kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

ジャガイモがリンゴを越えた

2012-10-31 08:45:49 | 日記
現在のIT業界を牽引している企業でその話題性や知名度は何と言っても
アップルが一番でしょう。そのアップルの快進撃を支えているのはiphoneと
iPadです。その新製品発表は一企業の枠を越えて全世界が注目する一大
イベントです。おそらくマスコミが取り上げるアップル製品の宣伝効果はCM
効果に換算すると莫大な金額でしょう。それを世界のマスコミが挙って宣伝
してくれるのですからアップルにとっては濡れ手に粟のようです。

アップルの株価は今年上昇基調が続き8月21日には1999年にマイクロソフト
が記録した時価総額6208億ドルを更新する6235ドル(当日株価の引け値は
665.15ドル)をつけました。アップル株はその後も上昇して9月中旬にはiphone
5の好調な滑り出しを好感して株価は700ドルを越える場面もありました。また
東京市場ではiphone関連で部品サプライヤーである日本の電子部品株も人気
化する現象も起きています。

その一方、東京市場でアップル株以上の株価パフォーマンスを出している
企業があることは意外に知られていません。それも華やかなIT関連銘柄と
は無関係な食品分野にある企業です。

ジャガイモを使ったスナックで有名なカルビーが東京市場第一部に上場した
のは東日本大震災が発生した2011年3月11日です。初値は公開価格と同じ
2100円、引けは2221円でした。公開価格を大幅に上回ることも多いIPO銘柄
としては静かなスタートでした。ところがその後も東京市場が大震災や欧州
財政危機それにタイ洪水で大きく下落する場面があったにも関わらず株価は
上昇トレンドを辿りました。景気変動に左右されにくい食品会社という追い風
も味方につけ、ついに今月の10月26日には一時7450円まで上昇しました。

上場初日の終値(2221円)から先週の終値(7360円)で計算すると株価は3.31
倍まで上昇しました。同期間のアップル株は351ドル(3月11日)、604ドル(10月
26日)で1.72倍、9月の高値700ドルで計算しても1.99倍です。勿論売り上げ
規模や利益それに時価総額などは雲泥の差ですが安定成長は期待できて
も急成長とは無縁の食品業界にあってカルビーの快進撃は特筆ものです。

カルビーの例はどんな業界にあってもマネジメント次第では大きな成長が
期待出来ることを示しています。リンゴの企業ロゴを使っているアップル以上
のパフォーマンスを出したギャガイモを原料とするスナックが主力事業のカル
ビー株に拍手を送りたい気分です。ちなみにカルビーの社名の由来はカルシ
ウムとビタミンからきているそうです。カルシウムのカルとビタミンのビーなる
ほど骨の形成に不可欠な栄養素です。良い社名ですね。
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午前無風、午後波乱?

2012-10-30 07:59:06 | 日記
先々週日経平均が9000円を回復する過程で個人投資家は現物と信用合わせ
て2200億円ほど売り越しました。逆張り傾向の強い個人投資家は中国のデモ
や不買運動で株価が軟調に推移していた10月第2週には買い越しに転じてい
ます。この週は8800円台から8500円台へと急落した週でした。この下落過程で
値頃感から買いを入れました。

もっとも先々週の急騰で日経平均が9000円台に乗せる過程では一転大幅な
売り越しに転じました。ここから個人投資家の多くは8500円台なら値ごろ感
から買いを積極化するけど9000円は目先売り場と判断している投資家が多
いのかもしれません。先週末から昨日にかけて個別銘柄では値を崩すものが
多かったことを考えるとこの判断は現状では妥当だったと思われます。

個人投資家はとにかく日銀の追加緩和期待での春先のような上昇相場には
懐疑的な見方をしているのでしょう。日経平均の下落は限定的ですが、予想
以上の業績悪化で個別銘柄では下げ足を早める銘柄もこのところ目に付き
ます。今日の政策決定会合の結果にもよりますが決算発表が一巡してもう
一度悪材料を織り込まないと買い出動も難しいのかもしれません。

もっとも大幅に売り越しで買い余力の生じた個人投資家がいることは再び安値
圏と判断した銘柄には買いを入れる可能性もある訳ですから下支えの要因に
はなります。海外の短期資金主導で9000円まで上昇してきた東京市場ですが
日銀の発表後はまたボックス相場に逆戻りするのか、ハードルは高いですが
それとも一段高するのか?その答えはおそらく今週の動きである程度見通しが
立つかもしれません。

NY市場はハリケーンの影響で休場になってしまったので東京市場の午前中は
材料難です。少なくとも前場は嵐の前の静けさかそれとも青天の霹靂でアッと驚
く結果になるのかまったく予想できません。それに今日は多くの企業の決算発表
が予定されています。今までのところ決算発表を終えたところは圧倒的に業績
下方修正が多いようです。中には悪事料出尽くしで反発する銘柄もありますが
急落する銘柄のほうが多いようです。株価の位置や下方修正の中身をもう一度
点検しないと値頃感だけで買うのはリスクが多いのかもしれません。

どっちにしてもこれからも今年の相場を象徴しているボラティリティの高い流れに
なることだけは間違いないのかもしれません。






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先物主導の限界か それとも

2012-10-29 08:28:30 | 日記
先週の東京市場は9000円を中心とした往来相場でした。もっともこれは指数上
の事で個別銘柄の多くは週明けの高値形成後、割と大幅な調整を迫られてい
ます。週前半は円安基調がNY安でも東京市場を支えていましたが、物色銘柄
は輸出関連銘柄の一段高ではなくて内需、外需問わず好業績の小型株が主役
だったようです。主力の大型株を一段高に持ち上げるほど実需は入ってなかっ
たのでしょう。

例えば12日を底に自動車株は反発局面でしたが先週の前半には早くも息切れ
しました。自動車株でも人気だったのは業績好調でしかも中国リスクの少ない
富士重工やスズキそれに日野自動車の中堅どころでした。富士重工は主力の
米国市場での販売好調で円安のマイナスを撥ね退けました。またスズキは主力
市場のインドの工場ストライキが収束し生産が回復したことやエコカー減税終了
後も維持費の安さから落ち込みの少ない軽自動車が主力と言うこともポイント
です。

また日野自動車は東南アジアでのトラック販売の好調が要因です。このように
みていくと大手に比べて体力の弱い中堅メーカーでも得意市場の有る無しで
業績に差が出ているということが分かります。大手メーカーがなお年初来高値
からの戻りが低水準であることからもこれら中堅メーカーの健闘が光りってい
ます。もっとも偏った市場依存はリスクも時には大きくなると言うことも頭に入れ
て置く必要はあります。主力市場の変調は業績に諸に響いてきますから。

先々週は外国人投資家が久々に現物株を大幅に買い越しました。日経平均
が8500円台の水準での割安感からの長期投資家が買ったようです。しかし
9000円前後の水準でも買いが続くという保証はありません。割安感だけの買
いでは上値を追ってまで買い進める状況には無いかもしれません。

今回の上昇を演じている立役者は短期投資家です。東京市場を動かしている
主体がヘッジファンドなどの短期投資家による日銀の追加緩和期待での先物
買いだとすれば状況次第であっという間に売り逃げます。

ある記事によると目先の収益を狙って円売りの日経平均先物買いを仕掛けて
いると書いていました。もしポジション手仕舞いで反対売買になった場合は波乱
は避けられません。30日の日銀の政策会合、週末の雇用統計の結果によって
は上下いずれに大きく変動する可能性があります。

個人の慎重姿勢も相俟って9000円以上の上値は重くなっています。この状況を
変えるとしたらポジティブサプライズがあるかどうかです。どちらにしても波乱の
1週間になる事だけは間違いありません。
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日本企業の生きる道

2012-10-28 08:16:35 | 日記
富士通ゼネラルの業績が絶好調です。電気業界の多くの企業が大幅な減益か
経常赤字に転落する企業がある中で4~9月期の純利益は過去最高を更新し
ました。エアコンでは2流メーカーと言う印象に強い富士通ゼネラルの業績好調
の背景はどこにあるのでしょう。

富士通ゼネラルもかつてはテレビなども手がける総合中堅家電メーカーでした。
最もブランド力の弱さから国内市場でも海外市場でも苦戦を強いられました。
そこで比較的競争力もあり自社の技術優位が活かせるエアコン事業に経営資源
を集中しました。市場も国内では大手家電メーカーの力が強いので市場開拓の
余地のある海外市場を積極的に開拓しました。

その成果が売り上げの四分の一近くが日本市場、14%強が中東・アフリカ、欧州
が12%弱、オセアニアが9%弱、米国が9%、アジアが11%ほどとバランスの取れ
た売り上げ構成比率になっています。また製造拠点は中国とタイです。円高の
影響がない海外生産に早くからシフトした戦略も功を奏しました。

洗濯機、冷蔵庫とともに白物家電と言われるエアコンですが、きっとその中でも
エアコンは日本企業の技術力が発揮できる分野なのでしょう。その証拠に同業
大手で世界一の空調メーカーのダイキンも好業績です。あまり洗濯機専業メー
カーとか冷蔵庫専業メーカーとかは聞かないので白物家電でもエアコンは付加
価値を付けやすい分野なのかもしれません。

技術革新が早く他社よりもいち早く量産して投資を回収しないと成功しないビジ
ネスモデルの半導体は日本企業がトップを独占した時期もありましたが、今は
多くの企業が撤退に追い込まれたようにどうも日本企業が得意とする分野では
ないのかもしれません。その点、自動車やエアコンのように世界の市場で競争
できている企業が多いのはそれだけ日本企業が得意とする摺り合わせの技術
がものをいっているのでしょう。

カシオが赤字続きの携帯事業から撤退して得意の時計事業の強化で立ち直っ
たようにもう他の日本企業も一度原点に帰って事業を見直すべきかもしれませ
ん。得意な事業に一層磨きをかけブランドイメージを定着させて利益率の向上
を図るそんな発想がこれからはますます重要になっていくのでしょう。

アジア企業の追い上げもありPCも薄型テレビもスマホ業界でも日本企業の存
在感は薄くなるばかりです。技術優位だと思っていた分野でもどんどん海外
企業に追い上げられています。横並びの意識を捨てオンリーワンの商品で勝負
出来るような戦略が今こそ必要です。
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政冷経冷 その2

2012-10-27 06:56:17 | 日記
今週の経済紙によるとレアアース中国最大手企業が一部工場の操業を停止
したと伝えています。2010年の尖閣列島を巡る日中対立で中国当局がレアア
ースの対日輸出を止め価格も急騰したことからレアアースの主な需要家である
日本企業は中国以外からの輸入を開拓したりレアアースの使用量が数分の一
でも性能の変わらない磁石の開発を急ぎました。そしてレアアースの使用量が
少なくても性能の変わらない磁石材料や代替材料の開発にも目処をつけました。

結局レアアースを政治カードに使ったことから需要が激減して今では一番困っ
た事態に追い込まれているのは中国のレアアース業界です。今回の反日デモ
や日本製品不買運動も確かに日本企業には大きな打撃です。もっとも不買運
動の影響を最も受けている自動車業界では日本企業は中国の国有企業との
合弁でビジネスをしている訳です。利益減少の半分は国有企業も影響を受け
る訳です。また製造も販売も中国人がしている訳ですから彼らの収入も減る訳
です。

また暴動の影響は現地の日本企業の保険料アップや引け受け条件の厳格化
などこれから進出を考えている日本企業にとってはリスク要因です。中国に
直接投資している日本企業が中国離れしたら結局輸出と投資が牽引する中国
経済に悪影響が及びます。今回の一件はこのところ減速傾向にある中国経済
足を引っ張ることは明らかです。

まあそれでも西側諸国では考えられない政治と経済の繋がりからしたら日本に
対して振り上げた拳を中国も簡単には引っ込められないのでしょう。中国でビジ
ネスをやっていこうとしたらこれからも政治リスクに悩まされることは覚悟しなけ
ればなりません。

日本だけでなく貿易面では日本以上に中国は米国と火花を散らしています。
昨年は中国製タイヤのダンピング問題そして今年は中国の通信企業が槍玉
に挙げられました。中国経済が大きくなりその影響力も増せば世界のいたる
ところで摩擦が増えるのかもしれません。中国と世界が西側のルールに則っ
て大人の付き合いが出来るのはまだまだ先になるのでしょう。

世界の工場として永く二桁成長を続けてきた中国経済も今後はこれまでのよう
な驚異的な成長を期待するのは難しくなりました。まして投資と輸出に頼った
高成長は持続可能ではなくなりました。これからはGDPの4割まで低下した
個人消費をいかに高める政策が打てるかがポイントです。米国7割、日本6割
これが経済規模の大きくなった国の現在の対GDPに対する個人消費の比率で
す。内需主導での安定した経済成長が続けられるかそれが今後の中国経済の
課題です。

日本と経済で摩擦を起こしても中国には遥かに大きなデメリットがあるのは、は
っきりしています。政冷経冷から少なくとも政令経熱に戻るのが両国にとっても
望ましい姿ではないかと思います。中国にとっても経済の安定が政治の安定に
繋がる事はよく認識していると思います。
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