C57124 [吉]

2012-04-16 | 鉄道模型
しばらく模型作業の話題が無かったのでひとつ。

フェニックス組立仕上げになるC57124の更なる仕上げと汚しです。


テンダーの広い平面のゴミ処理前です。

仕上がる模型がC57になってから仕上がりはぐっと丁寧になった感じでそのままでも大丈夫な位です。


炭庫底面は少し乱れています。 此処は「見せる底面」なのでカッター削りが使えないのですが頑張って整える必要があります。


ナンバープレートは独特の表情となる「高め」に付いていますが、少し高すぎる感じです。

外して付け直します。

(宮崎区のC57186とC57187はどちらもプレート位置が高い罐でした。 同じ三次型で顔が似ていると認識した方も多いと思います。 しかし、この両機が並ぶと186(イッパロ)の方が187(イッパナ)より遙かに位置が高いのです。 ナンバープレート取付位置は細面のC57には極めて重要です。 デフ上端の水平なステーとの位置関係で面相が変わってきてしまいますので正確な位置に取り付ける必要があります)


分解していきます。

このC57124はテンダーが少し左側に傾いて居ます。

テンダーの水平はこの写真で後側に付いているボルスターで決まってしまいます。

もしかするとこのボルスターが奥まできっちり入って居らず、少し傾いて居る可能性が有ります。

(この時点では左傾斜は判って居ませんでした)


テンダー台車の内臓です。

マクラバリ奥側(右側)にヤスリ処理を忘れて飛び出した部分が見えます。

切ってヤスって仕上げるのが正解です。 

此処を削った為に傾きが露呈したのかもしれません。


塗装面の仕上げ、カッターの歯で削り、1000番のサンドペーパーで平らにします。


カッターが使えない炭庫底面はマイナスドライバーやキサゲなどで辛抱強く削り、同様にサンドペーパーで研きます。


機関車全体をよく調べて研き、煙室にエナメルの“つや消し黒”(XF1にフラットベースを僅かに加えたモノ)を塗ってマスキングします。

この状態でかなり薄めたラッカーのつや消し黒を吹いて表面を整えます。

このC57124は吉松所属です。 C5552、C5557と共通運用で「これが来たらハズレ」みたいな機関車でした。 活躍場所は最末期は吉都線と日豊本線1590レで宮崎に来て1527レで都城に帰る運用です。

そしてあまり磨かれていない、白っぽい汚れ方が目立つ罐だったのです。

ですから、南九州のカマとしては多少艶を落とした仕上げにしました。


火室の下、灰箱は火室底部と同じ「ハルレッド」に塗ってしまいます。

ハルレッドは艦底色です。

もちろん本来此処に塗る目的で調色されたモノではありません。 しかし実物蒸機の火室・灰箱に塗られた耐熱錆止め塗料(オレンジ色)を此処に塗ると良い感じがありません。 現役で使われていると灰を浴び、煤と飛んで来る錆を浴びてうんと濁った色になっています。

私としては単に錆色と区別する目的でかなり灰色が勝ったハルレッドは良い具合だと思っています。

もちろん汚れ色が被っていてこそより威力を発揮すると感じています。


そして埃が重なった雰囲気を出すのは「レッドブラウン」です。

レッドブラウンは「赤くない茶色」です。 (名前と違う中身です)

この後エナメルシンナーを含ませた筆で薄め広げ、間髪を入れずに乾かします。

少しでも時間が掛かると凹凸を強調する方向に集まってしまいます。

今まではドライヤーを使って居ましたが、最近はハリケーンブロアーで上手に風を送るとドライヤーが無くても(都合良く整えながら)早く乾かせることが判ってきて「それ専門」です。


こんな風になります。

吹付けでは絶対に出来ない隅に溜まった汚れが出来るので吹付けと併用するのが宜しいです。

汚しの吹付けに掛かります。


IMON蒸機は動輪両側に集電ブラシですが、最近更に先輪、従輪も片絶車輪を使い此処でも集電させます。

故に念入りなマスキングが必要です。


この状態で吹付けに出発です。


吹き付けました。


乾燥に時間が掛かる石炭を早く積むために組立はテンダーからです。

(汚れ)が積もったテンダーの雰囲気。


其処へ石炭が積まれます。


シンガーフィニッシュ的な手法でキャブ内部に手を入れます。

ドライブラシです。

私は黄色を加えたメタリックグレーを使う様にしています。


ナンバープレートの位置も「こんな感じかな」と思う高サにしました。

「宮崎の十字架」はC57199ですが、C57124は吉松の十字架です。

でも宮崎の十字架に比べて十字架らしさが“イマイチ”なのが吉松の十字架です。

十字架はもちろんリンゲルマンチャート、煙色測定板が付けられていた名残です。



少し大きめに見えるナックルはご存知の様にダミーではなくIMONカプラーHO-301です。

ダイキャスト製ですがカプラーポケットがプラなのでショートの心配がありません。


これで組み上げても良かったかも知れませんがやはり赤すぎる動輪の塗装がいやです。

シンガーフィニッシュ機に「汚し吹付け」を行ったがために集電ブラシその他に少しでも集電阻害物が付着するのを嫌って、はじめから汚れた少し茶色い色を車輪に塗っておく事を行って居るのですが、赤が強すぎて彩度が無い様な茶色がなかなか作れませんでした。


昔から動輪に筆塗りしてきた塗料を筆塗りします。


塗料は100%リターダーシンナーで薄めてありますので乾燥時間はエナメル並に遅いです。

動輪輪芯を4回に分けて時計回りに90度ずつ回しながら塗ります。

ボックスの穴とその間の涙滴形のへこみは先に塗ります。


輪芯を4回に分けて塗ったら動輪を回しながらタイヤ側面を塗ります。

そして最後にバランスウェイトを塗って終了。


拡大できます。








広角を使うと良い感じですが「前とキャブのプレートは被写界深度の中」といった扱いが必要です。
しかし、前は被写界深度の中間位置くらい、キャブは被写界深度の外かもという差の付け方が必要です。








石炭が3個ほど転げ出ていますが、一個ずつゴム系接着剤で付けています。

テクニカルアドバイザー竹中泰彦さんは大胆に垂らして仕舞った方が良いと言うのですがなかなか其処まで大胆な汚し方に踏み切れません。

「実物は水たまりになったり、染みていたりするものだ。 だから薄めたラッカーを滴下するのが妥当だ」とおっしゃるのですが。













キャブの中の淡緑色の塗り方が少し雑なのが目立つのが気になる点です。

なかなか考えを纏める時間が無くて実現していないメーカーズプレート類やエアタンクの全検表記(←資料を集め終わった・・・のですが他の仕事に忙しい間に何処かへ行ってしまいました・・・という事件の打撃から立ち直れずにいます)を早く実現したいモノです。