1999年9月撮影のコスモス。
朝露に濡れ、瑞々しかった。今日の記事とは関係がない。
ここの2~3日、右足の甲が痛かった。
一昨夜は、靴が履けないほど。酒を飲んだことが、痛みに拍車をかけた。
昨日の午前中、馴染みの病院へ行き、皮膚科で診てもらった。
担当医師は30代半ばの男性。ちょっと見では、温和な感じだった。
「これは痛かったでしょう?」 はじめは同情してくれている様子だった。
「ええ、とても痛くて………」 私は調子に乗って、大袈裟に痛さを訴えた。
「もう少し遅かったら、入院でしたよ!」 同情の口調から、咎め立ての語調に変わった。
「オデキですか?」 私はオズオズと質問。医師の強い語調に、気持ちが怯んだのだ。
「いいえ、感染症です!」
それからの医師の動きは早かった。ナースに何かを命じながら、手際よく処置を進めた。
「化膿しているので、膿を取ります。少し痛いですよッ、我慢して下さいッ!」
痛いの痒いのと言う暇もなく、太い針を足指の甲に差し込んだ。
「イタッ!!、イタタッ!」
痛み止めの処理もせず、いきなりの処置だ。まるで鬼だ。鬼!鬼!
私が何を訴えてもお構いなし。2度も3度も差し込んで、膿を吸い取った。
ナースも平然と手助けをしている。私の顔をチラと見ただけで、同情の色は見せない。
美人鬼め!
「膿がこんなに取れましたよ」 医師は、注射器に採取した膿を見せてくれた。だが私には、そんなものを見る余裕はなかった。ずーっと激痛が続いた。
「ばい菌が入ったということですか?」 私には、まだ事態が飲み込めていないのだ。
「この検体を調べてみないと、なんとも言えません!」
「特別の菌ですか?」
「ありふれた菌だと思いますよ。免疫力があれば、感染しませんね」 ニベもない言い方だ。
「私の免疫力が落ちているということですか?」
昨日まで、私は元気だったのだ。免疫力が落ちていたとは思えない。納得いかなかった。
「結果としては、そうだと思いますよ」 医師の答えは、まるで憎まれ口めいている。
「どうすればいいンですかねえ」 私の質問力は、徐々に弱々しくなった。
「若い人とでも、恋をするんですね。フ、フ、フ……」
医師ははじめて笑った。ナースも、「クスッ」と歯を見せた。
そんな経緯の後、足を引きながら、私は仕事場へ出た。不思議なことに、いつの間にか、痛みは薄らいでいた。
足を引いている私を、Oさんが気付いた。若手の女性社員だ。
「どうかなさったのですか?」
「足指の甲が膿んじゃって……」
「………?」
「免疫力が落ちたんだって!免疫力を高めなさいって、お医者に言われたよ!」
「え!?どうすればいいんですか?」
「若い女性に恋をしろって言われた!」 痛みが薄れていたので、私も冗談が言えた。
彼女は下手な冗談を受け止めてくれた。
「じゃあ治りませんね!ウチに若い女性はおりませんから……」
そんなことを言って、コロコロと笑った。
彼女は二児の母。まだまだ若くて綺麗だ。
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