kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

日立グループ再編第2幕

2016-03-31 08:11:38 | 日記
日立子会社の日立物流と佐川急便を翼下に持つSGホールディングスは
30日正式に資本・業務提携を発表しました。内容は既に経済紙が伝えた
ように日立グループが保有する日立物流株29%をSG側に売却する一方
日立物流が佐川郵便株の2割を引き受けて3年以内に日立物流と佐川急
便の経営統合を目指すというものです。日立物流は日立の連結子会社か
ら外れ持分適用会社となります。

日立は今年2月に東原敏昭社長が4月1日付でCEOに就任すると発表しま
した。東原体制の目玉は顧客に合わせて既存の事業を12のビジネスユニ
ットに再編するとです。具体的な内容は電力・エネルギー分野で「原子力、電
力、エネルギーソリューション」産業・水分野で「産業・流通、水」アーバン分野
で「ビルシステム、鉄道、アーバンソリューション、ディフェンシブ」金融・公共
ヘルスケア分野で「金融・公共・ヘルスケア」と定めビッグデータやAIを駆使し
顧客対応型のビジネス体制に改めるというものです。

日立の強みは本体や上場子会社を通じて幅広い事業を抱えていることで安
定した収益をあげられることです。しかし強みは弱点と背中合わせでもあり
ます。幅広事業を抱えていますが、売上高でトップ3にランクされている事業
はありません。ライバルである米国のGEや独シーメンスが航空機エンジンや
医療機器、鉄道分野でトップ事業を抱えています。日本を代表する重電大手
でありながら海外投資家の評価が低いのは選択と集中が不十分で業績を牽
引する主力事業が見当たらないからとの見方もあります。

日立は数年前にIT事業を展開している上場有力子会社を本体に取り込みま
した。しかし日立本体と相乗効果の薄い企業や効果を十分発揮できていない
上場子会社はまだ多くそれが市場評価が低い状態で放置されている原因で
す。投資家やアナリストからはHDDドライブ事業の売却や上場IT子会社を
本体に取り込むなど選択と集中が進んだ数年前と違って業績回復で最近は
改革が停滞気味だという指摘もあったようです。それが顕著に表れたのは
PBR1倍割れ(30日時点で0.86倍)という株価でした。

解散価値である1倍割れというのは市況産業ならともかくITを駆使するビジネ
スモデルを標榜する企業としては市場から経営陣に不信任を突き付けられた
にも等しいことです。この危機感が再び日立の背中を押し選択と集中を加速
させるのでしょうか。日立が標榜するITを駆使した社会イノベーションとは直
接関係の薄い上場子会社はまだあります。他社との統合や売却などを通じて
本体を相乗効果の薄い事業を切り離すなど再び「選択と集中」が今年進むの
か日立物流の案件が単発なら劇的な再評価は期待できません。しかし選択と
集中の初めの第一歩なら期待が出来そうです。日立にとって正念場の1年に
なるかもしれません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

予想の難しさ

2016-03-30 08:32:32 | 日記
原油、金、為替、株式。世界の経済や政治情勢と密接に繋がっているこれ
らの値動きを正確に予想するのは至難の業です。例えば金価格はリーマン
ショックで株式や債券が大きく売り込まれたこともあり無国籍通貨である金
の人気は安全資産として俄かに高まり息の永い上昇がスタートしました。そ
の上昇ピッチに拍車をかけたのは米国が未曽有の金融緩和に踏み切った
ことでした。

利息の付かない金は金融緩和による金利低下で魅力が増しました。また中
国や伝統的に金を選好するインドからの現物需要も相場上昇を支えました。
世界の機関投資家も債券や株式一辺倒の運用から金などのオルタネート投
資に力を入れ始めました。金に対する投資家の裾野の広がりが金人気を高
めることになりました。

2011年には一段の上昇が鮮明になり短期間で1700ドル、1800ドルを次々に
大台を超えた時には2000ドル突破は間違いなしという強気ムードが市場を支
配しました。しかし「好事魔多し」とは古くからの諺ですがそんなに良いことは
続かないものです。2011年に高値を付けた金価格はしばらく高値圏で持ち合
ってから2013年には大幅な下げをみせました。数年続いた金ブームの終焉で
した。

原油相場もリーマンショック後30ドル台まで下落しましたが中国の4兆元の景気
対策やアジア新興国の経済成長もあり原油需要は緩やかに増加するとの見方
から息を吹き返し上昇トレンドに乗り2013年から2014年にかけて100ドル以上で
推移していました。その時点でもう一度大きな下げがありまさかリーマンショック
後の安値を更新するほどの下落局面が来ると誰が予想したでしょうか。

ギリシャ危機をきっかけにした欧州危機はユーロ安ドル高を加速させました。
欧州経済はデフレ懸念が深刻になりECBはドラギ総裁体制になり金融緩和
を一段と推し進めました。ドラギマジックの炸裂によりユーロ安が進み1年前の
今頃は1ユーロが1ドルになるというパリティという言葉が多く記事に乗りました。
その後もECBは追加緩和の手を休めることはしませんでしたが一段とユーロ
安・ドル高が進むことはありませんでした。

日経平均も昨年の6月に2万円台に乗せた時には年内2万2000円とか3000円と
いう高値が平然と語られました。その時点で10か月後に1万7000円前後で低迷
している姿を想像したでしょうか。いくつかの例を挙げるまでもなく相場の予想
というものは本当に難しいと言えます。金相場のその後の動きをみる限り大き
な相場を出した後、戻りそうで戻れない相場が続くと傾向があります。日経平
均も同じ動きになるとは限りませんが大相場の反動の期間はある程度続くと
考えるべきなのかもしれません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米国から届くのは吉報かそれとも…

2016-03-29 07:59:09 | 日記
円安の支援も材料となり配当だけでなく優待券狙いでの買いで薄商いながら
堅調にスタートした今週の東京市場は今日権利配当落ちを迎えます。今日の
見どころは配当落ち分(130円)を即日埋め切れるのかどうかです。週末に重
要な経済発表を控えているとはいえ29日の売買代金は1兆9000億円弱と配
当・権利取りで盛り上がったと言えるレベルではありませんでした。

今週末1日には為替相場への影響もある注目の米雇用統計やISM製造業景
況感指数発表も予定されています。現在のところ4月利上げは市場では予想
されていませんがFRB要人の利上げに積極的な発言から6月利上げへの地
ならしという見方もあります。FRBとしては昨年12月に最初の利上げを行い2回
目が先延ばしになればなるほど市場筋から追加利上げに踏み切れないのでは
ないかという合意が独り歩きすることは避けたい筈です。しかし各種経済指標
は堅調なものもある一方冴えないものもあり米国経済が本当に連続利上げに
耐えられるのか判断が付きません。

2回目の利上げが6月にあれば円安への一定の支援材料となり日本株にも追
い風となるかもしれません。一方このところ堅調に推移している米国市場は早
期利上げを織り込んでいません。利上げ観測の高まりで円安に振れたとして
も米国市場が大きく下落するケースでは円安の追い風が相殺されることも考
えられます。早期利上げがトータルで日本株に好材料なのか悪材料なのか果
たしてどう判断したらよいか迷うところです。

これまでも市場が大きく動く時には大多数の予想が外れた時です。早期利上
げ懸念は2月中旬以降世界的なリスクオンで原油などの商品市場や株式市
場に吹いた風向きを変える可能性もあります。緩やかな利上げペースでが好
感されて上昇に転じた米国市場が再び波乱に巻き込まれれば利上げでの円
安よりもリスク回避の円買いによる円高が勝るかもしれません。さて東京市場
に届くのか米国からの吉報かそれとも訃報かどっちなのでしょうか。

3月中旬以降の東京市場は売り込まれる場面もありませんが、明らかに1万
7000円前後で上にも下にもいけない膠着状態です。この状態を次の上昇局面
に備えてのエネルギーの蓄積と取るのかそれとも上値抵抗が強く戻り相場の
限界を表しているのか新年度相場も息の抜けない状況が続きそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

円高、円安どっち

2016-03-28 08:07:26 | 日記
今日は3月決算企業の権利・配当付の最終日です。マイナス金利が長期化しそ
うなだけに投資家の利回りに対する関心は例年以上だだという見方もあり継続
的に配当を増やしている企業や減配懸念が乏しい企業を中心に今日も物色人
気が続きそうです。しかし短期的には配当取りで買われた銘柄は配当落ち日に
はそれまでの上昇の反動から利益確定売りで配当金以上に下げることもこれま
でありましたから注意は必要です。

日本企業の損益分岐点は低下しています。多少売り上げが減少しても大幅に利
益が少なくなるという不安は少なくなっています。ここ数年続いた円安もあり企業
の内部留保も厚くなっています。勿論大手の中でもシャープや東芝のように経営
の失敗で苦境に陥る企業もありますが全体としては日本企業の稼ぐ力は増して
います。株主還元の強化という流れもあり配当金は今後も高水準が期待されます。

現状では中国経済などが余程大幅に落ち込まなければ2月安値の1万5000円近
辺が下値目途との見方が多いようです。一方円高の定着懸念や海外景気不安
から上値も重いというのが現在市場のコンセサスです。期待は10年国債利回り
がマイナスに転じ運用難から国内機関投資家が外債投資を積み増し円安の支
援材料になり円安=株高が復活するかです。

今週の金曜日から新年度入りします。機関投資家の新しい運用計画で外債投
資が活発になるかどうかが注目されます。もっとも為替市場は様々な要因で決
まります。EU離脱を問う英国の国民投票の結果や米国の秋の大統領選挙でト
ランプ候補が有力になれば円高圧力が起こりそうです。正直ここ数年続いた鉄
板の円安主流が大きく揺らぎ今年ほど予想が難しい年はありません。この傾向
が少なくとも今年1年通じて続くのであれば株式市場もいつまた梯子を外される
か分かりません。

多くの投資家が5年10年の中長期投資で動いている訳ではありません。目先の
収益を求めて動く投資家が多ければ多いほど相場波乱の芽も増えます。リスク
過敏症の相場では景気敏感株が割安でも見送られディフェンシブ銘柄が割高で
も選好される傾向が続くのかもしれません。トヨタのPERが10倍を切るほど低水
準のまま永く低迷したことが今まであったでしょうか。やはり現在の日本株はど
こか歪な姿です。しかしそれも海外投資家の評価ですからそれはそれとして受
け止めるしかありません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3ヶ月過ぎましたが

2016-03-26 09:15:04 | 日記
2016年相場も既に四分の一が終わろうとしています。この3ヶ月で明らかに
なったことは既に中央銀行頼みの相場は終焉を迎えてしまったということで
す。金融緩和による円安頼みの業績がまかり角を迎え株高の推進力が少
なくとも今年は期待しにくくなったことです。

東京市場は昨年6月24日の2万868円が一番天井そして12月1日の2万円
12円が2番天井で2月12日の1万4952円で当面の底値を付け現状は戻り
相場の途上です。そしてこの戻り相場の天井がいつでどのくらいまで戻せ
るのかは米国の利上げ時期やテロに揺れる欧州情勢(英国のUE離脱の
是非を問う国民投票の行方)などの要因で為替相場の変動など複雑に絡
んできますから現時点では全く予想が付きません。

相場には机上の計算だけでは説明できない目に見えない流れがあります。
現状で日米の株価をPERで見てみると日本15倍、米国19倍と圧倒的に日本
株の割安、出遅れが明らかです。それでも海外投資家の売りが止まらない
のは数字だけでは比べられない何かがあるからです。海外筋は3月第3週も
4579億円売り越しました。これで11週連続の売り越しで日経平均が高値を付
けた昨年6月以降の売り越し額合計は8兆円を超えました。アベノミクス起点
の12年11月から昨年の5月までの買い越し額21兆円の4割を売った計算にな
ります。

売り越しに転じた大きな要因はドル高の修正とその反対の現象である円安の
終焉です。昨年の日米の株価を見るまでもなく為替市場が株価に与える影響
は決して小さくはありません。円安による企業業績改善期待が大きく低下し日
本経済の先行きに悲観的な見方が増えたことです。株主重視の経営への転
換で自社株買いや増配企業が増えたりプラス面もありましたが海外投資家の
大幅な売り越しは既にある程度の好材料は織り込み済みということなのでしょ
うか。

現状の日本株は円安の追い風が止まった時の真水の収益力の見極めと米国
企業に比べてはるかに影響の大きな中国経済の低迷に対する影響度の見極
めを市場がしているところです。時間の経過とともにそれは次第に数字として
表れてくるでしょう。その内容次第では海外投資家の売りが止まったりあるい
は買い越しに転じる可能性はあるでしょう。売買代金の7割を占める海外投資
家の売り越し基調が続いている間は上値余地は限られます。3年弱続いた強
気相場の後で日本市場が迎える第一の関門が今年1年の宿題です。

明日の更新はお休みします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする