kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

先物御三家の今

2016-01-31 18:47:43 | 日記
21日に1万6017円まで下げた東京市場は原油相場の反発と29日の捨て身の
緩和策で年初からの下げ幅の半分の1500円戻しました。黒田バズーカ3はNY
市場さえも株高に導き結果からいえば1月相場の救世主になりました。日本株
と為替相場との連動性は高く円相場が120円を回復し一段と円安が進むようで
あれば何とか企業業績にプラスに働き追い風です。

しかし海運3社の決算や鉄鋼大手の決算で顕著になった中国景気減速に伴う
影響は予想以上に大きいようです。それに加えスマホ変調で好業績の代表だ
った電子部品の一角やファナックなどの業績に急ブレーキがかかってきました。
鉄道や通信の内需系銘柄には好業績を発表する企業がありますが序盤戦の
決算を見る限り日本株式会社全体では業績の下振れは避けられない状況です。
円安は好材料ですが中国経済に明るさが戻らなければ株高の持続性には疑問
符が付きそうです。

そんな中で値嵩株で指数上昇のリード役だった先物御三家の株価は昨年秋以
降不振を極めています。ソフトバンクはライバル2社の業績や株価が比較的底
堅く推移しているのに対して一人負けの状態です。直近の1ヶ月で比べてもドコ
モはプラス1.5%、KDDIはマイナス4.5%、ソフトバンクはマイナス14.2%です。昨
年の高値と比べればさらに差は大きくなります。ソフトバンク株の低迷のもっとも
大きな理由は2012年の巨額M&Aの結果が出ていないことと国内事業でもかつ
ての勢いはありません。

同様にファーストリテイリングはマイナス9.9%同業のしまむらがマイナス6.5%製
造販売といった業態の似通ったニトリがマイナス5.7%です。特にファーストリテイ
リングは7月高値61970円からは38%も下落しています。半年間の下落が如何に
大きいものかが分かります。季節要因と値上げによる顧客離れが共鳴する形で
高成長イメージの強かったファーストリテイリングの大きな失望に繋がりました。

ファナックはこの3社でもっとも下落率が大きく年初からは35%、2015年4月28日
の高値2万8575円からはマイナス45%とほぼ半値という惨状です。ファナックの
下げが突出しているのはキャッシュリッチの会社に対する株主還元強化期待の
追い風が業績と関係なく株価を急騰させたこと。業績の牽引役だったスマホ製
造向けのロボドリルの不振が29日の13%近い急落を引き起こしたからです。

3社とも高成長がウリで高いPERを今までは正当化してきましたが業績不振が
根深いものだということが広まるにつれてかつての輝きを失いました。高成長
銘柄の代表といった形容詞が紙面に踊っていたのはつい1、2年前です。
目先筋は指数寄与度の高いこれらの銘柄を集中的な買い上げることでいとも
簡単に日経平均を操りました。あれだかの人気銘柄がここまで低迷するとは
株式市場の移り変わりの速さを感じます。

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1月相場は1年の縮図?

2016-01-30 09:08:36 | 日記
大波乱だった1月相場がやっと終わりました。月前半は余りにも一方的に殴ら
れるボクサーのようであわやセコンドからリングにタオルを投げ込まれてTKO
寸前まで追い詰められましたが何とかファイテングボーズを示して試合は続行
でき第3ランド終了間際に右アッパーが相手に命中して一矢を報いたというの
がボクシングに例えればこんな感じでしょうか。

大発会に583円安という大幅下落で始まった2016年の東京市場はその後の
惨状を暗示するような展開が1月中続きました。結局大納会の1万9033円は
だけでなく1万9000円を一度も付けることなく1月相場は終わりました。始まり
が1万8818円、安値が21日の1万6017円、高値が4日の1万8951円、終値は
1万7518円と月間で1515円(8%)の下げでした。

テクニカル指標でも相場の異常さは出ています。騰落レシオは売られ過ぎの
70%割り込んで推移する日が多く空売り比率も40%越えというこれまで経験
したことがないほど冷え込んでします。両方の指数とも相場の底値を暗示す
る目安と言えるものです。一定水準よりも低下すれば相場は大底を入れその
後反転上昇して調整が終わるというのがこれまでのパターンでした。ところが
底値サインが灯っても下落が止まらなかったケースでした。1月相場は経験則
が通じない相場だったと言えるでしょう。

8月の下げと同程度の下げ幅である1万6000円で一様下げ止まりましたが今回
の方が先行き不安は大きいようです。まず株価の大前提である企業業績は今
期スタート時点では二桁増益が見込まれていました。ところが円安の反転と一
段の中国景気の冷え込みそれに原油安が重なり年末時点で一桁後半に下方
修正をされました。年明けの以降の原油の一段安と120円割れの円相場定着
で二度目の下方修正は下げられない情勢です。

株式市場でもっとも印象の悪い期中での2度の下方修正がおそらく決算発表が
峠を越えた時点で明らかになりそうです。今週その懸念が杞憂ではなく決算序
盤で早くも2度目の下方修正に追い込まれる企業が素材や機械銘柄中心に増
えています。スマホ関連の設備投資や電子部品業界は日本企業の競争力が
強く日本株全体の業績を支えた柱の一つだっただけにスマホ業界の変調は痛
手です。

日経平均採用銘柄の予想一株利益が減少することになりPER面から見た割安
感は後退し下値目途が切り下げる要因になります。海外投資家は年明け以降
高水準な売りを続けています。下げ止まらない原油安で財政状態が苦しくなった
産油国の売りが噂されています。オイルマネーの売りというここ数年株式市場で
ノーマークだった悪材料が顕在化し海外投資家大量売り=株安の連鎖という東
京市場の弱点が露わになりました。

29日に打ち出した日銀のマイナス金利導入という劇薬は市場にはサプライズで
した。市場の混乱ぶりは急騰急落さらに再上昇という午後の取引でも窺えます。
この劇薬が市場を覚醒させるのかあるいは一過性で終わるのかそれは現時点
では分かりません。29日の大幅高も40%を超える空売りの買戻しと短期筋の先
もの主導の上昇が背景です。持続的な株高には海外の長期投資家の参戦が欠
かせません。

年末時点での日経平均のコンセサスは1万8000円から2万2000円でしたが僅か
1ヶ月で早くも大幅な見直しが必要がどうかマイナス金利導入だけで事態が大き
く変わるとは思えませんが大幅な金融緩和での円安や米国景気の立ち直りでと
いう追い風が吹いたにも拘わらず決算発表序盤での内容は失望を誘うもので
した。好業績の企業もありますが日本株式会社全体では稼ぐ力がまだ脆弱だと
いうのが明らかです。アベノミクス4年目の相場は1月相場が1年の縮図と考えて
おくべきです。投資家はこのことを前提に投資戦略を考えるべきでしょう。
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トヨタの決断

2016-01-29 08:08:53 | 日記
トヨタとダイハツの両社は株式交換によるダイハツ工業の完全子会社化を取締
役会で決議する見通しです。憶測記事が出た27日には一時ダイハツ工業がスト
ップ高の水準まで買い進まれました。しかし現金による買収ではなく交換比率も
決まっていない状況での大幅高は勇み足になる可能性もあります。交換比率に
よってはダイハツによって株価の位置も変わります。

ダイハツの完全子会社化よりも同時に明らかになったスズキとの資本業務提携
の方が興味深いニュースです。スズキは国際仲裁裁判所の決定を受け昨年10月
VWの持ち株(20%)を買い戻しました。当時市場の一部にはVW問題の決着を受
けスズキは新たな提携先を模索するという見方が出てきました。その後スズキ社
長は長男を後継者に指名するのですが会長職の在任中出来る限り早く次の提携
先を探す必要があったのでしょう。トヨタもその候補に挙がっていたようです。

しかしトヨタとの提携には乗り越えるべき壁がありました。それはスズキと国内軽
自動車市場で首位を争うダイハツ工業の存在です。ダイハツはトヨタの子会社で
すが子会社とは言え上場している独立会社ですから親会社のトヨタがスズキと資
本業務提携すればケースによってはダイハツ株主から利益相反を指摘される可
能性もありました。おそらくダイハツの完全子会社化とスズキとの資本業務提携
はセットで考えられていたと想像されます。

ただしダイハツにはトヨタの完全子会社化には予てから強いアレルギーがあった
との報道もあるようです。子会社とは言え数年前までは両社の首脳が必ずしも
親密な関係ではありませんでした。ダイハツ社内でも現体制で十分やっていける
というのが主流でした。2012年には国内軽自動車市場で躍進を続けスズキを抜
き販売台数トップに立ちインドネシア市場の好調な販売が続き他社がタイ洪水や
円高で苦戦している中でも業績は絶好調でした。そのまま業績好調がつづいて
いたらあるいは完全子会社化の話は具体化しなかったかもしれません。

しかしホンダの躍進や日産自動車の攻勢で国内軽自動車市場はスズキとダイハ
ツの二強時代から4社による戦国時代に突入しました。競争激化や消費税の引き
上げや軽自動車税の引き上げもあり軽自動車市場の拡大は止まり昨年は登録車
よりも軽自動車の落ち込みが大きくなりました。またインドネシア市場の成長が止
まり前年比マイナスになりダイハツ工業にはダブルパンチでした。また世界の二大
市場の米国と中国に足場がなくここ数年進んだ円安メリットも同業他社のように享
受することが出来ませんでした。業績の低迷が独立心の強かったダイハツに完全
子会社化の背中を押した私は見ています。

ダイハツの完全子会社化とスズキとの業務資本提携のニュースはトヨタが円安や
米国市場好調が続いている間に次の一手を打ってきたことを示しています。今後
も成長期待の高いインド市場でトヨタは苦戦しています。同市場のテコ入れを差し
迫った課題です。インド市場で4割超のシェアを握り好調な販売を続けているスズ
キとの提携は必然だったのかもしれません。

自動車業界は今後も環境車開発や自動運転技術開発に巨額な費用が掛かりま
す。トヨタとスズキの提携は環境車開発でライバル関係にあるホンダの戦略や世
界販売100万台弱で自力での生き残りが難しい三菱自動車の行方にも今後市場
の注目が集まる可能性もあります。会社存続の危機からやっと出した三菱自動
車が生き残るには他社との提携は欠かせません。幸い三菱グループが背後に
あり環境車としてPHV車の開発では比較的優位性があることをアピールしてど
こまで有利な条件で提携相手を見つけられるのか経営陣の手腕が試されます。

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インバウンド3年目の試練

2016-01-28 08:37:41 | 日記
「インバウンド」という言葉が頻繁にマスコミに登場したのは2014年からです。
円安やビザの発給要件の緩和を受け訪日観光客が急増しました。その象徴
は訪日中国人観光客の爆買いです。大型観光バスが家電専門店に数十台
も横付になり続々と観光客が店内に吸い込まれるように入り炊飯器などをま
とめ買いする光景(爆買い)が映し出される映像度々が流れました。

同年の秋からは免税品目が日用品や食品に広がったこともあり爆買いは2015年
の夏にピークを迎えるまで増加しました。年明け以降小売りの現場で聞こえてくる
のは秋以降観光客の消費が落ちてきたという声です。爆買いの背景にあるのは
人民元高円安による割安感です。2015年の8月に中国当局が突然人民元の切り
下げを発表して円に対しても人民元安が進んだことと爆買いの勢いが低下したこ
とが同時期なのは偶然ではなく割安感が一時よりも薄れたことがありそうです。

事実上ドルとのペッグ制を取っていた人民元は円に対してドルと同様2012年から
5割程度通貨価値が切り上がり日本国内で買う方が割安感、お得感が顕著になり
ました。古今東西消費者心理は同じでお買い得と思えば同じ方向に向きます。特
に口コミが重要な判断基準になる中国人達にとってはスマホの普及もあり一気に
情報は拡散しました。それが爆買いブームを呼びました。もちろん割安感だけでな
く日本では偽物がほとんどなく安心感があったり日本でしか買えない商品もあった
でしょう。しかし買い物籠一杯にする大量買いのもっとも大きな理由は割安感です。

人民元は来年のSDR採用に向けて一段と元安が進行するという見方も一部には
あるようです。割安感お得感は次第に薄れ今後は過去2年のような爆買いは影が
薄くなりそうです。旅行の目的は買い物や観光、その土地特有の名物を味わうなど
が目的です。しかし中国人観光客に象徴される団体客の行動は余りにも買い物に
偏ったものです。

ここ数年で訪日観光客は倍増しました。一方中国、韓国、台湾からの観光客が
三分の二を占めることや訪問地も都市部に偏っていることや滞在日数も短く買
い物目当ての観光客が多いなど今後の課題も見えてきました。今後は量だけで
なく質の充実が必要です。買い物だけでなく飲食といったコトに消費してもらえる
ような長期滞在客を増やし日本ファンを増やしリピーターとして何度も日本を訪れ
て貰えるように取組必要があります。日本政府が本当に観光立国を目指すなら
第2幕に向けて行動を起こす時です。

今年の春節は2月8日です。現時点ではビザの発給件数は高水準で推移しており
春節期間の中国人観光客の増加は続きそうです。しかし株式市場では既にイン
バウンド消費銘柄でも明暗がはっきりしています。28日付の経済紙はインバウン
ド消費の陰りを伝えていましセイコーHGはインバウンド消費の陰りもあり10~12
月期は大幅な減益になりました。実力以上に買い上げられた銘柄の調整はまだ
まだ続くかもしれません。
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ジェットコースター相場の先に

2016-01-27 11:03:07 | 日記
東京市場は先週の急反発後も相変わらず値動きの激しい展開が続いてい
ます。この1週間の値動きもジェットコースターのような激しさです。20日(水)
が632円安、21日(木)が398円安で2営業日で1030円安で1万6000円割れ寸
前まで下げたと思ったら22日(金)は941円高と急反発、週明けの25日(月)も
152円高と今年初めて連騰を記録したものの26日(火)は再び402円の大幅
下落そして今日は11時10分現在391円高(一時500円を超える場面あり)と
相場の方向性は上か下かまだはっきりしません。

海外市場の原油相場に一喜一しています。日本株も海外市場が原油連動相場
の写真相場でしかも場中に上海市場が開くと上海株に振り回される展開です。
長期投資家が様子見する状況で相場を動かしているのは短期筋の先物主導
です。そこにレバレッジETFの売買が一層値動きを激しくしています。連日同ETF
が売買代金の断トツ1位に名を連ねる状況は好ましいものではありません。

トヨタがダイハツを完全子会社化するニュースが飛び込んできました。またトヨタ
とスズキが資本提携してインド事業を共同で開拓するとの報道もあります。円安
の追い風が止み新興国経済の低迷も長引く懸念が指摘され環境車開発や自動
運転開発にも巨額な資金が必要になる自動車ビジネスは先行きは楽観できませ
ん。この一連の動きは世界首位のトヨタが先陣を切って次の一手を打ってきたと
の見方も出来るかもしれません。

ポスト円安やインバウンド需要の後を見据えた日本企業の行動に広がりをみせ
れば長い目で日本株の評価を上げることになります。もはや外需銘柄、内需銘
柄の範疇を超えた評価基準が出てくるかどうかは日本株上昇のポイントになり
そうです。

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