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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

小松謙 『「四大奇書」の研究』

2017年02月24日 | 東洋史
 明代は士大夫の教養水準が下がり(具体的には科挙の出題元となる経典の注釈が「永楽の四大全」に限定された)、同時に同じコインの裏側として、読書人層の厚みと幅が増した。階層的にはそれまでより下へと広がり、庶民あるいは庶民に近い社会の心性が、彼ら(女性を含む)の参入により隆盛を見ることとなった出版文化および演劇文化に反映した結果、彼らが共感し感情移入できる出身と性格をもつ劉備・関羽・張飛といった登場人物を抱える三国時代が、題材として脚光を浴びてもてはやされることになる。『水滸伝』しかり、『西遊記』しかり、『金瓶梅』しかり、という見取り図か。

(汲古書院 2010年11月)

胡応麟 『四部正訛』 下

2017年02月13日 | 東洋史
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 凡核偽書之道核之七略以觀其源核之群志以觀其緒核之並世之言以觀其稱核之異世之言以觀其述核之文以觀其體核之事以觀其時核之撰者以觀其托核之傳者以觀其人核茲八者而古今贗籍亡隱情矣。

 『七略』が間違っていたらどうするのか。

増井経夫 『大清帝国』

2017年02月13日 | 東洋史
 面白い。元代の文化を荒廃と捉え、清代のそれを興隆と見る。明代のそれは、高等・高踏なものをわかったような気がするで止めておかず、わからないものは自分にわかるようにしようとしたと、元はおろか宋のそれと比べても肯定的に捉えられている。
 初刊は1974年(出版社は同じ)とて、出版時の専門家による評価を知れたらと思い、『日本歴史学界の回顧と展望』1974年度の「明・清」の項(西村元照氏執筆)を見てみた。残念なことに取り上げられてはいなかった。念のため翌75年度(谷口規矩雄氏執筆)も確かめたが、同様。

(講談社学術文庫版 2002年1月)

中島楽章 『徽州商人と明清中国』

2017年02月12日 | 東洋史
 私は彼らについては彼らが残した古建築と出身地の村落プランやその在る地理的人文的環境、人々のそこでの生活といった、個別具体的な方面(世界歴史遺産関連の翻訳の仕事で)から接点を持ったので、与件の抽象的な理論の枠組から彼らの存在をさらに記号化機能化して捉える(私には思えた)研究方法になじめなかったのだが、この本は具体的な事象から抽象化するという、私の学問のやりかたと同じ行き方をとっているので、非常にわかりやすい。

(山川出版社 2009年11月)

山本進 『明清時代の商人と国家』

2017年02月12日 | 東洋史
 西嶋定生・藤井宏・寺田隆信・重田徳諸氏らによる「商品生産の早熟的展開と本源的蓄積の遅れを整合的に説明する」ことを目的とする「(大塚理論を下敷きにした)前期的商人」、「国家への寄生」的存在、「小生産者に対する収奪者」といった認識・描写から、それと密接に関連していた「地主制論」の「後退」にともない、「被収奪者としての役割が強調されるようにな」ったのが、この分野の研究史の概観である由。(「序論」)
 ひとつ思うが、その「地主制論」が1949年の西嶋論文のあとなぜ1970年代に至るまで「擡頭」し、1980年代に入って「後退」したのか、またその議論が史実史料に徴して、そして学問的・科学的に見て、真偽いずれであったのかという問題にも、考究の価値はあるのではないか。

(研文出版 2002年11月)

増井経夫 『智囊 中国人の知恵』

2017年02月11日 | 東洋史
 馮夢龍が「上智・明智・察智・胆智・術智・捷智・語智・兵智・閨智・雑智」と分類してここに集めるのは世間智、機智、頓智、狡智、詭弁、虚喝の類である。集めた本人も必ずしも誉めてはいなかっただろうとは、増井氏の解説から推すこと。

(朝日新聞社 1978年3月)

「受禅表」 碑

2017年02月10日 | 東洋史
 https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=4&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjshpXEqILSAhUEfbwKHb_UDXkQFgg2MAM&url=http%3A%2F%2F3guozhi.web.fc2.com%2Fk%2Fjzh.pdf&usg=AFQjCNGmg6RnyorSK_CEd_o_J8iqllWljQ&sig2=KKtaZkkkWRTutKgLfjYM3A

 面白いな。四夷(周囲の異民族)に言及する箇所で、「匈奴南単宇」だけ、そこから別扱いにして個別名をあげてある。「匈奴南単于・東夷・南蛮・西戎・北狄」(19)。もっとも碑文はその前の部分が少し欠けているので、もしかしたらほかにも挙がっていたかもしれない。ますます興味をそそられる。

上尊号碑_百度百科

2017年02月10日 | 東洋史
 http://baike.baidu.com/view/553802.htm#reference-[2]-553802-wrap

 魏の群臣が曹丕に帝位に就くよう要請(勧進)する上奏(表)を刻んだ碑。同碑文の冒頭、この表をたてまつるメンバーの名のなかに、時代情況的に当たり前のことだが、「匈奴南单于臣泉」と、匈奴が入っている。ちなみに上奏者名はみな「官職(位)+臣+諱」の表記で氏姓は書いていない。これも臣下の上奏文であるから当然の表記法であるけれど。

宮田一郎編  『「海上花列伝」語彙例釈』 

2017年02月10日 | 東洋史
 出版社による紹介

 府立図書館に入っていて、しかも借りることができた(館内閲覧のみに非ずの意)。いい辞書を読むのは楽しい。読んで楽しい辞書を借りられると嬉しい。

 語意および語の用法についての説明は、理解の糸口を与える程度のもので、他の文学作品における用例を多く挙げて、そこから理解を深め、広げてゆくのに資するようにした。『蘇白』における用例をなるべく多くし、『官話』における用例も、同時代のもののほか、さかのぼって、明清文学作品全体に及ぶようにつとめた。一部に民初にわたるものもある。 (「凡例」)

(汲古書院 2016年5月)