kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

瓢箪から駒のTOB

2020-09-30 06:17:18 | 日記
ドコモの完全子会社化が正式に決定しました。事前にそれらしき観測
記事もなく、株価の推移も情報が事前に漏れたという動きは感じられ
ませんでした。まさかというのが市場の反応だったでしょう。ストッ
プ高した背景には過去2週間で120万株近く増えた売りの買戻しが多か
ったのではないでしょうか。売り残のすべてが空売りではないでしょ
うが、TOBという伝家の宝刀が抜かれては売り方は降参するしかあり
ません。

ドコモの完全子会社化の目的に効率化による料金値下げも含まれると
いうこと。非公開化で料金値下げによる収益悪化でも株主への配慮も
必要なくなる。いよいよ業界トップの決断で大幅な料金値下げが現実
味を帯びてきたという市場の判断だったのでしょうか。業界2位と3位
のKDDIとソフトバンクが揃って年初来安値を更新しました。

大手の値下げが不可避になったことで逆に楽天への期待は低下したの
かもしれません。先週前半まで続いていた株価には陰りが出てきたよ
うです。通信品質では大手に遠く及ばない楽天の携帯事業は料金面で
の差が縮まれば顧客獲得競争で劣勢に立たされます。菅政権による携
帯料金値下げ圧力は4兆円弱の巨費を投じてのTOBという結果になり
ました。

しばしば経営判断に迅速性が欠けるというのが日本企業、特に大企業
にかけている点だと言われてきました。日本企業全体が世界のスピード
に負けずに大きく変わるのであればコロナ禍での収穫の一つかもしれま
せん。

思い起こせば安倍首相の突然の退任や今年夏まで次期首相としての本命
ではなかった菅官房長官があっという間に首相に席に座ったこともサプ
ライズでした。ここ数年安倍元首相は経済問題よりも憲法改正に熱心で
市場からも懸念が広がっていました。

首相在任期間が長期にわたり既に終盤に差し掛かっていた安倍さんと
しては政治生命をかけた憲法改正を首相としての手土産に花道を飾り
たかった気持ちは分からないではありません。しかしコロナ禍でくし
くも露呈した行政のデジタルの遅れなどまだまだ解決しなければなら
ない問題が多いことも明らかになりました。

デジタル後進国だと有事に迅速に物事が運ばないことが明らかになり
コロナ対策もありこの分野の成長力は高まりそうです。NECや富士通
の株価が堅調なのは政策期待というプレミアムも大きいようです。し
かしこの分野は世界の強豪がひしめき合っています。成長期待と競争
激化の綱引きが激しくなりそうです。
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キオクシア上場延期

2020-09-29 06:29:42 | 日記
政策期待で株式市場の明暗が分かれています。もっとも逆風を受けて
いるのは携帯キャリアです。楽天参入による早期の料金値下げ期待が
後退しましたが、菅政権誕生で再び料金値下げ圧力が高まり今回ばか
りは大幅な料金値下げがあるかもしれません。

突然浮上したNTTによるドコモの完全子会社報道も大幅な料金値下げ
に対応するするために経営を効率化するのが目的です。携帯キャリア
各社は非通信分野の拡大を一層はかり通信分野の減収分をカバーする
必要が増してくるでしょう。これまでも各社は非通信分野を育成して
きましたが、スピードアップは待ったなしです。

28日に公募・売り出し価格の決定を控えていたキオクシアの上場が延
期されることになりました。上場延期の理由は米商務省による中国の
ファーウェイに対する半導体輸出規制が15日に発効され同日以降のフ
ァーウェイ向けの売り上げを計上できなくなるというものです。

もっともファーウェイ向け売り上げは数パーセントと言われ売り上げ
計画の大幅な下方修正は考えられません。会社側は8月時点での上場
承認時の想定価格(3960円)でしたが、ファーウェイ問題もあり17日
に新規株式公開に向けた公募・売り出し価格の仮条件を1株2800~3500円
へと当初の計画から1割から3割引き下げました。

おそらく機関投資家への需要申し込み段階で厳しい反応があり売り出
し価格は下限の2800円あるいは下限価格に近いところできまる可能性
が出てきたのではないでしょうか。当初から企業価値は6000億円近く
引き下がることになます。

大株主の米ファンドのペインキャピタルや東芝は上場による売却益が
絵に描いた餅になりかねず、公開延期は仕方ない決断だったでしょう。
証券サイドでも事前の評価は高まらず公募・売り出しに伴う個人投資
家への販売は苦戦が予想されていました。市場でも3000億円程度の資
金が吸収されることがなくなり需給面ではプラスです。

もし大統領選挙でトランプ氏が再選を果たせば米中ハイテク摩擦の緩
和は望み薄です。この10月時点でキオクシアが上場してもIPOが成功と
なるかは難しいところでした。状況によっては現在好調に推移してい
るIPO市場に冷や水を浴びせることになったかもしれません。

そうでなくても投資ファンドの資金回収案件のIPOは雪国まいたけの
公開価格割れやその後も下落が続いているように不人気です。キオク
シアのように9割以上をファンドと東芝が保有していて両社とも近い
将来持ち株をほぼ手放すことが確定している案件では需給面で不安が
付きまといます。

キオクシアも大株主の意向が優先され上場後の資金調達にも支障を及
ぼすこともあるでしょう。フラッシュメモリーのような汎用半導体は
市況による収益のブレも大きく設備投資など迅速な判断が必要です。
巨額な投資を賄うために市場からの調達が株主の意向で制限されては
成長期待も高まりません。もともとキオクシアは難しい案件なのです。
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投資は未来を買うこと

2020-09-27 08:26:13 | 日記
先週の東京市場は米国株の下げにも拘わらず粘り腰を発揮して予想外に
下げない相場でした。週間ベースではおよそ160円安と下げましたが2万
3000円を割り込まず取引を終えました。時価総額の大きな通信や自動車
などはさえない展開でしたが、高値更新銘柄の多くが中小型株であった
ように投資資金が市場にとどまっているようです。

今週は28日の権利付き最終売買を控え配当取りの動きや配当落ち後は指
数に連動する投資資金が配当落ち分を再投資する動きもあり月内は堅調
な展開も予想されます。もっとも配当に絡む動きの賞味期限は短く月変
わりから相場は上下どちらに動くか現時点では予想不可能です。

大統領選挙まで1ヶ月弱に迫り米国市場の不透明感はすぐに払しょくでき
ないかもしれません。トランプ大統領再選もバイデン氏が46代目の大統領
に選出されるにせよ選挙結果がはっきりしないと市場の不透明感は拭えま
せん。もっともこの不透明感も期限付きですから今から大統領選挙後を見
据えた相場を考える頭の体操をしておくべきです。

まずまず底堅い展開だった先週の東京市場でした。営業日は僅か3日でした
が、やはり業績による選別は静かに進んでいるようです。自動車銘柄が不
振なのは円相場の高止まりに加えて世界的な環境規制の高まりからEVへの
加速が進んでいることがあるのかもしれません。状況によっては自動車業
界の勢力地図が塗り替わるかもしれない電動化での優勝劣敗が加速しそう
です。

日産はいち早く量産型EVリーフを世に送り出しテスラが躍進する前までは
世界で最もEVを販売したメーカーでした。環境車開発でHVやFCVでトヨタ
やホンダに後れを取り止む無くEVシフトしたことで一時は世界の先頭ラン
ナーを走っていました。中国や欧州でのEVシフトは日産に追い風になる予
定でした。

しかし日産のEVシフトは中途半端で経営資源をEV開発ではなく新興国での
生産増強に充てました。結果的に過大な生産余剰を抱えることになり新車
開発の遅れもあり今日の経営不振を引き起こしました。グループとしてひた
すら生産台数世界一にこだわったゴーン元会長の経営判断の失敗です。
日本メーカーの中でも市販EVで先頭を走ってきた日産が日本の自動車銘柄
の中でも株価が不振なのは皮肉としか言えません。

また25日の年初来高値を更新したニコン、精密業界全体がオリンパスを除い
て低迷している中でもひときわ不振が際立っているのはデジカメ一本足経営
の躓きでしょうか。かつてはデジカメと二本柱を形成していた精機事業の
半導体露光装置で先端製品開発競争に敗れたことも大きかったようです。
なかなか新規事業も育っていなこともあるようです。

コロナ禍で業界時代が大きく揺れる外食産業でも株価を見る限り回転寿司各
社は勝ち組なのでしょうか。居酒屋が負け組筆頭でファミレスも苦しんでい
ます。そしてコロナ禍以前より不振に陥っていたステーキハウスのペッパー
は生き残り策を講じてきました。しかし先週株価は連日年初来安値を更新し
たように業績好転は難しいのでしょうか。

紳士服大手の青山商事もかつては業界首位で高収益企業でした。その青山商
事も年初来安値を更新しました。以前から進んでいたスーツ離れにコロナ禍
で在宅勤務が広がったことで一層需要低迷に拍車がかかるということでしょ
うか。株価は2015年の高値から十分の一にまで下げました。やはり投資は
株価の安い場面を買うのではなく将来性のある銘柄を買うべきだということ
も重要だと示すケースです。

次回の更新は29日を予定しています。

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マザーズ新高値

2020-09-25 06:11:25 | 日記
NYダウは8月までの回復局面から9月は一転調整色を強めています。
週明け21日は509ドル安、22日は140ドル高と反発しましたが23日は
525ドル安、24日は52ドル高と小幅に反発しました。ナスダック市場
も小幅反発しました。

ナスダック市場は8月急騰したアマゾンやアップル、テスラなど割高
感から調整局面は続きそうです。米国株はNYダウナスダックとも日
々の変動幅が大きくなっています。11月の大統領選挙を控え10月も
調整が続くのかどうか現状では見通せません。

一方東京市場は6月以降膠着状態が続いたこともあったからなのでし
ょうか。このところの米国株大幅安にも拘わらず下値は限定的です。
もっとも当面は上値も重い状況が続きそうです。指数は小動きですが
小型株中心に年初来高値銘柄がかなり出ています。

小型株の多いマザーズ市場は23日2年半ぶりの新高値を付けました。
内需企業が多くしかもクラウド関連やEコマースなどコロナ禍でDX
が一段と注目される中で成長期待が高まっているようです。菅政権
のデジタル庁創設で官公庁のデジタル化が加速するという期待もあ
るようです。

一部市場でもNECや富士通の大手の株価も回復しています。モノタ
ロウ今週10年来高値を更新しました。エムスリーも調整から脱して
高値をうかがう動きをみせています。いずれもDX関連です。過去
2営業日年初来高値銘柄が100を超えているように物色意欲は旺盛の
ようです。

一方携帯事業を手掛けているドコモなど携帯各社の株価は下値模索を
続けています。一方NTTグループでもシステム大手のNTTデータが急
騰するなど菅政権の政策による選別も進んでいます。選ぶ銘柄によっ
て明暗が大きく分かれています。銘柄選びが大事なのは言うまでもあ
りません。

マザーズ市場で時価総額が大きい電子商取引のプラットホームを手掛
けるBASEやメルカリの割高感は否定できません。今はマザーズ市場
に勢いがあります。しかしナスダック市場が8月の急騰から9月には一転
急落するということが示すようにいつ大幅な調整局面はあっても不思
議ではありません。急騰と調整入りは背中合わせです。


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名門企業の落とし穴

2020-09-24 06:33:04 | 日記
4連休明けの東京市場は反落しましたが、下げ幅は13円程度でした。
午前中には200円近くまで下げ幅を広げる展開でした。10月末まで
には2万2000円を割れるという予想もありますが、株価の先行きは
市場に聞けということなら当面は下落したとしても日本株の下げは
小さいのかもしれません。23日の米国株の大幅下落しました。今日
も東京市場の下値抵抗力が試されます。

23日の物色の流れは景気敏感株売りのハイテク銘柄買いと先週末の
流れに変化はなかったようです。欧州で再び拡大するなど新型コロ
ナウイルスの脅威は続いています。半年以内にワクチンが開発され
たとしても数年はもう元の状態に戻ることはいよいよ難しい覚悟し
なければなりません。

今年のキーワードになりそうなDX(デジタルトランスフォーメー
ション)が社会の姿を変える可能性は益々高くなってきたようです。
新型コロナのような感染症が世界的な脅威になりました。人類を脅
かす脅威は地球温暖化と同じくらい大きな宿題になっています。
「デジタルによる変革」でITの進化にともなって新たなサービスや
ビジネスモデルを展開することでコストを削減し、働き方改革や社
会そのものの変革する流れはもう止められないかもしれません。

バリュー株の見直しの動きが本格化するという見方は一部の市場関
係者の間では語られています。しかし時代を先どる株式市場では景
気敏感株も多いバリュー株の本格的な復権の動きが出ていません。
これまでの景気回復局面での流れと今回は違うかもしれません。歴
史は繰り返すこともあるが、全く違う姿に生まれ変わることもある
のかもしれません。

23日の東京市場では通信機銘柄のNECや富士通が値上がりする一方
精密のニコンやキャノンが下げました。ニコンは10年来安値を更新
しました。キャノンも安値更新まであと5円というところまで売り込
まれました。

DXで追い風が吹くNECや富士通に対してデジカメが主力事業のニコ
ンやキャノンは既に数年前からスマホに需要を奪われデジカメ市場が
ピーク時の1割程度まで縮小するという構造変化が起きていました。
DXの流れはデジカメだけでなく複写機にも大きな構造変化を起こし
ています。

富士フィルムのように複写機事業をある程度カバーできるようなバイ
オ事業が育ちつつある企業はそれなりに株価も堅調です。しかしキャ
ノンだけでなくリコーやコニカミノルタは複写機事業不振をカバーで
きるだけの新規事業が育っていません。

主力事業が不振に陥ったら会社も衰退の道をまっしぐらというのが最
も問題です。おそらく経営者が過去の成功体験を捨て業績好調時でも
危機感を持ち常に新規事業を育てていたかどうかが分水嶺だったよう
です。新規事業も一朝一夕には育ちません。常に変わることを躊躇せ
ず経営者がどれだけ真剣に将来を考えていたかどうかが鍵だったよう
です。

米国コダックのように名門企業でも主力事業に過大な期待を持ち新し
い事業を育成しなかった企業は時代の変化とともに衰退してきました。
投資の世界では会社の変化に気づかず高値覚えから値ぼれ買いで失敗
するケースも少なくありません。投資する場合株価が下げたから買う
のではなく将来性があるから買うのだという基本を忘れてはいけません。
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