明代は士大夫の教養水準が下がり(具体的には科挙の出題元となる経典の注釈が「永楽の四大全」に限定された)、同時に同じコインの裏側として、読書人層の厚みと幅が増した。階層的にはそれまでより下へと広がり、庶民あるいは庶民に近い社会の心性が、彼ら(女性を含む)の参入により隆盛を見ることとなった出版文化および演劇文化に反映した結果、彼らが共感し感情移入できる出身と性格をもつ劉備・関羽・張飛といった登場人物を抱える三国時代が、題材として脚光を浴びてもてはやされることになる。『水滸伝』しかり、『西遊記』しかり、『金瓶梅』しかり、という見取り図か。
(汲古書院 2010年11月)
(汲古書院 2010年11月)