kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

明暗分かれる

2023-10-31 07:27:46 | 日記
重厚長大産業と言えば化学や鉄鋼や重工メーカーです。高度成長期には日本経済を支えま
した。しかし中国の台頭で業界はかつてない変革期を迎えています。鉄鋼大手と化学大手
とでは業績に大きな開きが生じてきました。日本製鉄とJFEは今期減益とはいえ過去の利
益水準に比べて高水準の利益が出そうです。業界3位の神戸製鋼は回復が大手2社よりも遅
れていましたが、今期は大幅増益予想です。

一方化学大手の収益は厳しい状況です。27日の決算発表で赤字幅が拡大する住友化学がその
一例です。三菱ケミカルや旭化成三井化学、東ソーを加えた大手5社でも住友化学ほどではな
くとも低収益です。その中で高付加価値製品が育っている三井化学の評価は5社の中では高い
ようです。

汎用化学品の比率が高い大手は中国勢とのアジア市場の競争激化でなかなか利益率が向上し
ません。鉄鋼業界に比べて再編が遅れていることも低収益の原因の一つです。同じ化学業界
でも中堅メーカーはニッチ分野で高収益を挙げています。

日産化学やADEKAは高収益の中堅化学メーカーです。そして何と言っても化学業界の勝
ち組は信越化学です。材料コストの安い米国での生産で世界首位の塩ビ事業は同社の収益の
柱です。また世界シュア首位の半導体ウエハ事業やフォトレジスト、希土類磁石などでも有
力です。すべての事業を自前で育てたところに同社の中興の祖である故金澤会長の功績の大
きさがあったのは言うまでもありません。

大量生産の汎用品では規模もスピードも差がある中国企業との競争で勝てる確率は低いでしょ
う。他社のまねのできない高付加価値製品を持っている企業がやはり有利です。

重工3社も航空機エンジンの一本足経営のIHIや事業分野が多岐にわたり経営資源が分散して収
益力が高まらない川崎重工と三菱重工とは業績格差が広がっているようです。国産ジェット機
開発事業で1兆円もの損失を出した三菱重工でしたが、主力のガス発電プラントの好調もあり
完全に業績を立て直しました。

景気循環で企業業績は変動することは避けられませんが、景気好調時には多くの企業が業績を
伸ばし企業による格差はあまり目立ちません。しかしいったん景気が悪化すれば多かれ少なか
れ企業業績への影響は免れません。景気悪化局面でも影響が軽微の企業とそうでない企業と明
暗がハッキリします。

重工3社では三菱重工が前者で化学業界では住友化学が後者の代表例です。当然後者の企業は
抜本的な構造改革が必要なことは言うまでもありません。

※ 明日の更新は急用のためお休みします。
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そろそろ底入れを期待したいところだが

2023-10-29 10:51:05 | 日記
10月相場は予想以上にここまで厳しい展開になっています。何とか立ち直りのキッカケをを
掴みたいところです。今週は30、31日に日銀政策決定会合、31日から11月1日が米FOMCが
予定されています。日本市場が祝日で休場となる3日(金)には雇用統計発表も予定されて
います。

重要イベント前に動きづらいところに中東情勢の緊迫化や米長期金利の上昇で株式市場には
下押し圧力が強まり米株は下値模索を続けました。日本株も足を引っ張られる形で下げ幅を
広げる日もありました。今週も調整色の残る展開が予想されますが、日米とも数ヶ月来の安
値圏にあることからイベント前に売り方の買戻しが主導する反発局面もあるかもしれません。

日経平均は踏ん張りどころを迎えています。10月4日の3万487円のザラ場安値を更新して3万
円の攻防となるのか、大きくは崩れずに反発に向かうのか。日足チャートではダウ、ナスダ
ック指数とも一段安は避けられないような形になっています。ナスダック指数が下落すれば
日経平均に影響の大きな値嵩株への売り圧力が強まり下げ幅が大きくなる傾向があります。

騰落レシオが70台まで下がるなどテクニカル的には売られ過ぎを示していますが、外部環境が
悪すぎて反発も長続きしません。個別銘柄でもオムロンやキーエンスが中国景気減速の影響で
市場予想を下回る決算でした。中国景気の悪化が改めて中国関連銘柄の売りが続くのか注目さ
れます。

機械や電機の一角は円安メリットを帳消しにしてしまうほど業績が悪化している銘柄も出てい
ます。同じ電機セクターでも日立は業績が上振れしました。円安で輸出関連銘柄は市場の期待
値が高いだけに僅かに市場予想に届かなくても売られる懸念はあります。もっとも多くの銘柄
は既に9月10月と大きく調整しただけに業績悪でも一旦は底入れというケースもあります。

いずれにしても直ぐに外部環境が大きく好転する可能性は低く当面は決算を材料に個別株物色が
続きそうです。日米市場とも成長株の半導体銘柄がどこで底入れするかは相場全体の先行きを
占う意味で重要です。

次回更新は31日を予定しています。


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天井三日、底百日

2023-10-27 07:12:21 | 日記
どうやら10月相場は投資家にとって予想外に厳しい展開になりつつあります。26日の東京
市場は米国株式の下落を嫌気して大幅な下落でした。150円の乗せた円安ももはや相場の支
援材料とはならずこの調整局面がいつ転換されるのか見通しづらいことになってきました。

市場関係者の一部からは底入れは近いという見方も出ていますが、年末高のコースを辿るな
らそろそろ底入れしないと株高期待も低下します。26日には新規株式公開のあったKOKUSAI 
ELECTRIC人気が半導体株全体の上昇に繋がりましたが、東京エレクやアドバンテストは
前日の上昇を帳消しにしさらに下落幅を拡大したことが現在の市場を表しているようです。

シリコンサイクルは底入れの時期を探っているようですが、このまま回復軌道に復帰できるか
は現時点では判断できないようです。7月の生成AIブームで業績とは関係なく上昇したことで
戻り売り圧力は無視できないようです。

高値をつけてから4、5ヶ月後が正念場になることも多く11月から12月をどう乗り越えられるか
がポイントになりそうです。値嵩株の多い半導体株が下値模索を続けるようだと日経平均は厳
しい状況が続きそうです。先週末の信用買い残高は4兆円を超えました。日経平均も7月3日に
3万3753円の高値を記録しています。

戻れば売りで利益確定売りが増えるということで上値を押さえます。余程海外投資家が腰を据
えて日本株を買ってこないと需給面のしこりは解消しません。これから年末にかけて上昇する
としてもとても3万3000円は高い壁のように感じます。年始予想では多くの市場関係者が年末
高を予想していました

投資家の脳裏に漠然とした期待が年末にあるのでしょう。それだけに先高期待が後退すると一気
に需給面の悪さが前面に出ます。上昇する時にはテーマや業績期待ですが、下落する時には需給
悪化が主な原因のように感じます。下げの材料は突然出てきものよりも以前からあったけどさほ
ど気にならなかった材料だったりします。

7月に3万3753円まで上昇したのも年初には年央にここまで上昇するとは予想していなかったから
です。あれよあれよという間に上昇した訳ですからとにかく上昇についていかなければ取り残さ
れるという投資家心理も働きました。

本当に日本企業の稼ぐ力や資本効率が高まって株高の背景が不動ならいずれ株価は大きく反転する
でしょう。まずはこの下落局面を脱しなければなりません。やはりキーポイントは米国経済が明ら
かに減速し長期金利が低下して米国市場にクリスマスラリーがやってくることが日本株にとっても
好ましい姿です。当面はまだ我慢を強いられることになるのでしょうか。年間通せば投資家にとっ
てよい時間は短く悪い時間は永く続きます。
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EV戦国時代到来か

2023-10-26 06:09:33 | 日記
2023年中国市場ではEVの値引き合戦が本格化しています。中国市場でBYDでトップに立っ
たことでテスラも利益率が低下しても市場シェアを高めようという方針に転換しました。

中国自動車市場では現地メーカーがEVで大攻勢に転じています。中国市場では現地メー
カーのシェアが5割を超えたと言われています。ガソリン車主体の大手3社の日系メーカー
は1月から9月までで前年比で26%販売が減少しました。

中国市場でのシェアが低く体力の乏しい三菱自動車が中国市場から撤退したというニュース
がありましたが、それくらい中国市場では急激なEVシフトとそれに伴う現地メーカーの販売
攻勢で外資系メーカーは日本に限らず苦戦を強いられているようです。

中国企業の強みは太陽電池や液晶パネルそれにスマホなどのように物量作戦で市場を席巻する
ことです。「中国はEVを含む新エネルギー車が3カ月間で60モデルも出ている」とニュースで
は伝えています。

エンジンのように擦り合わせの技術が必要な分野では中国企業が世界の自動車メーカーに追い
つくことは出来ませんでした。しかしモーターとバッテリーに置き換わったEV時代になり中国
企業が得意とする大量生産でコストを削減し素早い経営判断で早期に新車を市場投入する方程
式が少なくとも中国市場では効果を発揮しています。

このまま中国勢の勢いを止められなければ欧州市場や日本メーカーが市場を独占している東南
アジア市場で中国製EVが大攻勢に転じるのは明白です。低価格など中国メーカーと同じ土俵で
勝負しても勝ち目はありません。日本メーカーが得意としている安全技術などで差別化して勝
機を探るしかないかもしれません。

EV時代はスマホのように専業部品メーカーが台頭してこれまでの垂直構造から分業制になると
の指摘がありました。しかし現在EV市場をリードしているのは電池やイーアクセルへなども自
社生産しているBYDやテスラです。水平分業が本当にEV時代の標準になるのであれば新興メー
カーにも勝機はあるでしょう。

しかしコスト競争で垂直メーカーが優位ならスマホとは違ったシステムになるかもしれません。
いずれにしろ2025年にはEVで出遅れていた日本メーカーも含め欧米の既存の自動車大手もEV
のラインアップを充実させ攻勢に打って出るでしょう。2023年まだBYDやテスラはEVの2強で
すが、この勢力図が続くのかひっくり返るの答えはまだ出ていません。
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ニデックの誤算

2023-10-25 06:15:00 | 日記
24日の東京市場でニデック株が急落しました。4〜9月期の営業利益は前年同期比20%増の
1157億円と、市場予想平均のQUICKコンセンサス1162億円(19日時点、12社)を小幅に
下回りましたが、4~9月期の利益としては過去最高という結果でした。

しかし7〜9月期でみると営業利益は前四半期比8%減の556億円ことと円安による押し上げ
効果が32億円あったことを考えれば市場が期待した内容とは程遠かったようです。

そして何よりも市場の失望を買ったのは永守会長が成長のドライバーと常々言っていたイー
アクセルの販売見通しを再度下方修正したことです。期初予想では94万9000台だったイー
アクセルの販売見通しは第一四半期の決算発表時に54万5000台、そして中間期決算時では
さらに20万台近く下方修正した35万台になりました。

今期黒字化を見込んでいたイーアクセル事業は150億円程度の赤字になると永守会長は決算
説明会で述べました。従来品より採算改善が見込める「第2世代品」の切り替えが進み第一
四半期には約5億円の営業黒字と初の黒字化を達成したばかりでした。

中国市場ではEV販売が一段と拡大している訳です。しかも中国メーカーのシェアは上昇しま
した。中国メーカー中心に大幅な受注を見込めることでしたが、会社の目論見とは随分かけ
離れた結果でした。

米中のトップメーカーであるテスラとBYDはイーアクセルを自社生産しています。依然永守
会長が話していたのはEV時代になりスマホのように水平分業が進み自社生産しているメー
カーもコスト面を考えてニデックのような専業メーカーの製品を採用すると言っていました。

HDDモータで世界一の地位を築いたようにイーアクセルも積極的な投資で量産化を成し遂げ
コスト優位を背景に同分野でトップに立つというのが勝ち筋でした。しかし現時点では会社
の計画通りに量産できず収益化も遅れています。

ニデックが2021年2月に1万5175円の最高値を付けた時にはEV関連の本命銘柄と市場が期待
したからです。成長期待が高かったからこそ高いPERも容認できました。しかしEV市場は
拡大しているにも拘わらず既に価格競争が激化してきました。

当然完成車メーカーから値下げ圧力も出ていたのでしょう。寡占化が進んでいる電池は中々
価格が下がりません。イーアクセルへの値下げ要請が激しいのでしょうか。

ニデック株は24日10%下落しましたが、PERは20倍と同業の電機銘柄平均よりもまだ高い水
準です。イーアクセルへの成長期待が足元で低下したことから当分は下押し圧力が続きそう
です。ニデック株が再び成長路線に戻るには今後にスマホのように水平分業が進み世界の大手
メーカーが同社製品を購入してくれるかどうかです。
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