学力は下げ止まったか

2010-12-17 17:52:27 | 塾あれこれ
しばらく前、新聞では日本の学力は順位が戻った
という報道がなされました。

三年に一度、OECDが行う学習到達度調査PISA
の結果を報じたのです。

前回、順位が思いのほか下がり大問題になったのが
今回は底を打ち「読解」は持ち直しをみせたという
ものです。

外国の機関が調べないと自分の力が分からないという
のはなんとも情けない話ではあります。
日本はいつまで経っても外国が有り難いのですね。


ま、身内を軽んじるのはウチのカミサンもそうで
私がいくら説明してもマスメディアと違うことを云うと
「それはアアタがそう思うだけでしょ。」
新聞にはこう書いてある、とかTVはこう言ったとか。
んとに信用がありません。

まあ普段の私をよく知っておられますから、ねえ。。。。

ということは、偉い方々の外国崇拝の感覚も
庶民の身内をバカにする頭と大して違わないのか?
数千年にわたる崇外信仰がしみついているのですね。


私が塾業界に入った三十年前も学力低下は憂えられて
いたようでした。
(学力とは何ぞや、はこの際置いてて下さいね)

実際、私の目の前でもそれは続き、一度たりとも反転
することはありませんでしたね。

何年も同じような事を教えていると、難易度の感覚が
狂いやすいものです。
いつのまにか、これは易しいだろうと思い始めるので
気をつけねばなりません。
「今年の子はできんねえ」

しかし、上記の学力低下はそういう類の話ではなく
条件を同じにした上でデータを取ったことです。

今年は弱いぞ、という塾内データが出ていて
入試の結果が良かったことはしばしばあります。

周りでも同じように学力が下がっていたのです。
他の塾からも似た話を聞きました。
(偏差値という相対的な数字だけを見ていては分から
ない世界もありますから塾なりにデータをとります)


私の推測にしかすぎませんが、社会状況も学力形成の
大きな要因になると思います。

世界でトップクラスの力をもった国では次第に教育が
やりづらくなり、子供が勉強しなくなります。
しなくてもなんとかなる、と思えるから。

反対に途上国はハングリーですから教育にも力が入り
子供たちもよく勉強します。
あまり貧困が過ぎると余裕がなくなりますが少し経済
が良くなってくると一生懸命勉強します。

競争は大変ですが、それなりの甲斐はありますね。

日本はこういう状況から世界のトップクラスに上って
その後次第に勉強をしなくなってきただけなのです。

ゆとり教育が評判が悪いのは事実で、問題も多そう
ではありますが、それが登場したころの課題は何かと
いうと、詰め込みばかりでは勉強しなくなった
ということでした。

学力低下の危機感が新しい教育をもたらしたのです。

ゆとり教育は理念の一部も課題を残し、何より
教育を行う側が大きな間違いをしていました。
(もうひとつ、弱者切り捨てという本音の問題と)

それらだけでなく、勉強をしないことへの対策も
上手くいっていません。
長期低落化に歯止めが一貫してかかっていないのです。

のびのびと勉強できている層もたしかに多いのですが
課題が山積し見過ごされていたのも事実ですね。


今回のPISA下げ止まりも喜べる話ではありません。

テスト対策をしたからの結果なので、当然なのです。

小手先の対策であり、学力の低下そのものへの対応は
訓練を増やしたことくらいで、根本的な対策にはなって
いないと思われます。
(下位層の厚さはどうでしょう・・)

もし、今回対策をしたのに下がっていたらそれこそ
大変だった、のです。

「ゆとり教育からの変更」にケチがつきかねません。
どうすべきか、更に分からなくなってしまったでしょう。

(明日、続けます)