ニコラス・エプリー『人の心は読めるか?:本音と誤解の心理学』 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫), 波多野理彩子訳, 早川書房, 2017.
心理学。読心術(mind reading)の解説かと思いきや、「人の心を読む行動一般」をもっと砕けた調子で取り上げるものである。著者はシカゴ大学の心理学者で、原書はMindwise: how we understand what others think, believe, feel, and want (Knopf, 2014.)である。
邦訳タイトルにある問いに対する結論は「読めない」ということである。他人の心を読むことに対して一般の人は自信過剰気味になっている。けれども、外れることは多くもう少し謙虚な姿勢を持つべきであり、わからないときは相手に問いただした方がよいとする。
この結論は一般化しすぎに思える。読む側としては、そういうレベルの議論ではなくて、場面や相手の属性に応じた「心を読める/読めない」の程度について詳しい議論を知りたいはずだ。実際、文庫版の注p340で、「性格的に外向性の高い人は「人の心を読める」と自分を評価しているが実際は間違っていることが多く、一方でIQが高い人は相対的に正しく心を推察できる能力がある」とする研究結果を紹介している。読んでいて、その話をもっと詳しく、と言いたくなる。
ためになる知見がないわけでもない。「相手の属性に対して偏見が強いと、「相手の立場に立って考える」という心理的操作が誤解を強めることがある」など。ただ、モノに心を見る錯覚や、ステレオタイプの話などはテーマに対して大きすぎる話で、他者理解に関するもうちょっと絞った議論がほしいところだった。
心理学。読心術(mind reading)の解説かと思いきや、「人の心を読む行動一般」をもっと砕けた調子で取り上げるものである。著者はシカゴ大学の心理学者で、原書はMindwise: how we understand what others think, believe, feel, and want (Knopf, 2014.)である。
邦訳タイトルにある問いに対する結論は「読めない」ということである。他人の心を読むことに対して一般の人は自信過剰気味になっている。けれども、外れることは多くもう少し謙虚な姿勢を持つべきであり、わからないときは相手に問いただした方がよいとする。
この結論は一般化しすぎに思える。読む側としては、そういうレベルの議論ではなくて、場面や相手の属性に応じた「心を読める/読めない」の程度について詳しい議論を知りたいはずだ。実際、文庫版の注p340で、「性格的に外向性の高い人は「人の心を読める」と自分を評価しているが実際は間違っていることが多く、一方でIQが高い人は相対的に正しく心を推察できる能力がある」とする研究結果を紹介している。読んでいて、その話をもっと詳しく、と言いたくなる。
ためになる知見がないわけでもない。「相手の属性に対して偏見が強いと、「相手の立場に立って考える」という心理的操作が誤解を強めることがある」など。ただ、モノに心を見る錯覚や、ステレオタイプの話などはテーマに対して大きすぎる話で、他者理解に関するもうちょっと絞った議論がほしいところだった。