kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

筋肉質になった日本企業の今後

2018-05-31 06:33:11 | 日記
21日に2万3000円を回復したのも束の間でした。東京市場の風景は
その後一変しました。売買代金が2兆7000円弱でもこれだけ値を崩
す東京市場のどこに問題があるのでしょう。先物取引主導での動き
が顕著で売買を伴わない大幅下落は強力な買い手不在を現している
ようです。

普段、運動もせず高カロリーな食品ばかり食べている人が食生活の
見直しと適度なトレーニングすればダイエット効果は高いでしょう。
食事とトレーニングはダイエットや健康な体を取り戻すための車の
両輪みたいなものです。

企業も同じで不要な資産や低収益の事業を抱えている企業が資産効
率を考え資産売却や低収益事業からの撤退で身軽になり経営資源を
高収益が期待できる事業に集中すれば企業の業績は劇的に改善する
ことも多いでしょう。事業再編と収益基盤の強い事業への集中も車
の両輪です。

アベノミクス相場が始まってから既に6年目に突入しました。この
間日本株は収益力を高め増配や自社株買いで資本効率も大きく向上
しました。ライザップに入会してぶよぶよだった体が適度な運動と
食時療法で筋肉質の体に生まれ変わったかのようです。

相場初期の頃は業績変化率が大きくなり期待も加わり高いPERも正
当化されます。しかし年数が経過すると数年前よりも収益内容は改
善しているにも拘わらずPERは切りあがらないケースも出てきます。
おそらく過去数年のように劇的な収益の改善が期待できないことを
市場が織り込み始めたのかもしれません。

昨年から今年前半にかけて電極を製造している東海カーボンや昭和
電工の株価が大きく上昇しました。中国政府が2016年に粗悪な地条
鋼の製造設備削減を進めたために鉄スクラップを溶かして棒鋼など
を製造する電気炉製品への需要が高まり製造過程で必要とする高品
質な黒鉛電極の価格が急騰しました。恩恵をフルに受けた東海カー
ボンや昭和電工は業績も株価もうなぎのぼりの上昇でした。

中国人訪日観光客が品質の良さからmade in Japanの化粧品の爆買
いや越境ECでの売り上げ増をもたらしました。両業界に吹いた風は
同じ中国からでした。日本の10倍の人口を抱える中国経済の規模の
大きさはやはり魅力的です。両業界とも企業自身の経営努力があっ
たのは間違いありませんが、ここまで伸びたのは実力プラス強い追
い風のおかげではないでしょうか。

この強い追い風が今後も続くという保証はありません。新たなライ
バルが出現するかもしれません。或いは急激な需要が落ち着くかも
しれません。もし実力以上に株価が上昇したのなら今度はその反動
も大きくなります。逆張りは投資の正攻法の一つです。しかし実力
以上の高値を付けた銘柄の場合は注意が必要です。

ここ数年日本企業の稼ぐ力は大きく改善したことは認めます。だか
らこそ少しでも停滞する兆候が出てくると株価は予想以上にネガテ
ィブに反応します。筋肉質になった日本企業が欧米勢と肩を並べる
或いは追い越すにはこれまで以上の頑張りが必要です。

日本企業の問題点は多くの企業が国内市場で過当競争をしているい
るために多くの業界で海外に比べて収益力が低いという点です。石
油業界のようにここ数年で大きく再編が進んだ業界もありますが
まだ多くの製造業でメーカーが乱立しています。今後確実に人口減
が進むとともに国内市場に大きな伸びが期待できません。さらに収
益率を高めるためには国内での再編が必要です。ここ数年日本企業
の収益率が高まったのは事実ですが、これまでの延長戦上の対策で
は限界が近いのも事実です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本企業の生きる道

2018-05-30 05:48:58 | 日記
NY市場の休場もあり29日も閑散に売りなしかとみていましたが
イタリア政局の緊迫化でリスクオフのムードが一気に広がった
ようです。29日の米国株の大幅下落を予想したような動きでした。
米朝首脳会談の開催の有る無しで一喜一憂していた市場でしたが
相場を大きく動かす要因はノーマークだったイタリアやスペイン
の政治状況だったようです。市場はこの問題を織り込む過程で変
動が避けられなくなったようです。

世界初の市販クオーツ腕時計を世に送り出したセイコーが1970年
代に特許を公開したことで各時計メーカーがクオーツ時計に参入
したことで低価格が進み爆発的に普及しました。スイスを始めと
した欧米勢は機械式時計が売れなくなりクオーツショックとも呼
ばれました。

イノベーションが起き既存の産業が衰退する法則にしたがえば欧
米の機械式腕時計メーカーは消える運命になっても不思議ではあ
りませんでした。しかし機械式腕時計は1990年代に見事に復活し
ます。時間を正確に知るだけならいくら高価な機械式時計でもク
オーツ時計には太刀打ちできません。

しかし、腕時計が単に時を知る道具だけでなく宝石などと同等の
高級アクセサリーにまで進化させたことが復活の大きな要因です。
熟練の職人がコメ粒ほどの部品を一つ一つ組み上げる機械式時計
は大量生産されるクオーツ時計に比べて芸術品の領域にまで到達
したことです。

数十万円から1000万円を超える商品まで機械式高級は幅広い価格
帯を設けることによりファン層を拡大させました。またスイスや
ドイツなどは職人に対する評価が国を挙げて高いことが機械式腕
時計の市場をここまで広げました。

巨額な資本が必要で技術を簡単に模造でき国を挙げて産業を振興
している中国と同じ土俵で日本企業は戦っても勝ち目はありませ
ん。一時は日本企業が世界を席巻した太陽電池や液晶パネルも大
型投資を短期間で決断してしまう中国勢には叶いません。最近で
は自動車用リチウム電池での攻勢も激しく既にこの分野では世界
のトップランナーです。

物量作戦で来る中国勢とは違う土俵で戦うしか日本の生きる道は
ありません。インバウンド需要や越境ECで資生堂やコーセーの
高級化粧品が中国人に受け入れられているのは中国メーカーが
まねできない品質だからです。中国や東南アジアが経済成長して
国民の所得が増えればより品質の良いもの高級なものへと需要が
シフトします。日本企業の生きる道は化粧品メーカーのように
差別化できる商品を開発できるかどうかです。

投資のヒントもその辺にありそうです。化粧品メーカーや花王や
ユニ・チャームの日用品メーカーの株価がここ数年でここまで上
昇するとは思いもよりませんでした。国内市場が中心で今後人口
の減る日本ではあまり期待できないという先入観念がお宝を掘り
当てられなかった原因です。

日本人が思っている以上に海外での評価が高い商品を出している
企業を見つけることが投資の世界でも生き残る道かもしれません。
高級機械式腕時計の地位を確立したスイス勢や高付加価値の化粧
品が中国人にヒットした日本の化粧品メーカーが教えていること
が投資の世界でもヒントになりそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京市場は既に梅雨入り?

2018-05-29 05:08:09 | 日記
昨日九州北部と四国が梅雨入りしたというニュースが出ていました。
平年よりも8日早い梅雨入りとなったようです。東京市場も既に売
買の面からは梅雨入りしてしまったかのようです。昨日の売買代金
は1兆8000億円弱と上下に大きく振れる手掛かり材料もなく非常に
薄い一日でした。

米国市場が28日まで三連休ということと週末に米国の雇用統計の発
表を控えていることもあり今日の東京市場も昨日に続き売買代金が
2兆を下回るのか超えられるのかどうか微妙なところです。3月末
からの状況局面でも商いは膨らまず先物主導でしたが、21日を境に
急激に調整ムードが広がってしまったのも先物主導相場の脆さを露
呈してしまったようです。

今日も「閑散に売りなし」の格言に従えば下値も限定的な一日にな
るかもしれません。先物主導で21日に2万3000円を回復しましたが
既に上昇エネルギーは使い果たしてしまったのでしょうか。円相場
が109円以上をこのまま維持できれば四半期決算では業績上昇修正
する企業は限られるでしょうが、中間決算には上方修正ラッシュに
なると考えるのは少々楽観的過ぎるでしょうか。

市場ではイタリアの政局不安やトランプ大統領の自動車輸入関税引
き上げ懸念からユーロ圏の景況に不安が出てきたというニュースも
伝わっています。今月急激に進んだユーロ安で東京市場も欧州での
売り上げ比率の高い電機や精密株中心に値を下げる銘柄が増えてい
ます。やや過剰反応のように感じますが、相場の弱さがそう言わせ
ているもかもしれません。

円高・ユーロ安はドルに対しての円安メリットを企業によっては帳
消しにするかもしれず、ユーロ安が俄かに波乱要因として浮上して
きました。2019年3月期の純利益が事前予想の減少から増加に転じ
るためには輸出関連企業の業績上方修正が是非とも必要です。ユー
ロ安が一段と進めばドル安・円高に傾くという見方も出ています。

もっとも多くの日本企業が今期のユーロの想定レートを125円程度
に設定しています。現状の水準なら業績の足を引っ張ることは考え
にくいようです。それよりもユーロ圏の景況感が悪化しているのは
中国向け輸出が落ち込んでいることがあるようです。米中貿易摩擦
の影響で中国は米国からの輸入を増やしています。その影響で欧州
からの輸入が減少しているという見方があるようです。こんなとこ
ろにもトランプ大統領の進める保護主義の影響が出ているようです。

現状の日経平均2万2000円半ばの水準が割安でも割高でも無ければ
投資家は売りも買いも様子見になります。2万3000円台の価格水準
で推移していた1月の信用期日が今後到来します。相場の先高観が
後退すれば前倒しで信用の決済売りが出て来ることも考えられます。
5月は11日のSQ前後堅調に推移しましたが、6月8日のメジャーSQは
このまま不安材料を抱えたまま迎えると波乱も予想されます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やはりSell in Mayになるのか?

2018-05-27 12:17:47 | 日記
※ 急用ため28日の更新を一日早めます。

先週の東京市場は晴天から突如として大雨という具合に相場が急変
しました。なかなか遠かった2万3000円回復を2月2日以来達成し
た途端にその後の3営業日で565円も下げ僅か3日間で5月の上昇分
を帳消しにしました。トランプ大統領の高関税適用の懸念材料の出
た自動車やイタリアの政局不安でユーロ安が進んだことで欧州市場
売り上げ比率が高い銘柄の下げが目立ちました。

25日は小幅に反発して何とか落ち着きを取り戻した格好ですが懸念
材料の出た銘柄には売りが続いたようです。米朝会談の中止や輸入
自動車に最大25%の関税を上乗せする案が突然発表されるなど貿易
問題に関してのニュースはまだまだ出てきそうです。トランプ大統
領が高い要求を出し相手側の譲歩を引き出す戦術なのは分かってい
てもやはり値ごろ感だけでは買い向かうことは躊躇されるようです。

貿易摩擦のお膝元の鉄鋼や自動車産業は既に米国経済を躍進させる
主要産業な産業ではありません。産業の規模を表す株式の時価総額
をみれば明白です。確かに米国の巨額な貿易赤字は巨額であり限ら
れた国が巨額な黒字を出し続けることは自由貿易の障害にもなりま
す。しかし米国への輸入を制限することではなく貿易黒字国の輸入
障壁を取り除き米国からの輸出を増やす政策が正しい解決方法です。

中国の資本規制や知的財産権侵害などなど日本や欧州諸国も大きな
問題意識を持っています。中国も新興国から世界第2位の経済大国に
上り詰めましたからより公正な市場になるように自ら制度を改めな
ければなりません。米国からの圧力で自動車関税を25%から15%に
下げる中国の対応は米国のみならず日本や欧州のメーカーも恩恵を
受けます。

中国が経済規模に合わせて今後も一段と市場開放を続けることは長
い目で見れば中国にもメリットはあります。また今回の自動車問題
で図らずも日本の産業構造が自動車頼みという長年の課題も未解決
なままだということがはっきりしました。自動車に次ぐ日本経済の
柱の登場が待たれます。


3月下旬から順調に上昇を続けてきた東京市場ですが、上昇期間2ケ
月で大きな節目を迎えるのでしょうか。米国株のモタツキ、円安ト
レンドの一服、米朝首脳会議の中止による地政学リスクの揺り戻し
イタリアの政局不安でユーロ安への懸念など外部環境の悪化はいず
れも株安要因です。3月期決算企業の株主総会開催の6月は株安が
過去進んだという記憶もあります。

日経平均指数に大きな影響のある自動車や電機などの下値不安が払
しょくできない限り日経平均の2万3000円再度のトライは難しそう
です。このまま2万2000円を割り込まず日柄整理に持ち込めるのか
それとも一段と投資環境が悪化してもう一段下の安値を試す場面が
出てくるのか勝負の6月になりそうです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

予想外の出来事が日常に

2018-05-25 06:25:22 | 日記
またしても繰り返されました。原因はどうであれ、ある日突然
上昇の歯車が狂い一方的な下げ相場がやってくる。日本株はCTA
(商品投資顧問)達のマネーゲームの場所なのでしょうか。何と
いってもCTAの特徴は相場の値動きを分析し、相場の上げ下げに
かかわらず収益をねらう「トレンドフォロー型」の運用が主流で
ある点です。

相場が上昇時はひたすら買いポジションを積み上げ相場が変調を
きたしたとなれば一気に買いポジションを解消する。また相場の
下げが続くという分析結果が出れば買い方から売り方に一気に方
向転換するという投資手法です。

投資現場に人の手が介在すれば迷いや躊躇といった心理が働きま
すがコンピュータの世界では白か黒の二者択一です。相場の方向
性が決まれば後は粛々と命令を実行するのみです。人間のように
忖度など雑念がある投資家ではとても相場急変時には太刀打ちで
きません。

先物取引がある限り、裁定取引がある限り、アルゴリズムによる
システムトレードがある限り個人投資家も現状の相場変動と付き
合わなければなりません。彼らが超短期での取引が守備範囲なら
個人投資家はもう少し長めの期間での投資を徹底するしかありま
せん。同じ土俵上で競っても我らには勝ち目はありません。

日本株の弱点は上場企業に景気敏感株が多いことです。トヨタや
キャノン、ソニーなど絶対利益額の大きな企業は輸出型産業でも
ある訳です。少なくともあと2年弱は保護主義を標榜するトラン
プ大統領と付き合わなければなりません。中国ほどではなくとも
対米黒字の大きな日本と米国の同盟国であっても自動車や鉄鋼な
ど米国の伝統的産業と競合するセクターでは摩擦が避けられません。

たとえそれがWTOに照らしてアウトでもここまで貿易相手国に対
して強硬姿勢を貫いてきたトランプ大統領の政策にはある程度
結果が伴っています。とても相手側に高めの球を上げて譲歩を
迫る手法はまだまだ続きそうです。通商問題が選挙問題と深く
結びついている状況ではいったん摩擦が後退しても再び出てき
ます。

突然出てきた輸入車に対する25%関税案も狙いは米国への輸出が
多い日本、ドイツ、メキシコを狙い撃ちにしたものです。この3
国は中国に次ぐ米国の貿易赤字国とも重なります。相手国に対し
てもっとも痛手を受けるような分野をやり玉にあげ相手国からの
大幅な譲歩を引き出す戦略です。日本はTTP11を推進して貿易面
で2国間交渉を志向している米国をけん制したいところです。

しかし簡単に日本の思惑通りにことが運ぶのは難しいようです。
自動車関税の25%問題や米中二国間会議の中止など数週間前には
予想もしなかった事柄です。予想外のことが日常になるような
ことが今年は多く起きそうです。忍耐が試される相場はまだ続き
そうです。

26、27日の更新はお休みします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする