重厚長大産業と言えば化学や鉄鋼や重工メーカーです。高度成長期には日本経済を支えま
した。しかし中国の台頭で業界はかつてない変革期を迎えています。鉄鋼大手と化学大手
とでは業績に大きな開きが生じてきました。日本製鉄とJFEは今期減益とはいえ過去の利
益水準に比べて高水準の利益が出そうです。業界3位の神戸製鋼は回復が大手2社よりも遅
れていましたが、今期は大幅増益予想です。
一方化学大手の収益は厳しい状況です。27日の決算発表で赤字幅が拡大する住友化学がその
一例です。三菱ケミカルや旭化成三井化学、東ソーを加えた大手5社でも住友化学ほどではな
くとも低収益です。その中で高付加価値製品が育っている三井化学の評価は5社の中では高い
ようです。
汎用化学品の比率が高い大手は中国勢とのアジア市場の競争激化でなかなか利益率が向上し
ません。鉄鋼業界に比べて再編が遅れていることも低収益の原因の一つです。同じ化学業界
でも中堅メーカーはニッチ分野で高収益を挙げています。
日産化学やADEKAは高収益の中堅化学メーカーです。そして何と言っても化学業界の勝
ち組は信越化学です。材料コストの安い米国での生産で世界首位の塩ビ事業は同社の収益の
柱です。また世界シュア首位の半導体ウエハ事業やフォトレジスト、希土類磁石などでも有
力です。すべての事業を自前で育てたところに同社の中興の祖である故金澤会長の功績の大
きさがあったのは言うまでもありません。
大量生産の汎用品では規模もスピードも差がある中国企業との競争で勝てる確率は低いでしょ
う。他社のまねのできない高付加価値製品を持っている企業がやはり有利です。
重工3社も航空機エンジンの一本足経営のIHIや事業分野が多岐にわたり経営資源が分散して収
益力が高まらない川崎重工と三菱重工とは業績格差が広がっているようです。国産ジェット機
開発事業で1兆円もの損失を出した三菱重工でしたが、主力のガス発電プラントの好調もあり
完全に業績を立て直しました。
景気循環で企業業績は変動することは避けられませんが、景気好調時には多くの企業が業績を
伸ばし企業による格差はあまり目立ちません。しかしいったん景気が悪化すれば多かれ少なか
れ企業業績への影響は免れません。景気悪化局面でも影響が軽微の企業とそうでない企業と明
暗がハッキリします。
重工3社では三菱重工が前者で化学業界では住友化学が後者の代表例です。当然後者の企業は
抜本的な構造改革が必要なことは言うまでもありません。
※ 明日の更新は急用のためお休みします。
した。しかし中国の台頭で業界はかつてない変革期を迎えています。鉄鋼大手と化学大手
とでは業績に大きな開きが生じてきました。日本製鉄とJFEは今期減益とはいえ過去の利
益水準に比べて高水準の利益が出そうです。業界3位の神戸製鋼は回復が大手2社よりも遅
れていましたが、今期は大幅増益予想です。
一方化学大手の収益は厳しい状況です。27日の決算発表で赤字幅が拡大する住友化学がその
一例です。三菱ケミカルや旭化成三井化学、東ソーを加えた大手5社でも住友化学ほどではな
くとも低収益です。その中で高付加価値製品が育っている三井化学の評価は5社の中では高い
ようです。
汎用化学品の比率が高い大手は中国勢とのアジア市場の競争激化でなかなか利益率が向上し
ません。鉄鋼業界に比べて再編が遅れていることも低収益の原因の一つです。同じ化学業界
でも中堅メーカーはニッチ分野で高収益を挙げています。
日産化学やADEKAは高収益の中堅化学メーカーです。そして何と言っても化学業界の勝
ち組は信越化学です。材料コストの安い米国での生産で世界首位の塩ビ事業は同社の収益の
柱です。また世界シュア首位の半導体ウエハ事業やフォトレジスト、希土類磁石などでも有
力です。すべての事業を自前で育てたところに同社の中興の祖である故金澤会長の功績の大
きさがあったのは言うまでもありません。
大量生産の汎用品では規模もスピードも差がある中国企業との競争で勝てる確率は低いでしょ
う。他社のまねのできない高付加価値製品を持っている企業がやはり有利です。
重工3社も航空機エンジンの一本足経営のIHIや事業分野が多岐にわたり経営資源が分散して収
益力が高まらない川崎重工と三菱重工とは業績格差が広がっているようです。国産ジェット機
開発事業で1兆円もの損失を出した三菱重工でしたが、主力のガス発電プラントの好調もあり
完全に業績を立て直しました。
景気循環で企業業績は変動することは避けられませんが、景気好調時には多くの企業が業績を
伸ばし企業による格差はあまり目立ちません。しかしいったん景気が悪化すれば多かれ少なか
れ企業業績への影響は免れません。景気悪化局面でも影響が軽微の企業とそうでない企業と明
暗がハッキリします。
重工3社では三菱重工が前者で化学業界では住友化学が後者の代表例です。当然後者の企業は
抜本的な構造改革が必要なことは言うまでもありません。
※ 明日の更新は急用のためお休みします。