kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

オリンパスが嵌った罠

2011-10-31 08:04:59 | 日記
オリンパスの2011年3月期を見ると売り上げの40%弱を占めている医療分野
(内視鏡が中心)が利益のほとんどを稼いでいる状況です。デジカメを中心
とした映像分野は赤字(150億)でした。当面のオリンパスの経営課題は映
像分野の黒字化です。もっとも赤字続きのデジカメ事業を続ける意味がある
のかという指摘も外資系のアナリストから出ているのは事実です。

また売り上げ比率を見ると北米(21.5)、欧州(18.5)アジア・オセアニア
(11.5)と欧米の比率が合計4割に達しています。現在の円高(対ドル、対
ユーロ)の状況下では会社予想の350億円(市場コンセンサスは275億円)の
経常利益を達成することは難しいでしょう。因みに四半期決算発表は11月8
日です。

オリンパスは14年度までの新中期経営計画で売上高1兆5000億円(11年3月期
8471億円)営業利益1500億円(11年3月期353億円)という野心的な数字をあ
げています。当然既存事業の成長だけで達成できる数字ではありません。目
標達成のためには周辺事業を手がける分野も含めて大胆なM&Aが必要です。
今回の外国人社長解任から火がついたオリンパスの疑惑のM&Aもこんな背
景があったのでしょう。

もちろん売り上げを伸ばすことは重要なことです。しかし収益が伴なわない
売り上げ増がどれほどの意味を持つのでしょう。今日本のグローバル企業に
求められていることは世界で通用する事業を育て伸ばすことです。オリンパ
スの現状の経営資源を考えたら世界シェア75%の内視鏡事業の更なる強化で
す。その課程で相乗効果を見込める事業があればM&Aに打って出るのもい
いでしょう。デジカメなどの一般消費者向け商品と違って内視鏡は医療機関
向けであり、価格だけでなく信頼性などをアピール出来る商品です。今まで
培った医療機関とのルートが大きな武器になります。そのアドバンテージを
最大限に生かせるM&Aは企業価値を高めるでしょう。

2008年の英医療メーカーの買収に絡み巨額の手数料を支払った問題でFBI
やSECが捜査を開始したと言う報道も出てきました。今後の展開次第では
株価は再び10月24日の安値1012円を試すかもしれません。これまで行ってき
たM&Aのほとんどが企業価値を高めるとはいえないものばかりです。過去
のM&Aで不正があったのかどうかは今後の調査を待たなければなりません
が、少なくともオリンパスの新中期計画にある拡大策は頓挫しそうです。

株式需給面で言うと信用取引の委託保証金率の引き上げ(50%内現金20%)
で投機資金が他の銘柄に流れる心配もあります。しかし今回の騒動が発生
する前には精密銘柄の中ではキャノンに次ぎ高株価だった訳ですから内視鏡
に対する評価は今回の騒動でも変わらないでしょう。いずれは「火中の栗を
拾いにいく」場面があるかもしれませんが、それはもう少し先でしょう。
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軽自動車生産技術

2011-10-30 08:13:23 | 日記
国内の新車販売台数のピークはバブル景気終盤の1990年の778万台です。
90年代は91年と94年に700万台を超える年がありましたが、2000
年以降は500万台後半が2006年まで続きました。それが2009年と2
010年は2年連続500万台割れでした。特に2010年にはエコカー補助
金制度の追い風を受け8月までは快調に販売台数を伸ばしましたが、9月以降
反動減から495万台弱にとどまりました。

結局日本の自動車市場は今後も500万台前後の市場規模で落ち着きそうです。
ただし全体のパイが縮小する市場でその存在感を強めているのが軽自動車です。
登録車に占める割合もここ数年3割台を超え今ではその割合が近い将来4割を
超えるだろうという予測もあります。軽自動車人気の背景はズバリその維持費
の安さです。自動車税は小型車の排気量(1000cc超から1500cc以下)が345
00円であるのに対して軽自動車税は7200円また保険料、車検費用ガソリ
ン代等登録車に比べれば格段に優遇されています。また最近の軽自動車は走り
や居住性の向上など長距離を走るのではなければ十分な性能を持っています。

日産が三菱と軽自動車の共同開発で合意しました。トヨタはダイハツからのOE
M供給で国内軽自動車市場に参入します。またホンダは開発から製造まで今まで
子会社が担っていた軽自動車もこれからは本社主導に切り替えました。一連のニ
ュースはもはや大手メーカーも軽自動車をラインアップしないと国内販売では劣
勢になると言う危機感からでしょう。今後国内販売では軽自動車の商品力の有無
がメーカーの販売シェアの変動に結びつきそうです。

軽自動車と言う規格自体は日本固有もものですが、これから高成長が見込めるア
ジア市場では小型車が主戦場です。インド市場の過半数のシェアを握っているス
ズキの子会社が扱っている小型車も大部分がベースは軽自動車の規格です。スズ
キと提携したVWもスズキの小型車生産のノウハウが目当てでした。新興国では
如何に魅力ある小型車を市場に出せるかで勝敗が決まります。そこに軽自動車生
産で培われた技術、決められた規格で如何にコストを抑えて利益の上がる車作り
が出来るかそれが大きな意味を持ちます。日本の軽自動車生産で培った技術は一
躍新興国での車作りで大切な要素になりました。

先進国ではHV車やEVと言う環境車が主戦場でしょうが、新興国では当面ガソ
リン車がの市場開拓が重要です。日本メーカーのほとんどは日本固有の規格で作
られる軽自動車生産から撤退が相次ぎましたが、新興国の成長で再び脚光を浴び
ることになりそうです。今後も折りに触れ軽自動車に強みを持つスズキやダイハ
ツが注目されそうです。
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反省と今後の展望

2011-10-29 08:53:52 | 日記
9833円(7月)、8955円(8月)、8700円(9月)9050(10/28現在)
7月22日の高値10132円以降の日経平均株価の推移です。あと営業日
を一日残しますが400円近い暴落でもあれば別ですが、今考えられ
る限りでは株価をそこまで一日で下落させるほどの悪材料は出ない
でしょう。そうすると月足では3日月ぶりの陽線になり10月安値が
今年の終値ベースで大底の可能性が高そうです。

例年9月、10月のパフォーマンスはよくないと言われていました。
私も欧州金融危機は簡単に解決できる問題ではなくさらに深刻化す
れば10月には8千円に近付く場面はあるだろうと考えていました。
さらにタイ洪水が発生して日本の製造業への影響が次第に広がりそ
れに加えて円相場の高止まり、個別銘柄では悪材料が出た銘柄(古
河電工、日本碍子、オリンパスなど)は大幅安、とても値ごろ感は
あっても手の出し辛い状況でした。先週から今週前半にかけての売
買代金の連日の1兆円割れなど見送り材料には事欠きませんでした。

また10月中旬から11月初めにかけて日本企業の決算発表が出てきま
す。円高の定着とタイ洪水被害の影響、世界的な景気減速懸念など
業績下方修正で大幅に下落する銘柄も出ています。積極的に買い出
動するのは決算発表後の11月で十分と考えていました。我慢の10月
攻めの11月と考えていましたが、想定以上に早く日経平均が9000円
に乗せやや意外感がありました。しかしこれも相場です。時として
は多くの人たちの見方とは反対に動くものです。

それでは今後のことを少し考えていきましょう。まず現状の再確認
から考えていきましょう。欧州金融危機はひとまず小康状態です。
相場の環境次第では再び悪材料として株価の下落要因になるでしょ
う。しかし再び世界の株価に致命的なダメージを与えることは当面
は考えにくくなりました。円高基調は続いています。円高とタイ洪
水による業績への影響は会社側の発表を待つしかありません。株価
の位置にもよりますが銘柄によっては決算発表でひとまず悪材料出
尽くしが上昇へのキッカケになるかもしれません。

米GDPの結果や各種経済指標から目先米国のダブルリッセッショ
ンは回避できそうです。先々はともかく今週のGDPや株価上昇で
11月1日2日開かれるFOMCで今回は追加緩和が見送られる可能性
があり次回(12月中旬)に持ち越されるかもしれません。市場の追
加緩和期待での円高シナリオも修正され円高に歯止めがかかり日本
の輸出産業に追い風が吹くかもしれません。

そうするとリバウンド相場が本格化して11月中に9200円を超える場
面もあるかもしれません。いずれにしろ自動車株などリーマンショ
ック時の安値近くまで売られた銘柄も出てきました。値ごろ感もあ
り流れが変わればある程度の戻りは期待できそうです。各企業の国
際競争力も加味しながら押し目は積極的に拾ってもいいのかも知れ
ません。

今週世界の株価は大幅に上昇しました。さすがにこのままのペース
で上昇する訳もなく下落することはあります。上昇していると買い
たくなるものですがひたすら我慢して下げを持ちましょう。やはり
カギはNY市場がどこまで戻すかです。NY市場が下落しているの
に東京市場だけが上昇することはありません。そのNY市場は前日
の大幅高にも拘らず28日も小幅高で引けました。この水準は7月下旬
の水準です。トレンドは強そうに見えますが。

28日の水準は年初来高値(12876ドル)にあと645ドルです。流石に
ここから先は高値警戒感もあり上昇スピードは鈍るでしょう。反対
に年初来安値(10404ドル)付けてから3週間弱で1800ドル弱戻した
訳ですからどこでスピード調整が入っても不思議ではありません。
敢えてこの水準だから日本株も押し目を待ちましょう。
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今日のつぶやき

2011-10-28 14:19:41 | 日記
NY市場の大幅高を受け前場で150円超上昇する場面もありましたが
その後は上げ幅を80円ほどに縮めています。辛うじて9000円を維持し
ていますが、やはり9000円乗せはある種の達成感もありますからここ
からヤレヤレの売りも多いでしょう。

円高は過去最高水準で高止まりしていますし、タイ洪水の影響がどの
くらいの各企業業績を下押しするのか決算で会社側が示さないことに
はアク抜けにはつながらないともいます。日経平均が9000円を超える
水準まで上昇しているにもかかわらず、イビデンは大幅な業績下方修
正で11%程下落しています。まあイビデンはこのところ上昇していま
したから下げ幅も大きくなったのでしょうが、やはり市場予想を超え
る業績下方修正は株価にとってネガティブな材料です。

来週にかけて主要企業の決算発表が続きます。米国企業はドル安とい
う追い風が吹いていますが日本企業は円高という向い風が吹いている
違いが決算に影を落としています。またタイの洪水で一番被害を受け
ているのは日本企業です。この点も下期以降の欧米企業との業績明暗
が出てきそうです。

全般反発から来週は次第に業績による選別も起きてくるのではないで
しょうか。来週の下落局面でも相対的に下げ幅の少ない銘柄の一段高
は期待できます。ここの株価の動きと決算の数字をよく見ておく必要
ありです。
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オリンパス経営混乱の行方

2011-10-28 08:42:26 | 日記
オリンパスは26日付で菊川会長兼社長が退任して高山専務が社長に
昇格する人事を発表しました。この人事をみてまだ会社側は今回の事
態の深刻さを認識していないのだなあと感想を持ちました。不祥事を
起こした(今のところ経営の混乱による株価下落が主な出来事ですが
少なくとも既存の株主には大変な迷惑です)非常時の対応としては徹
底的な情報の公開と透明性です。それが上場企業としての責務です。
しかし新社長の発言からは会社側の正当性を主張することしか伝わっ
てきません。

菊川元会長は実力会長であることは周知の事実です。元会長が身の保
身を図るとしたら次の社長には自分の意のままになる人物を充てると
いう考えは当然持つでしょうというのが私の見方です。高山新社長が
どんな人柄でどのくらい経営手腕があるか分かりませんが、今年の4
月に少なくとも社長の絶対的な有力候補だったら元会長は外国人社長
を誕生させなかったでしょう。元会長は外国人社長に日本人経営者に
は出来ない抜本的な経営改革を期待して抜擢したと思います。もっと
も元会長の思惑とは別に外国人社長がパンドラの箱を開けてしまった
のは誤算だったでしょうが。これは想像ですが元会長が外国人ではな
く日本人を社長に指名していたら今回の疑惑は闇の中から出ることは
なかったかもしれません。

個人投資家の立場から考えても3社合わせての売り上げが20億円に
も満たない買収に730億円も投じたのか、会社側は「第三者から適
切な評価を得ている」と主張されてもどんな根拠で適正だと判断して
いるのかの詳細な説明はありません。また海外M&Aの案件に関して
もFAに手数料として優先株を発行すること自体きわめて異例だとい
う解説もあります。全く謎だらけの今回のM&A、今後どんな展開に
なるか分かりません。今のところは会社側が第三者委員会を発足させ
る予定と言っていますからその調査結果を待つしかありません。

オリンパス株は完全に投機資金の恰好な対象としてかつて考えられな
いくらいの売買高を連日記録しています。現在の相場環境から考えれ
ばしばらくはオリンパスも含め限られた銘柄への物色は続きそうです。
本来のオリンパスの株価はもっと別のところで判断されて動くべきな
のでしょうが残念ながら今しばらくは短期売買の対象としてみられな
いでしょう。もっとも経営の不透明感さえ払拭できれば内視鏡での競
争力は今のところ強固ですからいずれ株価はある程度の戻りは見込め
そうです。

さて今日の東京市場は欧州金融危機の後退から昨日欧米の株価が大幅
高になったことから9000円台乗せての推移でしょう。NY高を牽
引したのはバンカメやモルガンスタンレーなどの金融株とキャタピラ
ーやGEなどの景気敏感株です。欧州金融危機で大きく売られた銘柄
です。まあ出遅れ株の水準訂正なのは日米とも同じ傾向でしょうか。
タイ洪水や円高などの懸念材料は山積ですが今日のところは欧米株高
から上値追いの展開でしょう。

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