kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

7年8か月

2020-08-30 09:22:49 | 日記
7年8か月に及んだ長期政権だった安倍首相の辞任は突然でした。28日
の2時過ぎに一報が伝わった時に日経平均が一時600円安という急落を
演じたのも市場にとってもサプライズだったからです。一部の市場筋
の見方では日本株の株高の一因だった長期政権が幕を下ろすことで今
後の東京市場は下値の余地が従来よりも増したとの記事も出ています。

確かに安倍政権の7年8か月で日経平均は2.3倍になりました。上昇率か
らは同期間で3.9倍になったナスダック市場には及びませんが、NYダウ
を若干上回る上昇率でした。しかし日経平均は最初の2年間で4分の三を
稼きました。2017年末の日経平均を比べると28日時点とおぼ同水準で
す。

NYダウは2017年末から先週末までに16%の上昇率です。スタートダッ
シュで日経平均は海外投資家の巨額な買いで急上昇しましたが、アベノ
ミクス3年目ではすでに息切れが目立ちNYダウに追いつかれてしまった
というのが現実です。確かに日本企業の稼ぐ力や株主重視の考え方は浸
透しましたが、円安一服とともに頭打ちになりました。

一方米国市場で時価総額上位企業はこの間大きく変わりエネルギー大手
や銀行といった企業に代わりFANGM銘柄が上位を占めるようになりまし
た。時価総額を大きく膨らませた企業はこれまでなかったビジネスモデ
ルで高い利益率と上げている企業です。高成長が高いバリエーションを
占めています。

一方日本市場はメガバンクは大きく後退しましたが、大手自動車や通信と
言った従来型の産業を代表する企業が未だに上位にランクされています。
圧倒的な利益率を実現したキーエンスや投資会社に変貌したSBGそれに
ゲーム企業として鮮やかに復活した任天堂が名を連ねている程度です。

米国に比べて圧倒的に産業の新陳代謝が進んでいないことは安倍政権の
残した大きな課題です。もしも安倍政権があと1年続いて任期を全うした
としても株価の浮揚効果は限定的だったのではないでしょうか。ここ数年
森友問題や桜を見る会など政権への逆風が強まって支持率は政権誕生時
から数年間に比べて明らかに低下気味でした。

そして今年世界中を混乱に陥れた新型コロナで安倍政権の目玉政策だった
インバウンド需要は消滅しました。東京オリンピックも1年延期になりま
した。コロナ対策でもアベノマスクや10万円の給付金など国民に不評な
問題ばかりがクローズアップされてきました。残り1年余りに迫った総裁
人気期間中に経済が完全復活して内閣支持率が急回復するという期待は
もはや持てないでしょう。

確かに外交面など安倍首相の退陣はマイナス面もありますが、経済面では
これといった目玉政策は期待薄です。政府の役割はそれなりに経済にとっ
て大きいでしょう。企業減税や未曽有の金融緩和とセットになった円高
是正で日本経済は復調しました。しかし追い風が吹いたにも拘わらずこの
7年8か月で時価総額が減少した有力企業も少なくありません。政府頼みの
限界も露になりました。稼ぐ力をつけた企業が増えない限り経済もよくな
りません。今後は首相以上に経営者の頑張りが重要です。

次回の更新は9月1日を予定しています。
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マザーズ市場沸騰の背景

2020-08-28 06:24:12 | 日記
一部市場はお盆明けから閑散相場に突入、かたやマザーズ市場は27日
下落しましたが、売買代金2000億超の連続記録を10日営業日に伸ばし
ました。インタファクは上場3日目のきょう売買が成立し5080円で初値
を付け引けはストップ高の6080円でした。公開価格960円ですから6倍
ちょっとです。すさまじいばかりの人気です。

IPO人気がマザーズ市場を支えています。1市場で売買代金が膨らまない
状況では少ない資金で値幅取りが可能な新興市場に向かうのは当然です。
今後は過熱感と先高観との綱引きで値動きが荒くなるかもしれません。

それにしてもFANG銘柄など大手テック銘柄の活況は衰える兆しがあり
ません。市場の一部に期待感も込めて囁かれているバリュー株への本格
的な資金シフトはまだ期待の域を出ないようです。

一方ハイテク株でも半導体銘柄には人気に濃淡があるようです。DRAM
やフラッシュメモリのような汎用半導体メーカーは2月高値を大きく下回
ったままです。プロセッサー業界を代表する企業でもエヌビディアとイン
テルとではここへきて明暗が大きく分かれました。

技術革新の速い半導体業界で先端技術の出遅れは致命傷になりかねない
ということをインテルの急落とその後の低迷は物語っているようです。
また世界最大の半導体製造装置企業であるアプライドマテリアルが受注
増加を受けて8-10月(第4四半期)売上高に強気な見通しを示しました。

しかし好材料とはならず2月高値を奪回から一段高にならず上値が重く
なっているのも何か理由があるのでしょう。5Gへに期待は高いのですが
コロナ禍もあり本格普及の時期はもう少し時間がかかるのでしょうか。

アドテストの今期業績が市場の期待した増益でなく3割の減益見通し
発表が足元をすくったのでしょう。7月高値から既に3割近い下落が
投資家の失望の大きさを物語っています。好業績だった東京エレクも
アドテストが足を引っ張った訳でもないのでしょうけど、すっかり
調整ムードです。

日本企業が競争力の高い電子部品銘柄も最近ではすっかり蚊帳の外です。
5Gが今後本格普及期を迎えることを考えればいずれは見直し買いは期待
できると思います。今は我慢の時なのでしょう。以前ならナスダック市
場が高ければ半導体や電子部品銘柄にも買いが期待できたのですが相場
の流れも微妙に変化しているのでしょうか。
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変われなかった優良銘柄

2020-08-27 05:59:20 | 日記
個別銘柄の浮き沈みはあっても日経平均の下値の堅い状況はまだ
まだ続くのでしょうか。企業業績に比べて株価は割高だという見
方は多いようですが、既にコロナ禍での業績悪化が不安視される
空運や陸運、レジャー産業から素材などの景気敏感株はPBRの大
きく低下しました。

恒常的に赤字から抜け出せないか破綻でもしない限り下値も限定
的な銘柄も増えてきました。エムスリーやモノタロウそれにキー
エンスなど高PERでも高成長期待の高い銘柄はコロナ以前の経済
状況に戻らないことならば今後もPERの高止まりは続きそうです。

産業構造の変化でコロナ終息後も需要が元に戻らず収益力の落ち
た企業の株の上値は余り期待できません。デジカメを主力事業に
据えたキャノンやニコン、かつては優良銘柄と株式市場では位置
付けられていました。

しかし主力事業がオワコンになり新しく柱となる事業の育成も途
上です。中長期で投資する海外投資家や国内投資家からの資金が
引き上げられていることから株価はここ数年下降トレンドを抜け
出せません。コロナが終息しても評価が大きく高まることもない
でしょう。

パソナニックも同様の問題を抱えています。株価は業績低迷を予
想するように既に2年前から右肩下がりで推移しています。画像
センサーやゲームが主力事業として育ったソニーとは同じ家電業
界で二大勢力だった輝きは過去のものとなりました。

多くの商品にはサイクルがあります。かつては高付加価値だった
商品でもコモディティ化が進み収益を上げるのが難しくなったり
市場そのものが縮小したり、消滅すれば企業は稼ぎ頭を失います。
常に先を見つめ事業の入れ替えや新規事業を育て大きくしなけれ
ば将来は明るくありません。

主力事業が製品サイクルの末期になっても企業が生き残るために
は柔軟に収益構造を変えなければなりません。コロナ禍で多くの
企業が収益が悪化しましたが、コロナだけが理由でない企業も散
見されます。

ワクチンが開発されたとしても季節性インフルのようにウイルスは
消滅せず人類は今後も新型コロナと共存するしかないとの指摘もあ
ります。コロナ禍でも生き残れる企業なのかどうかが少なくとも中
長期投資では重要です。

それにしてもGAFAの強さには驚きです。成長株からバリュー株へと
いう流れが先週強まりましたが、26日には4銘柄とも揃って高値更新
しました。ZOOMもテスラも高値更新、ネットフリックスも急騰し
ました。コロナ禍でも成長できる銘柄や追い風になっている銘柄は
高値警戒感があっても人気に衰えはないようです。

強い銘柄はさらに強く、人気薄の銘柄の反発は短命というにが現在の
米国株の相場です。高値警戒感はあっても音楽が流れている間は踊り
続けなければならないということを改めて感じます。
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ポスト猛暑相場

2020-08-26 06:01:22 | 日記
8月に暦が代わった途端、梅雨明けから一気に記録的な猛暑が始まり
ましたが、どうやら35度を超える猛暑日は今後減少に向いそうです。
東京市場も2万3000円回復後も下げそうで下げない相場になっていま
す。6月初旬に2万3000円台を回復した時には3営業日後急落し短期間
に1500円の下落を経験しました。その後2か月間は3000円が上値の壁
となりました。

しかし今回は6月と違って下げ幅は今のところ限定的です。25日は4営
業日ぶりに2万3000円台を回復しました。勿論反発の支援材料になっ
たのは米国株高です。これまではハイテク株の多いナスダック市場が
人気でしたが24日NYダウは節目の2万8000ドルを大きく更新したこと
で一段高の可能性も出てきました。

景気敏感株も名を連ねているNYダウの高値更新は世界の景気敏感株
と言われる日本株に追い風となります。NYダウの動向次第では日経
平均の2万3000円後半まで上昇する可能性もありそうです。

これまで日米とも指数の上昇は一握りの銘柄によってもたらされてき
ました。米国ではGAFAやテスラ、エヌビディアのナスダック上場銘
柄ダウ採用銘柄ではアップルやホームデポ、マイクロソフトなど指数
採用30銘柄の3割程度の銘柄の上昇がダウを押し上げました。

しかしこれまで相場を主導してきたGAFAなど一部のハイテク銘柄に
は高値警戒感を持つ投資家もジワリ広がってきました。昨日の経済
紙には「不人気株」秋の主役?という記事が出ていました。ワクチ
ン実用化が期待から現実になってきたことからコロナ禍で売り込ま
れた銘柄にも見直し買いが出てくるという見方です。

これまで一部の人気銘柄に資金が集中してきたことから機関投資家
は人気銘柄のハイテク株を目いっぱい保有しているとの見方です。
これまで運用成績を上げるためには割高感や過熱感があってもハイ
テク銘柄買いを続けるしかありませんでした。結果的に人気ハイテ
ク銘柄のバリエーションは大きく上昇しました。

世界的な金融緩和の継続で債券では利回りを確保することが難しく
なり今後も運用の中心は株式が中心になります。しかし一部のハイ
テク銘柄に偏った投資もどこかで転機を迎えます。一部の投資家は
既に先を見据えて不人気銘柄の仕込みを開始しているとの見方もあ
ります。

中長期的には時代を変えるハイテク銘柄優位だとしても短期的には
ハイテク一辺倒の揺り戻しも警戒されます。米国の大統領選挙を控
える秋相場はどんな展開になるのでしょうか。
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○○関連の賞味期限

2020-08-25 06:07:26 | 日記
先週からの薄商いは週が変わった今週も続くのでしょうか。週明け
24日の東京市場はNYダウの上昇やナスダック市場の高値更新による
押し上げ効果は限定的だったようです。

先週の米国市場ではアップルやテスラそれにエヌビディアなど限ら
れた銘柄が上昇しました。ハイテク銘柄でも物色の広がりは余りな
かったようです。アップルもテスラも今月末に株式分割を控えてい
ます。

多く場合分割前に大きく上昇した銘柄が分割後も上昇を続けるケース
はまれのようです。東京市場でも中外製薬は2対1に株式分割前は大き
く上昇しましたが、分割後は一転下落に転じました。

そもそも分割で一単位の価格が下がり買いやすくなるというという
理由を株高材料と囃す向きがありますが、理論上は中立要因です。
株価分割する企業は成長期待が高いという見方は確かにありますが
分割をするかしないかで企業の成長力が変わる訳ではありません。
まずはアップルとテスラの分割後の値動きに注目したいと思います。

アップルが大きく変われると日本株でもアップル関連と言われる銘
柄に買いが波及するということがありました。しかし今回はアップ
ルが先週独歩高する状況でも大手電子部品の村田製作やTDK、太陽
誘電などは逆行安でした。半導体製造装置の東京エレクトロンやア
ドテストも週間ベースで下げました。

そもそもアップル株が買われた背景はパソコンやタブレットのハード
部門の好調とApple MusicやiCloudなどを含むサービスの売上高はとも
に巣ごもり需要で第3四半期として過去最高だったからです。数年前
までアップルの株価を左右したiPhoneの売り上げは2%と小幅な増加
でした。

一方アイマックのPCは22%増、アイパッド31%増とiPhoneを大きく
上回る増収でした。利益率の高いサービス部門15%増加しました。
コロナ禍の巣籠り消費をアップルが上手く取り込んだことが好業績に
繋がりました。日本の電子部品株はやはりiPhoneの需要が業績を左右
します。アップルの業績を精査すれば日本の電子部品株が追随して上
昇するという図式には今回は無理があったようです。

○○関連というテーマ買いは個人投資家にも分かりやすく証券会社も営
業トークに使える便利なものです。しかし関連銘柄の中でも真贋を見
極めることは重要ですし今回のアップルのようにサービス部門の成長
が株高ということになると日本のiPhone関連銘柄への波及効果も余り
期待できません。個別銘柄の業績チャックがやはり重要なのは今も昔
も変わらないポイントです。
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