょうか。豊田社長の言うように追い風参考記録という表現が正
しいようです。

昨年のような企業にやさしい円安やインバウンド特需が過ぎ去り企業の実力
が今後試されます。幸いここ数年続いて好業績で大きくの企業の懐は潤沢で
す。その軍資金を使いどれだけ将来成長につなげるかが勝負です。ここで抜
け出せる企業と沈む企業と大きく分れそうです。

30日、31日の更新はお休みします。
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注目はイベント通過後

2016-07-29 07:45:45 | 日記
今日の市場の注目は何と言っても日銀が追加緩和に踏み切るのかそれとも
見送りか。追加緩和に踏み切ってもどんな内容なのか。ここまで海外短期筋
主導で政府の景気対策と追加緩和期待から上昇してきただけに見送りや中
身が市場予想に届かなかった場合失望売りは下げられないと見方があります。

もっとも追加緩和に踏み切ったとしても1万7000円を越えて上昇するのか疑問
符がつきます。7月8日の1万5106円から21日の1万6810まで1700円ザラバ高
値1万6938円なら1800円弱上昇しました。この上昇過程でかなりの好材料を先
取りして織り込んだ可能性があります。追加緩和決定でたとえ急騰しても最後
のひと吹きになる可能性は捨て切れません。

個別銘柄では決算プレイで独歩高する可能性はありますが、相場全体を持続
的に上げるシナリオは難しいそうです。むしろこのところの株高を演出した海外
短期筋は当面の材料は出尽くしたとして資金を引き上げるかもしれません。こ
れから夏のバカンスシーズン入りでポジションを閉じることは十分考えられます。

世界のマーケットに影響を与える米国の利上げ問題もこれからの経済動向次
第ということでまだまだ二転三転しそうです。目先の利益を追う短期筋は次の
イベントに備えて取り合えず利益確定売りに転じる可能性は小さくありません。

決算発表で業績相場に突入という見方が市場の一部にはあるようですが、や
はり円高の影響は大きく市場予想を上回る決算を発表する企業はもともと強い
事業基盤のある企業です。信越化学や日本電産などはその一例です。また三
次元半導体という技術革新で新たな市場が生まれる半導体製造装置業界も勝
ち組に入ります。

また現在は比較的安定している円相場がいつ円高圧力が増して一段と円高に
なれば多くの輸出企業の通期見通しは下方修正されることになります。円高に
弱い日本株はいまだ健在です。海外投資家頼みの相場も相変わらずです。日
銀イベント通過後の市場はまだ見通せません。むしろイベント通過後に日本株
の真の姿が現れそうです。さてそれがどんな姿なのか。
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逆ポケモン相場

2016-07-28 07:19:41 | 日記
27日の東京市場は4営業日ぶりに反発281円高い1万6664円で終わりました。
政府の経済対策が市場の想定より大型になるとの観測も広がり相場を押し
上げた。また27日付の日本経済新聞朝刊が「日銀内で追加金融緩和論が浮
上してきた」との報道も上昇に弾みをつけました。

前日26日は政府の景気対策が小粒なものになり日銀の追加緩和も先送りに
なるのではないかという見方が浮上し為替相場が円高に振れるとともに東京
市場も大幅安(237円安)でなりました。僅か一日で正反対の見方に代わり大
幅上昇すると言う展開は市場の関心が財政政策と追加緩和政策での株高と
いう前提で相場が動いていることを表してしているようです。

また米国市場でアップルが大幅高した事から日本の大手電子部品銘柄も大
きく上昇するなど目先の材料で相場が大きく動く決算期特有の現象は既に顕
著になりつつあるようです。輸出関連銘柄でも元々収益基盤のしっかりした銘
柄は円高にも拘わらず市場予想を越える決算を発表するところもあり選別色
が出てきているようです。

輸出関連銘柄の多くは高値からかなり売り込まれました。それだけに戻りの
余地も大きいようです。売り込まれた銘柄の中でも市場が悲観するほど業績
が悪化していない銘柄も出ています。決算をキッカケに見直しの買いが出て
いるようです。今後決算発表が本格化することもあり短期筋による個別銘柄
の決算プレイが激しくなりそうです。

一方先週まで市場の話題を独占してきたポケモンGO関連銘柄は逆行安の
展開でした。任天堂が5%超の下げ、値下がり1位にサノヤスHG、5位のイマ
ジカロボ、7位のエレコムが値下がりトップ10に名を連ねました。任天堂が業
績に与える影響は軽微と発表したことも有り日本での配信スタートで材料出
尽くしという典型的な相場展開になりました。

どうやらポケモン関連を手がけた短期筋の多くはアップル関連の電子部品な
どに流れたようです。マスコミでは今週もポケモンGO関連のニュースが流れ
ていましたが、株式市場の動きは常に旬を越えてしまいました。改めて材料
株相場の天井を見極めることの難しさを痛感した相場でした。


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イベント前に手仕舞い

2016-07-27 08:25:50 | 日記
3日続落で1万6800円台から1万6300円台まで下げてしまった東京市場で
すが今日は円相場も昨日の104円前半から後半まで戻したこともあり反発
するとの見方のようです。75日線の1万6342円を下値目処と見ているよう
です。ポケモンフィーバーがひと山越えたことが東京市場の活況を奪った
ことは間違いないでしょうが、既に相場上昇もピークを越えたのでしょうか。

4月末の日銀の追加緩和、6月の英国国民投票と2回立て続けに予想外の
結果になり市場が大きく混乱しました。今週は当面の相場の行方を占う日
米の金融政策があります。FOMCでは現状維持でしょうが、日銀会合では
8割が追加緩和を見込んでいます。

もし追加緩和見送りや緩和内容が市場が期待したものとかけ離れたもの
になった場合市場は再び大混乱になるとの見方も有り短期筋中心に目先
の利益確定に動いたというのが三日続落の背景にあるようです。しかも日
経平均は7月8日の1万5106円を底に急激に上昇したことから目先の過熱
感を懸念する市場関係者もいました。テクニカル的にも騰落レシオが先週
後半から買われすぎの120%を越えて推移していたことも影響していたよう
です。

さて今週のイベントを通過後、どんな相場展開を見せるのでしょうか。好材
料はこれまでのところ4月以降の急激な円高を受けて懸念された輸出企業
業績が市場予想よりも健闘していることです。年末までの1万9000円台の
信用期日も通過し買い残の整理も大きく進みました。裁定買い残高も数年
ぶりの低水準になり需給面では好材料です。

一方8月は例年夏枯れ相場になる傾向が強く円高株安の嵐に度々遭遇し
てきました。7月の上昇が大きかっただけにやはり警戒が必要です。100円
割れ止むなしといった状況から106円台まで円安が進んだことが大きな反
発に繋がりましたが円相場頼みの相場は脆さと背中合わせです。

いずれにしても市場関係者は日銀の追加緩和の有無で相場は大きく動くと
予想しています。果たしてその通りになるのか3度目の正直で今回は大きな
波乱なく通過できるのか、いずれにしても外部要因で右往左往する相場を
乗り切るのは至難の業です。
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米Yahoo退場

2016-07-26 00:28:10 | 日記
かねてから経営不振が続いていた米国ヤフーはインターネット広告などの
中核事業を米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズに売却し、ネット事
業からの撤退を決めたとの報道されました。インターネットの創世記に一時
は検索エンジンの最大手となり、パソコンからネットの世界へのまさに「入り
口」を押さえIT企業のトップまで登りつめた企業は事実上22年で幕をおろす
ことになりそうです。

ヤフー凋落の原因は後発のグーグルの検索エンジンで完敗した事です。1社
が独走して他社は束になっても太刀打ちできないネット業界の特性もありポー
タル(玄関)サイトとして競争力を失ったヤフーが巻き返すことは出来なかった
ようです。またネット端末の主役がパソコンからスマホなどの携帯端末に移り
乗り遅れたことも影響したようです。

ネット業界では次々に新しいサービスが生まれSNSのトップ企業となったフェ
ースブックやツイッターそれに新興勢力のインスタグラムや日本では圧倒的な
強さを持っているLINEなどが激しい競争を繰り広げています。グーグルやフェ
イスブックは有力新興企業がライバルとして大きな存在になる前に買収して陣
営に取り込む戦略を取っています。

動画共有サイトのユーチューブはグーグルに2006年に買収されました。写真共
有サイトのインスタグラムは2012年にフェイスブックに買収されました。ネット企
業の老舗だったヤフーは時代の波に乗れず買収を通じてサービスを拡大する
ライバル達に大きな差をつけられました。

2008年にはマイクロソフトがヤフー買収に動きました。しかしこの買収は日の目
を見ることはありませんでした。マイクロソフトは先月ビジネス向け会員制交流
サイト(SNS)を運営する米リンクトインを262億ドル(約2兆8000億円)で買収する
と発表しました。マイクロソフトが以前ヤフーの買収に動いたのは自社が運営す
る検索サイトが首位のグーグルに大きく引き離されたからです。2位のヤフーを
買収して挽回を狙ったのです。

しかし8年の歳月は動きの速いネット業界に大きな地殻変動を起こしました。フェ
イスブックなどのSNSが台頭してきてユーザーのポータルサイトは検索画面では
なくそれぞれにアプリを立ち上げるようになりました。マイクロソフトが買収対象を
ヤフーからリンクトインに変更したのもそんな事情が影響しているようです。

多くのネット企業が広告収入で成り立つビジネスモデルであることからポータルサ
イトからの検索で連動する広告収入で成り立っている巨人グーグルとしては新興
企業の買収で収益源の多様化を計ると言う戦略は正しいのでしょう。
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