kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

視界不良

2012-05-31 06:16:47 | 日記
30日の東京市場はNY市場が125ドル上昇したにもかかわらず23円安と下げ
ました。前日まで4営業日続伸だったことや前日に世論調査でギリシャの緊縮
財政賛成派が優勢だったことや中国の景気テコ入れ策を好感して上げていた
ためにNY高も織り込み済みだったのかもしれません。上値の重さが改めて
確認された一日でした。

東レ、クラレ、富士フィルム、旭硝子、日本電気硝子これら銘柄に共通する
キーワードは何でしょう。答えは液晶部材を手掛けている企業でしかも部材
の中では比較的利益率の良い分野を手掛けている企業です。いずれの銘
柄も日足チャートだと3月末の高値からきれいな右肩下がりを辿っています。

特に東レやクラレは好業績を評価され昨年11月に東京市場が安値を付け
る際にも高値からの下げは限定的だっただけにこのところの下落は意外で
す。会社側の発表した両社の今期企業業績に不安は見当たりませんが、株
価が下げ止まらないということはそれなりの理由があるのでしょう。

年初からまず液晶テレビ分野ではセットメーカーの家電3社の巨額な赤字が
表面化しました。液晶パネル分野での日本企業の存在感は一層薄くなりま
した。液晶部材分野は日本企業の独壇場で利益率も高い水準を維持して
いましたが、液晶テレビの値崩れとともに部材メーカーの収益も圧迫するよ
うになってきたのかもしれません。

クラレの手掛ける偏光板向けポバールフィルム(世界シェア80%)では圧倒
的なシェアで高利益率を誇っていましたが、さすがにこの分野でも値下げ圧
力が強まってきたのでしょうか。株価が下げ止まらないところからそんな不
安を消すことができません。

いずれにしても液晶産業の高成長とともに圧倒的な強みのあった液晶部材
企業は化学やガラスそれに繊維産業まで多くの企業が収益源にしていまし
たから液晶分野のつまずきは日本の産業界にとっても大きな痛手です。液
晶テレビに代わってスマホやタブレットPC向けの需要に期待する向きもあり
ますが、液晶テレビの落ち込みを補うほどの市場規模ではありません。しば
らくは関連企業の株価がどこで下げ止まるか目が離せません。

今日の東京市場はNY安とユーロ安(97円台)のダブルパンチで8500円の攻
防になりそうです。もし6月1日発表の米国の経済指標(ISMや雇用統計)が
市場予想よりも悪かった場合欧州財政危機に加えて米国の経済に不安が
重なり東京市場が年初来安値近辺まで下げるシナリオも考えられます。引き
続き慎重な投資スタンスが必要かもしれません。
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業績不振銘柄の増資に注意

2012-05-30 07:55:52 | 日記
先週から今週にかけてルネサスがリストラに伴なう資金を確保するために
大株主上場3社(NEC、日立、三菱電機)に要請するのではないかとニュース
が伝わりルネサスだけでなく3社も値を崩しました。財務に余裕のある企業の
リストラならまだ手元資金で賄う事が出来ますが、長期の業績不振で債務状
況の問題のある企業は第3者割り当て増資や公募増資でリストラ資金を調達
しなければなりません。いずれにしても既存株主としては持ち株の希薄化に繋
がりますから株価の下押し要因です。

ルネサスは大株主3社の支援体制の乱れから昨日も下げ止まらず4月末から
半値以下に急落しています。エルピーダの破綻からまだ日の浅いことからルネ
サスに今後に対しても悲観ムードが市場にあるようです。

市場では6月の株主総会が終了したら業績不振銘柄も含めて増資ラッシュが
くるのではないかという記事が少し前のネットニュースに出ていました。特に
問題なのが前期の決算で構造改革に伴ない大幅な最終赤字を出した大手
電機メーカーが自己資本の積み増しを狙って大規模なファイナンスを行うと
言うものです。

グローバル競争に打ち勝つため、あるいは生き残りのためという大義名分で
大幅な株式希薄化に繋がる増資が再びまかり通ることが起こるかもしれませ
ん。赤字で無配企業だからとか株価が100円台に低迷しているだとかそんな
ことはお構いなくお家(企業)の一大事だとなればこれまでも投資家軽視と思
われても企業実行するでしょう。そのタイミングは株主総会終了で新体制も固
まり4~6月期の決算の内容が明らかになる7月から中間決算前の9月の間と
いう観測も出ています。

東京市場は日経平均で8500円台が次第に底値として固まりつつあると言う
見方もでてきました。しかし今週末のISMや雇用統計の結果次第ではまた
ひと波乱あるかもしれません。ギリシャの情勢も選挙結果次第という不透明
な状況は変わっていません。スペイン情勢も心配です。それでも業績からみた
らそろそろ拾ってもいい銘柄も出てきました。しかし昨年から今年にかけての
ファイナンス銘柄の株価は多くのケースで不振です。

投資家としては特に業績不振銘柄の投資判断は業績や為替などの外部環境
の変化だけでなく財務体質など良くチェックする必要がありそうです。
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ドラクマゲドン

2012-05-29 08:38:01 | 日記
欧州の金融市場ではドラクマゲドンなる言葉が盛んに使われているようです。
ドラクマゲドンは「新約聖書」に出てくる地球滅亡を表すアルマゲドンにちなん
だ造語です。6月のギリシャ総選挙で緊縮財政反対派勢力の政権が誕生した
場合、緊縮路線見直しによりユーロ圏諸国からの支援が打ち切られユーロを
脱退する事態に発展した場合ギリシャはユーロから新ドラクマへの通貨切り
替えを迫られユーロの後ろ盾を失ったギリシャの経済は長い間混乱するでし
ょう。

新ドラクマは弱い通貨になりユーロに対して大幅な切り下げが予想されます。
食料品の4割それに石油などの資源や医薬品も多くを輸入に頼るギリシャ
経済は新ドラクマの大幅な切り下げから輸入物価の価格高騰は避けられず
混乱に一層拍車がかかると懸念されています。

また事態はギリシャ一国だけにと止まらず重債務国のポルトガルやスペイン
それにイタリアの南欧諸国に危機が広がり最悪の場合ユーロ崩壊までありう
ると危惧されています。危機の深刻化は南欧諸国の国債利回り上昇、国債
を大量保有する欧州の金融機関の信用不安という図式で危機があっという
間に欧州全体に波及し輸入で経済的につながりの深い中国や金融で欧州の
金融機関と繋がりの深いアジア諸国の経済にも深刻な影響が及ぶという流れ
です。

このシナリオは最悪の場合を想定したものですが、ユーロという壮大な通貨
統合の失敗による影響がどのくらい世界経済に影響を及ぼすか今までに経
験のないことですからはっきり誰も先行きは見通せないでしょう。臆病なマネ
ーはあっという間に株式などのリスク資産から逃げ出し米国債など安全資産
になだれ込むシナリオも荒唐無稽だと一笑に伏す訳にもいきません。

投資家としてはこの状況では考えられるあらゆる事態を想定しながら対処す
べきなのでしょうね。もっともピンチの後にはチャンスありですから普段では
考えれないくらい安い価格で有望株を拾える場面でもあります。そのために
は優れた企業を見極める目がこれまで以上に必要とされます。例え欧州財
政危機が目先遠のいても稼ぐ力が衰えている企業を買ったのでは反発も一
過性に終わります。

昨日の沖電気とNECの逆転劇はどん底を経験し身の丈にあった事業のみ
に集中して復活への足掛かりが出来た沖電気に対してなかなか経営改革が
軌道に乗らないNECの苦境を物語っています。株価不振が欧州財政危機
だけでない企業は今後の展望はまだ五里霧中です。企業のネームバリュー
だけでなく内容をよく吟味して銘柄選択しないと大きな怪我に繋がります。

昨日の300近い新安値銘柄の顔ぶれを考えると株価下落の要因は欧州財政
危機や円高だけが原因ではなくもっと根本的な企業体質の問題の方が大きい
のではないかと考えさせられます。
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NTTグループ下落

2012-05-28 06:19:19 | 日記
NTTグループの下げが止まりません。25日にはNTT、NTTドコモ、NTTデータ
揃って年初来安値を更新しました。3社とも今期は増収増益です。また典型的
な内需株ですから為替の影響も受けませんし世界経済の変調をまともに受け
る事業でもありません。指標面でもPERはNTTが7.8倍、ドコモが9.9倍、データ
は16倍とデータ以外は10倍を下回っています。海外要因が不透明な状況で業績
が安定しているはずの3社の株が買われるならいざ知らず年初来安値を更新
するような理由がどこにあるのでしょう。

ドコモに関しては業績に大きな不安がある訳ではないようです。しかしKDDIや
ソフトバンクの下落率に比べてドコモの下落率が大きくなっている背景はひょっ
としたらiPhoneの存在があるのかもしれません。携帯通信キャリアの戦略は
3社とも音声通話の落ち込みをデータ通信でカバーすることです。そのために
在来型の携帯端末からデータ通信量の増加が期待できるスマホに大きく舵を
切っています。

KDDIが昨年の下期に取り扱いを開始したiPhoneでスマホ効果が数字として
はっきりデータに表れました。また携帯番号を替えずに通信キャリアを変更で
きる制度でドコモは昨年一人負けの状態でした。その敗因も人気端末である
iPhoneを取り扱ってないからです。

ドコモがiPhoneの販売に踏み切れない理由はいくつかあるようです。ひとつ
はアップルの条件に厳しさ(iPhoneのある一定の販売台数の確約やキャン
ペーンで他のスマホと一緒に扱わないこと)またドコモは端末メーカーと二人
三脚でいろんな機能を開発してきた背景からもしドコモがiPhoneを扱うよう
になると端末メーカーの業績に大きな影響が出ること。またドコモが中期計画
にあげるさまざまなサービスがiPhoneを導入するとアップルのサービスと競
合することなどです。

こうしてみるとドコモがiPhoneを発売するハードルは意外に高いことが分かり
ます。もっともこのままKDDIやソフトバンクの躍進が続くようならドコモとしても
思い切った方針転換も必要になるかもしれません。もしドコモがiPhoneを発売
すると他の2社の業績への影響が心配されます。当然株価も大きく反応する
でしょう。NTTの収益の半分以上はドコモが上げています。ドコモの業績の増
減がNTTの株価も左右する形です。

データの株価が下げ足を早めたのは今期企業業績が市場予想を下回ったと
言うことですけど、それだけでここまで売り込まれるでしょうか。ネットでNTT
グループの下落に直接繋がるような悪材料は見つかりませんでした。しかし
株価の下落は止まらない訳ですからやはり気味が悪いことに変わりはあり
ません。しばらく様子を見ながらこの3社の株価を注視していきましょう。




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今後の相場とどう向き合うか

2012-05-27 11:24:30 | 日記
ウォール街の相場格言では、「落ちてくるナイフは掴むな、床に突き刺さった
ナイフを拾え」と言われています。東京市場の4月以降の相場で逆張りで押し
目を買った投資家は結果的に落ちてくるナイフを掴んだことになります。でも
これって多くの投資家が経験する間違いです。長い投資経験があればこんな
経験をした事のある投資家は私を含めてかなり多いと思います。

ネット証券のM社のチーフストラジストであるH氏は4月初旬に日経平均が1
万円割れをした時に絶好の押し目買いのチャンスと言うレポートを出しました。
9500円の時にはテレビの解説で盛んに下げ渋りを強調しました。また9000円
割れの時にはいくらなんでも下げすぎじゃないかとツイッターで呟いていました。
25日付のレポートではNY市場が連日、日中安くても引けにかけて戻す展開に
なってきたことから底入れ間近と言っています。もっとも週末金曜日のNY市場
は右肩下がりで引けちゃいましたが。

個人投資家だけでなく市場関係者というプロの人達も自分の主張をなかなか
変更することは難しいのだなあと思います。大事なのは相場の変調を感じたら
少なくとも杓子定規に押し目買いなど考えないことです。どってん空売りをしろ
とは言いませんが、少なくともしばらくはじっと相場の成り行きを見定めながら
売買を手控えるべきです。

どんな投資家も落ちるナイフを掴もうとするほど勇敢ではないでしょう。ナイフ
が落ちているとは気づかずに掴んでしまっただけです。もっとも突き刺さった
ナイフかどうかの判断ほど難しいものもありません。私は時間で測ることにし
ています。どんな悪材料でも相場に織り込まれれば底打ち反発局面はくるも
のです。昨年7月末の高値もみあいから8月に急落した東京市場は高値から
2ヵ月半経過した10月初旬にいったん底打ちして月末にかけて戻り高値を形
成しました。昨年同様同じ欧州危機で急落した今回のケースも参考になるか
もしれません。

3月末の高値からすると6月SQ(8日)前後がひとつの目処になるかもしれま
せん。ギリシャの選挙は16日同じ日にフランス地方選挙もあります。同じこと
が繰り返される保障はありませんが、ひとつの参考にはなるかもしれません。
トレンドを時間で測ることもひとつの方法ですが、勿論万能ではありません。
ひとつの目安です。いろんな材料で市場の流れは変わります。それもある日
突然に、大事なことはどんな状況になっても対応できるだけの心構えが大切
です。
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