kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

円安頼みの限界?

2022-07-30 06:44:45 | 日記
29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比315ドル(1.0%)高の
3万2845ドル13セントと6月上旬以来の高値で終えました。7月相場では決算発表前は
不安視された大手ハイテク銘柄の決算が市場が懸念したほど悪くないというで市場に
明るさが戻ったようです。

7月のダウ平均は6.7%上昇し、2020年11月以来の高い上昇率となりました。ハイテク
株が多いナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比228ポイント(1.9%)高の1万
2390.688で終えました。月間上昇率は12.3%と、20年4月以来の大きさでした。好調
だった7月相場の後を受けて8月相場はどのような展開になるのでしょうか。

大手ハイテク銘柄中心に決算への警戒心が強く懸念されたほど悪い決算ではなく期待
値が低かった分、上値余地が生まれたようです。円安メリットで自動車、電機、精密
など上方修正期待の高かった日本企業の決算発表では反対に市場予想に届かず2万8000円が
の追い日経平均と真逆の展開です。

輸出企業の決算発表では円安メリットが原材料高などで相殺され増益でも利益が市場
予想に届かない銘柄や原材料高や物流費の上昇で予想外の減益決算に追い込まれる企
業も出ています。さらに今週は為替相場が予想外の急激な円高進行も日本株の足を引
っ張りました。

このまま円高が一段と進むという見方は現状では少ないかもしれませんが、市場参加
者が何の疑問もなく円安に賭ける相場ではなくなったのかもしれません。株式でも為
替でも予想が一方方向に傾きすぎると往々にして相場は反転するものです。

ここまで自動車や機械、電機、精密など輸出企業は円安効果で増益だったところがほ
とんどです。円安プラス数量の増加や値上げなどで増益を達成した企業は少なかった
ようです。円安頼みの相場はやはり欧米の長期投資家の評価を高められないのではな
いでしょうか。

環境に恵まれた日本企業よりもドル高やインフレなど懸念材料があるにも拘らず決算
で足腰の強さを発揮した米国のハイテク企業に市場は高評価を与えました。円安もあ
り円ベースでは6月まで底堅かった日本株ですが、7月の上昇率は5.3%です。一方NY
ダウは6.7%、ナスダック指数は12%、S&P500種は9%のそれぞれ上昇でした。

年明け以降米国市場の方が下落率が高かっただけに買戻し余地も大きかったという見
方もできますが、ドルの独歩高を考えればやはり米国株の強さは際立つのではないで
しょうか。もし反対に日本株に円高の嵐が吹き荒れていたら市場の混乱は米株の比で
はないでしょう。

さて好調だった7月相場が終わり8月相場が来週からスタートします。夏休みで市場参
加者が限られボラティリティが高まる懸念もあるでしょう。騰落レシオは買われ過ぎ
の120%を越えたのは21日です。7営業日連続です。29日は130%でした。来週2万
8000円を終値ベースで回復したとしても短命に終わる可能性もありそうです。

為替相場は企業側からは対策も限定的です。やはり為替相場に依存しない本当の稼ぐ
力を日本企業は問われているようです。
次回の更新は8月2日を予定しています。
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居心地

2022-07-29 05:29:42 | 日記
28日の東京市場は米国市場の大幅高を好感した買いは続きませんでした。FRB議長の
発言から過度な引き締め懸念が和らいだことが米国の反発に繋がりましたが、為替市
場では135円台まで円高が進んだことも東京市場の足を引っ張ったようです。

まだ円安トレンドの転換まで見込んでいる関係者は多くはないようですが、円相場は
今月14日に139円手前まで円安が進んだ後はこれまでの流れとはやや変化の兆しも出
てきました。投機筋は既に円安ポジションの解消に動いているとの見方もあるようです。

急激な引き締めで米国経済の先行きに懸念が広がり長期金利は3.5%から足元では2.8%
まで低下しています。日米金利差拡大による円安という買い材料は色あせつつあります。
足元の円相場は急激に円高に振れました。しかし134円台でもまだ日本の輸出企業の想
定為替レートに比べれば円安水準ですが、140円超えは時間の問題という見方は後退した
ことで一転輸出企業にはマイナスになりそうです。

国内では感染者数の拡大傾向が続いています。G7の中では一番感染者数が多いという
ニュースになっています。昨年まで感染者が少なかった韓国やオーストラリアも今年
前半感染爆発が発生しました。市中感染が抑えられていただけに免疫を持っていない
人が多いという共通項が両国と日本にも当てはまります。このところの日本での感染
爆発は必然だったのかもしれません。

連日過去最高を記録する感染者数は夏休みシーズンやお盆休みシーズンを控えて回復に
向かっていた人流の抑制に繋がります。3年ぶりの行動制限のない夏ですが、このまま
重症者数増加が止まらなければ何らかの規制が今後出るのではないかという懸念もあり
ます。

経済を回すことを優先するという政府方針も昨年のように医療崩壊が再び発生すれば方
針転換が必要になるかもしれません。経済再開銘柄は打たれ強くなってきましたが、ど
んどん上値を切り上げる展開でもないようです。感染急拡大は物価高とともに国内経済
に暗い影を落としているようです。

朝方発表の2022年4~6月期のGDPが2四半期連続のマイナス成長となりました。しかし
市場は景気悪化で米連邦準備理事会が利上げペースを緩めるとの期待が強まり、幅広い
銘柄が買われNYダウは332ドル上昇、ナスダック市場も上昇しました。利上げ幅の行方
幅に焦点が当たっている足元の市場では悪いニュースは良いニュースと受け止められま
した。

もっとも米国景気の先行き不安は増すばかりです。いずれ市場が景気の実態悪を嫌気する
場面が来ることも考えるべきです。東京市場は米国高でも今度は円高が足を引っ張りそう
です。2万8000円台に定着するのはまだ時間が必要です。現状では2万7000円台が居心地の
良い水準かもしれません。


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円安メリットの検証

2022-07-28 05:27:19 | 日記
電動工具を主力事業とするマキタは業界のトップ企業です。22年3期の海外売上比
率は84%であり大幅な円安で円ベースでの売り上げが嵩上げされる円安メリットが
期待できる企業でした。

ところが26日に発表した2022年4~6月期の連結決算で純利益が前年同期比51%減の
105億円となる結果を受け27日株価は急落し7月1日に記録した3256円の年初来安値
近くまで下落しました。

中国のロックダウンで主力の中国工場の操業を止めた影響や原材料の高騰が要因で
あると記事は伝えています。今から10カ月前の2021年9月には7050円という高値を
付けていました。マキタほどの有力銘柄でも株価が半分になってしまうということ
が驚きです。

トータルでは今回の大幅な円安で恩恵を受ける企業は多いでしょう。しかし今回は
歴史的な原材料価格の高騰や中国でのロックダウンの影響が製造業中心に幅広い企
業に広がっています。代表的な輸出企業であるキャノンの決算は従来見通しから
160億円上振れ前期比33%増の3760億円になりそうだと伝わりました。上方修正し
たにも拘わらず27日の株価は一時4%超下落しました。

同じく日東電工も上方修正したにも拘わらず販売数量が減少したことを嫌気して
下落しました。好材料にも反応は鈍く悪材料では容赦のない下落が待っています。
代表的な輸出企業は6月に円安メリットを囃して年初来高値を付けたところが多か
ったようです。しかし市場がそろばんをはじくほど高い期待に企業の決算が届か
なければマキタのように急落する銘柄はまだ出てくるでしょう。

注目のFOMCの結果は0.75%の利上げと市場予想通りの結果でした。パウエル議長
の発言から先行きの金融引き締めペースの鈍化を市場は好感して大幅高になりまし
た。特にハイテク株が多いナスダック総合株価指数は4.1%高と今年最大の上昇率に
なりました。

金利上昇で割高感の強いことが嫌気されてナスダック指数はNYダウよりも下落率が
高かっただけに金融引き締めペースの鈍化観測は格好の材料になったようです。市
場注目の大手ハイテク銘柄の決算の思ったよりも悪くないということも株高の追い
風になりました。

米株の大幅高を好感して今日の東京市場は上昇して始まりそうです。外部環境の好
転で幅広い銘柄が上昇し、そして決算発表で一段高する銘柄と急落する銘柄と今後
明暗が分かれそうです。
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ドクターカッパー

2022-07-27 05:48:12 | 日記
IMFは26日世界経済の2022年の実質成長率見通しを3.2%に下方修正すると発表しま
した。昨年10月の見通しでは4.9%でしたが、1月には4.4%、4月には3.6%と月を
追うごとに下方修正になっています。世界の2大経済国である米国は昨年10月の5.2%
4%、3.7%そして7月は2.3%という結果でした。中国は5.6%、4.8%、4.4%そして
7月が3.3%でした。

世界経済を牽引する米国と中国はともに前回予想から1.4%と1.1%という大幅な落
ち込みでした。次の10月の数字は果たして下落に歯止めがかかるのか、極めて不透
明であることは間違いないようです。

米国では10年債利回りが2年債利回りを下回る逆イールド状態が定着しています。
逆イールドの状態は景気失速を暗示していると言われています。経済の先行きを
占う材料として銅価格の推移に市場が注目しています。LME銅先物価格は2月の
高値から3割ほど下落しています。

一方経済悪化で原油などのエネルギー価格や銅などの非鉄価格の下落はインフレ鎮
静化に追い風です。米国ではインフレ鎮静化→FRBの利上げペースの縮小そして
その先には利上げ停止。さらには経済悪化が深刻になれば利下げへの期待が高まり
で株高期待というのが市場の流れです。

もっとも景気悪化で企業業績の低迷を株価が完全に織り込んでいないと緩和相場は
短命に終わります。あと半年で懸念材料を株価が織り込み上昇トレンドに持ち込め
るのでしょうか。回復するとしても一直線の上昇というよりも揺り戻しを挟みながら
の展開が現時点ではメインシナリオでしょうか。
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終わりなき戦い

2022-07-26 04:03:50 | 日記
上海のロックダウンが解除されて生産正常化が進むと期待されましたが、現地からの
ニュースではまだまだ完全正常化には程遠いようです。中国の今年のGDP目標の5.5%
はかなり厳しくなったという見方が現時点では多いようです。

感染拡大を防ぎながら経済も回していくというコロナとの共存がなかなか実現できな
いのは日本の現状を考えれば明白です。BA.5への置き換わりで参議院選挙後にも実現
を目指した旅行支援策は先送りを余儀なくされました。

変異を繰り返すたびに感染拡大が続くコロナとの戦いはいつまで続くのでしょうか。
中国でゼロコロナ政策を続ける限り中国からの観光客が戻るのはいつになるかは全く
見通せません。

半年おきに接種が必要なワクチンではやはり使い勝手は良くありません。勿論ワクチ
ンに求められるのは感染予防効果や重症予防効果それに副反応の少なさです。日本で
3回目の接種が6割を超えたところで止まってしまったのは副反応の多さが若者たちの
接種を躊躇わされているとの指摘もあります。

予防効果が高いワクチンが勿論必要ですが、若年層では重症化率が低いというオミク
ロン株であることが副反応の大きさとを天秤にかけ接種率が高まらない原因です。

重症化率が高くなくても感染爆発で現に医療機関は外来を含めてパンク寸前という記
事も出ています。重症予防に重点を置き4回目接種は60歳以上と基礎疾患のある人に
当初限定していました。しかし感染爆発で医療従事者の感染や濃厚接触者の増加で人
手不足が深刻になり慌てて4回目接種に医療従事者などのエッセンシャルワーカーに拡
大しましたが後手に回ったことは否めません。

JR九州は感染者や濃厚接触者の増加で運転手のやりくりが付かず特急列車の運休に追
い込まれました。JR九州のケースは氷山の一角かもしれません。軽症者や無症状者が
多いBA.5ですが、感染力が強いためにマンパワーが不足し経済活動に影響が出ていま
す。

コロナのように感染拡大のスピードが速い感染症対策はまだまだ手探り状態です。円安
効果もあり少なくとも円ベースでは世界の市場よりも下落率が抑えられている日本市場
ですが、国内の景況は円安メリットだけでは支えきれません。感染が落ち着かなければ
今年後半の国内景気への先行き不安が高まります。

昨年末にはワクチン接種の効果と治療薬の登場でコロナとの戦いは終わる訳でした。し
かし変異を繰り返す敵は思った以上に手強い相手でした。HISの苦境が示すように観光業
などまだまだ厳しい状況が続きそうです。


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