7年8か月に及んだ長期政権だった安倍首相の辞任は突然でした。28日
の2時過ぎに一報が伝わった時に日経平均が一時600円安という急落を
演じたのも市場にとってもサプライズだったからです。一部の市場筋
の見方では日本株の株高の一因だった長期政権が幕を下ろすことで今
後の東京市場は下値の余地が従来よりも増したとの記事も出ています。
確かに安倍政権の7年8か月で日経平均は2.3倍になりました。上昇率か
らは同期間で3.9倍になったナスダック市場には及びませんが、NYダウ
を若干上回る上昇率でした。しかし日経平均は最初の2年間で4分の三を
稼きました。2017年末の日経平均を比べると28日時点とおぼ同水準で
す。
NYダウは2017年末から先週末までに16%の上昇率です。スタートダッ
シュで日経平均は海外投資家の巨額な買いで急上昇しましたが、アベノ
ミクス3年目ではすでに息切れが目立ちNYダウに追いつかれてしまった
というのが現実です。確かに日本企業の稼ぐ力や株主重視の考え方は浸
透しましたが、円安一服とともに頭打ちになりました。
一方米国市場で時価総額上位企業はこの間大きく変わりエネルギー大手
や銀行といった企業に代わりFANGM銘柄が上位を占めるようになりまし
た。時価総額を大きく膨らませた企業はこれまでなかったビジネスモデ
ルで高い利益率と上げている企業です。高成長が高いバリエーションを
占めています。
一方日本市場はメガバンクは大きく後退しましたが、大手自動車や通信と
言った従来型の産業を代表する企業が未だに上位にランクされています。
圧倒的な利益率を実現したキーエンスや投資会社に変貌したSBGそれに
ゲーム企業として鮮やかに復活した任天堂が名を連ねている程度です。
米国に比べて圧倒的に産業の新陳代謝が進んでいないことは安倍政権の
残した大きな課題です。もしも安倍政権があと1年続いて任期を全うした
としても株価の浮揚効果は限定的だったのではないでしょうか。ここ数年
森友問題や桜を見る会など政権への逆風が強まって支持率は政権誕生時
から数年間に比べて明らかに低下気味でした。
そして今年世界中を混乱に陥れた新型コロナで安倍政権の目玉政策だった
インバウンド需要は消滅しました。東京オリンピックも1年延期になりま
した。コロナ対策でもアベノマスクや10万円の給付金など国民に不評な
問題ばかりがクローズアップされてきました。残り1年余りに迫った総裁
人気期間中に経済が完全復活して内閣支持率が急回復するという期待は
もはや持てないでしょう。
確かに外交面など安倍首相の退陣はマイナス面もありますが、経済面では
これといった目玉政策は期待薄です。政府の役割はそれなりに経済にとっ
て大きいでしょう。企業減税や未曽有の金融緩和とセットになった円高
是正で日本経済は復調しました。しかし追い風が吹いたにも拘わらずこの
7年8か月で時価総額が減少した有力企業も少なくありません。政府頼みの
限界も露になりました。稼ぐ力をつけた企業が増えない限り経済もよくな
りません。今後は首相以上に経営者の頑張りが重要です。
次回の更新は9月1日を予定しています。
の2時過ぎに一報が伝わった時に日経平均が一時600円安という急落を
演じたのも市場にとってもサプライズだったからです。一部の市場筋
の見方では日本株の株高の一因だった長期政権が幕を下ろすことで今
後の東京市場は下値の余地が従来よりも増したとの記事も出ています。
確かに安倍政権の7年8か月で日経平均は2.3倍になりました。上昇率か
らは同期間で3.9倍になったナスダック市場には及びませんが、NYダウ
を若干上回る上昇率でした。しかし日経平均は最初の2年間で4分の三を
稼きました。2017年末の日経平均を比べると28日時点とおぼ同水準で
す。
NYダウは2017年末から先週末までに16%の上昇率です。スタートダッ
シュで日経平均は海外投資家の巨額な買いで急上昇しましたが、アベノ
ミクス3年目ではすでに息切れが目立ちNYダウに追いつかれてしまった
というのが現実です。確かに日本企業の稼ぐ力や株主重視の考え方は浸
透しましたが、円安一服とともに頭打ちになりました。
一方米国市場で時価総額上位企業はこの間大きく変わりエネルギー大手
や銀行といった企業に代わりFANGM銘柄が上位を占めるようになりまし
た。時価総額を大きく膨らませた企業はこれまでなかったビジネスモデ
ルで高い利益率と上げている企業です。高成長が高いバリエーションを
占めています。
一方日本市場はメガバンクは大きく後退しましたが、大手自動車や通信と
言った従来型の産業を代表する企業が未だに上位にランクされています。
圧倒的な利益率を実現したキーエンスや投資会社に変貌したSBGそれに
ゲーム企業として鮮やかに復活した任天堂が名を連ねている程度です。
米国に比べて圧倒的に産業の新陳代謝が進んでいないことは安倍政権の
残した大きな課題です。もしも安倍政権があと1年続いて任期を全うした
としても株価の浮揚効果は限定的だったのではないでしょうか。ここ数年
森友問題や桜を見る会など政権への逆風が強まって支持率は政権誕生時
から数年間に比べて明らかに低下気味でした。
そして今年世界中を混乱に陥れた新型コロナで安倍政権の目玉政策だった
インバウンド需要は消滅しました。東京オリンピックも1年延期になりま
した。コロナ対策でもアベノマスクや10万円の給付金など国民に不評な
問題ばかりがクローズアップされてきました。残り1年余りに迫った総裁
人気期間中に経済が完全復活して内閣支持率が急回復するという期待は
もはや持てないでしょう。
確かに外交面など安倍首相の退陣はマイナス面もありますが、経済面では
これといった目玉政策は期待薄です。政府の役割はそれなりに経済にとっ
て大きいでしょう。企業減税や未曽有の金融緩和とセットになった円高
是正で日本経済は復調しました。しかし追い風が吹いたにも拘わらずこの
7年8か月で時価総額が減少した有力企業も少なくありません。政府頼みの
限界も露になりました。稼ぐ力をつけた企業が増えない限り経済もよくな
りません。今後は首相以上に経営者の頑張りが重要です。
次回の更新は9月1日を予定しています。