朝ドラ『カーネーション』のカットを数えた

2011-11-01 18:54:18 | 見る
快調ですね。
店長をつかまえ、声をひっくり返しながらの
「お、おはら、でございますう」には笑った。

毎日、もったいないくらいのゴチソウドラマです。
これだけでNHKに金取られるの許しちゃう。

脚本家から、俳優、スタッフ、すべて良し。

「ああそこねえ、ちょっと」というところが
殆ど見当たりません。

(ロケが少し弱いかな。綺麗ですが)

ネットをパラパラ見ると岸和田弁も違和感がないそうです。
『てっぱん』は尾道弁がすこし弱かった。

数回前だったか糸子さんの
「よおーし、みちょれ~」

これ聞くだけで人生、明るくなりますね。
(みとれ、よりも、みちょれがGU)


田辺聖子さんを描いた『芋たこなんきん』もとても
良い出来の朝ドラでした。
今回は総合点でそれを抜くかもしれませんね。

たまたま、『カーネーション』の10/29はビデオで見ました
ので、酔っ払いついでにカットを数えてみました。
カウンターもなく「正」を書いてゆくだけですから
酔っ払いだし、正確な数字ではありませんけれども。

29の放送は、先生に洋裁を習い、白木屋の火事のニュースで
デパートに駆けつける
・・これだけを15分というスピード感、脚本の上手さ。
古典的な筋立て、伏線などはきちんとしつつですから
すごい書き手ですね。

カット数は115だったように思います。
(もう一度数える気にならないので、およその数)

比較的長いカットがあったりごく短くつないであったり
上手いものですが決してウルサクはないですよね。

商店街をずうっと向こうへ走って左へ曲がるまで映すなんて
長めのカットがあったりもします。
(この人は走ったり歩いたりまで気持ちが入っていますね)


115というカットはかなり丁寧な作り方を示すと思います。
他はどうか?

『芋たこ・・』のとある回がたまたまHDDに残っていたので
そのカット数を勘定してみました。
落語家さんに胃癌を告知する回です。

描こうとする世界、作り手の意図がまったく違うものを
同列に並べること自体がヘンだとは思います。
それもたまたま残してある恣意的な回を選んで。

また他の朝ドラなども比較しなければマジメな話には
ならないと重々承知しております。

そこを超手抜きで比較しちゃお~(・・何か分かるかも)
作り手には失礼この上ないジジイですみません。

で、勘定したら上記の『芋たこ・・』は130あったのです。
なんと『カーネーション』の10/29より遥かに多い。

けれど『芋たこ・・』の方がどっしり落ち着いていた
のに比べ、カーネーションの方が軽快です。
WHY?

『芋たこ・・』がそれだけ細かな作りであったという
ことになりそうです。(意識させないところがすごい)

対話が多いとその都度カットが切り替わります。
それが多いカット数のワケの一つではあります。

けれどカットを意識させない表現もありえます。

例えば、人が振り返る時その動きに合わせてカットを
切り替えるとカットが替わったように見えません。
我々は連続しているように見てしまうのです。
よって、細かにつなぎながら落ち着いた表現ができます。

全部で180度動く処、60度くらいでカットして、
動きをそのまま続け、少しだけ変化した構図をつなぐと
・・分からない!
(いや、何度でつないでもよいのですが)

アメリカ50年代のミュージカルのダンスシーンなどで
動きのタイミングに合わせてカットをつなぐと
まるでワンカットで続けて躍っているように見えるのと
同様です。

『芋たこ・・』はそれに似た細やかさがあったようです。

(長くなるのでシナリオの書き方は省略しましょう)


『カーネーション』が細やかだなと思えるのはどうして?

シーンが多かったのでした。

29日は大きく言うと①先生に教わる
         ②お別れ前夜の会
         ③虚脱感
         ④白木屋のニュース
         ⑤心斎橋のデパートへ
ですが

①でも 洋裁の基本から、型取り、謡のシーンと裁縫
ダメ出し、洋服の完成、再び叱られて・・

数多くのシーンにわけ
丁寧な作りであるのに軽やかに進みます。

演出も上手いのですね。
      
②以下も同様に入念な計算がされているようです。

この現場で仕事をする人は充実して楽しいでしょうねえ。