kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

目利きの力が重要

2018-08-31 05:11:06 | 日記
日経平均は順調に上昇しているのに投資家の間ではそれ程先高期待は
高まっていないようです。今回も2万3000円が壁になり下落するので
はないかという不安が消えないようです。そんな不安は売買代金に表
れています。28日に8営業日ぶりに2兆円を越えた売買代金は29日に
再び2兆円を割り込みました。

30日には2兆6000億円まで売買代金が膨らみましたが、日経平均はザ
ラ場につけた2万3000円を維持できず大きく失速してしまいました。
2万3000円乗せから一段と上昇するには材料不足のようです。

信用残高の推移をみても24日現在で信用売りは687億円増加一方買い
残高は289億円減少して3兆円の大台を1か月ぶりに割り込みました。
少なくとも個人投資家の多くは戻り局面で信用買いの手じまいをし
高値警戒感から売りを増やしている姿が浮かびます。

勿論売り残の増加は将来の買戻しに繋がり買い残高の減少は売り圧
力の低下を意味しどちらも需給面では悪いことではありません。し
かし売買代金が膨らまなければいずれ上値での売り圧力を消化する
ことは出来ません。あくまで現在の日本株高は米国株高に引っ張ら
れた結果でありヘッジファンドのような短期筋主導の動きです。人
気銘柄も広がりがありません。一握りの銘柄だけでは3000円の節目
を超えるのは至難の業です。

全面的な株高には懐疑的でも同じ業種の中でも選別が進んでいます。
30日の市場では薬品銘柄でも塩野義や中外製薬が年初来高値を更新
した一方武田や田辺三菱製薬は今年の高値から大きく下落したまま
戻りの鈍い状態が続いています。

電機銘柄でもソニーやTDKは高値を更新した一方パナソニックや日
立は未だに下値模索の状態です。またトランプ大統領に狙い打ちさ
れている自動車各社の株価は主力のインド市場が好調なスズキを除
いて投資家からの警戒心が強いようで戻り切れない状況です。

今の東京市場はテーマ買いの相場の流れではなくあくまでも個別企
業の収益見通しなどが重要視されているようです。ですから同業の
中でも高値から大きく下落しPERなどの面で割安感のある銘柄は案
外相場の圏外で動きが鈍くなっています。市場平均から見たら割高
な水準でも人気銘柄には一段と買いが集まる。そんな状況です。目
利き力が試される相場でしょう。

1日、2日の更新はお休みします。
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トランプ流への対応

2018-08-30 05:53:32 | 日記
FRBが利上げを急がないという安心感とメキシコとFAF再交渉が27日
合意したことで米国株は一段高となりました。ハイテク企業の多い
ナスダック市場は連日の上昇で初の8000ポイントに乗せています。
S&P500種株価指数も過去最高値を更新、NYダウも2万6000ドル台を
回復し次は1月高値2万6616ドル更新も夢ではなくなりました。日欧
市場も米国株高のおかげで上昇していますが、米国独り勝ちが鮮明
です。

トランプ大統領が相手国からの譲歩を引き出すための高関税適用は
WTO違反だと世界中の国から批判されていますが、現状では大統領
が好む2国間協議で成果を出しています。韓国次に欧州と相手国か
ら有利が条件を引き出しましたが、懸案の一つであった北米FTAで
メキシコと合意しました。もう一方の当事国であるカナダの外堀を
埋めることに成功しました。

トランプ流の強引なやり方が一定の成果を上げたことで益々米国は
2国間での通商問題を話し合うことを今後も主軸にするでしょう。
メキシコに米国向けの輸出基地がある日本の自動車メーカーにとっ
ては今回の合意はサプライチェーンの変更などもありコストアップ
は避けられないでしょうが高関税適用といった最悪の事態は回避で
きました。

もっとも日本としては複雑な心境です。2国間協議で相手国から譲歩
を引き出すことに成功したトランプ大統領は9月に2回目が予定され
ている閣僚級の貿易協議(FFR)ではおそらく日本の最大の泣き所で
ある自動車分野での高関税を持ち出し譲歩を迫ってくるでしょう。

米国株の上昇に日本株が追随しきれていないのは指数への影響が大
きな自動車などの輸出関連株が低迷から抜け出せないからです。貿
易問題を巡っては対米黒字が3番目に多い日本だけは例外扱いという
幸運はまず訪れないでしょう。日本には対米黒字削減策でこれとい
った手札を持ち合わせていません。安倍政権がどんな対応するのか
一段と注目が集まるでしょう。

それにしても米国株の勢いは予想以上です。米中貿易戦争でダッメ
ージが大きいのは対米輸出額が輸入額の4倍近い中国だと言われて
います。しかし巡り巡って米国経済の足を引っ張るとも言われてい
ます。また現在絶好調の米国経済も大幅減税効果が影響が大きく来
年以降次第に減税効果は薄れていくという見方もあります。しかし
現状では米国への資金回帰の方が勝っているということなのでしょう。
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トヨタの危機感

2018-08-29 05:58:46 | 日記
トヨタが自動運転や電動化で矢継ぎ早の対策を打ち出しています。
これまでトヨタの社風と言えば自社開発志向が強く同業や異業種と
の協業には消極でした。石橋をたたいて渡るような慎重な経営が社
風でした。しかし近年自動運転やEV開発で従来のライバルだけでな
く世界の大手IT企業やベンチャー企業も台頭してきたことでこれ
までの方針を転換しているようです。

28日には米ライドシェア大手ウーバーテクノロジーズと自動運転分
野に提携範囲を広げると発表しました。また同時に5億ドル(550
億円)の追加出資に合意しました。ウーバーには今年1月ソフトバ
ンクBが77億ドルを投じて15%の筆頭株主になっています。

トヨタは18年6月には東南アジアのライドシェア最大手グラブにも
10億ドルを出資すると発表しています。グラブにはソフトバンクB
が2014年に邦貨換算で280億円出資していますが、中国のモバイル
配車サービス滴滴出行と共同で最大20億米ドル(約2,200億円)を
新たに出資すると7月に発表されました。

自動車業界を取り巻く環境は大きく変動しています。努力源が長く
続いた内燃機関から電動化には地球温暖化防止の視点から考えれば
避けられない動きです。中国はガソリンエンジンに代表される内燃
機関での競争では自国メーカーはもはや海外メーカーとの差を縮め
ることは難しいという現実もあり国を挙げてEV化に本腰を入れてき
ました。

海外メーカーも今や世界最大の自動車市場となった中国でのビジネ
スを継続するためには中国政府の方針に従い電動車シフトを加速し
ています。イノベーションや中国市場の動き次第では従来の予想よ
りも早く車の電動化は進むかもしれません。電動化競争は今後覇権
を目指す世界大手と中国メーカーとの激しくなりそうです。電動化
競争の覇者が将来の中国市場のリーダーになるでしょう。

車の電動化の競争が自動車業界に止まるのに対して自動運転はライ
ドシュアの急速な普及とともに世界の大手IT企業などもライバルに
浮上してきました。従来のように陸の移動手段である自動車で既存
のメーカーが生き残れるのかあるいは主役がIT大手に取って代わら
れるのか戦国時代到来です。

自動車業界の中では生産台数と利益水準を兼ね備えたトヨタといえ
ども危機感は強いようです。日本メーカーではこのところのトヨタ
の動きの早さはそれだけトヨタの危機感が強い証拠です。28日には
トヨタ系部品4社による自動運転の新会社設立が経済紙に載りました。
グループを巻き込んだ動きが慌ただしくなりそうです。
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明暗を分けたもの

2018-08-28 05:21:50 | 日記
日本の電機業界を代表するソニーと日立ですが、現状株価ははっきり
明暗が分かれています。この違いはどこにあるのでしょうか。ソニー
の事業分野は大黒柱のゲームや半導体映画や音楽のエンターテイメン
ト事業、生、損保やネット銀行の金融事業

一方日立は本体で展開する情報通信事業や自動車部品などを手掛ける
事業と鉄道車両事業、上場子会社で手掛ける建機事業や高機能素材や
半導体製造装置などを抱えています。

両社とも複数の事業を展開していることから市場からは割安に放置さ
れる傾向が強いようですが、株価からはソニー株はディスカウントさ
れず、日立は大きくディスカウントされているようです。

ソニーのPERは上方修正された今期業績見通しを基に計算すると15倍
半ばです。市場平均を少し上回る水準です。今年の高値は上方修正の
発表を好感した8月2日の6239円です。27日の終値は6170円ですから
高値圏でその後も推移していることになります。

一方日立は今期過去最高の利益を更新する予想ですが、27日の株価は
728円です。先週には年初来安値を付けたばかりです。年初来高値を
付けた1月(944円)からは23%下落しています。PERは市場平均を大
きく下回る8.7倍と寂しい結果です。

日立株が今月下げ続けているのは英国での原子力発電事業の先行き懸
念です。福島原発事故以来原発の事業費は安全対策の強化で膨れ上が
っています。もし英国での原発事業が頓挫すれば2700億円まで損失が
広がる懸念があるという報道で下値模索が強まりました。また三菱重
工との火力発電合弁会社の損失問題で巨額な賠償請求の係争も抱えて
います。

ソニーの海外投資家持ち株比率は3月末で57%、一方日立は45%です
から外国人の投資判断が株価を左右しているようです。現状ゲームや
半導体で大きく稼いでいるソニーへの評価が高く主力事業で世界のト
ップ3に入るような事業がなく利益率がソニーに比べて低い日立は魅
力を欠いているという見方なのでしょうか。

もし英国での原発事業で大きな損失が出たとしても現在の日立の利益
水準なら短期で吸収可能です。問題は利益率の高い事業が少ないこと
です。また日立の事業構成は景気に左右されやすくソニーの事業構成
は景気に比較的左右されにくいということも影響しているのかもしれ
ません。

割安感の強い日立株をどうしても投資対象と考えてしまいがちですが
過去の同社の株価推移をみる限りここまで下落してしまっては短期的
には自律反発はあっても本格的な反騰局面はしばらく時間がかかりそ
うです。現在の東京市場の特徴は割安に買いなしです。
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未来は過去の延長ではない

2018-08-27 04:16:25 | 日記
再び2万2000円割れを心配された東京市場でしたが、米国株の上昇に
助けられ、週末には当面の上値の節とみられていた2万2500円を越え
て先週の取引を終えました。しかし中身は21日からの4連騰にも拘わ
らず売買代金は6営業日連続で2兆円の大台を割り込み夏枯れ相場か
らの復活はまだまだ先になるのでしょうか。

それとも後から振り返ると売買代金の低迷が次の上昇相場の起点に
なった過去のケースと同じコースを辿るのでしょうか。やはりカギ
は米国株次第ということのようです。8月相場の残すところ5営業日
ですが過去の9月の成績は年間でも芳しくありません。今年も8月は
つかの間の上昇で終わってしまうのでしょうか。

日経平均採用銘柄のPERはアベノミクス相場スタート以来凡そ13倍
から16倍で推移してきました。2万2000円に接近する場面では先週
12倍台まで低下しましたから割安感での反発だったかもしれません。

しかし相場が落ち着いても過去の上限である16倍はおろか15倍程度
までの上昇を期待するのは難しいでしょう。バリュー株と言われて
いる自動車や商社、化学や鉄鋼、非鉄銘柄の多くは低PBR、低PERの
代表です。またバリュー株イコール景気敏感株と重なります。

現在の景気は米国絶好調、中国減速懸念です。各国での濃淡はあっ
ても世界的にはまずまずの内容です。しかし米中貿易戦争に加え大
幅減税の効果が次第に薄れる米国も今後減速が予想されます。来年
以降の景気後退の不安は消し去れません。世界の景気敏感株と言わ
れている日本株ですから割安と言われている水準でもなかなか積極
的な買いは期待しづらい状況です。

米国株が景気動向にされにくいIT銘柄の割合が四分の一を占めるの
に対して日本株はその半分です。それに加え今期業績は米国株が25
%ほどの増益に対して日本株は会社側の予想だと2%程度の減益予
想です。日本企業の業績は今後上昇修正されるとしても一桁台です。
大幅減税を背景に好調が続く米国株に大きく見劣りします。

アベノミクス相場初期の頃には世界的な景気拡大と円安効果もあり
日本企業の業績は二桁増益を達成しました。高い増益率からPER16
倍まで上昇する場面もありました。しかし景気拡大も終盤になり
いつ後退局面に突入するか分かりません。日本株のPERが今後大き
く切り上がるほどの上昇はかなりハードルが高いという判断になり
ます。決して未来は過去の延長で繰り返すものではありません。

売られ過ぎの反動で上昇する場面があってもバリュー株の上値は大
きくないのではないでしょうか。米国株と比べてバリュー株の比率
が高い日本株の指数の上昇もまた現状では余り大きく期待できない
という答えになります。このような予想を覆して劇的な上昇場面が
訪れるのか。それにはおそらくかなりポジティブなサプライズが必
要です。
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