kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

谷深ければ山高し

2024-08-24 08:34:56 | 日記
ジャクソンホールでの講演でパウエル議長は9月利下げを明言しました。「利下げのタイミングと
ペースは、今後発表されるデータや見通し、リスクのバランスに依存する」と明言を避けけまし
た。今後の市場の焦点は利上げ幅が0.25%になるのか、0.5%になるのかに移ります。市場では
年内合計で1%の利下げを見込み見方があります。

9月と11月と12月の三つのFOMCでの利上げが予想されています。雇用統計やCPIの結果次第では
いきなり9月に0.5%になるかもしれません。そうなると円高懸念が日本の株式市場の頭を抑える
懸念も出てきます。円安メリットの大きかった自動車や電機、商社、海運などに影響が出ることも
予想されます。後は円高がどの程度進むのかが重要です。140円前半で止まるのか、130円台に突入
するのか。今年円安効果もありインバウンド客やインバウンド消費が活況でした。今月141円まで
円高が進んだ局面では三越伊勢丹など百貨店株が比較的大きく下落しました。

もっともコロナ前には円相場は110円台でした。多少円高が進んだとしても市場が懸念する程イン
バウンド消費に与える影響は大きくないかもしれません。キャノンが先週10年来高値を更新しま
した。輸出比率が高く円安メリットを受ける代表銘柄というのがこれまでの株式市場の評価でした。
もっとも株価が10年来高値を更新したといってもPERは14.6倍です。

日本を代表する製造業である日立と三菱重工のPERが26倍台と27倍台です。成長率の違いはあると
してもキャノンも事務機やカメラ事業の2本柱の経営からネットワークカメラや商業印刷、CTやMR
の医療事業や半導体製造装置など収益源が分散し業績の安定性は以前に比べて高かくなってきました。
バリーエーションが切りあがる形で成長期待が高まり上昇が続くという可能性もありそうです。

来週にはエヌディディアの決算が予定されています。市場がどんな反応を示すのかは分かりませんが
市場環境は今月初めの調整を経て改善しているようです。円高懸念は残っても米国株高が日本株を
押し上げ過去の累積売買代金が多い3万8000円台を乗り越え3万9000円にのせる場面もひょっとしたら
あるのかもしれません。「谷深ければ山高し」という格言もあります。

相場環境が好転して長期マネーが戻ってくれば質が良く競争力も強く資本効率の改善も進んである銘
柄の物色はセクターを問わず続きそうです。円高進行は懸念材料ですが、きちんと設備投資をして競
争力を磨いてきた企業は投資対象として残りそうです。

次回の更新は27日を予定しています。
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セブンが買われる側に

2024-08-23 06:06:13 | 日記
行き過ぎた円安の修正と日銀利上げを乗り越えた先に日本株の真価が問われそうです。今年の
日経平均は円安と共に上昇してきました。しかし日銀の意表を突く利上げと米国経済の強さに
陰りが出たことで円相場は161円台から141円台まで急騰しました。

一旦は円安方向に動きましたが、150円を超えることなく足元では145円台で推移しています。
9月のFOMCで市場が予想している0.25%ではなく0.5%の利上げになった場合、8月5日の141円を
試す展開も予想されます。まずは9月の雇用統計の結果が重要な意味を持ちそうです。円安という
下駄が無くなったことで企業の本当に稼ぐ力が問われることになります。低収益部門を温存して
きた企業は市場の圧力で抜本的な対策が待ったなしです。

カナダの流通大手アリマンタシォン・クシュタールによる7&アイの買収提案が明らかになりま
した。小売業の勝ち組でありコンビニ事業では他社の追随を許さない収益力というのがかつての
市場の評価でした。米国の同業であるスピードウェイの買収で国内事業に偏っていたコンビニ事
業はバランスがとれるようになりました。

その7&アイが今度は買収の標的になったのですから市場関係者も驚いたでしょう。アリマンタ
シォン・クシュタールの狙いはセブンが買収した旧スピードウェイのコンビニ事業を手に入れる
ことでしょう。ガソリンスタンド併設型のコンビニを展開しているアリマンタシォン・クシュ
タールは売り上げの7割をガソリン販売が占めています。

旧スピードウェイのコンビニ事業が手に入れば米国事業の強化に繋がります。コンビニ事業と言
っても日本の多くの店舗は繁華街や幹線道路沿いに展開していてガソリンスタンド併設型はほと
んどありません。かつては共同石油という元売り会社が経営していたam・pmの店舗が併設型で
したがファミマに買収され消滅しました。

アリマンタシォン・クシュタールはセブンの日本事業には興味がないようです。セブン側も相乗
効果が期待できないという考えでこの買収の実現性は高くはないようです。好採算のガソリン販
売が主力という事情があるにせよアリマンタシォン・クシュタールの収益力はセブンを引き離し
ています。結果としてセブンの時価総額は大きくアリ社を下回ります。早急に収益力を引き上げ
て市場からの評価を高めることが経営陣の当面の問題として残りそうです。
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キャノン高値更新

2024-08-22 03:00:09 | 日記
米株、円高の流れを受けた21日の東京市場は一時400円下落しましたが、下げ渋り終値は111円安
の3万7951円でした。3万8000円台は過去の売買代金が膨らんだ水準で上値抵抗ラインとなってい
るという指摘もあります。

一方目を凝らせば個別株物色もそれなりに盛んなようです。主力銘柄ではキャノンが10年来高値を
更新しました。キャノンが属するセクターは精密です。自動車セクターと共に為替感応度が高く円
安だと買い円高だと売りというのが通り相場でした。

円相場は7月初旬の161円台から足元では146円台と一時に比べて円高に振れています。キャノンが
10年来高値を更新した背景には何があるのでしょうか。日本版ブラックマンディ後の7日キャノン
は1月の1000億円に続いて1000億円の追加の自社株買いを発表しました。機動的な自社株買いで株
主還元や資本効率改善への期待が高まったのでしょうか。

145円は161円に比べたら円高という表現になります。しかし過去5年や10年それ以上の遡るとどう
でしょうか。2011年の東日本大震災後の79円という相場もありました。10年前は110円台でした。
130円台でやっていけない輸出企業はどこか問題があります。行き過ぎた円安の弊害を今年はいや
というほど感じました。

日本企業の利益率の低さは同じ業種に企業数が多すぎて過当競争になっていると言われています。
物価高と言われている状況でも緑茶飲料やスポーツドリングの安値販売がスーパーで目立ちます。
コカ・コーラのように強いブランド力を持たない商品は安値競争に巻き込まれやすい傾向があるよ
うです。サントリーやアサヒ飲料、キリンビバレッジ、伊藤園。国内メーカーが手掛けている緑茶
は大手だけでもこれだけあります。

コカ・コーラのように炭酸飲料で圧倒的なシェアある商品と比べて緑茶市場には圧倒的なシェアを
持っているブランドはありません。首位の伊藤園の「おーいお茶」でも圧倒的なシェアではありま
せん。これでは高い利益を得ることは難しいでしょう。

21日10年来高値を更新した銘柄はキャノン以外でも復活組のフジクラやJVCケンウッド、ニチレイ
アマノ、コナミ、ミズノなど製造業が名を連ねました。いずれも高い競争力、強いブランド力、高い
利益率のある商品を抱えている企業です。国内には豊富な投資資金があります。国内で魅力的な企業
が見つからなければ投資マネーは海外に逃げてしまいます。投資先として選ばれる企業が1社でも多く
出ることが日本市場の宿題です。
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身の丈投資のススメ

2024-08-21 01:46:28 | 日記
「始めるなら早い方がいい」とはテレビCMで流れている投信会社のファンド紹介です。三井住友
トラスト・アセットマネジメントが運用する「半導体関連 世界株式戦略ファンド」はテーマファ
ンドと言われている特定のセクターに集中投資するファンドです。

世界の名だたる半導体銘柄に投資強いているファンドですからSOX指数への連動性も高いようです。
8月の日本版ブラックマンディでは日経平均が大きく下落しましたが、半導体セクターのボラティリ
ティは元々高く指数を越える下落率だったのは商品設計上避けて通れない下落がだったのかもしれま
せん。このファンドも一時は高値から基準価格が28%も下落しました。

半導体市場の拡大は今後も続くというのが業界の常識です。該当企業に投資するファンドもまた妙味
がありそうです。もっともテーマ型ファンドはその時の市場の注目企業を多く組み入れる場合が多く
時としては割高感が高まっている時期での投資には注意が必要です。

先々市場拡大が確実視されるセクターに集中投資するファンドは時間を買うことが出来る積み立て長
期投資には向いているかもしれません。まとめていっぺんに投資するにはリスクが高くなります。投
資する銘柄のボラティリティが高いということは売買のタイミングが難しいということです。長期的
に一定金額を買い付けるのであれば高い時には買い付け株数が少なく、安値時には多く購入できます。
成長セクターに投資するなら理になかった投資手法です。

もっとも投資初心者が値動きの大きなテーマファンドの投資を奨励すべきなのかはどうも疑問が浮か
びます。現在のように手軽に瞬時で株価やファンドの基準価格がチェック出来るということは今回の
ような市場混乱で不安心理が独り歩きするケースがあります。

新NISAが始まり通称オルカンと呼ばれるファンドに注目が集まりました。世界中の企業にまんべんな
く投資するファンドです。もっとも投資先の6割は米国企業とも言われています。日本企業は5%程度
とも言われていますから、投資の基本である分散投資という観点では素晴らしいファンドなのかもし
れません。もっとも今月の暴落では基準価格はそれなりに下落したでしょう。

それでも6割を米国企業に投資しているならNYダウ、ナスダック指数、S&P500種は7月末の水準以上
に戻している訳ですから日本国内企業を主な対象にしたファンドよりもパフォーマンスは良かったよ
うです。いずれにしても時間を買える投資なら長期、積立が最もリスクを抑えられてパフォーマンス
も優れている投資手法でしょう。投資で重要なのは身の丈に合った投資手法を続けることです。

常に株価のチェックが出来ず勉強する時間も取れないサラリーマン投資家が「億り人」の投資手法を
まねても上手くいきません。情報が少ない或いは取れないという状況は不安心理を高めます。とても
冷静な判断は出来ません。市場関係者も予想できなかった今月の暴落で不安に襲われなかった投資家
は少数でしょう。お金にも心にも余裕を持った身の丈投資が成功の近道です。

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ジャクソンホールよりもエヌディディア決算

2024-08-20 06:51:07 | 日記
今週の注目材料は何と言っても22日から24日に開かれるジャクソンホールの講演会でパウエル
議長が利下げ幅についてそのくらい詳細な発言をするかでしょうか。相次いで悪い経済指標が
続いた今月初めには9月に0.5%の利上げに踏み切るという予想が7割を占めていましたが、小売
り売上高が市場予想を上回ったことで3割に低下しました。

市場は再び0.25%の利上げに踏み切るという見方が主流になっています。もしパウエル議長が
米国経済の先行きを深刻に考えて0.5%の利上げに含みを持たせる発言をすれば為替市場や株式
市場は敏感に反応するかもしれません。現状では市場予想通りの0.25%の確率が高まりイベン
トを波乱なく通過というシナリオが最も望ましいようです。

先週の反発でNYダウ、ナスダック指数、S&P500種とも今月の急落分を取り戻しました。さらに
高値を追うエネルギーが残っているのかまだまだまだら模様の各種の経済統計の結果次第では振
れ幅の大きな展開も予想されます。

16日の東京市場で日経平均が3万8000円を回復した立役者の一つが東京エレクやアドバンテスト
などの半導体銘柄の上昇で両銘柄とも指数の上昇率を上回りました。今回の決算を通じて生成AI
関連の巨額な設備投資が利益に結び付かないという懸念が半導体銘柄の下落に繋がりました。

28日予定の半導体大手エヌビディアの5〜7月期決算が試金石になりそうです。再び同社の決算が
AI関連の見直し買いに拍車をかけるのか、それとも失望売りの元凶になってしまうのか。先週の
取引で注目を集めたフジクラもAI関連の需要好調が背景にあります。主力株で戻りの良かった日
立もデータセンターやその電力を賄うことも需要が膨らむ送電線事業の好調です。裾野の広がり
を伴いながら生成AI分野の高成長を支えに関連銘柄物色が株式市場の柱であり続ける展開も予想
されます。

19日の東京市場は先週に急反発を受けて戻り一巡感のあったところに円相場が1円少し円高に振れ
たことをキッカケに大幅安で終わりました。もっとも146円台であり市場には居心地の良い水準で
はないでしょうか。日経平均が上値を追うには米国市場の株高継続、特にナスダック指数やSOX指
数の上昇による指数押し上げ効果の高いことを考えると米国市場次第ではないでしょうか。

ジャクソンホールでのパウエル議長の講演を無事通過しること。そして注目のエヌディデ決算と
その結果による市場の反応次第ではないでしょうか。いずれにしても3万8000円からの上方向や
下方向の行方は円相場や米国市場の動きが鍵を握っているようです。
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