kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

逆風の時こそ差が出る

2019-11-29 04:27:44 | 日記
テルモ、富士通、ダイキン、リクルート、オービック、ヤマハ、HOYAは
今週10年来高値を更新した企業です。業種の違いこそあれ各社に
共通するのは製品の競争力が強い、経済環境の変化に強く着実に
利益を積み上げている企業です。

日本のお家芸ともいえる自動車産業の中でも知名度、売り上げや
利益規模ともトップのトヨタ自動車もこの中に含めていいかもし
れません。横綱が横綱にふさわしい相撲を取った結果が株価に表
れています。ある記事によるとトヨタは10年先を見据えて経営を
している。

一方ここ数年の日産は数か月先の事しか考えていないという米国
の日産系のオーナーディーラーのオーナーが話していましたが、ま
さにその通りなのかもしれません。ここ数年売り上げ台数を伸ばす
こと経営に主眼を置いてきたホンダと日産は売り上げが伴わず工場
の稼働率が落ち生産能力の削減に追い込まれました。

まだ世界一のシェアを持っている高収益の二輪車事業が支えたホン
ダは徳俵を割り込みませんでしたが、日産は成長期待が高い東南ア
ジア市場で積極的に生産能力を拡大しましたが、販売低迷で積極策
は裏目に出ました。昨年まで日本車シェア首位だった中国市場や地
域別売り上げ首位の米国市場まで販売低迷に苦しみました。

世界経済や為替市場など基礎的条件は一緒なのに今期業績に大きな
差が出たのは経営方針に問題があったからでしょう。トヨタも生産
台数を急拡大した時期がありました。その直後米国でトヨタ車のブ
レーキペダルの欠陥疑惑が発生、当時社長に就任したばかりのトヨ
タ社長が米国議会に召喚され厳しい追及をされたことがありました。

その時に社長は過去数年販売台数を急激に伸ばす過程で「兵站が伸
びて」しまったことを反省材料に挙げました。どんな企業でも業容
が急拡大する時にはどこかに負荷がかかり経営上の問題が発生する
ケースが多いようです。トヨタが過去の失敗を教訓としたからこそ
大きな逆風が吹く中でも安定した結果を残すことが出来たようです。

2000年以前には世界の市場を席巻していた日本の半導体産業は衰退
の道を辿りました。一方同じ半導体産業の中でも半導体ウエハや製
造装置は競争力を維持できています。きっとその分かれ目は経営判
断の違いなのでしょうか。それとも別にあるのでしょうか。

電機業界でもセットメーカーの苦戦、部品メーカーの善戦という結
果になっています。パナソニックやシャープなど家電メーカーは軒
並みここ数年業績が不振です。かつて維持されたブランドが足かせ
になり上手く環境に適応できなかったようです。セットメーカーに
比べて下位とみられることの多かったTDKや村田製作など部品メーカ
ーの存在感がたかまったのは不思議なことです。
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勝負所は12月前半?

2019-11-28 06:13:03 | 日記
米国のGDPが上方修正され設備投資の堅調さも確認されました。米中
貿易戦争の影響は予防的利下げの効果もあり米国経済への悪影響は限
定的だったようです。GDPの7割を占める個人消費はこのところの株高
もあり今後も堅調な展開が予想されます。

一方中国経済の減速は続き中国政府は利下げなど政策総動員していま
すが、現状では効果は余り出ていないようです。やはり米国との通商
協議で何らかの合意を取り付け何としても経済を立て直したいところ
です。

先週悲観論も広がった米中通商協議に再び今週前向きな見方が出てき
たのはこんな事情もあるのではないでしょうか。12月15に予定される
関税引き上げだけでなく既に実施されている関税引き下げを実現させ
るために中国側がある程度の譲歩をする可能性もありそうです。

米国株の堅調な動きに為替も円安に向かっていることから日本株は当
面堅調な動きが予想されます。米中通商協議の推移を見ながら上値を
試すことになりそうですが、関税引き上げ15日という期限を考慮する
と東京市場は13日のメジャーSQまでにひと山形成する可能性もありそ
うです。市場では年末高を囃すでしょうが、展開によっては前倒しで
ピークを迎えることも考えられます。

今週は親子上場の解消候補銘柄が人気化しました。今月は東芝に加え
て三菱ケミカルHGもTOBの完全子会社化を発表しました。日立化成に
対して昭和電工に優先交渉権を与えたことで日立化成買いの昭和電工
売りが加速しましたが、この動きには少々注意が必要です。

ポイントはまだTOB価格も取得株数も決まっていないことです。市場
ではTOBで全株取得で完全子会社化するとの観測も出ていますが、既
に日立化成は春から親会社の日立が外部企業に売却するという方針を
示し株価は先週までニュースが出る前の1.7倍まで上昇していました。

昭和電工に優先交渉権が与えられるという報道が伝わった26日には
17%と大幅に上昇し春に比べて2倍になりました。それだけ財務に
それ程余裕のない昭和電工が27日現在時価総額が8000億円を越えた
日立化成の完全買収が実現できるのでしょうか。

昭和電工は2016年12月期から業績が急拡大しいています。理由は米国
の黒鉛電極大手企業を買収したとたん中国の地条鋼への規制で黒鉛電
極価格が急騰したことで数量増と価格上昇のダブルの追い風が黒鉛電
極大手の昭和電工や東海カーボンに吹いたからです。しかしその追い
風も既に弱まりつつあります。

昭和電工は過去には化学業界では低収益企業でした。財務体質も万全
とは言えません。日立化成の持っている半導体関連部門など有望な分
野を取り込む方向性は正しいでしょうが、完全買収に伴う巨額な資金
負担は流石重しです。ここから先は注意が必要です。


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隠れたテーマ

2019-11-27 04:11:16 | 日記
今年の立ち合いも残すところ後1ヶ月弱です。そろそろ来年の相場の
テーマが市場から聞こえてくる時期を迎えました。既に今年後半にテ
ーマになった5G関連も来年サービス地域が拡大することから有望なテ
ーマです。

今年は韓国に続いて米国が上期に商用サービスを開始しました。下期
には中国がサービスを開始し来年にかけて欧州各国や日本も商用サー
ビスを開始する予定です。4Gから5Gに移行することで新たな基地局の
設置、5Gに対応したスマホの発売それに4Gの100倍と言われる通信速
度で全く新しいサービスが今後続々と立ち上がりその中からお宝銘柄
が出てきそうです。

後は自動車各社が一斉に多くのEVを来年には出してくるでしょうから
関連銘柄の株価を刺激するかもしれません。もっともEVの現状は価格
や航続距離で現行のガソリン車に比べて経済面ではまだまだ劣勢です。
国を挙げてEVの普及を推進している中国でも補助金の大幅削減で足元
のEV販売は急減しています。

一般庶民レベルでは環境意識が高くても費用対効果を考えるとまだま
だEVは車選びの有力な選択肢にはなっていません。一段とイノベーシ
ョンが進みガソリン車並みの魅力的な車に仕上がるのはもう少し先の
話になりそうです。地球温暖化への歯止めが足元では一向に効かない
状況ですから自動車分野ではEV関連は有望なテーマですが、現状では
価格面の問題が大きく目に見える形で業績に貢献するのはまだ先の話
です。理想買いだけでは長続きはしないでしょう。

米国市場ではティファニーの買収やオンライン証券大手の買収など巨
額な買収が表面化し株式市場の刺激材料になっています。日本でもヤ
フーの親会社とLINEの統合や日立の自動車部品部門とホンダ系の3社
の統合が今月明らかになりました。もっとも評価は分かれているよう
です。

むしろ日本では親子上場の解消が株価材料としては有望なのかもしれ
ません。今月は既に東芝が上場子会社3社の完全子会社化を発表、先
週には三菱ケミカルHGが製薬子会社の田辺三菱の完全子会社化を発表
しました。親会社が完全子会社化のためにTOBに踏み切る場合はかな
りのプレミアムが上乗せされるケースがほとんどです。

市場環境がどんなに変化しても確実にTOB価格で買い付けてくれる訳
ですから株主には大きなメリットになります。昨日は日立化成の買い
手として化学大手の昭和電工が優先交渉権を得たと発表されて日立化
成は急騰しました。改めてTOB銘柄への人気の高さが証明されました。

キリンは製薬子会社の協和キリンをZホールディングスはアスクルを
プリマハムも実質的には伊藤忠の上場子会社です。イオンはウエルシ
アなど数多くの上場子会社を抱えています。親子上場には海外投資家
の視線は一段と厳しくなってきたようです。親子上場解消に伴うTOB
期待が来年の隠れたテーマになり得るかもしれません。
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10年来高値銘柄

2019-11-26 06:03:23 | 日記
先週の下げはスピード調整だったのでしょうか。週明けの東京市場
は200円を越える上げ幅でした。東京市場は2万3500円、NY市場は
2万8000ドルを一気に抜けて一段と上値を追うのはことはあるので
しょうか。もしそんな状況になれば物色対象はこれまで人気の圏外
だった業種や銘柄にも買いが広がる可能性もありそうです。

週明けの25日米国株はNY市場が2万8000ドルを回復、ナスダックや
S&P500は過去最高値を更新しました。宝飾品大手のティファニーの
買収を好感した買いや再び中国との通商交渉に前向きな見方が浮上
中国関連のキャタピラーや半導体関連銘柄が上昇しました。これま
で出遅れていた中小型株指数も出遅れ感から上昇しました。

25日の東京市場は先週の米国株高から上昇しましたが、特に目立っ
たのは海外投資家にも人気のあの銘柄群でした。個別銘柄でも以前
から市場人気が高かったエムスリーやリクルート株は週明けも10年
来高値を更新しる勢いがありました。半導体関連ではHOYA、その他
製造業では楽器のヤマハ、商社では伊藤忠も10年来高値更新組でした。

これらの銘柄は独自の好収益なビシネスモデルを展開している企業
がほとんどであり成長期待が持続的な株高を支えているようです。
短期的な急騰銘柄は様々な思惑から一時的には人気になるでしょう。
しかし10年来高値を更新するような銘柄は経営やビシネスモデルや
他の企業とは一線をかくしています。海外の長期投資家や国内の年
金やファンドでは長期投資に適した銘柄こそ投資に値する銘柄です。

米中通商協議が何らかの合意が成立すれば売り込まれた銘柄は一時
的には大きく反発するかもしれません。しかし持続的な株高に繋が
るかは不明です。部分合意は成立してもそれは問題の完全解決の始
まりは無く長い戦いの一時的な休戦です。今後も米中の覇権争いは
続くでしょう。特にハイテク分野では両国とも一歩も引かないでし
ょう。

2大経済大国の米中の争いが株式市場や為替市場を揺さぶる展開は
来年も続きそうです。おそらく10年来高値銘柄は多少の障害には
怯まない強靭なビジネスモデルを持っていて今後も人気が続く可
能性は高そうです。次の10年来高値銘柄を発掘することが出来れ
ばその投資家は大きな果実を手に入れられそうです。
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森を見ずして木を見る

2019-11-25 08:12:42 | 日記
21日の米国株が下げたにも拘らず22日の東京市場は反発して先週の
取引を終えました。21日のザラ場2万3000円割れからの大幅安から
大引けに戻したことでスピード調整が終ったのでしょうか。それで
も米中通商協議の行方次第で上にも下にも振れる展開はまだ続きそ
うです。

しかし個別銘柄を仔細に眺めると業種間で勝ち組とその他で明暗が
分かれてきたようです。株価から判断すると大手電機業界の勝ち組
はソニーや富士通で負け組はパナソニックがまず浮かびます。日立
はまあまあ合格点で勝ち組まであと一息です。半導体関連ではHOYA
が筆頭で次に続くのが東京エレクトロン合格圏内なのがTDKや京セラ
あたりでしょうか。

自動車業界ではトヨタは頭一つ抜け出しています。負け組は日産を
筆頭にマツダも三菱自動車といった中堅組は足元の販売状況の厳し
さやブランド力の弱さが目立つのでしょうか。世界景気や円相場へ
の逆風は業界共通のものですが、業績の落ち込みが大きすぎます。
単独での生き残りは厳しさを増しているようです。マツダはトヨタ
と三菱は日産とさらなる協業が必要になりそうです。

商社株は世界経済の影響を受けやすい業種ですが、勝ち組筆頭の伊
藤忠やそれに続く三井物産と三菱商事の上位組と住友商事や丸紅の
2社との稼ぐ力は大きな差が出てしまったようです。

外食産業もファミレス大手のすかいらーくや回転ずし大手のスシロー
は業界の勝ち組となったようです。反対に数年前は好業績が持てはや
された鳥貴族やいきなりステーキは強気な店舗網の急拡大が裏目に出
たこともあり業績も株価も急降下してしまいました。トリドールの復
活は本物なのでしょうか。

ラーメンチェーンを展開しているハイディ日高の復活もあるのでしょ
うか。とにかく外食産業は参入障壁が低く過当競争の業界です。大手
資本に対抗して個人経営の店が健闘している稀有な業界です。数少な
い勝ち組と多くの負け組が常に目まぐるしく立場を変える業界だとい
うことを覚悟しておかなければなりません。

今後も株式市場の注目点は米中通商協議の行方と世界経済の先行きで
す。しかし既に同じ業界に属している銘柄が一斉に上昇する局面は終
わり個別企業の収益力、経営力が株価を決定づけするようになったみ
たいです。森を見ずに木を見る相場の流れが強まりそうです。
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