kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

再編は必要

2018-06-29 04:22:00 | 日記
昭和シェルとの合併を巡って対立を続けていた出光興産経営陣と
出光創業家が一転和解することになりました。創業家が突然合併
反対を表明して丸2年で騒動は終止符を打つことになり国内ガソ
リン販売シェア31.9%の新会社が来春誕生します。

これで国内元売り業界は一足に経営統合を実現したJXTRのシェア
は52.7%を握っていますから2社でガソリン販売は85%近いシェ
アを握る圧倒的な寡占業界となります。一昔前の公正取引員会だ
ったらこんな合併は認められなかったでしょう。

しかし国内需要が減少を続ける石油製品を考慮して、もはや国内
だけのシェアだけを問題視するのは適切ではないということが認
識された結果だったのでしょうか。高度成長期ガソリン販売で高
いシェアを持っていた外資系石油販売会社は需要減少から日本事
業を縮小していきました。そんな状況もあり国内資本による大再
編も当局は認めたのでしょう。

圧倒的なシェアを握るJXTRが2017年4月に誕生して以降すっかり
ガソリンの乱売競争は鎮静化しました。乱売競争の元凶だった業
転ガソリンが元売りの集約でほとんど姿を消したことがガソリン
価格の安定を支えています。元売り大手は適正な利幅を確保でき
ることになり業績は格段に安定しました。

一方販売の現場では厳しい環境が続いています。ピーク時の1994
年度には6万421カ所だったガソリンスタンドは21年連続で減り続
け、2015年度末時点で3万2333カ所とほぼ半減しました。2016年
度以降の減少に歯止めはかからず3万を割り込むのは時間の問題の
ようです。

もともと国内市場ではガソリン消費の少ない軽自動車や小型車が
欧米市場に比べて大きなウェートを占めています。それに加えて
トヨタやホンダが開発の先陣を切ったHV車の普及が拡大したこと
でガソリン消費は年々減少しています。

今後も世界的な環境規制の影響もあり国内市場でもHVに加えて
PHVやEVなどの電動車のシェアは高くなることは避けられません。
縮む国内市場から成長の見込める海外市場や石油製品販売以外の
収益源を目指すことで生き残りを図るしか術はありません。消費
者としてガソリン価格は安いことは歓迎ですが、企業はしては適
切な利潤を生まなければ存続も危ぶまれます。

米IT大手のグーグルやアマゾンを引き合いに出すまでもなく市場
を独占できた企業は高収益を享受できます。消費者という顔から
はモノやサービスは安いことは歓迎ですが投資家だったら利益率
の高いビジネスを展開している企業に魅力を感じます。

日本企業の問題点は寡占状態の市場が少ないことです。様々な業
界で多くの企業が乱立し過当な販売競争を続けているために利益
率が異常に低い業界が多いことです。やはり成長を求めて世界に
出ていくためには国内での利益率の引き上げは待ったなしです。
石油業界のように集約が進んだ業界はまだ少数です。

健全な自由競争は資本主義では必要ですが、余りにも競合が多い
と過当競争から業界全体が低収益構造にもなりかねません。利益
が少ないと新たな設備投資や海外市場の開拓もままなりません。
強気企業を作るためには寡占も必要悪なのかもしれません。

30日、1日の更新はお休みします。
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日立はどうする

2018-06-28 05:56:08 | 日記
日本の重電各社が経営のお手本としてきたのが米国の名門企業で
あるGEでした。しかしGEの稼ぎ頭だった金融部門がリーマンショ
ックの影響でお荷物となりGEは金融事業から撤退しました。膿は
出し切った筈でしたが撤退した後も追加損失が続きました。その
影響もあり株価は業績低迷を反映して過去1年で50%弱値下がり
しました。今月にはダウ採用銘柄からも除外され1世紀前から採
用されていた歴史に幕を下ろしました。

しかし株主にとって悪いことばかりではありませんでした。GEは
6日発表した新たな経営戦略でヘルスケア部門をスピンオフし傘
下の石油サービス会社ベーカー・ヒューズを売却する計画を明ら
かにしました。今後は航空、電力、再生可能エネルギーの各部門
に経営資源を集中させ収益基盤の強化を図り複合企業から脱皮を
目指すことになりました。先週には産業用ガスエンジン部門を投
資ファンドに売却することも発表しました。

GEほどの名門企業でも収益低迷に陥れば聖域なき事業構造を断行
しなければ株主を納得させられません。低収益部門でも赤字に転
落でもしなければ大きく構造改革が行われることのない多くの日
本企業とは大きな違いです。

日本の重電業界のトップ企業である日立はリーマンショックでの
巨額な赤字転落で上場子会社の大規模な集約に乗り出しました。
14社あった上場子会社も半減させました。本体との相乗効果の
少ない日立物流や日立キャピタルの持ち株を外部の企業に売却し
子会社から外しました。

昨年にはやはり非中核事業という判断から米投資ファンドのKKK
に日立工機や日立国際電気も売却しました。現状では上場子会社
は5社まで減少しました。おそらく日本企業としてみれば十分合
格点という評価が出てくるかもしれません。しかしライバルのシ
ーメンスやフィリップスと比較するとまだまだ事業の絞り込むは
不十分ということかもしれません。

日立の場合、中核事業と位置付けている分野でも世界では業界の
トップ3に入る事業はありません。シェアの低い事業は多くの場
合利益率も低いのが現実です。複合企業のお手本だったGEが事業
の選択と集中を強化するという政策は置かれている業界の厳しさ
の証です。日立がグローバル企業として生き残るためにはもう一
段の構造改革が必要です。

日立は2019年3月期に中期目標の売上高8%を達成する見通しです。
しかし欧米の同業の利益率は10%台半ばです。日本企業としては
高くても世界と比べればまだまだです。8%を達成したとしても現
状の延長線上で改善が続くのでしょうか。中核事業をもう一段と
絞り込み利益率の高い事業に生まれ変わらせる必要がありそうです。

日立が期待しる風力発電事業も欧米企業は事業強化を打ち出して
います。事業スピードを欧米並みに早めないと取り残されること
にことになります。残された時間は余り多くはありません。直近
の株価がPER10倍を割り込んでいるのは米中貿易戦争の影響だけ
でなく日立が現状の事業構造のままでは大きな成長が期待できな
いというサインかもしれません。
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今年のテーマ?貿易戦争

2018-06-27 06:49:56 | 日記
世界の市場はトランプ大統領が次々に仕掛ける施策で貿易戦争
突入も現実味を帯びてきました。勿論最大の標的は中国です。
中国製品への高関税適用だけにとどまらず資本規制導入も俎上
に挙がってきているようです。世界第2位の経済大国に上り詰
めた中国への貿易戦争も辞さないトランプ政権の方針は当該国
中国だけで欧州や日本それに世界の経済も巻き込む危険性があ
ります。

欧州が米国による鉄やアルミへの関税適用に対抗して報復関税
に踏み切ると早速新たなる対抗策を打ち出すとのニュースも出
ています。米国向けの自動車に高関税をかけるのではないかと
いう観測が出ています。いよいよ本丸である自動車分野にトラ
ンプ大統領は踏み切るのでしょうか。世界的な株安は最悪の事
態も織り込み始めた兆候なのでしょうか。

トランプ大統領は当初、大幅減税実施や金融規制緩和それにイ
ンフラ投資などビジネスにやさしい政策を打ち出し市場は歓迎
ムード一色でした。一連の政策で米国の成長率が高まれば世界
経済にとっても好ましいことです。ところが大幅減税法案が議
会を通過したところが雲行きが怪しくなってきました。

年明け以降北朝鮮問題はありましたが、それ以外は貿易問題一色
です。しかも相手国は中国だけに止まらず欧州や日本などもう手
当たり次第に喧嘩を売っている状況です。高関税をかけた相手国
が報復関税を打ち出せばさらに対抗処置を出してくるという負の
連鎖です。

トランプ大統領が相手国と有利に交渉するための強硬策に出るの
もディールの一つの手段だという見方がありました。しかしそれ
にしては最近の一連の動きは強引さが増してきているように感じ
ます。どこかで妥協点を探るのがディールだとすれば振り上げた
拳を下すタイミングが大事です。それにしては最近のトランプ大
統領の言動は相手国を追い詰めるばかりで出口が見えません。

確かに米国は巨額な貿易赤字国です。しかし関税合戦で浮かび上
がってきた事実は大型二輪車や欧州メーカーの高級自動車の輸出
がかなりあるという事実です。米国の産業構造が変わり製造業の
地盤沈下が進んだと言われていますが、競争力を維持している製
造業も残っているという事実が明らかになりました。

勝者が存在しないと言われている貿易戦争の行方が今年の市場の
最大の関心事として浮上したことだけは間違いないようです。現
在の状況が夜明け前が一番暗いということになればいいのですが。

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狙うはメルカリそれともLINE

2018-06-26 04:44:32 | 日記
公開価格3000円に対して5000円の初値を付け一時はストップ高の
6000円まで上昇して期待通りの好調なスタート切ったかと思われ
たメルカリでしたが、上場2日以降3日続落しました。22日の終値
は4550円と初値から1割近く下落し売買高も上場初日の九分の一
に減少しました。人気離散は誰の目にも明らかだったようです。

やはりマザーズ市場でのIPOとはいえ時価総額が初日時点で7000億
円弱という巨額なことで人気持続には海外投資家の力が必要でした。
上場前には海外投資家からの引き合いが強かったことでセカンダリ
ーでも買いが期待されましたが、結果だけから判断すれば肩透かし
に終わりました。

日本では数少ないユニコーン企業の上場でありテレビCM効果など
から知名度も高く1部市場の主力銘柄が貿易戦争激化懸念から輸出
銘柄中心に手掛けづらい状況でしたから上場後しばらくはメルカ
リ人気は続くものと期待されましたが、相場は難しいものです。

人気はむしろIPOの先輩格でありメッセンジャーアプリの「LINE」
に移ったようです。LINE株は22日に10%弱と大幅な上昇を演じま
した。人気のキッカケは外資系証券のJPモルガンが投資判断を最
上位のオーバーウエイトに引き上げたことです。

今12月期の業績予想はスマホ決済「LINEペイ」の販促やAIの技術
開発で投資が拡大し最終減益予想から人気離散が続いていましたが
12日に突然売買を伴って上昇しました。きっとこの時点で買い方
にはそれなりの買い材料があったのでしょう。外資系証券の投資判
断引き上げは絶好の仕掛け材料となったのかもしれません。

日本ではメッセンジャーアプリLINEの知名度もユーザーの数も断ト
ツで多く、海外のメッセンジャーアプリの存在は霞んでいました。
課題は海外市場の開拓でした。しかし当初海外市場攻略を狙って
いたLINEでしたが既に海外市場では勝負はついてしまっていたよう
です。Facebook傘下のWhatsAppの利用者は米国中心に10億人を超
えていると言われています。

日本ではインスタ映えという言葉を聞かない日はないくらい写真共
有サイトInstagram(インスタグラム)はメジャーな存在になりま
したが海外でも利用者は多いようです。どちらもSNSの巨人のフェ
イスブックが買収しました。LINEは日本と台湾、タイでは最も利用
されているSNSです。

LINEも海外での拡大路線を修正し日本を含むシェアの高い3か国に
経営資源をつぎ込みLINEというプラットフォームを活用した様々な
サービスに活路を見出そうとしています。株価急騰は一度後退した
成長期待が再び高まってきた証なのでしょうか。IPOから丸2年LINE
は再び輝きを取り戻すのでしょうか。

週明け25日もメルカリは利益確定が続き6%を超える下げでした。
既に高値から3割近く下落しました。LINEも22日の急騰で高値警戒
感が出たのでしょうか、週明けは3%強の下げでした。IT銘柄はそ
の成長スピードの速さから市場の期待が高い一方、、指標面から
割高に評価されているだけに失望に変わった時の反動も大きくな
ります。投資家は真贋を見極める度量が必要なようです。
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チャンスに変えられるか

2018-06-25 06:09:35 | 日記
先週の市場はトランプ大統領が仕掛ける貿易戦争を懸念して世界の
市場は混乱しました。上海市場は節目の3000ポイントを割り込み尚
も下値模索が続いています。香港市場も年初来安値を付けました。
米国株もNY市場は8日続落となり貿易戦争での勝者はいないという
ことを改めて市場が警告したようです。

まだまだ事態がどんな風に終息するのか皆目見当がつきません。お
そらく早期の好転は難しいだろうというのがメインシナリオのよう
です。トランプ大統領が指摘しているように貿易戦争の元凶である
特定の国による長年の巨額な貿易不均衡は将来を考えれば望ましい
ものではありません。しかし問題なのはトランプ大統領の強硬的な
やり方です。

2国間だけの貿易不均衡を問題視するのは間違っているとの指摘も
あります。しかしトランプ大統領がルールをどうしても変えるとい
うのであれば大きな米国市場を守るためにもここで正論だけを振り
かざしても事態は改善しません。

中国には知的財産権侵害や世界第2位の経済大国になったにも拘わ
らず多くの規制があり、あからさまな自国企業有利の政策など改善
点が多いのも事実です。しかし企業のサプライチェーンの一角に組
み込まれている現在では中国のダメージだけでなく日米欧も含めた
多くの企業に混乱を引き起こす高関税適用はまさに劇薬です。今週
ダイムラーは米中貿易戦争の影響で業績下方修正を発表しました。

中国の高級車市場では海外からの輸入も増えています。ダイムラー
の発表で米国メーカーだけでなく欧州メーカーの米国工場からも中
国への高級車輸出が行われているという事実が明らかになりました。
現状では中国は自動車に25%という高関税をかけています。海外メ
ーカーは高級車だからこそ高関税を払っても輸出が可能だと
いうことです。

中国は米国に譲歩する形で自動車に対する25%の関税を15%に引き
下げる案を発表しました。米国に工場に構えている欧米メーカーは
関税引き下げによる自動車輸出増加がメリットになる予定でした。
ところがトランプ大統領が追加関税を発表したことで追い風は期待
できなくなりました。反対の対米感情の悪化から米国製自動車への
風当たりが強まる懸念も出てきました。

日本は1980年代に表面化した日米自動車摩擦をキッカケに米国での
現地生産拡大に大きく舵を切りました。1980年代初頭には米国市場
で販売している日本車は日本からの輸出がほとんどでしたが、今や
日本からの輸出台数はピーク時から半減し170万台ほどですが、カナ
ダを含めた北米現地生産は400万台に迫る台数です。

自動車分野は尚も対米黒字の4割を占めていますが、この30年余り
で大きく状況は変わりました。米国での現地生産を拡大したことや
その後アジア諸国でも現地生産を拡大し日本の自動車メーカーはい
ち早くグローバル企業となったのです。

いま日本に求められるのは「禍を転じて福と為す」的な発想なのか
もしれません。地産地消という考え方は輸出ドライブをかけて海外
市場を拡大するという政策を考え直す機会かもしれません。実際に
はすぐには難しいかもしれませんがトランプリスクをトランプリタ
ーンに変えられれば日本経済にとっても最良の結果となります。
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