kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

流石に上値重くなる

2016-10-31 07:34:37 | 日記
今週の東京市場は神経質な展開が予想されます。警戒されていた企業
業績はまだらながらも急激な円高にも拘らず増益基調を保つ企業や下方
修正した企業でも予想のよりも小幅な修正する企業が意外と多かったよう
です。これを受けて市場関係者の予想を上回る上昇を演じてきた日本株
ですが、先週円相場が一時105円を回復したことや1万7500円接近という
節目に差し掛かったことで当面は強弱感が入り混じる展開も予想されます。

月末・月初で経済統計も多く発表されます。週末には年内の利上げ見通し
に大きな影響を与える雇用統計も発表されます。週初にはFOMCも開かれ
ます。数々の懸念材料も市場が考えるほど悪い目が出ず米国株のもたつ
きを尻目に日本株に関して10月相場は予想以上に成績でしたが、流石に
このままの1万8000円まで駆け上るとは思えません。

悪材料も株価が下落する過程でほとんどの場合織り込みます。またどんな
好材料も織り込んでしまえば次第に株価の浮揚力は乏しくなります。確かに
このところの円安基調の強まりもあり企業業績の過度な不安は後退しました。
世界経済も緩やかに上昇を続けているようです。世界の景気敏感株と言わ
れる日本株が今月の上昇が目だつのも不思議ではないのかもしれません。
一方多くの投資家が知ってしまえばその情報の価値は急激に低下します。
好材料が重なった後ほど警戒すべきなのです。

目先の米国の大統領選挙の行方や年明け以降本格化するBrexitの行方そ
れに12月にFRBが利上げに踏み切ったとしても来年も利上げモードが継続
できるのか。海の向こうの見方では12月利上げが最後になるとの予想もある
ようです。リーマンショック後の景気の底から始まった米国景気拡大は既に
7年を越え何時景気後退に陥っても不思議ではありません。

過去の景気拡大に比べて成長率が緩慢なことが景気と金利に絶妙のバラン
スをもたらしているようですが、永遠に景気拡大が続く訳もなくいつかはリセッ
ションがやってきます。世界経済のリード役の米国景気の変調は新興国経済
に悪影響を与えます。世界の景気敏感株という位置づけの日本株にとっては
厄介なことになります。

米国では大統領選挙の翌年には景気後退に陥るケースが多いというアノマリ
ーもあるようです。このところ薄日が差したきた日本株ですが、米国の景気後
退懸念の高まり→利上げ打ち止め→日米の金利差の縮小懸念→円高の再
燃→企業業績の先行き不安と言う図式が何時現実のものとなるか分かりませ
ん。市場も安心感が広がった時に往々にして落とし穴が待っているものです。
一歩ずつ確認しながら相場に向き合うべきでしょう。
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好事、魔多し

2016-10-29 15:23:53 | 日記
週末28日の東京市場は世界的な景況感の好転、円相場105円台回復
続々と発表される決算発表は市場が懸念したほど悪くないということも
重なり日経平均は節目の1万7500円に迫る1万7461円まであり大引け
も109円高い1万7446円でした。先月経済紙に載った市場関係者の年内
高値目標を10月末にも達成しそうなほど順調に上昇しました。

もっとも市場関係者がひとつの節目と見ていた円相場の105円、日経平
均の1万7500円にたどり着いたことから強弱感が分れる場面が出てきそ
うです。そんな状況で飛び出したのが米国時間でのクリントン候補のメー
ル問題をFBIが再調査するというニュースでした。このニュースが伝わる
とNY市場は100ドル近い上昇から急落、プラス圏に浮上する場面もあり
ましたが大引けは小幅安の1万8161ドルで終わりました。

円相場も105円前半から104円中盤へと急激に円高に振れました。3回の
テレビ討論会を通過してクリントン候補勝利が金融市場のコンセサスに
なりつつあった状況で再びメール問題が浮上、俄かにクリントン陣営に雨
雲が湧き出してきました。トランプ大統領誕生で政策の不確実性が高まり
有事の円買いから円高・株安という悪夢が再び市場に広がるのでしょうか。
結局選挙はミズモノということになってしまうのでしょうか。

足元をよく確認すると騰落レシオは買われ過ぎという120%を7営業日連
続で越えています。サイコロジカルラインも過去12営業日で9勝3敗で75
%の警戒ゾーンにあります。テクニカル的には何時調整があっても不思
議ではありません。しかも円相場も日経平均も当面の節目に到達したと
なれば市場の弱気虫がでても不思議ではありません。

またこの上昇過程で外資系証券のソシエテ・ゼネラルによる先物の大量
買いがあったと言われています。ソシエテの背後にはヘッジファンドの存
在も指摘されています。過去のケースから先物主導での相場上昇は長
続きしないという指摘もあります。ヘッジファンドの確定売りが何時でるの
か不安視する向きもあります。

11月8日の米国の大統領選挙の結果が一層混沌となれば結果判明の前
に利益確定売りが増えることも予想されます。月末月初は相場が荒れや
すいということもあり荒れるならこのところ上昇の目だった日本株は下方
向になります。この荒波を乗り越えて年末高に日本株はたどり着けるのか
当面の壁は大統領選挙結果にあるようです。

追伸
30日はお休みします。
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周回遅れだったキャノン

2016-10-28 07:52:23 | 日記
今期3度目の業績下方修正となったキャノン株は27日3%下落しました。
もっとも株価は25日に3ヶ月ぶりの高値まで上昇していたことから下げ
幅が大きくなったようです。もともと輸出比率が日本企業でもトップ級の
高さですから夏場の100円程度まで円高進行での下方修正は市場でも
ある程度予想はしていたでしょう。

円高でも車載分野などが伸びて堅調な業績を発表した日本電産と違って
キャノンの主力事業は既に成熟し余り成長が期待できない事務機器とス
マホに市場を奪われたデジカメです。急激な円高を跳ね返すだけの力は
ありません。日本電産だって主力事業のHDD向けモーターに固執してい
たら今の業績は達成できなかったでしょう。主力事業で稼げている間に
迅速なM&Aで事業領域を広げたことが勝因です。

一方キャノンは昨年3300億円で買収した欧州監視カメラ最大手のアクシ
オの業績寄与は現時点で全体の営業利益の1%そこそこです。今年3月
東芝から6655億円もの巨額の金額で買収した医療機器子会社が今後連
結決算に貢献するでしょうが、それでも営業利益の押し上げ効果は今期
営業利益に対しても1割程度です。キャノンが日本を代表する優良企業と
して再び輝くには順調にこれらの事業が育ってもしばらく時間がかかりそ
うです。

両社の違いは経営スピードの違いです。日本電産が積極的にM&Aで新
規事業を開拓している間、キャノンは高水準な配当と自社株買いで手持ち
資金を使いました。株主還元が悪いとは言ってもいませんが、キャノンの
主力事業が早晩成熟事業になると経営陣が予想していたら資金の使い道
は株主還元よりも次の成長投資に使うべきでした。

キャノンはリーマンショック前は自他共に認める日本を代表する高収益会
社でした。リーマンショックで多くの日本企業が赤字に転落する状況でも
底力を発揮しました。もっともその後の株価推移を見る限りアベノミクス
効果も限定的で収益の停滞は明らかでした。その遅れを取り戻そうとした
のでしょうか、アクシス、東芝医療子会社と立て続けに巨額買収に打って
出ました。

最も株価の反応は余り芳しくなく買収金額が割高だったのではないかとか
ネガティブなものでした。キャノンのM&Aは周回遅れになりましたが株式
市場の評価を取り戻すには買収した事業を今後の成長軌道に戻す起爆剤
にすることです。1兆円近い買収代金に見合った効果が引き出せるのか経
営陣の力量が試されます。
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十五夜に買えだった

2016-10-27 07:52:48 | 日記
「株はハロウィンに買え」とは米国市場ではよく耳にする言葉ですが過去の
経験則の裏づけがあるようです。10月末のハロウィンの時期に株を買って
翌年の4月末に売る取引は過去勝率が高かったようです。米国では個人投
資家が12月末の税金の申告を控えて含み損のある株を売却する取引が増
えるようです。

またヘッジファンドの決算は12月が多いようです。投資家の解約請求なども
あり決算直前には買い付けよりも換金売りが増えるということも言われてい
ます。需給面から株価は下がりやすく上がり難い状況が浮かび上がってき
ます。反対に税金対策での売りやファンド決算を過ぎるとマネーが株式市場
に戻ってきて相場は上がりやすくなるという季節要因は確かにありそうです。

足元の米国株も8月に年初来高値(1万8722ドル)をつけたあと8月中は高値
もみ合いで推移していましたが、9月には下落傾向が強くなり1万8000ドルを
下値とした膠着した相場が既に1ヶ月弱続いています。26日の引け値は30ド
ル高の1万8199ドルです。年初来高値からは500ドル程度下げていますから
今年も「株はハロウィンに買え」は有効かもしれません。

マネーには国境はありません。日本株にとってもここ数年は特に海外投資家
の影響が大きくなり米国市場と同じような動きをするようになりました。もっと
も2015年のハロウィン当日の日経平均は1万9083円でした。12月1日には2万
円を回復しましたが、大納会は1万9033円とハロウィン当日の水準に持戻って
しまいました。4月末が1万6666円でしたから2300円弱の値下がりになり経験
則は通用しませんでした。

今年も日本株は9月まで1万6000円弱と低迷していましたが、日銀の強力な
買い支えでもあり下値不安が後退、その後は為替相場が円安に動き出した
ことが重なり1ヶ月で日経平均は1000円程度上昇しました。米国株と違って
日本株の買場は十五夜(9月15日)あたりだったようです。アベノミクス相場
で日本株が独歩高したこともあったかは分かりませんが、昨年くらいから日
米の株価は必ずしも連動することが少なくなりました。

アベノミクスで大相場を演じた後の日本株の値動きは官製相場の影響もあ
り難しくなりました。本当に2万円が日本株の実力だったのか、それとも期待
先行の結果だったのか、重要な要因である円相場の今後の見方も意見が
分れるようです。日本株の投資判断はしばらくは難しい局面が続きそうです。

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良いものは良い悪いものは悪い

2016-10-26 08:17:23 | 日記
JR九州も順調なスタートを切りました。また104円台へと進んだ円安も
支援材料となり、25日の日経平均は7月以降ボックスの上限だった1万
7200円どころを明確に抜けてきました。円高の影響を最も受ける自動車
銘柄の中でも輸出比率の高い富士重工とマツダの下方修正が予想の
範囲内だったことから両銘柄とも上昇したことで円高による業績悪はあ
る程度織り込んだという強気の市場ムードが続いた一日となりました。

円相場も夏場の100円台から足元では104円台になっている円安反転も
市場に安心感を与えているようです。リーマンショックやギリシャ危機、古
くはブラックマンディなど市場が大きく崩れたのはいずれも9月から10月ま
でに発生していることから多くの投資家も警戒していました。当然リスクに
備えて現金比率を高めていた機関投資家や9月まで一貫して売り越した
海外投資家、個人投資家も夏場の円高株安を警戒して押し目を拾う投資
家は限定的でした。

警戒心が強く期待値が低かった投資家心理があり買いに慎重だっただけ
に今から振り返れば買いつきも少なく上値での戻り売りも余り出ていない
ようです。結果的に売買代金が2兆円弱でも予想以上に順調に相場が上
昇しました。個人投資家の間でも当面は上値が1万7000円程度という見方
が多かったのでしょう。今日の経済紙によると日経平均が下落した場合に
指数の2倍値上がりするETFと上昇した場合指数の2倍値上がりする日経
レバ口数が逆転したと伝えています。

弱気派が増えてくると相場というものは不思議なもので下げそうで下げな
いものです。こうなってくると押し目待ちに押し目無しというという展開にな
り当面は堅調な展開が続く可能性が高くなります。25日騰落レシオが146
%まで上昇してテクニカル的には警戒すべき水準ですが、そのだけ上昇ト
レンドの強さを表すとも言えます。一旦高値をつけて下げたとしても調整は
短期間かもしれません。

相場全体は業績悪をある程度織り込んだといえますが、個別銘柄では市
場の予想を超えて業績悪がはっきりした銘柄の下げの大きさは相変わらず
です。2017年3月期220億円の黒字予想から最終損益がゼロになり今期無
配に転落すると発表したIHIは9.6%下がり値下がりランキング1位に名を連
ねました。

3日には今期の大幅下方修正という観測記事が出た川重も大きく売り込ま
れるなど造船重機銘柄には円高以上に事業構造上の重大な問題があるよ
うです。業績悪化を受けて会社側も不振事業の見直しを始めましたが、低
収益事業の抜本的な改革を先送りにしたツケが出てきた事になります。両
社に限らず日本企業の多くが欧米企業に比べて不採算事業などの処理で
経営改革の遅さが目立ちます。低収益事業を抱えていては円高などの外部
環境の悪化が大きな業績悪化に直結するというケースです。

円安の陰に隠れていた脆弱な事業が円高もあり一気に表面化した企業も
あり何でも買いではないようです。円安という追い風が止んで企業の本当
の稼ぐ力が問われるようになりました。良いものは良い悪いものは悪いと
いうことがはっきり出てきた決算発表の今回はなりそうです。
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