私の日常は、二つの思考傾向の中で、揺れ動いている。
二重性格というほどではない。
一つはプラス思考というヤツ。
一度、こんなことがあった。
東北新幹線で大宮で降りるべきところを、仙台まで乗り越した。
原因は簡単。大宮では停車しない列車に乗ってしまったのだ。一日に一本だけ、そんな列車があった。それを知ったのは、その時がはじめてなのだから、いつかはしでかす失敗だった。
そんな時、私はあっさり諦める。
それどこるか、
「ああよかったなあ。これで災難を逃れたのかも知れないぞ」 と思ってしまう。
つまり、
「順調に大宮で降りて、タクシーに乗ったりしたら、交通事故に遭ったかもしれない」 と思い、自分のミスを肯定的に認めてしまうのだ。
これはかなりプラス思考。ノーテンキな自己欺瞞かもしれない。
他方では、次のようなこともある。
誰かとの別れ際、とても愛想のいい顔をされたとする。
そんなとき、「あれっ、まさか今生の別れかな?」 と思ったりするのだ。
まさにこんなのは取り越し苦労。
聴診器を耳に付けた医師が、首をかしげたりしたら、それだけで不安になる。
「どこかおかしいらしいな」 そのように思って、ちょっと落ち込む。
まして精密検査でもされようものなら、結果が知らされるまでは悶々の日々が続く。
悪い方へ悪い方へ考えてしまう癖。これも始末に負えない。かなり落ち込めば、本当に病気になりかねない。
この二つとも、私の思考傾向だ。つまり、一貫性がない。その場で、マイナスだったりプラスだったり。
どっちも本当の私。