kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

公開企業の責任

2014-04-30 06:42:03 | 日記
「ひどいの一言に尽きる」「信頼を損なう」。きょう取引開始前に14年3月期の業績
見通しを引き下げたJディスプレに市場は失望感をあらわにした。3月19日の上場
から1カ月り。14年3月期の連結営業利益は従来予想を32億円下回り、272億円
になったもよだと発表。業績悪化を嫌気した売りが広がり、Jディスプレ株は午前
に一時13.9下落した。         
        ~日経電子版より転載~

この記事を読んで私もその通りだと思いました。しかもJディスプレイと言えば官
が出資している投資ファンドである産業革新機構が主導して設立した会社です。
3月のIPOでは産業革新機構は多額の利益を得ました。結果的に官が利益を
獲て民が損をしたことになります。いくら業績変動が激しい液晶パネルメーカー
だとしても上場した翌月に業績下方修正は有り得ない話です。

3月にIPOを実施したJディスプレイ株は上場直後から売りを浴びて公開価格割
れで始まり700円まで下げましたがその水準からで直り公開価格の900円越えも
間近というタイミングでの下方修正です。いくら市場環境が悪かったとはいえ上
場初日にいきなり公開価格を割り込んだわけですから公開価格を決める段階で
問題がなかったのかどうか。投資家の信頼を裏切ってしまいました。株主軽視と
言われても仕方ない出来事です。会社や幹事証券の責任は重いでしょう。

昨年の日東電工の情報開示でも同じようなことがありました。中間決算で通期
の業績見通しを下方修正して株価は大幅に下落しました。この時点ではよくある
ケースでした。株価も時間の経過とともに落ち着いてきました。ところが中間決
算発表から1ヶ月弱で再度の業績大幅下方修正を発表。株価は度重なる下方
修正を嫌気してストップ安という急落でした。

そして最悪なのが12月の下方修正からおよそ1ヵ月後に今度は一転上方修正
です。適切な情報開示は必要ですが四半期決算の間の3ヶ月間と言う短い期
間で大幅下方修正次が一転上方修正というドタバタ劇で会社側の決算数字に
対する信頼性はもう地に落ちたも同然です。

迅速な情報開示は必要です。しかし短期間に二転三転するような情報開示は
かえって投資家の信頼を失うものです。こんな経験をしては個人投資家の多く
はもうその企業に投資しようと考えなくなります。企業側は開示情報の精度を
もっと上げるべきです。

東京市場が祝日の間欧米市場が堅調だったため高水準の空売りの買戻しも
期待でき今日は上昇して始まりそうです。上昇確率の高い水曜ですからその
後も堅調に推移すると思いますが日銀政策決定会合の結果で波乱が心配
です。さて追加緩和なしを市場は織り込んでいると思いますが結果は?
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ホンダ決算から

2014-04-28 05:23:38 | 日記
25日にホンダが発表した決算によると前期の営業利益は市場見通し(7898億円)
はおろか会社予想の7800億円を下回る7528億円でした。今期見通しも7600億円
と市場見通し8800億円を遥かに下回るものでした。週明けの株価はNY市場の
大幅安もありある程度の下落は避けられそうもありません。ただし既に株価は
1月6日の高値から2割弱下落しています。市場見通しのように今期大幅増益が
達成できるようならここまで株価はこんなにも低迷していなかったという見方もあ
りました。果たして悪材料出尽くしになるのかどうか。

ホンダに限らずマツダやダイハツも今期見通しは市場予想を下回っています。
市場予想が高すぎるのかそれとも会社側の見通しが慎重すぎるのか答えは直
ぐにはでません。ただホンダに関しては今回もそうですがこの2年ほど前から市
場予想を遥かに下回る決算で着地するケースが多いようです。そこにはホンダ
特有の事情があるようです。

まずホンダは国内販売ではこの1、2年軽自動車の相次ぐヒットやモデルチェンジ
した小型車フィットの好調もあり小型車比率が上昇しています。おのずと1台あた
りの利益は大手3社の中では低くなり軽自動車主力のスズキやダイハツに近い
ようです。台数の増加ほど利益貢献度は高くはありません。

ホンダの生産台数のうちフィットは2割超の100万台とも言われている主力車種
です。海外市場では利益率の低い小型車はちょっとした為替変動で利益が出
にくくなります。小型車比率の高い車種構成の高いホンダの戦略としては他の
メーカーよりも現地生産を強化するのは当然の選択なのです。軽自動車生産
から撤退して利幅の大きいSUVに経営資源をシフトした富士重工とは状況は
正反対です。

2輪車メーカーだったホンダが4輪車に進出したのは44年前の1967年でした。
軽自動車のN360が4輪車生産のスタートであったこともありホンダは小型車
に強く収益源も小型車に占める割合が大手の中でも突出して高くなっていま
す。小型車主力のためにホンダが選んだ道は為替変動に左右されない消費
地に近い場所で生産を行うことでした。そしてメキシコやアジア諸国に工場を
建設し海外生産を拡大しつつあります。

ホンダの国内生産は100万台弱ですが今期は99万台の国内販売を目指して
いますから計画通りに進むと輸出比率は一段と小さくなります。円安メリットも
大手3社の中ではダントツに少なくなりそうです。そんなことも有り市場見通し
よりかなり低い会社側見通しになったのかもしれません。

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決算シーズン

2014-04-27 11:34:24 | 日記
昨日土曜日はどうしてもブログを更新する気持ちになれませんでした。
ここでお詫びします。

日本企業の決算発表が始まりました。前期の好業績は既に織り込み済みで
焦点は既に今期見通しに向いています。今期は見通しはおおむね慎重なも
のが多くどうやら全産業で10%程の増益予想の市場見通しとの乖離は広が
っているようです。円安効果の一巡や駆け込み需要の反動をどのように見る
かで会社側とのギャップは大きいようです。

市場見通しが強気すぎるのかそれとも会社側が慎重すぎるのか答えは4~6月
期が終わってみないと分かりません。実は決算発表のこの時期は憂鬱になりま
す。買いでも売りでも株価が動けばリターンが得られる短期筋にとってはチャン
スでもあるのでしょうが、その動きは余りにも早くそして急騰急落が多く取引は
神経ばかりすり減らします。

増益でも市場予想を下回れば叩き売られ市場予想を上回れば大幅上昇。日本
企業の場合下方修正を嫌いますのでどうしても期初の段階では慎重な見通しを
出す傾向が強くなります。市場が勝手に強気見通しを出し未達だからと言って
理不尽なほど株価下落が起こるということにどうしても違和感を感じてしまいま
す。

器用に立ち回れない自分の投資スタイルから考えればこの時期はどうしても投
資を控えてしまいます。増して今年は多くの市場関係者の目論見とは違って日
本株は年初からいいところがありません。ここまで成功体験の乏しいこともあり
一層投資意欲が沸きません。

NY市場も1万6500ドル近辺は大きな壁になりつつあり例年この時期に高値を付
ける傾向があることが気になります。確かに東京市場は欧米市場に比べれば
出遅れていていますが外国人投資家がカギを握っていることを考えれば欧米
市場が下落すれば日本株は同等かそれ以上に価格変動のリスクが伴ないます。

個人的には会社側の今期見通しが出揃い株価水準と相談しながら投資を考え
ようと思っています。しかし決算シーズンでチャンスと考えている短期志向の投資
家の皆さんは頑張って市場を盛り上げてください。いろんな投資スタイルがあり
ます。それぞれの分野で頑張れればそれはそれで良いと思います。
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閑散に売りなし

2014-04-25 08:24:11 | 日記
「閑散に売りなし」とは古くから兜町で言われてきた格言です。24日の東証1部
市場の売買代金は1兆6000億円弱と活況の目安である2兆円を9日連続で下回
りました。東京市場のエネルギー不足は深刻な状態です。株価指標面では割安
感を指摘する見方もありますが頼みの外国人投資家の投資姿勢は一向に高ま
りません。

2014年の東京市場は大方の予想に反して年初からほとんど良いところがなく下
値模索を続けています。その間アルゼンチンの通貨下落やウクライナ危機そし
て米国のモメンタム株急落といった悪材料の出現で大幅な調整を迫られました。
しかし置かれている状況は欧米市場も同じですがその後の株価の推移をみる
限り欧米市場は戻す勢いがありましたが東京市場だけは蚊帳の外のようです。

信用残高の推移をみる限り基本的に逆張り志向の個人投資家は下落の度に
押し目買いで行動してきました。急落の度に反発しましたから結果的に利益が
出た銘柄もあったでしょうが、戻りが鈍くその後一段と下落した銘柄も多く出ま
した。結果的に個人投資家の逆張り投資が今のところ多くの含み損を抱える
ことになりました。じわじわと個人投資家の投資余力を奪って身動きできない
投資家も増えているようです。

確かに株価指標面では割安だというシグナルを発している銘柄が多くあります。
今年も外国人投資家の買い越しは続くだろう。NISA口座を通じた資金流入も
見込める。昨年譲渡課税引き上げ前に7兆円余りと大きく売り越した個人投資
家の資金もMRFに滞留している。年明け以降は再び株式市場に戻ってくるだ
ろう。多くの明るい見通しから年明け以降信用買い残高3兆円前後の高水準で
推移しています。期待が大きかったために指数が下げてもなかなか整理は進
んでいません。

もっとも冒頭の「閑散に売りなし」という格言にはこんな解説がついています。
「株価が長期で下げ、安値圏を横這い、出来高も細っている、この状態を閑散
といいます。安値圏で長期保ち合い、投資家心理ではどうしても売りたくなる
場面ですが、ここは「陰の極」に近い状態です、わずかな買いで上昇に転じそ
うな環境です。辛抱して抱えてきた株です、もう少し粘りましょう。

閑散としているのは上昇の前兆ということです。
「閑散に売りなし」「陰の極に買いの機あり」
ここでの売りを我慢できれば利益はもう目の前です。」

果たして格言通り我慢したものが報われるのでしょうか。
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PERだけの比較は意味がない?

2014-04-24 08:05:00 | 日記
NY市場が年初来高値1万6631ドル(4月4日)を射程圏に捉えるところまで上昇
しているにも拘わらず日本株の低迷は続いています。年末には両市場の差は
300程度まで縮まる場面もありましたが年明け以降はその差が開くばかりでこ
のところ2000前後が定着しつつあります。昨年までの流れなら日経平均は現在
の水準から最低でも1000円高い水準にあっても何ら不思議ではありません。

しかし現実にはそうなっていません。市場関係者の間ではPERが16倍を超えて
いるNY市場に比べて東京市場は14倍台弱で確かに教科書通りなら割安で日本
株に見直しの余地は大きいように感じます。低PERで万年割安株代表の商社株
は一桁台後半のPERが長く続いています。日本を代表する製造業の自動車各社
のPERも10倍から12倍台で推移しています。

かたや資本効率でみると相変わらず日本株の水準は世界的に見ても大きく見劣
りします。資本効率の尺度であるROEは14%のNY市場に比べて東京市場のそれ
は円安効果で大幅増益を達成した前期決算でも9%台といわれています。日本株
でもROEの高い企業はPERも市場平均よりもかなり高い水準です。そしてROEの
高い企業の外国人保有比率は業種を問わず高水準です。

明らかに外国人投資家の銘柄選別には資本効率が高い企業を選好していること
が伺えます。ということは日本株が欧米株と同じPERの水準まで評価されるの
にはROEの引き上げが欠かせません。日本企業のROEが低いことは以前から
指摘されてきました。それでも昨年は異次元の緩和というサプライズもあり日本
株のモメンタムが強かったためにそれを補ってお釣りがきました。しかしアベノミ
クスも少々色あせてきた今年はどうやら日本企業の負の部分が目立つようになっ
てきたのかもしれません。

日本株上昇の条件は追加緩和、法人税引下げ、TTPの締結の3つといわれてい
ますが、市場の予想以上に順調に物価上昇が続きひょっとしたら追加緩和はな
いという見方も少数ではありますが出てきました。法人税引き下げやTTPは現時
点ではハードルは依然高くどっちに転ぶか分かりません。いずれにしてももう少
し時間がかかりそうです。

政策頼みの相場を続けていく限り東京市場は期待と失望で乱高下を繰り返すだ
けです。政策の後押しはもちろん必要ですがそれを十分活かすだけの企業側の
努力は欠かせません。世界の中長期マネーを日本株に引き付けるためには世界
の企業と比べて遜色のない収益力が必要です。

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