29日の東京市場は日銀の追加緩和発表とともにプラス圏とマイナス圏で
激しく変動しました。しかし2時過ぎにはその動きも沈静化して大引けに
にかけてじり高で結局前日比92円高の1万6569円で終わりました。市場
関係者の予想通り発表後乱高下しましたが、午後の安値と高値は400円
ほどで市場予想ほど激しい動きではありませんでした。
追加緩和がETFの購入額を3兆円から6兆円に拡大するという単品で市場
が予想したマイナス金利の深堀りや国債の増額や社債まで買い入れ範囲
を広げるとのセットではありませんでした。為替市場は1円弱高い103円台
に突入したことを考えれば内容に失望したという判断でしょうか。
もっとも円高株安が進まなかったのはマイナス金利の拡大が見送られたこ
とでメガバンクや生・損保が大幅高したことが影響しているのでしょう。また
月末でドレッシング買いが引けにかけてあったのかもしれません。市場予想
を下回った内容だったなら失望売りで大幅安も警戒されていました。緩和内
容も株価の反応も逆にサプライズでした。
やはり日銀には今回ゼロ回答は有り得なかったのかもしれません。手持ち
の緩和カードも残り少なくなり出来るだけ温存したかったところでしょうけど
安倍首相が28兆円という張りぼてを先に出したことから外堀は埋められて
しまったようです。単品緩和に落ち着いたのは政府との共同歩調を取ると
のニュアンスが強かったのかもしれません。
バズーカとも呼ばれた黒田日銀の意表を突く緩和政策は既に効果がなくな
り今回市場の予想通りのセット緩和に踏み切ったとしても円安株高が持続
する可能性は低かったと思います。バズーカ2までが抜群の効果を発揮した
のはサプライズ演出と米国が緩和政策から引き締めに向かうという日米の
金融政策の違いが大きかったようです。
しかしFRBが昨年12月に利上げを開始してからなかなか2回目の利上げが
出来る環境にならず昨年からのシナリオに大きな誤算が出ました。日本に
とって都合のよい円安は当面期待できないと考えるべきです。Brexit問題も
市場が織り込んだのではなく年内は新たな展開がなく問題を先送りしている
状況だという指摘もあります。
今回の大統領選挙は大混戦になりそうな雲行きです。大幅な円安はトランプ
陣営の格好の攻撃材料となります。最終的にはクリントン候補が勝利するか
もしれませんが投資家心理はBrexitの残像で下駄を履くまで分からないという
思いは消えないでしょう。政治が経済を揺さぶる展開はしばらく続きそうです。
結局日本株が円高などの外部環境の変化に脆いのは突き詰めれば米国市
場のように新旧交代が起きないからです。アマゾン、グーグル、フェイスブック
などは20年前は影も形もありませんでした。それが今や米国企業を代表する
存在になっています。片や日本ではトヨタやキャノンなどを越えるような新興
企業は出て来ていません。
米国企業だって自動車や石油などオールドエコノミー企業は苦戦しています。
しかしそれ以上に新興勢力が台頭してトータルでプラスになっています。決算
発表のコメントで円高がなければ増益基調だったという会社側のコメントが出
ていましたが、120円台の円安が通常の状態という認識自体が間違っている
のではないでしょうか。豊田社長の言うように追い風参考記録という表現が正
しいようです。
昨年のような企業にやさしい円安やインバウンド特需が過ぎ去り企業の実力
が今後試されます。幸いここ数年続いて好業績で大きくの企業の懐は潤沢で
す。その軍資金を使いどれだけ将来成長につなげるかが勝負です。ここで抜
け出せる企業と沈む企業と大きく分れそうです。
30日、31日の更新はお休みします。
激しく変動しました。しかし2時過ぎにはその動きも沈静化して大引けに
にかけてじり高で結局前日比92円高の1万6569円で終わりました。市場
関係者の予想通り発表後乱高下しましたが、午後の安値と高値は400円
ほどで市場予想ほど激しい動きではありませんでした。
追加緩和がETFの購入額を3兆円から6兆円に拡大するという単品で市場
が予想したマイナス金利の深堀りや国債の増額や社債まで買い入れ範囲
を広げるとのセットではありませんでした。為替市場は1円弱高い103円台
に突入したことを考えれば内容に失望したという判断でしょうか。
もっとも円高株安が進まなかったのはマイナス金利の拡大が見送られたこ
とでメガバンクや生・損保が大幅高したことが影響しているのでしょう。また
月末でドレッシング買いが引けにかけてあったのかもしれません。市場予想
を下回った内容だったなら失望売りで大幅安も警戒されていました。緩和内
容も株価の反応も逆にサプライズでした。
やはり日銀には今回ゼロ回答は有り得なかったのかもしれません。手持ち
の緩和カードも残り少なくなり出来るだけ温存したかったところでしょうけど
安倍首相が28兆円という張りぼてを先に出したことから外堀は埋められて
しまったようです。単品緩和に落ち着いたのは政府との共同歩調を取ると
のニュアンスが強かったのかもしれません。
バズーカとも呼ばれた黒田日銀の意表を突く緩和政策は既に効果がなくな
り今回市場の予想通りのセット緩和に踏み切ったとしても円安株高が持続
する可能性は低かったと思います。バズーカ2までが抜群の効果を発揮した
のはサプライズ演出と米国が緩和政策から引き締めに向かうという日米の
金融政策の違いが大きかったようです。
しかしFRBが昨年12月に利上げを開始してからなかなか2回目の利上げが
出来る環境にならず昨年からのシナリオに大きな誤算が出ました。日本に
とって都合のよい円安は当面期待できないと考えるべきです。Brexit問題も
市場が織り込んだのではなく年内は新たな展開がなく問題を先送りしている
状況だという指摘もあります。
今回の大統領選挙は大混戦になりそうな雲行きです。大幅な円安はトランプ
陣営の格好の攻撃材料となります。最終的にはクリントン候補が勝利するか
もしれませんが投資家心理はBrexitの残像で下駄を履くまで分からないという
思いは消えないでしょう。政治が経済を揺さぶる展開はしばらく続きそうです。
結局日本株が円高などの外部環境の変化に脆いのは突き詰めれば米国市
場のように新旧交代が起きないからです。アマゾン、グーグル、フェイスブック
などは20年前は影も形もありませんでした。それが今や米国企業を代表する
存在になっています。片や日本ではトヨタやキャノンなどを越えるような新興
企業は出て来ていません。
米国企業だって自動車や石油などオールドエコノミー企業は苦戦しています。
しかしそれ以上に新興勢力が台頭してトータルでプラスになっています。決算
発表のコメントで円高がなければ増益基調だったという会社側のコメントが出
ていましたが、120円台の円安が通常の状態という認識自体が間違っている
のではないでしょうか。豊田社長の言うように追い風参考記録という表現が正
しいようです。
昨年のような企業にやさしい円安やインバウンド特需が過ぎ去り企業の実力
が今後試されます。幸いここ数年続いて好業績で大きくの企業の懐は潤沢で
す。その軍資金を使いどれだけ将来成長につなげるかが勝負です。ここで抜
け出せる企業と沈む企業と大きく分れそうです。
30日、31日の更新はお休みします。