kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

相場は相場に聞け

2023-08-31 06:00:24 | 日記
30日の日経平均は3日続伸して急落する前の8月前半の水準まで戻してきました。米経済
指標が労働市場の過熱感の和らぎを示しFRB)よる追加利上げ観測が後退したことを好感
した米国株の上昇が安心感を誘ったようです。

新高値を付けた銘柄もセクターによる偏りは少なくメガバンクの一角や地銀それに証券株
の上昇の背景には1倍を大きく下回る低PBR株の底上げ、食品や建設セクターの人気は原材
料価格上昇の一服と値上げ効果が背景にあるのでしょうか。

中国景気の不透明感などから外需に不安が出ている工作機械業界ですが、その中でアマダ
や牧野フライス株は30日も年初来高値を更新しました。同業のオオクマやツガミが年初来
安値圏で推移しているのとは対照的です。人気の背景にはM&Aということがあるのでしょうか。

相場のリード役が見当たらないと言ってしまえばそれまでですが、テーマ株や特定のセク
ターの株だけを買い上げる相場よりも持続力はあるかもしれません。円安トレンドの継続
など中間決算で上方修正期待は高まります。相場が崩れそうで崩れないのは業績への期待
が継続しているからでしょうか。

海運3社の動きは特筆するものです。今期大幅減益にも拘わらず川崎汽船と商船三井は10年来
高値を更新しました。郵船も高値圏で推移しています。海運銘柄は典型的な市況産業です。
コンテナ事業を3社が統合したのは特に市況変動が大きくもう1社単独では生き残れないとの
判断からです。そのコンテナ統合会社の利益急増が海運各社の業績を大きく押し上げました。

今期はコンテナ市況の下落もあり各社は大幅減益予想ですが、自動車運搬船やLNG船の好調
や円安もあり3社とも業績を上方修正しました。過去数年の好業績もあり体質は格段に強化
され減益でも高水準の株主還元が可能になったようです。海運3社の今年の上昇は多くの投資
家の予想を越えるものでした。

味の素の株価の動きも従来にない動きです。株価はこの3年間で3倍になりました。今年10年
来高値をずっと更新しています。テック銘柄ではなく食品業界に属する味の素の株価がこれ
ほど永い期間上昇すること自体驚きです。生成AI関連とかインバウンド関連などのテーマで
物色されているのとは違う動きです。

これだけ上昇しても余りニュースにもならないことがかえって息の永い上昇に繋がっている
のでしょうか。株価を刺激するような材料がないにも拘わらず高値更新する銘柄は本当に強い
というのが率直な感想です。銘柄選びはやはり相場に聞くのが正解なのでしょう。
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EV戦国時代

2023-08-30 05:55:19 | 日記
29日付の日経新聞の記事によると中国では新車の値下げ合戦第2幕が始まったようです。
第1幕は中国市場でBYDに対抗すべくテスラが今年1月に始めた値下げでした。この時は
他社も追随して値下げ合戦が勃発、市場の公正な競争秩序を乱しかねないという理由で
中国当局が調整に乗り出しました。そしてその後過当競争を避ける合意が業界でなされ
ました。

しかし独禁法に抵触する恐れがあり、しかも国民から批判が高まり合意から2日後には取
り下げられました。その後も中国景気が不動産不況もあり減速する状況で自動車販売競争
が再び激化、新車の値下げ第2幕が始まりました。

値下げで販売が持ち直したとの見方もありますが、更なる値下げを見越しての買い控えや
新車の値下げは中古車価格の値下がりに繋がりブランドイメージ価値の毀損になります。
短期的な値下げでの需要喚起は中長期的な健全な市場を壊します。

新エネ車の値下げ合戦はガソリン車には販売減や値下げ圧力の高まりからメーカーの採算
悪化に繋がります。既存のガソリンメーカーには短期的には逆風です。しかし乱売合戦に
後に待っているのはメーカーの淘汰や合従連合です。特に資本力の乏しい新興EVメーカー
は競争激化と販売減で赤字が拡大する可能性が高くなります。

25年には既存のメーカーもEVの品揃えが豊富になります。今以上にEV市場は競争激化が
進むでしょう。自動車市場のような耐久消費財は中古車市場が重要です。耐久性や安全性
そして故障の少なさなど総合力が勝負を分けます。高級車市場でドイツ車が高い評価を得
たのはブランド力が世界のユーザーが評価したからです。

テレビの情報番組で記者による新興EVメーカーの市場レポートが流れます。EV特有のスム
ーズな走りや音の静かさなどを評価する発言がありますが少しの時間試乗しただけで車の価
値が分かるのでしょうか。ブランド品とは一般に永く使い続けても品質の劣化が少ないとい
うのが消費者が評価するポイントではないでしょうか。

短時間での試乗で果たして何が分かるのでしょうか。自動車のような耐久消費財を選ぶ基準
は永く使っても安心できる品質ではないでしょうか。ガソリンエンジンからモーターに置き
換えられたEVは部品点数も劇的に減少し動力源に関しては故障するリスクは少なくなったの
かもしれません。

しかし車の基本性能は走る、曲がる、止まるという3要素が重要です。自動車づくりの永い
歴史がある既存のメーカーが創業間もない新興EVメーカーに太刀打ちできなくて市場から
退室してしまうことが本当にあるのでしょうか。テスラやBYDは確かにEV市場の覇者への
権利を勝ち得たでしょうが、まだ本当の勝負はついていないのではないでしょうか。
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もう一つの中国リスク

2023-08-29 06:18:50 | 日記
28日の東京市場は先物主導で大きく上昇し再び3万2000円を回復しました。25日の国際経済
シンポジウムでのパウエルFRB議長の講演は特に目新しい発言はなくイベント通過で買戻し
が上昇に寄与したようです。

円安を材料にトヨタなど自動車セクターや三菱重工などの機械セクターや商社や東京エレク
などの半導体セクターが物色されたようです。一方、資生堂や三越伊勢丹、OLC、JR東海と
インバウンド関連が幅広く売られました。

東京電力福島第1原発処理水放出後、中国側の反発が大きく「中国では日本への団体旅行キャ
ンセルの動きが出ている」などと一部メディアで伝わったことが影響したようです。個人旅行
に比べ団体旅行で来日する観光客は日本への観光ということになると回りからの反発も予想さ
れ影響を受けやすいのでしょう。

今後中国政府の強硬策がどこまで続くのか、それ如何によっては少なくとも今年の中国からの
インバウンド客には大きな期待が出来ないかもしれません。対日感情が一段と悪化するのか
中国政府のサジ加減次第でしょうか。

もっとも一段と対日感情が悪化すればインバウンドだけでなく中国国内でビジネスを展開して
いる企業も影響は免れません。中国事業の比率が高い良品計画やサイゼリアはこのところ上昇
していただけに利益確定売りで下げました。

一方中国事業を成長ドライバーとしているファーストリテイリング株は過去3か月間での安値
圏で推移したいたこともあり指数の上昇がマイナス分をカバーしたようです。本当にこの問題
が現時点で日本製品の不買運動などに繋がる懸念があるのならトヨタなどの自動車セクターの
中国販売の一段の逆風になるという懸念から下落しても不思議ではありません。

市場ではそこまで深刻になっていなのでしょうか。しかし今回の処理水の問題が無くても中国
の爆買いの復活は難しいとの見方もあります。かつては高品質の日本製紙おむつを転売目的で
大量に買い込んだ中国人も現地メーカーの品質向上などもあり需要は消滅したとの見方もあり
ます。

哺乳瓶のピジョンや小林製薬それにコーセーや資生堂株は今回の問題が浮上する以前に下落ト
レンドが続いていました。中国の景気悪化や日本製品への需要減退もありコロナ前のような爆
買いはもうないということが言われています。人民元に対してはドルやユーロ程ではありませ
んが円安です。

景気が悪いからこそ安く買い物が出来る日本に来るとの綱引きでしょうか。10月の国慶節で
中国からのインバウンド客の急増を皮算用していた市場にとっては何ともタイミングが悪い
処理水問題でした。中国からの観光客が増加するのか。マスコミが騒いでいるだけなのか
今後の展開の推移を見守りましょう。中国の不動産問題は既に多くのマスコミが報道してい
ます。原発処理水放出問題を発端とした中国の対日感情悪化がどのような推移を辿るのか
当面目が離せません。
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14億人のエゴ

2023-08-27 09:11:10 | 日記
バーナンキ議長の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)での講演は特にサプライズ的な
内容はありませんでした。利上げの行方は経済統計次第という従来からの発言から踏み込んだ
発言はありませんでした。当初市場では昨年の講演を受けて市場が大波乱になった記憶がまだ
残っていて警戒する市場関係者もいましたが、サプライズ無しという結果でした。

市場注目のイベントを通過してアク抜けを期待したいところですが、今週末には雇用統計そして
CPIの結果次第では再び市場が大きく動揺する事態もあるかもしれません。日本の市場では9月は
3月期企業の半期の決算期末でありメジャーSQも控えています。短期的には海外投資家や国内の
機関投資家の売買が薄くなり相場が一方通行になることも考えられます。

現在の日本市場では円安も買い要因として追い風になっていないこともあります。先週の動きを
見る限り直ぐに3万3000円台を回復するような強さはないようです。むしろしばらくは下方向
(3万1000円割れ)への警戒感を持つべきでしょうか。

福島原発の処理水の放出が始まりましたが、中国の反発は予想以上に強さでだったようです。日本
の水産物の全面輸入禁止まで予想した政府筋はいたのでしょうか。中国当局は国民の生活安全の
ためという大義名分ですが、科学的根拠の伴わない一方的な対応に改めて現在の習政権は異常な
側面が垣間見られます。

日本の水産物全面輸入禁止で中国側の輸入業者や日本食レストランんど外食産業で働く中国人スタ
ッフにも影響が及びます。中国の若年層の失業率は高いままです。外食などサービス業の足を引っ
張る政策はブーメランのようにやがて中国経済にも悪影響が出てくるのではないでしょうか。少な
いとも海外資本は中国でのビジネス上のリスクがさらに高まって来たと考え中国への投資に慎重に
なるかもしれません。

公明党党首の中国訪問が延期されました。日中関係は悪い方向に進んでいるのは間違いないようです。
中国国内でのビジネスの比率が高い企業は当面敬遠されるかもしれません。団体旅行解禁で期待が高
まる中国からのインバウンド客にも今後影響が出るかもしれません。マスコミが伝えているように日
本の水産物の安全性が問題視されているなら、わざわざ日本を旅行先として選ぶでしょうか。

中国からの団体客解禁で消費が2000億円程度上乗せが期待されるという皮算用も怪しくなるかもしれ
ません。10月の国慶節での中国人観光客がどこまで増加するか慎重な見方も必要です。そもそも習政
権が続く限り米中対立も続き米国の同盟国である日本への風当たりも強まることが予想されます。
日本のマスコミが処理水問題で騒ぎが大きくなれば中国の思う壺です。ビジネスも観光も中国リスクを
今後は注視してみるべきです。
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中国ビジネス

2023-08-25 06:07:59 | 日記
先週3万1000円台前半まで下落し更なる下げに警戒感が強まった今週の日経平均でしたが
木曜日まで4営業日続伸して2万2287円まで盛り返してきました。24日の市場ではエヌビ
ディアの決算が市場予想を大きく上回ったことで東京市場でも半導体分野の銘柄に人気が
集まり指数の上昇をリードしました。

もっともGPUの検査装置を手掛けるアドテストは最も恩恵を受ける銘柄のひとつで、最高
値の更新が視野に入るとの期待も出ているようです。24日にアドテスト株は寄り付きこそ
5%を越える上昇を記録しましたが、買いは続かず大引けは310円高(1.6%)と伸び悩みま
した。

PCやスマホ用のCPUやDRAMなどのメモリー需要の回復が未だ見込めない状況ではエヌビ
ディアのGPUだけの需要のみでは心もとないのかもしれません。

24日には中国からの団体旅行の第一弾が羽田空港に到着しました。10月の国慶節での訪日
客に期待が高まります。一方中国は日本が原発処理水を放出に抗議する形で日本からの水
産物輸入を全面禁止にしました。

政府のサジ加減一つであらゆる事柄が決まってしまうお国柄は不確実性が今後も付きまと
います。特に日本が中国からの訪日観光客に期待が高まれば外交カードとして重要性が増
します。最悪のケースなら何とか理由を付けて再び団体旅行客のビザ停止ということもあ
り得ると考えて対策を考えるべきでしょう。

以前尖閣列島の領有権を巡って中国との関係が悪化した時には中国国内で日本製品ボイコッ
ト運動が発生しヤオハンデパートなど日系小売りは不買運動で大きな影響を受けました。
中国とのビジネスは今後ますます難しい局面がありそうです。


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