新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
お目に留めて下されば嬉しいです。

濹東綺譚について

2010年04月22日 17時08分28秒 | 身辺雑記

 朝から雨だった。

 昼ごろに会合があった。雨の中を出て、雨の中を帰ってきた。

 気温が低く、やはり、4月としては異常だ。 

 昨日、「濹東綺譚」に関する記事を書こうとした。

 ところが、「濹」をパソコンで出せずに四苦八苦。挙げ句に、「ぼく東綺譚」と書いて、言い訳をした。

 持つべきは友。ブログ友のR子さんからアドバイスのコメントを頂戴した。

 そんな経緯があって、「濹東綺譚」と書けるようになった。

 書けるようになったら、また、「濹東綺譚」に触れたくなった。

 永井荷風の「濹東綺譚」は、昭和11年9月21日から書き始め、翌12年4月に出版された。

 この小説の中で、主人公の「わたくし」(文筆業の大江匡、58歳)が、私娼街付近で、娼婦「雪子」と初めて会った。物語はそこから発展する。

 私はその「出会いの場面」が大好きだ。

『 いきなり後方から「檀那、そこまで入れてってよ。」といいさま、傘の下に真っ白な首を突込んだ女がある。』

 その女が「雪子」だった。

 それがきっかけで、「わたくし」と「雪子」の物語が発展する。

 当時のことだから具体的な性描写はまったくなく、さりながら、「娼婦雪子」と「わたくし」との細やかな交情が描かれていく。

 具体的でないからこそ、なお一層、二人の心象風景が鮮やかに私の脳裏に描けるのだ。

 決して売春を賛美しているわけではない。しかしそこには、紛れもなく「日本の風景」があった。

 もう一度出直して、じっくりと歩きたい。

 私の青春時代には、まだ公娼が認められていた。私娼街もあった。

 しかし私は、その「濹東」に足を踏み入れたことはなかった。

 別館として、写真俳句ブログの「ひよどり草紙」を開いてます。

 ご覧いただけると嬉しいです。

   → こちら

コメント (10)
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