kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

適温相場へのハードル

2019-10-31 05:53:02 | 日記
29日まで日経平均は7日連続で高値を更新し一時2万3000円を越え
ました。ここまでは予想以上の上昇です。こんな時に市場で決ま
って聞こえる言葉が「持たざるリスク」という言葉です。日々運
用競争を繰り広げている機関投資家にとって運用成績が市場平均
を下回る事態は見過ごせません。

それまで米中通商協議の行方や世界景気への不安から弱気を決め
込んでいた運用担当者も一方的に上がり続ける市場の状況が続い
ていると焦りを感じるのは運用成績の善し悪しが死活問題だから
です。「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で
成熟し幸福感の中で消えていく」という格言を投資家の多くは教
訓として持っているから自分の相場観が外れているのではないか
と不安を持つのは当然です。

しかし持たざるリスクという言葉は調整局面もなく上がり続ける
ケースでは当てはまりますが、ほとんどのケースでは市場にそん
な言葉が出てくる時には一旦上昇相場が終るか、或いは小休止し
ます。息の長い相場になるケースでは今回のように金融緩和だけ
でなく経済の回復が絶対必要です。

日本企業の決算発表で下方修正しても多くの銘柄が株高で反応す
るのは7~9月期が底でこれ以上の業績悪化はないだろうという見
方からです。もっともここまで上昇相場が続き水準が切り上がっ
たことで一段と高値を追いするにはよりハードルは高くなってき
ます。

世界景気がV字回復ならまだまだ間違いなく上値余地はありそうで
すが、底を打ったとしても回復がL字型か或いはU字型になるよう
ならカンカンの強気相場と言う訳にはいきません。同じ受注産業
でも半導体業界には明るさが出てきましたが、工作機械などはま
だ暗闇のままです。明るさが半導体業界以外にも広がることが持
続的な株高の条件でしょうか。

工作機械業界の回復が見通せないのはやはり最大のお得意先であ
る自動車業界の世界的な販売不振が設備投資の先送りに繋がって
います。一方データセンター需要など投資再開の動きが出てきた
半導体業界はメモリなどの分野の回復は遅れていますが今後需要
増が見込める5G関連など期待でき需要があります。需要先の業況
の差が明暗を分けています。

半導体業界は別格だとして中国経済の減速で回復が遅れている業
界は素材中心に多岐に及んでいます。以上の事を考えると年末ラ
リーがあるとしても一旦はどこかで調整が入る可能性がありそう
です。個人投資家は時間の制約はありません。運用が上手くいか
なくてもクビになることはありません。持たざるリスクという言
葉に惑わされせず自分のタイミングで投資を行えばいいのです。

市場注目のFOMCは予想通り0.25%の利下げを決定しました。予防
的な利下げは一旦打ち止めという内容でした。NY市場がそれでも
上昇して終わったのは経済次第で年内の利上げはあるかもしれな
いという期待からです。もっとも金利の下げ余地は確実に小さく
なっています。株式市場が好感する適温相場を取り戻すには景気
回復が必要です。焦点は世界景気の行方になるのではないでしょ
うか。
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日本企業の縮図

2019-10-30 07:33:06 | 日記
キャノンが今回3度目の業績下方修正に追い込まれました。一度
下方修正した企業は2度3度と下方修正になるケースが多いという
事例の典型例のようです。輸出比率が高く円高の影響を受けやすい
という体質も原因の一つですが、それ以上に深刻なのは主力事業の
不振です。

しかもこの不振が景気循環の要因というよりも構造要因に起因して
いるからより深刻です。キャノンの主力事業はオフィスに分類され
ている複写機とデジカメやプリンターが属するイメージング事業で
す。複写機はぺーバーレスが進み需要の縮小は避けられません。

またデジカメ分野はスマホのカメラ機能の向上で需要を奪われてい
ます。二本柱に続く産業分野では半導体や液晶の製造装置は収益の
変動が大きく今期は半導体サイクルの下降をもろに受けました。海
外企業を買収した監視カメラ事業は順調ですが、世界シェアは僅か
5%程度でから主力事業に位置付けるには力不足です。

巨額の資金を投じて東芝から買収した医療事業は今期も増益を達成
出来そうですが主力分野であるCTやMRIの世界シェアは1割弱で欧
米大手のGEやシーメンスの背中は遠くキャノンの屋台骨を担う事業
に成長できるかは現時点では答えは出せません。

ソニーの主力事業に育ったCMOS半導体はキャノンも手掛けています
が、自社のカメラ向けで外販はしていないようです。その為世界シ
ャアはソニーが5割なのに対して数パーセントです。キャノンは完
成品志向が強く部品事業を主力事業にする気はサラサラないようです。

かつての高収益企業だったキャノンの業績低迷は構造改革が遅れた
ことです。高収益を支えた複写機やデジカメ事業がここまで需要減
少に陥るとは10年前には当時の経営陣は考えていなかったでしょう。
今となっては遅すぎたのでしょうが業績好調時にもっと早く新事業を
育成すべきでした。

キャノンは過去10年自社株買いを積極的に行い筆頭株主です。今や
発行済みの2割に及んでいます。配当も当期利益の大部分を株主に支
払っています。業績低迷時にも減配せず高額な配当を続けています。
本来なら稼いだ資金をもっとも積極投資をして新事業に回すべきで
した。カメラ事業で養ったCMOS半導体事業に大きな投資をしていた
ら或いはソニーの強力なライバルになっていたかもしれません。

製品には寿命があります。企業は時代の変化に対応して主力事業を
柔軟に入れ替えるべきです。キャノンはリーマンショック後ソニー
やパナソニックにように巨額な赤字に陥ることはありませんでした。
経営者にも危機感が欠けていたところはあったのかもしれません。

電機や精密などかつては日本経済の花形産業の中で特に完成品メー
カーの業績が低迷しているのは時代の変化に応じて事業構造を柔軟
に変えることが出来なかったからです。キャノンという名門企業で
もそれは例外ではありませんでした。これは日本企業の多くが抱え
ている問題でもあります。
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産業構造の変化

2019-10-29 07:03:02 | 日記
東京市場は連日年初来高値を更新しています。週明け28日もじり
高で年初来高値更新記録は6営業日まで伸びました。市場関係者の
今週末の日経平均予想も2万3000円台の声が聞こえてきました。
10月に2万3000円目前まで上昇するとは1ヶ月前には想像も出来
なかったでしょう。

午前中の上昇分の61円で内、半導体関連の東エレクとアドテスト
それに電子部品のTDKと太陽誘電の4銘柄で40円指数を押し上げま
した。他でも設備投資関連のファナックやオークマの値上がりも
目立ちました。これらの銘柄に共通するのはいずれも貸借倍率が
1割を割り込んで切ることです。株価の上昇に比べて足元の業績は
それほど改善していないという見方の投資家からの売りが増えて
います。

工作機械受注の見通しは不透明で9月の受注は35.5%減の989億円
と2ケ月連続で1000憶円を割り込んでいます。特に外需は4割減と
まだ底打ちから回復に向かうという確信は現時点ではありません。
しかし上昇が止まらない株価を見て一部には損失覚悟で買い戻す
投資家もいるでしょう。

需給面が株高を支えていますが、売りが多い銘柄がどこまでも上が
る保証はもちろんありません。息長い株高に繋がるには実際に業績
改善が続くことです。売り方の締め上げ期待で一方的な株高になれ
ば一旦は反落しるリスクもあります。

半導体業界や工作機械業界は景気の波が業績に大きく影響します。
一方製造業全体を見渡すと競争力が高い企業が多く海外投資家にも
人気の高い業種です。電機業界ではテレビやスマホなど完成品メー
カーの競争力が低下し主役の座を降りる一方素材や部品メーカーの
企業は競争力を保っています。

景気敏感株の世界経済の回復期待で買い戻される展開は続くとして
も余り大きな期待をかけることは危険です。景気がある程度回復し
ても旧来型の産業に属している銘柄の業績も株価も過大な期待は出
来ません。5GとかAIとか今後の成長が見込める業界の中で競争力の
高い企業や中国企業との競合が少ない分野に属する企業の中で有望
株がありそうです。

ワークマンや寿スピリッツのように低成長業界の中でも高成長を遂
げる企業あります。有望な製造業イコール自動車や電機銘柄ではな
くなっています。産業構造の変化を見逃してはいけません。日経平
均が2万3000円の心理的な節目に差しかかったことで物色銘柄は出
遅れ銘柄に向かうでしょうが、出遅れ銘柄には出遅れた理由があり
ます。

中長期投資を考えるなら日本経済が低成長でもやはり利益が伸びる
高い成長が可能な銘柄が有望です。それは必ずしも日本経済の屋台
骨である自動車や電機業界に属する企業とは限りません。時代の変
化に対応できる企業です。
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半導体銘柄は指標銘柄?

2019-10-26 08:12:07 | 日記
10月相場に関しては慎重な見方もありました。実際にも10日までは
低調な展開でしたが、11日以降相場は一変しました。背景には勿論
米中通商協議で両国の間で部分合意が出来たことです。関税の再引
き上げによる経済の失速懸念が大幅に後退したことがトレンドを大
きく変えました。事前の予想では合意するのは難しいとの見方もあ
りましたから結果はサプライズだったようです。

また需給面では先週まで海外投資家が3週連続で買い越し基調を続け
ていることが東京市場の上昇に寄与していることは明らかです。10月
第3週の海外投資家の現物買い額は5563億円と第2週(530億円)の
10倍と急増しました。海外投資家の買いに国内投資家の売りという
構図は上昇相場の常道です。

やはり順張り投資の海外投資家が上値を買い進んでくれないと東京市
場の株高は続きません。おそらく今週も連日で年初来高値を更新して
いることから海外投資家の買いは続いている可能性が高いようです。
今後の焦点は海外投資家の大幅な買い越しが持続するのはそれとも
一服するのかが焦点になります。

序盤の決算発表で市場予想以上の下方修正に追い込まれる企業は少な
くありません。しかし多くの銘柄で業績悪は既に織り込み済みで悪材
料出尽くしで株価が上昇するケースの方が圧倒的に多いようです。
業績面での底が見えてきたことも海外投資家の買いに弾みをつけてい
るのでしょうか。

確かに10月相場はここまでは期待以上の結果です。しかし流石に2万
3000円目前まで来たこともあり目先の相場については多少警戒が必要
かもしれません。例えば日経平均の上昇を暗示するように9月から上昇
トレンドを描いていた半導体製造装置大手の東京エレクトロンは10月
16日に今年の高値の2万2265円の高値を付けてから株価の変動が大き
くなっています。

米半導体大手のテキサスインスツルメンツ(TI)の決算で半導体需要
の弱さが明らかになったことで24日には東エレク株にも売りが波及し
4.1%下落しました。24日のインテル決算が市場予想を上まったこと
で25日の東エレク株は一時3%上昇する場面もありました。

これまでのケースでは高値圏で急騰急落する場面が出てくると目先は
調整入りするサインとの指摘もあります。米中貿易戦争激化で大きな
影響を受けた業界の一つが半導体業界でした。その業界がシリコンサ
イクルの底打ちに加え貿易摩擦が緩和することでいち早く高値圏まで
駆け上がりました。

しかし日経平均が今週連日で高値更新した一方東エレクは乱高下して
います。25日の市場でも日経平均は5日連続で年初来高値を更新しま
したが、東エレクは2万2000円を超えると上値が重くなり株価は伸び
悩みました。指数が高値圏に駆け上がっただけに先駆した銘柄から出
遅れ銘柄に投資資金が流れているのもかもしれません。

東エレクを含む半導体セクターは日経平均の先行指標だとしたら今回
の東京市場の上昇トレンドも既に8合目を過ぎたのかもしれません。
ある市場関係者の説明によると今年の後半相場はFOMCが開かれる前に
利下げ期待で上昇しFOMCで利下げが発表されても材料出尽くしで下落
トレンド入りするケースが多いので当面は利益が出るものは売るのも
作戦だと話していました。当面の上値余地は大きくなく一旦調整局面
入りする可能性も考えられます。

27、28日の更新はお休みします。
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潮目

2019-10-25 06:18:06 | 日記
24日の東京市場は4営業日連続で年初来高値を付けました。先週後半
からNYダウの上値が重くなっているのと対照的な動きになっています。
年初来高値銘柄も100を超えていますが建設や小売り、医薬品に不動
産といった内需ディフェンシブ銘柄か機械や電機それに海運など景気
敏感株まで幅広い銘柄が名を連ねています。

円相場が108円台で安定していることも日本株にはプラスに働いてい
るようです。24日には節目の2万3000円まで200円弱に迫り今月ひょ
っとしたら大台回復もあるかもしれません。信用買い残高は18日申し
込み時点で2兆828億円まで減少し4月26日の2兆781億円に次いで2番
目に低い水準です。これは戻り売り圧力が小さいことを示しています。

24日に開いた日本電産の決算説明会で永守会長は中国市場について
現時点では回復見込みは立っていないと発言しています。市場は業
績の底入れを囃していますが、順調に回復に向かうのか投資家の一部
には確信は持てないという見方もあるようです。信用買い残高が低
水準なのも投資家の慎重姿勢の表れです。

既に決算発表を終えた安川電機に象徴されるように市場予想以上の
下方修正にも拘らず株価は一時的な下げに止まり既に決算発表前よ
りも上昇しています。決算発表序盤性では悪材料出尽くしというの
が市場の答えのようです。一方これまで人気だった中小型株の中に
は突然値を大きく崩す場面も出ています。

ジャスダック市場のワークマンの時価総額が17日マクドナルドを抜い
てトップになりましたが、翌日株価が急落しました。その後も軟調な
展開から抜け出せません。株価が急落するような特に悪材料が出たと
いうことはないようです。急ピッチな上昇で高値警戒感が広がったと
の記事は出ていました。

17日時点でワークマンのPERは70倍を超えていましたから買われ過ぎ
といった状態であったことだけは確かなようです。個別銘柄だけでな
く指数も連騰後には必ず急激な反動安が待っています。4営業日連続
で年初来高値を更新した東京市場はまだ上昇が続くかもしれませんが
急激に潮目が変わることには注意が必要です。


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