朝から雨だった。
昼ごろに会合があった。雨の中を出て、雨の中を帰ってきた。
気温が低く、やはり、4月としては異常だ。
昨日、「濹東綺譚」に関する記事を書こうとした。
ところが、「濹」をパソコンで出せずに四苦八苦。挙げ句に、「ぼく東綺譚」と書いて、言い訳をした。
持つべきは友。ブログ友のR子さんからアドバイスのコメントを頂戴した。
そんな経緯があって、「濹東綺譚」と書けるようになった。
書けるようになったら、また、「濹東綺譚」に触れたくなった。
永井荷風の「濹東綺譚」は、昭和11年9月21日から書き始め、翌12年4月に出版された。
この小説の中で、主人公の「わたくし」(文筆業の大江匡、58歳)が、私娼街付近で、娼婦「雪子」と初めて会った。物語はそこから発展する。
私はその「出会いの場面」が大好きだ。
『 いきなり後方から「檀那、そこまで入れてってよ。」といいさま、傘の下に真っ白な首を突込んだ女がある。』
その女が「雪子」だった。
それがきっかけで、「わたくし」と「雪子」の物語が発展する。
当時のことだから具体的な性描写はまったくなく、さりながら、「娼婦雪子」と「わたくし」との細やかな交情が描かれていく。
具体的でないからこそ、なお一層、二人の心象風景が鮮やかに私の脳裏に描けるのだ。
決して売春を賛美しているわけではない。しかしそこには、紛れもなく「日本の風景」があった。
もう一度出直して、じっくりと歩きたい。
私の青春時代には、まだ公娼が認められていた。私娼街もあった。
しかし私は、その「濹東」に足を踏み入れたことはなかった。
別館として、写真俳句ブログの「ひよどり草紙」を開いてます。
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