kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

日産までも

2016-02-29 07:24:30 | 日記
年明け以降の世界的な株安や円高は過去数年続いた日本株の追い風が
転機を迎えたことを示しています。米国景気の力強い回復→FRBが年4回
ほどの利上げ実施→円安基調の継続→円安や米国景気の順調な回復で
日本からの輸入が増え日本企業の業績好調が続くというバラ色のシナリオ
は取らぬ狸の皮算用に終わりそうです。

今年の円相場は125円を超える様な円安の可能性は限りなくゼロになりむし
ろ年間平均では115円で収まれば御の字、最悪の場合110円弱ということだっ
てあるかもしれません。大統領選挙のある今年は通貨安誘導との批判も候補
者の間では聞こえてきていますから円安派論者には当面厳しい状況が続きそ
うです。

原油などの資源安から日本の輸入は大幅に減少し今後も徐々に原発の再稼
働が増え原油やLNGの輸入は前年に続いて今年も減少が予想されます。日
産やホンダは今後日本からの輸出を増やす方針です。結果的に貿易収支の
黒字は今後も増加しそうで需給面から円高ドル安の要因になります。円相場
に援軍が来るとしたらマイナス金利で運用難に陥っている日本の機関投資家
が外債購入を増やすとか海外M&Aがことも高水準に達して円売りドル買い
需要を期待することぐらいです。

しかし外債投資には為替差損がつきまといます。ドル金利の低下もありヘッジ
コストが低下すればヘッジ付の外債投資が多くなり円安要因もその分低下しま
す。現状からは円安頼みの株高はもはや過去のものです。ポスト円安でどのく
らい日本株が頑張れるのか正念場になりそうです。

年初から2月第3週までに海外投資家は現物株を2兆6千億円売り越したと推計
されています。この中には原油安で財政が厳しくなった産油国の売りがかなり含
まれているということが言われています。市場関係者の一部には今後も原油安が
続くと産油国の売りは継続するという見方をしています。

長期安定株主だったオイルマネーが去り新しい株主はモノを言う株主が増える
ことは容易に考えられます。企業に対して益々増配や自社株買いを求めてくる
でしょう。決算発表時ではなくこの時期の日産の大規模な自社株買い発表はそ
んな動きを先取る動きなのかもしれません。

年初から自社株買いを発表する企業が増加しています。金額の大きいところを
挙げるとソフトバンク(5000億円)、ドコモ(5000億円)、新日鉄(1000億円)いすゞ
(600)、KDDI(500億円)などです。株価低迷と企業の手持ち資金が過去最高
水準に積み上がっていることもあり今後も自社株買いに踏み切る企業は増える
でしょう。勿論丸々市場からの買い取りだけでなく大株主からの取得や持ち合い
株取得分もあります。しかしオイルマネーなどの海外投資家の売りで需給面での
不安が大きい現在の市場では自社買いは平常時よりもプラス効果は高そうです。

中長期的にもROEの向上と増配余地も広がりも期待でき永く指摘されていた
欧米企業と比べて日本企業の株主還元の低さの改善にも繋がります。今後増
配や自社株買いが出来るほど財務や業績の先行きに自信のある企業とそうで
ない企業との差が鮮明になりそうです。
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ホンダの答えは?

2016-02-27 08:29:38 | 日記
日本の基幹産業はかつては電機産業と自動車産業でした。しかしシャープや
東芝の凋落に象徴されるように電機業界の地盤沈下はここ数年進んだ円安
でも止めることは出来ませんでした。韓国や台湾、中国企業との競争激化が
電機各社の苦戦の背景です。反対に有力なライバルがいないスマホ業界の
影の主役である電子部品業界はむしろ例外の分野です。

円安の追い風があったとはいえ全般的に自動車業界の収益力はやはり世界
の中ではトップクラスです。そんな状況で業績も株価もここ数年全く良いところ
がないのがホンダです。ホンダ不振の理由はタカタ製エアバックの採用比率が
他の日本メーカーに比べて突出していたためにリコール費用が膨らんだことが
大きいでしょう。しかし地産地消政策で輸出を極端に絞ったためにここ数年進
んだ円安メリットをほとんど享受できなかったことも裏目に出ました。

数年前本体で手がけた軽自動車開発が実を結びNシリーズが大ヒットして国内
販売100万台体制が目前になり輸出に頼らなくても国内工場の稼働が維持で
きると間違った判断を下してしまったこと。ホンダに取って4割まで拡大した軽自
動車市場の拡大が今後も続くいうと判断ミスが大きかったようです。競合他社と
の競争激化と税制の変更もあり軽自動車市場は登録車以上に大きな反動が続
きました。結果的にホンダは2015年度国内販売目標を2度にわたり下方修正に
追い込まれました。

伊東体制の元で進められた600万台体制が生産能力の余剰を生み稼働率の
低下が円安の追い風や米国販売の好調で軒並み過去最高の利益を上げる
ライバル達との周回遅れの収益回復となりました。結局世界6極体制を推し進
めた伊東体制で量を追ったことがホンダの独創的な技術や製品を生み出すと
いったDNAの停滞に繋がったのかもしれません。

HVと燃料電池車分野ではトヨタとともに先頭集団にいますが世界販売台数
ではトヨタの46%の水準です。巨額な開発費がかかる環境分野や自動運転
などの分野でトヨタと肩を並べるのは容易なことではありません。ホンダはこ
れまで技術開発力を梃に二輪車から四輪車へと分野を広げてきました。技術
開発力を磨くDNAはホンダを支えてきました。

しかしこれからも自前主義を続けることが果たしてベストな選択なのか自社開
発だけにこだわるのではなく臨機応変にライバル他社や他の業界とのアライ
アンスも選択肢に入れるべきなのかもしれません。世界に目を転じればGMが
復活しVWも不祥事を起こしてしばらくは低迷するかもしれませんが、いずれ底
力を発揮して復活するかもしれません。トヨタを筆頭に1000万台で覇権を競う
3社を軸に今後も競争激化は必至です。

26日日産は4000億円の自社株買いを発表しました。自動車各社の来期は円安
の追い風が止んだことや新興国市場の不振もあり業績面では厳しい局面も予
想されます。しかしここ数年で大きく業績を伸ばし余剰資金は豊富です。株主還
元強化を求める声は日増しに大きくなるでしょう。大手3社でここ数年自社株買
いを実施していないのはホンダだけになりました。既存の株主の不満は溜まって
います。果たしてホンダは株主に対してどんな答えを出すのでしょうか。
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シャープ狂騒曲顛末

2016-02-26 07:58:00 | 日記
25日シャープ株はジェットコースターのように乱高下しました。鴻海による再建策
受け入れが市場に伝わった午前11過ぎに184円まで上昇しましたがその後一転
165円まで急落そして183円まで急騰また一転売りが殺到して173円まで下げ結局
午前は181円で引けました。

午後1時半過ぎに第3社割り当て増資のニュースが伝わると売買が一時停止になり
ました。売買再開後は割り当て価格118円に鞘寄せ一時36円安の136円まで下落し
ました。結局大引けは前日比25円安の149円で取引を終了しました。第3社割り当て
価格の118円は一株当たり純資産が2015年3月期で17円まで低下してしました。プレ
ミアムとして技術力&ブランド力を最大限に評価した結果として妥当だったようです。

シャープは2012年、13年の決算で巨額の赤字を計上しました。2014年決算では液晶
事業の立ち直りもあり経常黒字を確保し再建が進むと期待されましたが再び2015年
には巨額の赤字決算に転落し2016年も赤字基調から脱することは出来ませんでした。
今から考えれば2014年に黒字に転換したことがかえって仇となり抜本的な再建策を
後回しにしたことが自力再建の可能性を奪ったことに繋がりました。市況変動の激し
い液晶事業一本足の経営依存から最後まで抜け出せなかったことが全てです。

シャープ株が短期筋から人気を集められた要因は2月19日現在でも信用倍率が0.57倍
と拮抗していたことでした。これだけ永い間信用倍率が売り超の状態で続いたのも余り
前例がありません。それだけ市場にはシャープの再建に対する懸念も高かったようです。
スポンサーは産業革新機構に決まりと思われていたところに鴻海が急浮上して目先の
株価刺激材料として益々短期資金の格好のトレード対象になりました。しかし鴻海の支
援が正式に決まり第3社割り当て価格まで決まってしまっては既に目先的な妙味はあり
ません。

1億9000万株弱の出来高を記録した25日をもって鴻海提供によるシャープ劇場第1幕は
千秋楽を迎えたようです。今後は再建の進捗状況を横目に見ながらの展開が予想され
ます。液晶分野では鴻海主導である程度の改善は期待できるでしょうが元々ブランド力
の弱い白物家電の再建は鴻海の力を借りても前途多難のようです。

鴻海は25日に正式契約締結を延期しました。「シャープが24日朝に出した重要文書につ
いて精査する必要があり、取締役会前に契約の延期を申し出た」と発表した。二転三転
してきた鴻海との提携関係。変化の激しい業界でのし上がってきた鴻海を率いる郭董事
長は一筋縄でいかない相手であることを再認識した一日でした。
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クジラ幕相場の先は?

2016-02-25 15:06:12 | 日記
25日の東京市場は海外情勢の落ち着きもあり224円上昇の1万6140円で終わりま
した。12日に1万5000円を割り込んで以降東京市場はローソク足でいう陽線と陰線
が交互に現れるクジラ幕相場になっています。15日、16日は連続で陽線でしたが
その後は陰線と陽線を綺麗に繰り返す形です。

円相場は相変わらず112円台で推移し円安転換へのキッカケが掴みきれず輸出
関連銘柄の企業業績への警戒心は強いままです。しかし3年4ヶ月ぶりの低水準
に沈んだ裁定買い残高や年初から5300億円弱減少した信用買い残高は2013年
4月の水準まで減少しました。需給面の売り圧力はかなり緩和しました。

一段の円高懸念や世界経済の不安から上値は買い難い状況ですが1万5000円
まで叩けるほどではないという綱引き状態で結果的に1万6000円を挟んだ値動き
が続いています。クジラ幕相場の意味するところは市場参加者の気迷いです。
相場が上に向かうのか下になるのか判断つかずその日のトレンドが翌日まで
持続しないことです。

長期金利が急低下してイールドハントが株式市場に訪れてもよい筈なのですが
年初から世界的な株安が進み投資家も配当妙味はあっても値下がりリスクが取
れず買いたい弱気になっています。この異常な状態が尚も続くのでしょうかそれ
とも次第に正常な状態に戻るのでしょうか。今週末から3月中旬にかけて重要な
イベントが続きます。ひょっとしたら3月に転機が訪れるかもしれません。
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裏目ばかり目立つ

2016-02-25 08:40:31 | 日記
物事には必ず明と暗があります。もっか東京市場の懸念材料となっている
原油安や円高も日本経済に取っては元々プラス面とマイナス面があります。
当初原油価格が下がっていた時には原油安は産油国にはもちろんマイナス
ですが消費国である日本では企業はエネルギーや材料コストの低下個人に
は原油値下がりで浮いたお金を他の消費に充てることが出来プラス面の方
が遥かに大きいという見方が市場では多かったようです。

しかし年明け以降の日本株は原油安におびえています。行き過ぎた原油安は
産油国の財政を直撃し世界の株式市場からオイルマネーが引き上げられると
の見方から株安に直結します。また原油安によって石油産業の設備投資が減
少して関連産業の業績を悪化させます。またエネルギー産業の信用不安はリ
スクオフとして円高を引き起こし日本株の下落要因になります。

結局原油安もある限度を超えるとメリットよりもデメリットの方が大きいというの
が市場の答えのようです。車社会の米国では当初はガソリン安による消費の
拡大が期待されましたが実際には原油安などによる世界経済の混乱から先行
きを不安視した消費者はガソリン安で浮いたお金を消費ではなく貯蓄に回して
いるということが起きているようです。

黒田日銀のマイナス金利導入も追加緩和で株高に繋がるとの期待も空しく
金融株の業績下押し圧力となり金融銘柄の急落という暗の側面ばかり目立
つことになりました。東京市場では個人投資家に人気のメガバンクの大幅な
下げで懐具合が急激に悪化して投資意欲の低下に繋がりました。マイナス
金利導入といったサプライズも日銀の思惑とは裏腹に円高株安を助長して
しまいました。一段の金利低下でリスク資産へのシフトを期待していましたが
マネーは一層安全志向を強める結果になりました。

11月にIPOを果たした郵政3社も当初は上場人気の株高で個人投資家の
裾野を広げる役割を果たしましたが年明け以降の大幅下落で一転市場の
お荷物に代わりました。日銀のマイナス金利導入も想定外の出来事でゆう
ちょ銀行やかんぽ生命の金融2社への逆風となりました。郵政3社の株高
持続→株式等のリスク資産への流れを作ろうとしましたが当てが外れました。

ドル高円安も米国経済の回復が順調なら問題は起こらなかったでしょうが
ドル高が米国経済の足を引っ張る状況が鮮明になると米国側から不協和音
ばかり聞こえてきます。円安を追い風に昨年の末まで我が世の春を謳歌して
きた日本株は一転北風に晒されることになりました。米国経済の好調持続
から緩やかな利上げで円安トレンドが維持され日本株も一段高というシナリ
オが崩れてしまった状況で今後はどんなシナリオが出てくるのでしょうか。
桜の満開時期は確実に近づいていますが株式市場の満開時期は尚も見通
せません。
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