kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

トヨタの誤算

2017-07-31 07:44:17 | 日記
2016年の販売台数が1000万台近いGMの時価総額を10万台にも満た
ないテスラが抜いたというニュースが今年話題になりました。テスラは
家庭用蓄電池販売にも力を入れており電池での合弁相手のパナソニ
ックの太陽電池と組み合わせ家庭と車の電源を押さえる戦略が評価
されているのでしょうか。家庭で充電するにも町の充電スタンドを利用
するのも結局は電力消費がEVの普及で益々高まることになります。

車両価格の高さに加えて航続距離の問題、充電インフラの整備の遅れ
などからEVの本格普及はかなり先と見られていました。2016年にEVと
PHVを合わせた販売台数は自動車販売総数の僅か1%でした。EVの販
売増加が見込めなければ量産効果による電池価格の低下も期待できず
充電インフラ整備の加速も期待できません。しかし中国でEV普及に向け
ての税制政策などが本格化するとこれまでの流れが一変するかもしれま
せん。欧州各国の動きとあわせてメーカー各社もEV普及に本気モードに
突入するかもしれません。

トヨタは究極のエコカーは燃料電池車という位置づけで開発を続けてき
ました。ガソリン車から燃料電池車へのつなぎとしてHV車の普及にも力
を入れてきました。HVの販売実績ではトヨタがダントツの1位です。その
後を追うのがホンダでした。各国のメーカーもHV開発を強化すれば販売
で先行した2社には有利な条件で競争が続くことになったかもしれません。

トヨタのスタンスとしてはEVは航続距離の問題に解決策が見つからず
環境車の本命はあくまでガソリン車並の航続距離が可能で水しか排出
しない燃料電池車が本命というものでした。水素スタンドの整備や車両
価格の引き下げを時間をかけて解決し燃料電池車を環境車の主役に据
える計画でした。おそらく経営陣は今のこの考えは変わらないでしょう。

しかしカリフォルニア州でHVが環境車としての認定を外れ環境規制を
クリアするにはHPVプラスEVも欠かせない存在になりました。中国でも
事情はほぼ同じです。トヨタは慌ててEV開発を進める社内組織を昨年
立ち上げ2019年にEVの市販を始まると発表しました。HVと燃料電池車
開発では先頭ランナーだったトヨタでしたが、EVでは大きく出遅れた印
象は拭えません。EVでもトヨタが王者の貫禄で先頭集団に追いつくのか
それとも大きく躓いてしまうのか。2020年までに趨勢は決まりそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

任天堂の復活

2017-07-30 11:39:21 | 日記
先週発表された決算でこの時期の四半期決算として過去最高とか過去
2番目の収益というニュースが目に付きました。電機や機械銘柄には市
場予想を越える決算が多かったようでした。それでも2万円の大台を維
持するには力不足だったのでしょうか。市場の一部には安倍政権の支持
率急落が足を引っ張ったとの恨み節も出ているようです。

一方海の向うの米国でのトランプ政権の不人気は今のところ米国株の足
を引っ張っているという記事は余り見かけません。現状では日米とも政治
不安が何かのキッカケで株式市場の不安材料となることもあるかもしれま
せん。年初には先進国で一番政権基盤が安定しているのは日本だという
見方でした。安倍政権がここまで足元がぐらつくとは予想外でした。政治の
世界は一寸先は闇といいますが先のことは分からないものです。

今年も昨年に続いて夏場の任天堂人気が続いていますが、昨年と今年で
は期待する中身が随分違います。昨年、スマホゲームのポケモンGO人気
が任天堂を一躍スマホゲームの主役に押し上げました。この時点で翌年に
発売を控えていた据え置き型ゲーム機スイッチに対する期待は余り高くは
ありませんでした。ゲームのトレンドはゲーム専用機からスマホゲームに完
全に需要を食われたと言う考えが当時幅を利かせていました。

何よりもポケモンGO人気は任天堂の持っているキャラクター価値を改めて
証明しました。この時市場で期待されたのはマリオなどの人気キャラクター
をスマホゲームに移植することでゲーム専用機主体の事業展開ではなくス
マホ市場に本格的に参入することで再び成長路線に復帰できることを夢見
た投資家達でした。

もっとも今となっては頑なにゲーム専用機での事業展開を捨てなかった任
天堂の粘り勝ちだったようです。パズドラやモンストといったビッグヒットを
生んだスマホゲームでしたが、その後この二つのゲームを越えるヒット作
は出ていません。そう簡単に大ヒットするようなゲームが生まれるのが容
易いことではないのはゲーム専用機でもスマホでも変わらないようです。
それに加えてスマホの高性能化に伴ない開発費は以前の倍近く上昇して
いるようです。スマホゲーム市場も競争激化は避けられないようです。

2020年には5Gが実用化され4Gの100倍の通信速度になるようです。スマ
ホの性能アップも進むでしょうからスマホゲームの開発費は今後も増え
続けるかもしれません。巨額な開発費を投じてもゲームは水物ですから
ヒットするとは限りません。スマホゲームにシフトするのではなくあくまでも
専用機での勝負に拘った任天堂の戦略は正しかったようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国市場が鍵!EV車の流れ

2017-07-28 07:03:32 | 日記
好決算発表が多いように感じる序盤戦ですが、株価の反応はマチマチ
のようです。好決算でも既に先取りするように株価が上昇していた銘柄
は反落するものも少なからずあるようです。反対に事前の期待が高くな
く株価への織り込みが十分ではなかった銘柄には大幅高する銘柄も出
ています。まあ多くの日本企業はスタートの第一四半期決算で大幅な増
益でも通期見通しは据え置く傾向が強いようです。会社側の予想が保守
的な企業は今後に楽しみを残しました。

会社側の予想が慎重なのは例年のことですが、今年は特に年後半の為
替相場や中国経済の失速懸念などもあり慎重のようです。下方修正を
避ける傾向が強い企業側としては余程の手ごたえがない限りこの時点で
上方修正に進む企業は一握りです。現状の110円弱の円相場が続けば
中間決算で上方修正する企業が続出することも考えられます。

好決算が続くにも拘わらず日本株の上値は相変わらず重い状態が続い
ています。需給面では海外投資家の買いは続いているようですが国内
投資家の売りを吸収して一段高するほどの金額ではないようです。足元
の業績好調や日銀のETF買いへの期待から下値不安は乏しいようです
が、米国株に比べて足取りの重い日本株の歯がゆい相場は続いていま
す。

このところ自動車の電動化についてのニュースが相次いでいます。特に
欧州ではフランスに続き英国が2040年以降ガソリン車やディーゼル車の
販売を禁止すると方針のようです。都市部での大気汚染が深刻で環境
意識の高い欧州ではディーゼル車が出すNOxへの対策が急務のようで
す。電力で脱石油が進んでいる欧州ではその波が自動車にも広がって
きました。化石燃料に対する逆風は強まる一方です。自動車も例外扱い
ではないようです。

現在最もEV車両が売れているのは中国です。中国は国の政策でEV車
普及を押す進めています。急速にEV車普及に舵を切った理由は単に
環境問題だけではありません。今や世界最大の自動車市場に成長した
中国ですが、国内勢の劣勢はなかなか改善しませんん。国内自動車産
業の育成のためEV車への後押しは国策でもあるようです。

積み上げた技術が重要なエンジン開発では海外企業に一日の長があり
中国メーカーにはなかなか太刀打ちできません。そこでまだ外資系メー
カーも技術的に完成度の高くないEV車は中国の国内勢が巻き返せる可
能性のある分野です。税制面で支援を厚くし国内自動車メーカーが対抗
出来るキッカケにしようとしているようです。EV車の普及が加速するのか
どうかは中国が握っているようです。急速なEV車の普及は日産以外余り
EV車開発に経営資源をつぎ込んでこなかった日本メーカーには正念場と
なりそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

市場が警戒する8月

2017-07-27 07:04:18 | 日記
何とも歯がゆい相場が続いています。円安への反転、米国株の上昇で
前日比143円高い2万98円で始まった東京市場は9時38分に2万116円ま
で上昇しましたが、その後は伸び悩み徐々に上げ幅を縮めました。2万
円台の大台はキープしましたが、大引けは94円高の2万50円で引けやは
り2万円台での上値の重さが再認識させられました。

トランプ政権の機能不全や割高だと言われながらも米国株が連日最高
値を更新しているのも利上げやFRBの資産縮小に舵を切れる米国経済
の強さが背景にあるのでしょうか。グローバル企業に逆風だったドル高
も是正に向かっています。低い成長と低い金利状態は案外米国経済に
とって心地よいのかもしれません。

一方日本株は2万円台を回復した6月までの勢いが今月は感じられませ
ん。安倍内閣の支持率急落が響いたのか。ドル安の反対側にある円高
基調が障害になっているのか。既に2万円を中心とした膠着状態は1ヶ月
を越えています。日本企業の決算序盤戦の内容は総じて好調です。しか
しこの膠着状態を抜け出すキッカケにはまだ何か足りないようです。

好決算発表で355円高の1万850円で寄り付いた信越化学は時間の経過
と共に売りに押され前引けには前日比マイナス圏に突入しました。午後も
プラス圏に浮上することなく一日の取引が終わりました。どうやら信越化
学は二匹目の安川電機にはなれなかったようです。

27日の信越化学の下げが影響したのでしょうか、好決算期待でこのとこ
ろ高値を更新してきた日本電産やダイキンも同じように失速してしまいま
した。こうなってくると好業績期待で上昇した銘柄も余程のサプライズ決
算でない限り材料出尽くしで売られる可能性も出てきました。

このところ市場が気にしているのは異常に低い日経平均ボラティリティ
インデックス(VI)です。過去の例では年の前半変動率が低かったケー
スでは年後半大きく動くことが多かったようです。05年は小泉元首相に
よる「郵政解散」で相場が急騰、07年は米国の住宅バブルの崩壊で相
場は急落しました。

今年は欧米の中央銀行がテーパリングに踏み出すことから市場を支え
ていた過剰流動相場に転機が訪れ大きく動くとしたら下方向ではないか
と警戒されています。FRBも慎重に資産縮小に取り組むでしょうし、懸念
は杞憂に終わるかもしれません。しかし最終的には相場がどちらに転ぶ
か分かりません。決算発表一巡後に不安を抱えているのでしょうか。夏
休みで海外投資家などの市場参加者の減少で流動性が低下する8月は
短期筋の動きに要注意だという見方も根強いようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

液晶から有機ELへ

2017-07-26 07:15:20 | 日記
本日付の経済紙の一面に韓国LG電子が中国で有機EL工場を新設する
と言うニュースで出ています。テレビや電子看板向けの大型パネルを生産
する方針です。投資額は1800億円以上になりそうです。また韓国内では
同じく大型パネルとスマートフォン用の中小型パネルにも投資し総額は日
本円換算で1兆に達します。

また中小型有機ELパネルでほぼ市場を独占しているサムスン電子も増産
投資に今年1兆円を予定しているようです。有機ELパネル生産では韓国勢
が独走しています。テレビ用の大型パネルに強いLG電子とスマホなど中小
型パネルで独走状態のサムスン電子が市場をリードしています。

中国では産業の高度化を推し進め政府の支援の下に内外企業による大型
液晶パネル工場が続々と立ち上がっています。現在は価格の安定している
大型液晶パネルも各社の増産投資で今後は価格低下で厳しい状況が待ち
受けています。液晶パネルで先行した韓国2社は中国勢との正面対決を避
け有機ELに勝機を見出そうとしています。

日本の家電各社も有機ELテレビシフトを鮮明にしていることもあり今後は
薄型テレビは液晶から有機ELに切り替わる可能性が出ています。また中
小型有機ELパネルはアップルが今秋発売の新製品の一部に採用される
ことが決まり市場は一気に拡大しそうな情勢になりました。歩止まりの低さ
から価格低下が進まなかった有機ELパネルも技術の進歩で今後は価格
低下が進みそうです。そうなると益々普及に拍車がかかりそうです。

液晶パネル生産で一時は世界席巻した日本企業ですが、残念ながら有機
EL生産では大きく出遅れてしまいました。世界で初めて有機ELテレビを発
売したソニーも製造コストの高さを克服できず数年で撤退してしまいました。
もはや韓国勢の背中は遠のくばかりです。もっとも半導体産業と同じように
製造装置では日本企業の存在感は高い状態です。

有機EL材料では出光興産、真空装置を手がけるアルバック、薄膜蒸着装
置のキャノン子会社(キャノントッキ)、FPD露光装置のニコンなど有機EL
生産には欠かせない企業です。液晶から有機ELパネルへと需要構造が
変化すると流れに乗った企業と流れから外れた企業とで明暗が大きく分か
れることになります。何時の時代でも光と影が出てくるのは変わらないよう
です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする