kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

日立が暗示する日本株の限界

2017-05-31 07:48:28 | 日記
5月相場も今日が最終日です。4月末の日経平均は1万9196円でした
から昨日時点では481円上昇したことになります。結果だけ見ればフ
ランス大統領選挙や北朝鮮の地政学リスクが警戒され4月時点では
先行き不安が高かった5月も波乱は起きませんでした。

しかしGW明け大幅高だったことから少なくとも5月には2万円回復から
高値を試す展開を期待した時期もあっただけに少々消化不良の相場
が続いた5月後半から6月相場への期待も高まらないのが現状です。
むしろ米国の6月利上げが確実視される中でも円相場が110円台に止
まっていることや米国の株高も一部のハイテク銘柄への極端な偏りが
不安視されています。

PERが19倍台と以上に高い水準に推移していることやトランプ銘柄の
息切れもあり米国株の6月相場には警戒が必要のようです。勿論円相
場や米国株の影響を大きく受ける日本株も蚊帳の外ではいられませ
ん。特に今期業績が連続で過去最高になるとの報道があり既に株価
は会社見通しの一桁増益は織り込んでしまった可能性があります。

現状の円相場の水準である110円が定着すると会社側の想定レート
109円とほぼ変わらない水準になり為替面での糊代は少なくなります。
市場は当初二桁増益も期待しただけにインパクトは弱くなります。

むしろギリシャの債務問題の再燃やイタリア選挙の前倒し観測など
北朝鮮問題に加えて欧州からの地政学リスクが懸念されます。また
4月以降の中国景気の減速懸念もあります。トランプ政策の期待低
下を補う世界経済の回復という追い風が春の株高の根っこにあった
だけに中国景気の減速が一時的なのかあるいはそうでないのか注意
が必要です。

世界的に株価が高値水準で推移しているだけに今後は売り場探しの
ニュースに敏感に反応するかもしれません。好材料も悪材料も表面化
した時点で賞味期限は急速に低下します。多くの投資家が知ってしま
えばその情報の価値も急激に低下します。好材料を織り込む形で株
高が進んだだけに次は思わぬ悪材料出現に怯えることになるかもしれ
ません。

市場予想を越える今期業績見通しを発表した日立の株価も年初来高
値更新後息切れ気味です。市場が期待しているAIやIoT関連でしかも
株価は2015年12月高値939円から2割近く低い水準です。30日現在の
PERは10.8倍で市場平均をかなり下回った状態です。日立の評価が
この程度だから日本株全体の水準訂正もこの程度だというのは言い過
ぎでしょうか。
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終点が見えてきた東芝

2017-05-30 03:22:01 | 日記
週明けの29日がメモリアルディで休場それに週後半に月末月初で注目
の経済指標発表が控えていることを考えれば昨日の東京市場の閑散
も仕方なかったようです。そんな状況で新型ゲーム機スイッチの増産が
一部マスコミで報じられた任天堂の売買代金は2位のソフトバンクの4.5
倍に達し活況でした。

売買高1位は売買代金4位にも名を連ねた東芝でした。四日市工場での
半導体事業で合弁生産をしている米ウエスタンデジタル(WD)が米投資
ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツと産業革新機構連合に合流
して買収を目指すという一部の報道から半導体子会社売却計画が進展
し東芝再建が動き出すというのが人気の背景のようです。

WDはこれまで売却の停止を求めて国際機関に仲裁を申し立て他社へ
の売却を頑なに阻止しようと態度を硬化させていましたが、単独での買
収に拘らず連合への合流を選択したことは柔軟な姿勢に転じた証拠で
す。動きの早い半導体業界で東芝との係争が泥沼化して両者の関係が
ギクシャクして研究開発に支障をきたすようになり虎の子の半導体事業
の競争力が落ちては昨年1兆9000億円の巨費を投じた買収で手に入れ
サンディスクの競争力が低下しては元も子もありません。名よりも実を取
ったということでしょうか。

半導体子会社売却が前進することで東芝の懸案事項の一つは解消しま
す。もっとも債務超過を解消しても監査法人のお墨付き決算を発表でき
なかったこともあり管理銘柄解除の見通しは立っていません。事態が改
善しなければなおも上場廃止懸念は今後も続きます。

もっとも目先の株価は東芝の先行き不安を警戒して空売りが高水準に
達し売り禁止になるほど信用取り組みが拮抗していることから強弱感が
分かれ投機資金を引き付けているようです。目先筋の短期売買の対象
となり値動きが荒くなっています。皮肉なもので先行き不安が大きけれ
ば弱気筋の売りが増え信用取り組み妙味が増し人気に拍車がかかり
値幅妙味が出てくるという不思議な展開です。東芝株は空売り規制が
かかったこともあり買い方と売り方の攻防は続きそうです。

もっともそれは短期的な株価の動きです。思惑材料が一つ一つはっき
りしてくれば思惑売買の妙味は薄れます。好材料ならひと区切りついた
時点で買い方の手仕舞いが今後増えるでしょうし、悪材料なら売り方の
買戻しで反発のキッカケになるケースが多かったようです。その後は株
価は当面の売買材料を失い人気が離散することもあります。

東芝株の場合上場を維持できたとしても今度の株価を左右するのは稼
ぎ頭の半導体事業や虎の子の医療事業を失った東芝がどんな事業で
成長を目指すのかです。会社側は既存事業の成長で業績を伸ばす方
針のようですが、エレベータや鉄道などの社会インフラや火力発電など
のエネルギー事業は内外にライバルも多く足元の収益性も低いのが現
状です。フラッシュメモリ事業ほど高収益を期待できる事業は見当たり
ません。東芝再建は茨の道が待ち構えているようです。
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欲しいハイテク5銘柄

2017-05-29 03:49:38 | 日記
GW明けの急騰から5月中に2万円回復は確実だというムードが高かった
東京市場でしたが、今月もあと3営業日での大台回復は厳しくなりました。
米国株に比べて割安だと言われている日本株の上値が重いのは何故な
のでしょう。ネットの記事に次のような内容が載っていました。

「ダウ平均が最高値を付けた3月1日から5月26日までを比べると主力ハイ
テク5銘柄(アップル、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブ
ック)の時価総額は3166億ドル(約34兆円)増えました。

一方景気の影響を受けやすい。「エネルギー」は同じ期間に8%安「金融」
は6%安に沈み、機械など「資本財・サービス」も0.4%高にとどまっていま
す。この間にS&P500種株価指数の構成銘柄全体では約1200億ドルの
増加にとどまり、主力5銘柄を除くと時価総額は減少たことになります。」

NY株も主力5銘柄頼みの株高だったというのが実態です。現在アマゾンと
アルファベットはどちらが先に1000ドルの大台に乗せるのかデッドヒートを
繰り広げていますが、成長期待で買われているアマゾンのPERは190倍に
達し通常の投資の物差しではもう測定不能です。今後ハイテク銘柄の勢い
が鈍り割高感が警戒されるようなことになれば一部の銘柄に依存した米国
株の調整も避けられません。

アマゾンなどハイテク5銘柄に事業内容が似通った日本の大手企業は見
当たりません。中堅企業には何社か5銘柄に近い成長期待の高い企業は
ありますが、いずれも小粒で日本株全体を持ち上げるほどのインパクトは
ありません。東京市場の時価総額上位銘柄の主な顔ぶれは自動車やメガ
バンクなど成長株とは縁遠いオールドエコノミー企業で占められています。
PERから見たら割安だという指摘があるにも拘わらず海外投資家が期待
ほど日本株を買ってこないのはこの辺に理由があるのかもしれません。

成長期待の乏しい企業や業種のPERは万年割安に放置されるということ
は周知の事実です。円相場が120円に近づくとかあるいは120円を越える
円安が起き業績の大幅な上方修正が期待できない限りなかなか2万円越
えはあっても2015年の高値更新から一段高は夢の夢で終わってしまうの
ではないかと思ってしまいます。机上の計算どおりにならないのが投資の
難しさです。割高に売り無し割安に買い無しというのが現状の日本株を表
しているようです。東京市場にも米国のハイテク5銘柄があればもっと活況
相場になっていたでしょう。
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帯に短し襷に長し

2017-05-26 08:05:07 | 日記
現状の日経平均の水準は「帯に短し襷に長し」という諺のように2万円
には手が届かないが、1万9000円を割り込むほど現状では悲観する悪
材料も見当たらないことから何とも消化不良の相場です。米国株が先
週のロシアゲート不安で大幅安しました。日本株も含めて調整入りか言
う懸念が高まりましたが、翌日からの6日続伸で急落前の水準を回復し
高値更新も期待できるところまで戻したことから「sell in May」という指摘
は今回は勇み足に終わりました。

米国市場ではトランプ大統領の政策期待は大きく後退し関連銘柄もすっ
かりお化粧がはがれました。しかしアップルやアマゾンそれにアルファベ
ットといったハイテク銘柄の業績好調が株高を促進し政策関連銘柄の下
げを補いました。PERが高止まりして米国株のバブル懸念を指摘する見
方もありますが大型ハイテク企業の高成長が続いていることからバブル
という指摘はなく地に足が着いた相場になっているのかもしれません。

日本株が崩れるとしたら米国株に調整が入り為替も円高に進むといった
展開でしょうか。現状では米国株の好調は続いていますから日本株の上
値は重くとも下値不安は高まっていません。日本株の行方もまた米国株
次第です。もし米国株の調整があるとしたらキッカケはトランプ大統領が
らみなのか、それとも米国経済の変調によるもので起こるのか、予想外
のことで相場が崩れるケースが多いことからそのいずれにでもない何か
別の材料出調整は訪れるのでしょうか。

海外投資家は7週連続買い越しましたが買い越し幅は前の週の二十分
の一の額の301億円と激減しました。一方個人投資家は現物と信用の合
計で5100億円の売り越しから167億円の買い越しに転じました。年金等
の売買を反映する信託銀行も1287億円の売り越しから17億円と小幅で
すが買い越しに転じました。

個人も信託銀行も基本は逆張り投資ですから18日に大幅安時に買いを
入れたようです。今週は反発する局面が続いていることから海外投資家
の買い越しが増加し個人と信託銀行は買い越し額が減少したか売り越し
に転じたかもしれません。自社株買いが期待できる事業法人以外日銀を
除けば大きな買いは期待できません。

日本株が上昇を続けるためには海外投資家の大幅な買い越しが必要で
す。2万円を越えて一段高出来るかどうかは海外投資家次第です。まず
は今週の海外投資家が買い越し額がどのくらい増加したかどうか注目さ
れます。宙ぶらりんな相場から脱出するためには必要なのは海外勢の力
です。

27、28日の更新はお休みします。
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ディフェンシブ人気は何かのシグナル

2017-05-25 07:03:54 | 日記
24日の東京市場は金融銘柄や輸出関連銘柄の一角が上昇したことも
あり前日の下げを埋める129円高で終わりました。もっとも物色の中心
は前日同様内需関連株でした。業種別株価指数で食品は23日に26年
ぶりの高い水準を記録しましたが、24日も人気は続きました。

やはり外部環境の影響を受け難く安定した収益を稼ぐ食品などのディ
フェンシブ銘柄は利益成長の期待できる銘柄中心に投資資金を集めて
いるようです。投資家心理として指標面の割安感もあり警戒感はあって
も株式に資金を投入しないと運用競争に負けてしまう。しかし為替の影
響が大きい外需銘柄は買い難い、消却法で残ったのがディフェンシブ銘
柄ということになっているようです。

今期減益予想のJTやオリエンタルランドが今月年初来高値を更新して
いるのもディフェンシブ銘柄人気を裏付けているようです。もっとも同じ
内需関連銘柄でもニトリとともに小売業界の勝ち組と見られたしまむら
が5月の既存店売上高が前年同月比4.5%減ったとの発表を受け低調
な販売を嫌気した売りで1540円安(9.71%)という大幅な下げを演じました。

ディフェンシブ銘柄といえども高値圏で推移している銘柄には少しの悪
材料でも大幅な値幅調整が起きてしまうという懸念は付き纏います。5月
は月初から指数を大きく越える上昇が続いているディフェンシブ銘柄が
多いだけに今後注意が必要なのかもしれません。

日経平均は2万円を目前に足踏み状態ですが、ドル建て日経平均は
今月10年来高値を更新しています。円相場が年初の117円台から足
元で111円台と高止まりしているにも拘らず日経平均が1万9700円台
にあるのが要因です。昨年までなら111円台のに見合う日経平均は
多めに見積もっても現在の水準よりも1000円程度低い水準です。

この状況は日本企業の収益が円高下でも増益基調を続けていること
で評価が高まっていると解釈すべきでしょうかそれとも日本株は過大
評価されているのでしょうか。ドル建てで見ている海外投資家に取って
日本株投資は決して低い水準ではないのかもしれません。

堅調に見える東京市場ですが、工作機械のオオクマや牧野フライスそ
れにベアリング大手の日本精工やNTNなどは3月の年初来高値から
随分の値下がりしています。中国特需で4月の工作機械受注が2.4倍
になったという24日のニュースにも株価はほとんど反応しませんでした。
機械株は景気の先行指標の側面を持っています。高水準の受注残と
株価低迷というチグハグは何を意味しているのでしょうか。
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